幻想戦記リプレイ シーザーVSレオン





















































はじまり・・・のまえ

これは今回のリブレイの始まる少し前のお話。


煌びやかなパーティ。税の限りを尽くされた食卓。着飾った貴族達が、美辞麗句を並び立てる。
あでやかなパーティを彩るものは偽りの栄光と、もはやなんの力も失った伝統であった。
このユトランドは既に滅びの道を歩んでいた。
隣国からの脅威にさらされる小国には、かつての連合盟主たる力は無く、いまはかびの生えた権威にすがるだけ。
貴族も騎士もお飾りに過ぎず、国内を守る意思はすでに彼らの中には失われていた。

しかし、この滅び行く王国を救おうといういう一抹の希望は絶えてはいなかった。
このパーティに相応しい眉目秀麗の貴公子がいた。レオン=ガートランド。
金髪の癖のある髪。男にしては艶やかな赤い唇と長いマツゲ。そしてその瞳は限りない野望が満たしている。








レオン/タカタン「ひっどい外見ですよ。レサ夫さん(絵師)自分だけベルバラじゃないですか(笑)。
会うたびにレオンはベルバラだよねっていわれるんですよ?」

一同  「レオンはベルバラだよね?」「ウン!」

GM  「そのレオンの周りにはたちまち貴族達が群がり、仰々しいセンスを振ったケバイ貴婦人達に囲まれる。
『まぁ!あなたがレオン様』『フランスの時期騎士団長といわれるお方だとか』『まぁ素晴らしい』」

レオン 「ええ。その通り。ベルバラですから!キラキラ」


そんな光景を尻目に、一角では一人の貴族の姿が会った。濃いマユとモミアゲ。鋭い眼光に堀の深い顔立ちの貴族である。
トゲトゲしい剛毛と、不敵な面構えの男。ユトランド貴族ネロである。







ネロ/レサ夫「執事や従者に命じて、料理ののったテーブルをバルコニーに運ばせよう。」

GM  「何をしているんですか?」

ネロ  「表には食うに食えない飢えた領民が集っている。それを見ながら食べようとね。」

激しい罵声をものともせずに、食事を続けるネロ。バカ執事・セバンナと一緒にバカな食事を披露する。

GM:執事セバンナ「はい、あーんして下さい」  

ネロ  「あーん!」


GM  「下では怒声が上がる。殺してやるーとか響いているね。」

ネロ  「じゃあ食べ物を放り投げて遊んでやろう。
よーし!どんどん投げろ。テーブルごと投げろ!」

GM  「ネロは人が見ていないことをいいことにテーブルとか料理とかバルコニーから落としていく。
偏屈そうな貴族がやってきて、『何をしているのかね!』と説教をたれる。」

ネロ  「すぐにテーブルを後ろに隠す。」

GM  「青くなるネロに対して説教とか、遠まわしな嫌がらせが貴族の口から・・・」

レオン 「そんな時、人々の中から、狙撃銃をもった奴が・・・『逆賊ネロ!』バーン!」

ネロ  「そして弾はネロをそれ、貴族に当たる。」

GM  「『ぐわあぁぁぁ』、と、落ちていく貴族。物音に気がついて、他の紳士淑女が集ってくる。」

ネロ  「そんな中に、ボーンと花火が上がって―、『まぁ綺麗!』『今日はお祭だからね』」

レオン 「ちょ、ちょっと勝手に殺さないで下さいよ(笑)」


王国は周辺諸国との対立と侵略にさらされていたが、ついにその戦いも終わりを告げる。
度重なる戦で国々は疲弊し、ついには戦を継続できなくなった形である。
しかし、このユトランドでは逆に『祖国防衛』などといって、停戦を祝う宴が開かれていた。

「私は嫌よ。あのパーティの中にはどこの馬の骨とも知れぬ者供がいるのですよ?
私の身をそのような人々の目にさらせというの?」
「・・・しかし、姫。姫の名のもとに集め戦わせた騎士達の祝賀会に姫が顔を出さぬわけにもいきますまい。」
シャルロッテはこの王国の華として歌われる姫君である。
美しく可憐、その穏やかな物腰は、高嶺の花として騎士達の憧れ、そして人々の羨望を集めていた。
しかし、その性状は可憐と表し難しいほどの毒花であった。








