白の花嫁編 第1話

あらすじ

PC達は厄介ごとを持ち込むことで有名な冒険者カラミティ・アンジェラより、金になる話を説明されます。
騎士の一家ローランド家の跡取、エリック・ローランドが探している失踪した婚約者こそ、今では冒険者をしている白の騎士・ブランカであるというのです。
ブランカは当時の事情を覚えていません。彼女はある時からプッツリと記憶を失っているというのです。
そして彼女はエリックに会うことを拒みます。果たして二人の間には何があったというのでしょうか?
このシナリオはブランカとある程度目意識があることが条件です。このシナリオで初めて仲間となる場合だと、信頼関係の構築から問題になってしまうでしょうから。



ストーリー

PC達は厄介ごとを持ち込むことで有名な冒険者カラミティ・アンジェラより、金になる話を説明されます。
騎士の一家ローランド家の跡取、エリック・ローランドが探している失踪した婚約者こそ、今では冒険者をしている白の騎士・ブランカであるというのです。
ブランカは当時の事情を覚えていません。彼女はある時からプッツリと記憶を失っているというのです。

それもそのはずこのブランカ。実はコーデリアの心臓を食べて姿を得たレッサーオーガだったのです。彼女の部族特殊な部族で、穢れが無く、人間に化けていられる時間にも制限がありません。彼女は人間の情報を得るために部族の支配者ドレイクのファーロが送ったものであったのです。

そんな中事件がおきます。オーガ率いるボガードの軍勢が人間集めに地方の村を襲ったのです。一同はこの解決に冒険者として依頼をうけますが、それはブランカの部族との戦い・・そしてこの話の序章でもあったのです。

戦に破れ捕えられる冒険者達は、ドレイクのファーロより部族の悲願「人間との新たな関係」を提案され、協力を約束されて放たれることになります。

このシナリオは導入部分だけで作られた内容なので、この話だけでは完全に後をひいてしまいます。使用には注意がいりますね。

登場人物

ブランカ

ブランカ

白い肌と銀の髪とあいまって冒険者から白騎士と呼ばれている人物です。孤高の冒険者として知られますが、冒険者の店などでは中々捕まりません。やっていることは冒険者なのですが、あまり人との交流を結びたがらず、冒険の時に協力者として現れることがほとんどです。
見た目に反して大変な怪力で、板金鎧を着たままでも水泳が出来、岩などを投擲道具にできるほどです。言葉は穏やかなのですが、礼儀作法などは知らず、字は読めても書けません。彼女には冒険者となる前の記憶が無く、文字の独海ができないこともそのかことに関係しているかもしれません。

真相は彼女はレッサーオーガです。普通のレッサーオーガとは違い、人間を好んで食べることは無く、また人間に害意を持ちません。また人間に化けている時間にも制限が無く、日々連続して化けていることが可能です。そのことによるデメリットはまったくありません。また蛮族には珍しくこれほど協力なのに穢れがありません。真偽判定でも蛮族とはわからないでしょう。これらは彼女の部族を作ったドレイクのファーロの長い教育の結果、集大成であり、彼女の部族は全て、このような力を持ちます。
彼女は現在人のことを知るという使命を受けて人の町にやってきています。
彼女は山野で洞窟などをねぐらにしつつも、人としては不自由な生活をしています。それらは全て人への罪悪感からです。

ジョン

ジョン・ローランド

冒険者とも仲良く付き合える帝国の騎馬隊の指揮官です。何かと天上人の帝国の士官達の中ではかなり庶民的な人で、休日は冒険者まがいのことをやっては世直しをしている人物です。最近は寄る年波に勝てず引退も考えています。
ローランド一族は皆女子供に至るまで戦地に立つこともあるという筋金入りの戦士の一族だけあり、本人の悩みは娘ガートルードが何かと戦に出てしまうことです。
このキャンペーンでジョンは引退してしまうことになります。