GM  「やがて現れる美しい姫君。その姿が現れるだけで、人々は自然と静まり返り、息を呑んで見つめてしまう。
この戦で国王が崩御した後、国内の全てを取り仕切っているのはこの可憐な姫君なのである。
『この国を救いし、愛しの我が騎士。このたびはご苦労でした。』と挨拶がされる一同は平伏。」

レオン 「おぉ美しい、と礼を払う。」

ネロ  「一人背を向けて食事を続ける、っといいたいが無礼すぎるな。頭を下げよう。」


GM:シャルロッテ「この国を脅かした騒乱と侵略も、皆様の正義の剣の前にはついに敗れ、この国は救われました。今私の胸は皆様への感謝の気持ちで一杯です。いかにして皆のご恩に報いようと今は思うばかりです。
しかし、疲弊しきったこの国で、すぐにご恩に報いるのはかなわず、いましばらくのご容赦を下さい。
まずは、此度の宴をもって皆へのねぎらいとしたい思います。」


ネロ  「ははは!心にも無い事を(と指差す。)」

GM  「シャルロッテは席から下がり、シルクハンカチで鼻をかむとそれをそのままゴミ箱へ。
『義勇兵や下層騎士もいるではないですか。臭くてたまりません。私は汚物と話す口を持たぬのですよ。』
と召使にコロンを持ってこさせる。当然非常に高価なコロンで、それを一吹きすると、それもまたゴミ箱へ。
さて次のシーンは汚物と言われた騎士に・・・」

ネロ  「汚物かよ(笑)」


GM  「イギリス。アバロンの騎士グレイは、元々は下層階級の騎士であり、本来このような場に立てる人物ではなかった。しかし、この度重なる戦で功をたてついには姫のパーティにまで呼ばれるようになった。
しかし、このユトランドの身分制度では彼は一言で言えば汚物だ。」

グレイ/ムンタロ「へぶしっ!誰かが俺を噂してやがる(笑)」

ネロ  「汚物だ!(笑)」

レオン 「汚物ですよ!(笑)」

グレイ 「・・・ヒドクね?」


GM  「グレイは一言で言えば美しい男ではない。ガッシリとした体つきの中年であり。アゴの髭などは、姫曰く汚らしいことこの上ないと表される汚物代表である。
グレイは姫に『洗っていない犬の匂いがする』として、最前線に送られ常に死と隣り合わせの生活をしてきた。
しかし、それがこのグレイの出世を促してしまったのは、姫からすると青天の霹靂・・・悪い冗談だ。」








グレイ 「普段はこんな豪華なものを味わえないからな。とばかりにガツガツ食べる。おおそうだ、仲間達にも持って帰ってやらないと」

GM  「といいながら、衣服の中に料理を押し込んでいると、後ろから歩いてきた姫に声をかけられる。」

グレイ 「もうちょっと、カッコいいシーンをちょうだいよ!」


一同爆笑!

GM  「グレイが口元から飛ばした食べカスを、姫は扇子を広げて防いだ後、その扇子をゴミ箱に捨てる。
表情は一変。笑顔なのに顔面蒼白。息を止めてしゃべっている。
『グレイ様。ご無事な帰還めでたく思います。』」

グレイ 「姫。そのお言葉嬉しく思います。で敬礼。気の利いたセリフなんて出てこないですよ。」

GM  「シャルロットは、その一言でさっさと切り上げと次の騎士に回る。
『信じられないわ。あの男が今回の戦の手柄上位2番だなんて!』
周囲の召使や侍従は、『我々の国には報いるための財はありません。よそ者に領地をやるのも・・・』
『わかっていますわ。しかし、あの者の妻になるのだったら、路地裏の野良犬に操を捧げますわ!』」


ネロ  「やぁ路地裏の犬!(と声をかけるネロ)」

グレイ 「あ、ネロ様。と敬礼。」

ネロ  「食べ物をどんどん衣服に押し込んでやろう。」

グレイ 「もうやめてよー」


シャルロッテが次に訪れるのは、黒いローブの老人。顔には深く皺が刻まれその容貌は彼果てたミイラのようである。
その老体の男は、誰もが恐れる魔法使いシリウス卿である。