エリック

エリック・ローランド

帝国軍人で騎馬隊に所属し、父ジョンの補佐をしています。ジョンの後継ぎであり、騎乗馬技術などはジョンを超えているといわれるほどですが、まだジョンほどの経験は積んでいません。性格は誠実で真面目、基本的には浮ついた話にはとんと疎い、優等生で女心など全然わかりませんが、情熱でカバーという性格です。
社交界でグロリアス家の令嬢コーデリアに出会い、一目惚れしてしまいます。婚約が成立した後彼女を待っていましたが、残念ながら彼女は道中蛮族に教われて失踪してしまいます。
コーデリア(ブランカ)との再会に神に感謝し素直に喜びますが、彼女の豹変に困惑してしまいます。しかし、ブランカは誠実で純真なのでエリックはブランカを新しいコーデリアとして今までのコーデリアとは違う愛を注いでいきます。

ガートルード

ガートルード・ローランド

帝国騎士であるジョン・ローランドの娘で兄にはエリック・ローランドがいます。
元気で快活な娘で、行動力があり、何かと危ないことにも首を突っ込んでしまうところがありますが、その行動力と前向き思考は周囲に好感を与えます。
ローランド一族は皆女子供に至るまで戦地に立つこともあるという筋金入りの戦士の一族だけあり、本人もかなりの腕前の馬上術を使います。指揮官としても有能で、近年は副官としても活躍、小規模な活動には指揮官ともなります。
コンプレックスはガートルードという名前で、『狂った暗殺機械ガートルード』という盗賊ギルドのリーダーと同名であることから自己紹介に苦しみます。そのため彼女は度々自己紹介では偽名を使います。尚、兄からは『狂った暗殺機械』と馬鹿にされることがあり、一瞬で怒ります。

バルバ

オーガウォーロードのバルバ

オーガの部族を率いる部族の王です。この部族はドレイクのファーロの教えを守り、非常に文化的な生活つをしていますがオーガだけあり、戦ともなれば勇猛でまた作戦なども使ってきます。彼らを率いるバルバはそれらの作戦などの立案から指揮まで戦の全権を預かる人物です。
ブランカの家族としては兄のように付き合い、またバルバも彼女には好意を感じています。ブランカが人の里に行くことには戸惑いもありましたが、彼女の運命を祝福し、それを認めました。しかし、彼女とエリックの婚姻話ともなれば心穏やかではありません。
ドレイクのファーロをもっとも尊敬し、「主」と崇めます。

ファーロ

ドレイクのファーロ

バルバとブランカの部族を作り上げた創造主で彼らには父にも神にも等しい存在です。配下の種族に言葉を教え、教養やモラルなど全てを教え、また愛し合うことなども教えるなど支配者の範疇を越える人望を持ちます。魔剣について研究するうちに、『我々は何をなすために生まれてきたのか』を疑問に思うようになり、ルミエルが価値観溢れる世界を、イグニスが力強き世界を、カルディアがそしてそれがともにある世界を作ったとするのならば、この後どんな世界が来るのかと悩んでいます。今は第三の剣カルディアの意思を共存とかんがえ、意思を組もうと考えています。
かつては人間社会と戦う強大なドレイク達の一人で王に仕えるドレイクの幹部の一人です。魔導器文明時代には文明を滅ぼすのに躍進、国々を滅ぼし文明崩壊にも関わったという過去を持ち、同じドレイク達からも畏怖され、その行いに口出しすることはできないようです。

彼にとってブランカのオーガ部隊は戦士という役割で、誇りを与えて名誉あるものとして扱い飼いならしています。
部族を治めるドレイクは人間を現時点では敵と考えていますが、交易などを行い交流を交わすことで文明の発展も必要と考えています。ブランカの知識は貴重なものです。
彼は共存は必要だと考えていますが、領地を開拓する意味からも最初の戦いは避けられないとも考えています。

騎士ハロルド

ボガード退治に指揮をとる騎士ですが、経験はほとんどありません。家柄がよく、今回は騎士として指揮をとって名をあげようという考えの元冒険者を集めました。
たたき上げの中年騎士ジェイコブにおもりをされていますが、彼のことが大嫌いです。

中年騎士ジェイコブ

ハロルドの警護をしているベテラン騎士です。若い頃は傭兵団として有名でしたが、騎士となり贅沢な生活をすると酒と博打で身を滅ぼしたといいます。
「今じゃ、護衛係か馬番くらいしか仕事が無い」、といいますが、実践では頼りになる存在です。

PC設定

PCの導入

今まで使用したPCを使うことができますが、ブランカと出会っていることが必要です。
PC達は厄介ごとを持ち込むことで有名な冒険者カラミティ・アンジェラより、金になる話を説明されます。
騎士の一家ローランド家の跡取、エリック・ローランドが探している失踪した婚約者こそ、今では冒険者をしている白の騎士・ブランカであるというのです。
このシナリオはブランカとある程度面識があることが条件です。
このシナリオで初めて仲間となる場合だと、信頼関係の構築から問題になってしまうでしょうから。


オープニング

本日仏滅

一同の周囲には魔導機械が取り囲んでいます。周囲は満身創痍、今や頼れるのは自分達のパーティだけです。

発端

今回の仕事、一同は遺跡の中に取り残された冒険者を助けに来たのですが、遺跡に取り残されていた冒険者の一人・疫病神と恐れられる通称『カラミティ・アンジェラ』は、逆に一同を囮にすると、一人遺跡のお宝を手に入れ、逆に一同を置いてきぼりに逃げ出したのです。

罠が起動しシャッターが閉まる扉。アンジェラは躊躇したのかその手前で一瞬振り返ります。そして笑みとともにひとこと。
『ゴメンね!あんた達、この宝を使ってお墓ぐらいたててあげるからね』
との言葉とともにシャッターの中へと消えます。

白騎士ブランカ

PCが憎しみを漏らすのならば、その中で皆に指示を出す一人の騎士の姿が見えます。白銀の髪に白い鎧の凛々しい女騎士ブランカです。
「今はそんなことを言っている場合でほない!こんな時こそ力を合わせ―」と話しているうちから、見ていた冒険者達が青ざめブランカから離れます。
その背後からはドゥームが今まさに襲いかかろうとしているのです。

★ドゥームと戦闘です★



次なる試練

ドゥームを倒した一同ですが窮地は終わりません。出入り口のシャッターが降りてしまっているのです。
⇒これは普通の筋力では開きません。目標値は22です。
・不可能だとわかるとブランカは再び挑戦。あの見た目に反する怪力で、なんと扉を持ち上げるではないでしょうか。

しかし、ブランカは扉が重すぎて身動きが取れません。ポーカーフェイスも皆が扉を突破したとたん情けなくなり。「…駄目みたい。動けない」と泣き言をいいます。
⇒必要筋力20以上の装備品を挟む等すればブランカを救出できます。
または敏捷ボーナス+冒険者技能+2D⇒17で、落下前に救出できます。
失敗してブランカが頭を強かに打ち付けても、ブランカは感謝します。

報酬

無事に帰還すると、救出された冒険者達は大変感謝します。
・駆け出し冒険者である彼らもアンジェラの鴨にされ、あわや初冒険で死ぬかもという境遇でした。
・また彼らを案じていた冒険者の店の主人ルーサーから一同に依頼料として一人2000ガメルが支払われます。

⇒ブランカはそのお金を辞退します。
理由を訪ねると、彼女は金が流通していない場所にすんでいるのでいらないと説明します。
・ブランカはどこからともなくやって来る助っ人なのです。

依頼:馬車の御迎え

依頼

PCは冒険者の店の主人ルーサーに呼び止められます。「つまらない用事なんだが小銭稼ぎと思って引き受けてくれないか?」

●情報
・なんでも町に向かっている商人の馬車が定刻を過ぎても到着しないらしい。着くのは昼前なんだが、もうすぐ夕方だ。商人の主人は心配していてな。蛮族に襲われでもしたら大変だと依頼に来た。
・主人の名前はオルソン。中々良心的な商人で冒険者にも受けがいい人物だ。
馬車は隣村まではオルソンと一緒だったんだが、馬が足を痛めたとかでオルソン隊だけが早く帝国に帰って来たそうだ。隣村だから、馬が無事に調達できれば残りの馬車一台も、さほどかからず到着するらしいんだが。
・何事もなければ全員で500ガメル出すという話しだし、何かあればあったで正式な依頼になるだろう。どうだ?
⇒引き受けなければこのイベントは飛ばしてしまって構いません。

商人の立ち往生

隣村までの途中のことです。陽は傾き、夕暮れになりつつあります。帝国からはさほど遠くありません。その道中、立ち往生している馬車と出会います。
馬車に乗っているのは商人とおぼしき一団であり、商人は往来の中困り果てています。
・一同が来ると商人は一同に対して話かけてきます。
「馬が足を折ってしまい馬車が立ち往生してしまったんです。どうにかならないでしょうか」