シス/ロバ氏「やぁ。」

GM  「爽やかですね!」

シス  「異国の身にありながらパーティに御呼ばれしてもいいのだろうか?」

GM  「生まれはここの隣国ですし、また戦も終わったのだからいいでしょう。」

ネロ  「やぁシス来ていたか。」

シス  「ふむ。たまには遠出をするのも悪くなかろう。」


シスは亜人やら魔物や妖魔を手懐け国を興すなど、この辺りでは随分と活躍をしていました。
元々は人間とは敵対的な種族の連合国王だったのですが、人間とは停戦し、以後は融和関係にあります。
人間は彼を殺すということが不可能ではありませんが、殺してしまうと魔物達が統制無く人間を害するので、シスを排除することを損失と考えています。


ネロ  「シス。一人?」

シス  「外にはオークが馬車に山積みでまっておる。」

ネロ  「そうだ。紹介する息子だ。と小脇に子供を出す。」

シス  「ほぅ。」

ネロ  「言語の勉強をさせたんで、今は通訳ペラペラだ。異国との話し合いに便利と思ってつれてきた。
息子はギリシア語でペラペラ。『コニチワ』」

シス  「ギリシア語で『コニチワ』」

ネロ  「わかるように話せよ、と息子の頭をはたく。」


ネロ  「そうだ。息子の名前はシーザー。ジュリアス・シーザーだ。」

シス  「なんて名前をつけるんだ(笑)」

ネロ  「シスには言われたくないな。

あ、そう、私は今不治の病にかかっているんで、すぐにPCはこっち(息子)になりそうだ。ヨロシク頼むぞ。」 シス  「ほぅ。じゃが、わしもすぐに行く。向こうで再会じゃな。」

〜 談笑する二人 〜


レオン 「ふっ、グレイ君。無事な帰還めでたく思うよ。」

グレイ 「レオン様、と敬礼。」

レオン 「ふふ、君の戦功は話に聞いている。何度も死地から生還するとは。まさに奇跡だな。」

グレイ 「GMが俺を殺そうとしたんですよ。」

レオン 「(当時のGMだったのが彼)いや手ごわい男だよ。君は(笑)」


レオン 「しかし、君は姫との婚姻してもおかしくない男だ。身分はともかく手柄だけならね。」

グレイ 「いや。それは辞退します。俺はいい歳のおっさんですから。釣り合いませんし。それにあの人苦手なんです。」

レオン 「確かに釣り合いはとれんな。ではネロ君はどうかね。といっても既に君は婚姻していたな。」

ネロ  「ふ、私は心が広い。妾だったらもらってやろうかと・・・」

レオン 「いやいや、それを聞いたら姫激昂しますよ。」


GM  「一同がそのように宴を祝っていると、突然。その場には似つかわしくない急使が訪れる。
この国のトップであり、全ての手綱を握る姫がまず、その急使の話を聞く。」


グレイ 「でもあの姫ってスゴイよな。」

ネロ  「実は、ね。この国が財政も軍事もボロボロなのに存在しているのは姫のタイトロープな政治手腕だからな。」

GM  「姫の指示でかくしてその情報が大臣から話される。」

国内に魔物が現れ、各地で被害が出たというものである。

『突如として国内に現れた魔物達。

村々が前触れ無くアンデットに占拠され、都市の人々が一夜のうちにアンデットと成り果てたのだ。

争ったあともなく、手傷を負わぬ人々もアンデットと成り果てているという』


この幻想戦記魔物との戦いはほとんどないのが、この表・戦記シナリオです。

当然PCは動揺します。


グレイ 「いきなり前触れ無くアンデット退治のイベントだよー」

ネロ  「私はこういう突然の隕石には慣れっこだ。巨人とかメデューサとかヒドラとかと戦っているから。」


GM  「突然パーティの人々・貴族や騎士達は静まり返る。だれがそれを引き受けるというのだろう。」

グレイ 「頼りにならんな。ホント(笑)」

GM  「心ある人はいるんだろうけど、今は場外の外で待たされていたり、今までの冷遇で心が冷え切っている。」

ネロ  「うむ。よし、引き受けよう。」

GM  「二つ返事?」

ネロ  「諸君。今回の事件に快く参戦できないものの胸中もわかる。しかし、これは誰の非があるでもない問題だ。
そして王には王の責務がある。当然私は引き受けるべきだ。」

レオン 「さりげなく王位を主張していますね。」

GM  「シャルロッテはここぞとばかりに、ネロやらグレイを後押しする。『ネロ様のおっしゃる通り。ここは祖国を守る騎士の仕事として、やりとげていただかなくては!』」