調べてみると馬は少し歩けない様子。普通なら走れないとして殺してしまうような傷です。
これには商人の荷物が多いことが原因です。かといって商人は荷物を捨てるつもりもありません。

白騎士ブランカ

ちょうどその時訪れるのは白い銀の鎧の女騎士。一見して華奢な体に似合わないゴツゴツした両手剣を背負っています。
冒険者のブランカです。
⇒彼女は事情を聞くと、なんとかならないかと一緒に知恵を振り絞ります。
・馬車は荷物を減らせば自分達で引くこともできますが、馬がいるならペースを保てば街まで持つでしょう。
・馬は歩けないので普通ならば殺してしまうしかありません。
⇒ブランカはここで馬を担いで行くことを選択します。さすがに楽々とは行きません。必死になってひどく力んでは馬を背負います。馬を殺すのは可愛そうだという考えからです。

街に到着

街に到着するとすでに商人の主人のオルソンがオロオロ待っています。無事に到着するとオルソンと商人はいたく感激し、荷物を店の皆に任せると、一同を食事に招きます。
・商人オルソンはブランカを見ると「コーデリアお嬢様ではありませんか?」と声をかけます。
・ブランカはそれを聞くと驚き、逃げるように断ると、再び暗い街の外に出ていきます。

導入

ブランカを探して

PCとエリック

PCは帝国騎馬隊の指揮官エリック・ローランドとの交友があります。
エリックはまだ若い青年騎士ながら次世代を背負って立つとされる期待の新鋭です。彼は馬フェチで、同時にトレーニングフェチです。美青年ながらプロテインと鉄アレイは手放せないという彼。
PCはそのエリックと極めて親密な関係にあります。
どのような関係にあるかは自由に任せます。以下はその例を上げておきますので、参考にしてください。

@幼なじみ/竹馬の友
二人は幼なじみです。成長した二人が今はどのような道を歩いているとしてもその関係は変わりません。そういうわけでローランド家に入り浸っても問題ありません。エリックの家族とも顔見知りなのです。

A意気投合
二人は出会ってからたちまち意気投合しました。同じようなトレーニングフェチであったり、バトルマニアだったりとしたのが理由でしょう。毎晩深夜まで俺イズムを討論した仲であり、二人は互いを自分の理解者と考えています。

B借りがある
エリックに対して借りがあります。例えば罪を犯したPCを弁護してくれたり、温情をかけてくれたり。はたまたPCの窮地に度々騎士団を率いて支援してくれたりしています。そういうわけでPCはどうにもエリックに頭が上がりません。

エリックの依頼

そんなある日PCはエリックから相談を受けます。
いつものように居酒屋で待ち合わせたエリックは、今日に限っては話すことに迷いがあるようですが、やがて意を決して話を始めます。
・エリックには一人の婚約者がいました。名前はコーデリア。良家のお嬢様で、2年前にこちらに嫁いでくるはずでした。
・しかし彼女は不幸にも道中蛮族と遭遇、行方不明となりました。今や生存は絶望視されています。
・コーデリアの外見は透けるように白い肌。長い銀の髪、身長は女性にしてはやや長身です。
・実は彼は冒険者の中でブランカと呼ばれる冒険者が彼女に似ているらしいという風の噂を耳に挟みます。そのブランカがコーデリアなのではないかという希望を抱き、PCに彼女を探してもらえないかと依頼します。
・ブランカは神出鬼没というか居所が知れない人物であり、彼は発見できませんでした。


冒険者の店

この冒険者の店は駆け出しから中級までもが幅広く滞在し、情報も随分流れ込んでいる場所として重宝されています。
建物は2階建てで離れが一つあり、一階は酒場となっており、2階は普通よりも豪華な宿部屋となっている。離れは一般的な宿部屋となっているという作りです。
・ 普通の部屋はベットにクローゼットが一つ(中には決まって救命草を一ついれてある。)、テーブルと丸椅子があります。
・ 夕方となると部屋にはランタンが運ばれるます。

カラミティ・アンジェラの儲け話

前の冒険から一月ばかり時間が経とうとしています。宿代は一ヶ月にかかった費用は一人600ガメル。
冒険によって手に入れた財産も少なくなり、懐も寒く幸先心もとなくなっていた次期のこと。
・ 冒険者の一人、カラミティ・アンジェラと呼ばれるやっかいものがやってきます。
・ 一見外見は可愛らしいドワーフの少女ですが、利己的で人のものをすぐに懐にしまうという手癖の悪さを発揮し、パーティを渡り歩いている嫌われ者です。
・ 実力自体はあるのだが、コバンザメ主義で、リスクを回避、人の上前を撥ねる仕事をするために仲間に組みたがるものはあまりいません。
→ 彼女は自分たちに儲け話をもって来ます。

アンジェラの話

・ 自分は今人探しをしているということです。
・ 名前はコーデリア・グロリアス。近くの領主の息子の婚約者で、2年前この領地にやってくる途中護衛の騎士達とともに失踪した貴族の令嬢でです。
・ 領主の息子で帝国の騎士団の副長を務めるエリック・ローランドは捜索隊を出していたがそれも半年で打ち切られ、その後は個人的な形での依頼として依頼は出されていました。エリックはコーデリアにぞっこんで随分とそれに費用をかけていいます。非番の日には自分での探索も欠かさないということです。
・ コーデリアの外見は真っ白な肌、流れるような金髪。長身の人物だということ。趣味は乗馬で、行動力のある活発な女性だったと知らされています。
・ 蛮族の襲撃によって護衛部隊は命を落としましたが、護衛部隊の隊長はコーデリアを馬で逃がしたと告げています。隊長はその後そのキズが元で死亡。
→ もしコーデリアを発見すれば20万ガメルの賞金がパーティに支払われるらしいのです。

・ 実はアンジェラの出身はコーデリアの実家グロリアス家のほうで、先日実家に帰った時に、グロリアスの実家に立ち入る機会があったそうです。
・ 自分の父親は腕のいい家具職人で、その館の家具を度々注文されていたということです。
・ そこにはコーデリアの肖像画がありました。
「すると驚いたね。コーデリアの顔はブランカの奴と瓜二つじゃないか。これはしめたと思ったよ。ブランカを捕まえてエリックに引き渡せば金貨にして20万枚。ちょろい話さ。」
→ ブランカというのは彼女の知り合いの冒険者です。しかし、彼女の知り合いというだけで交友はありません。ブランカ自体があまり野心の無い人物のために、アンジェラと馬が合わなかったということがあります。

冒険者の店マスターの話

●エリックとコーデリア
・ グロリアス家はローランドの家に対して大きな借りがあるらしい。ローランド家は代々騎士団で、自分の領地のみに留まらず各地に派遣。蛮族から町を守る活躍をしている。グロリアスの領地が蛮族が襲撃に訪れたとき、ローランド一族は祖父から・当時の頭首とその妻に至るまで実に8人も戦死している。その最後の生き残りが現在のローランド家頭首であり、息子がエリックである。
・ コーデリアとエリックの面識はわずか一回。グロリアス家に招待された当主・ジョン・ローランドと息子エリックが舞踏会にいったときである。エリックはそこでコーデリアに一目ぼれし、帰るなり妻とするようにせがんだという。一方コーデリアは奔放な娘らしく、堅物エリックを毛嫌いし、婚姻話をあれよ〜これよといい逃れしていたが、ついには婚約・・・となってしまった。
・ この結婚にはグロリアス家は反対だった。元々宗教色が強く、民の人望はあっても祈っていれば何とかなる的な考えのグロリアス家は女子供まで武器を持たせて、一族上げて戦うローランド家との差にびっくり、畏怖している。そんなところに娘はやれないというのが本音らしい。
・ 娘が失踪した後、ローランド家当主でありエリックの父ジョンはそういうこともあって、もし生きていても結婚はさせないほうがいいのかもと案じている。

●ブランカ
・ 白い肌と銀の鎧からブランカと呼ばれている冒険者で、どこからともなくふらりやってきてまたどこかへ言ってしまう。剣の欠片すら名乗らず渡すことで知られる変わり者だ。 ・ 本人は名声とは無縁のつもりでも、あれだけ特徴的で目撃者もいるのならば、有名になのろうというものだ。
・ 一応ブランカは彼女が名乗った名前で、偽名なのかもしれないが、皆はそれを聞かないようにしている。彼女の容姿は冒険者という感じではないし、騎士か何かもしても、どこか変わっている。何か理由があるのだろう。
→ ブランカがどこにいるのかは知っているが、迷惑がかかるようならばそれを言うわけにはいかない。