ネロ  「実は私、生命判定で失敗して、この命も今期限り。ここで引退です。
だから最後の仕事はこれをやろうと決めた。」

グレイ 「その・・・子供いるんだろ。だったらここで死んでしまっては・・・」

レオン 「ふふ、さすがはネロ様。このレオン感服いたしましたぞ。最後の最後まで国に命を捧げるとは忠義の極み。」

ネロ  「ちなみに今回は、私と手勢でいい。
この国は魔物退治にはなれていないだろうし、誰もアンデットに殺されましたなんてそんな死に方望まぬだろう。
グレイは後方支援で情報収集してくれたまえ。私が思うにこのことは国内だけということに留まるまい。」

シス  「わしも行こう」

一同  「おお!!」


ネロ  「いいのか?」

シス  「アンデットは魔物とはいえ、我々とは考えが違う。一緒にされても・・・という建前はある。
でも、助けがいるじゃろうて?」

グレイ 「なんて!いい奴なんだ!」

シス  「ゴメン。ジョブがロードになったんで、ライトセイバー買ったの。武器を振り回したくて。(笑)」


こういう有事になると一気に国内を纏め上げていくネロ。グレイやいままで戦っていた諸国に急使を出し、連携を強めて事態の鎮圧化を計ります。一方頼りにならない貴族達は、一斉に高みの見物を気取ります。
シャルロッテ「ふふ、ちょうどいい時に事件が起こったわ。ネロもグレイも死んでくれないかしら。」


もはや国には報いるだけの財はありません。戦の終わりは、貴族と王家にとっても存亡の危機です。
ここでシャルロッテはまさかの「功労者・排除」を考えます。
レオン「私は参加しませんよ。それだけの戦力はありませんし、ここは静観を決め込みます。
したたかでないと生き残れませんよ。」


ネロ  「じゃ念のために、執事のセバンナとかを呼んでおこう。」

GM:セバンナ「は!」

ネロ  「今回はこなくていい。道案内にはミーシャをつれていく。」

GM:セバンナ「そ、そんなぁ」

ネロ  「それと、私が死んだら冒険者達や騎士達に、ウチの資産を全部分配するように。多分あいつら報酬は国からおりないからな。」

GM:セバンナ「シーザー様に残されては?」

ネロ  「べつにいいだろう。私の金は私のもの。そしてあの世に金は持っていけない。」

GM:セバンナ「しかし、せめて私だけでもお連れください。ずっと一緒にやってきたではないですか〜!」

ネロ  「もー決めた。」

GM:セバンナ「じゃ・・・せめてとばかりに火打石をカチカチ」

ネロ  「いいな。姫に相続税などいって財産を奪われるなよ。それだけは釈然としない。
そして、報酬がなくて騎士達が反乱を起こしてもツマラン。
長年連れ添った冒険者の末路がそれじゃあなぁ」


ネロの死

そして
事件が終わり、ネロの領地で待つ息子のシーザー。
ある日、国から前触れなく騎士団が訪れる。騎士団は建物の周囲を封鎖すると、書状をもって現れる。
知らせられるのは父ネロの訃報・そしてこの領地の接収命令であった。

放心するシーザー。呆然と書状を読む。そして騎士達はそんなシーザーの目前で館の差し押さえに入っていく。
「先代ネロには脱税の容疑が・・・」「反逆罪が・・・」などとでっちあげられた罪状。

執事のセバンナはそんな騎士達に対し、財産の目録などを見せる。
セバンナはすでに全ての私財をネロの知人や関わってきた人々、面識の無い人々に至るまで分配していたのだ。
そしてシーザーは追い立てられるように「国外追放」の処罰を受け、この国を一族とともに立ち去る。
彼が戻るのは、北欧の外交官となったときのことである・・・。

この国で戦っていた騎士達も弱体化を狙った刑罰が落とされる。
騎士団は解雇。家は取り潰し、財産は没収である。しかし、冒険者や漂白の民はネロがこのことを予測して財産を分配していたので、報酬にはありつくことができた。
「わがままで、ヒドイ奴だったけど・・・いいやつだったな」
「いや、アイツのせいで何度死にかけたか」
「そういや・・・そうだな」


レオンも祭りが終わり、国に帰還する。

レオン「ふーむ。ネロめ、死んだか。・・・しかし手ごわい男だ。正直ほっとしているぞ。
しばらくはユトランドの政情を眺めるか。私が動き出すのはその後だな。」

そして数年の時が流れる・・・。

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