ブランカの情報

旅の商人はブランカについて教えくれます。
ボガード達に襲われた商人は、もはやこれまでと思われたときブランカに助けてもらったことがあるというのです。
ブランカはボガード達を何人か切り払うと、彼等の言葉を話し、ボガードを追い払ったという。その時一晩に限り滞在したのが、丘の廃墟である。

近くの丘の廃墟、今は使われていない砦がある。既に周囲の壁のほとんどが壊れ、一角にわずかに屋根の一部と壁があるだけの作りをしている。ただ夜露を凌ぎ、風雨から身を守るだけにすぎず、夜盗やならずものですら、住むには不適切とされる場所である。近くには都市はなくそれゆえ誰かが立ち寄ることも無い。
・ この場所には水源があり、一角には地下階があり、漏れ出した水がいずみとなって湧き出しているという。

ブランカの棲家

一同が訪ねたときは風の強い雨の日である。転向には恵まれず、こんな日はさすがにいないのではと思われる悪天候です。
誰もいないと思われた廃墟の一角、石に腰を下ろしているブランカの姿を見受けます。眠っているらしく剣を手にもたれかかっていますが、その服装は今も板金鎧を着たままであり、まるで物か何かのように微動だにしません。雨にぬれているというのに、動く様子はありません。
・ 一同が来て瞳を開けこちらを見るだけで、動きはまったくありません。
→ ブランカ自身はあまり人間らしい生活をしていません。

用件があると理解したブランカは「話を聞こう」とポツリといいます。
・ コーデリアが本名では、と問われてもブランカは「知らない」「わからない」といいます。ブランカは自分が2年前何かに巻き込まれてそれ以来記憶が無いと教えてくれます。
・ 自分は家に戻る気は無く、また家の誰かが自分を訪ねてきても、「そのものは死んだ。もうこの世にはいない」と伝えるように言います。
・ 自分の素性については何も話したくないらしく。詳しく聞くと、無言になってしまいます。雨の日にそれを言いにきたのですから、親身になっているのかもと感じた彼女は、PCを邪険にはしませんが、かといって話をしたいとも思いません。「放っておいて欲しい」と考えます。

ブランカの正体

ブランカの正体はレッサーオーガです。コーデリアの心臓を食ったブランカはコーデリアの姿を手に入れました。
彼女は人間社会を学びも来るべき時の侵攻作戦で活躍する使命を帯びています。当初彼女もそのつもりでしたが、人間社会での生活が長く、人間の生活になじんでいます。
ブランカは自分たちの部族からの指示で対立するドレイクやバジリスクと対決することもしばしばあります。
ブランカはドレイクの考えが(現在のところ)人間の絶滅には無いと知っていますし、敵に対して関心を持つことで成長したドレイクであるという経緯をしっています。
そのドレイクの人間との付き合い方に全てを任せていますが、いざとなったら部族とは離れ、かといって人間とも共にくらさず、一人で生きることを決めています。
・ ブランカは人間の美意識を知って以来、自分の本来の生活習慣に劣等感を抱きました。自分の本来の正体が人間にばれることを最も嫌います。ばれたら自殺しかねません。

ドレイクの考え

自分たちを率いるドレイクにとってブランカのオーガ部隊は戦士という役割で、誇りを与えて名誉あるものとして扱い飼いならしています。
部族を治めるドレイクは人間を現時点では敵と考えていますが、交易などを行い交流を交わすことで文明の発展も必要と考えています。ブランカの知識は貴重なものです。
彼は共存は必要だと考えていますが、領地を開拓する意味からも最初の戦いは避けられないとも考えています。

ブランカとの話

PCが得体の知れないブランカに質問や問いかける場合があるでしょう。ブランカとは話をしていくことに詳しく話を聞くことができます。

@ブランカは何か悩み事があるようですが、相談することができません。辛うじて「自分が2年前よりの記憶が無い」と説明します。

Aブランカは「罪を過去犯してしまい、人里に入ることに引け目がある」と説明します。孤独感を感じて生活しているブランカにとってPCや冒険者仲間は大切なものですし、新しい事件にはドキドキしていることも彼女は伝えます。

Bブランカは自分には人に相談できない秘密があり、秘密がばれたらもう生きていけないと説明します。
→それでもそんな秘密を抱いてもできれば少しでも皆と暮らしたいと告げます。


ローランド家

ローランドの館は帝国の首都の一角にあり、領地ではなく見合った報酬を貰うという形で国に仕えています。
この一族の性格のせいか、大変無骨で簡素かつ重厚な作りをした建物で、とにかく質実剛健を旨とししているのがわかります。
館には併設されて騎士の訓練所などもおかれており、彼個人で育成している騎士達の訓練の様子が、覗き見えます。
・ 一同には執事が対応しますが、ブランカを見るとコーデリアの帰還に驚いた執事は、主人ジョンにすぐに取り次ぎます。
・ ジョンは大変驚き、表で訓練の教官をしているエリックを呼び戻します。

ガートルードとの出会い

話を聞きつけたのか、館からは一人の令嬢が顔を出します。瞳は好奇心でらんらんと輝き、顔を通路から覗かせます。その後、ドレス姿の令嬢がやってきます。
スカートの裾を持ち上げて会釈する令嬢。
「お初にお目にかかります。私、ジョン・ローランドの娘ガートルード・ローランドと申します。ここまで来るのに2年とちょっと、さぞかし長い旅路でお疲れでしょう。」
と言った後で口元を抑え「あ、嫌味で言ってるんじゃないのよ。いいとこのお嬢様がこんな血なまぐさい家に足を踏み込むのは勇気がいることですもの」
→ ジョンはそんな娘ガートルードを見てたしなめます。「何言っておる。お前もいいとこのお嬢様ではないか。」
 ガートルード「お父様。自分の家柄を鼻にかけるのは美しくなくてよ」とウインク。脱兎とばかりに逃げ出すガートルード。

エリックとの再会

エリックは仰天です。乗馬の馬で庭まで乗り込んでくると、すぐさまコーデリア(ブランカ)を抱擁しようとしますが、父親・ジョンがやってきて胸倉をつかみ別室につれていきます。「レディの前でなんという格好だ。すぐに着替えなさい」
ブランカを案内するエリックは彼女のために用意した部屋へと案内します。

途中で一同に声をかけるのはガートルード。「皆様こっちこっち」と手招きします。
通路にあった豪華そうな彫像の前に立ったガートルード。スカートをまくり足を取り出すと、「ふん」と力をいれて彫像を足で動かします。
すると後ろには細い欠くし通路。彼女はそのまま中に入っていきます。
→ 辿り着くのはエリックの部屋の裏です。
 「お兄様が婚約したことを聞いて毎日必死にここを用意したの。ここでならば毎晩の秘め事も間近で観戦できるもの。」

・ さて部屋の中のエリック。コーデリアの顔を覗き見たいエリックですが、汗臭い衣服をすぐに着替えようと必死になって脱ぎにくい服を脱ぎ、着替えています。
執事は「コロンを」と香水を吹きかけ臭いを消そうとしますが、もうエリックとしてはいてもたってもいられません。
・ 一方ブランカは礼儀もへったくれもないまま、エリックのドアをいきなり開けます。 ドアはいきなり開けるなりエリックは「コーデリア」と飛び込んでは抱きしめようとしますが、靴を忘れたらしく、靴下で歩き回る様に父親はマユをしかめます。
→ さすがにブランカ(コーデリア)はそれを見ては笑顔を零してしまいます。

コーデリアが記憶を失っているということを聞いた父・ジョンは大変ショックを受けますが、同時になっとくします。
そうでなければ、この館にやってきたりはしないだろうと。
・ ジョンは賞金としての20万ガメルを支払います。10万はアンジェラの取り分となり、残りを人数で割るという扱いをアンジェラは主張します。

晩餐

一方ブランカは、ここでの慣れない生活を過ごさなくてはなりません。
一同はその日は晩の食事を受け歓待されます。ここにはジョン・エリック・ガートルードとともにジョンの妻もいます。一家の全員が顔をそろえているのでしょう。
その時のことです。
・ ブランカ自身がもっている知識は、貴族の社会では乏しく、その行いは礼儀作法をわきまえないものです。
・ 彼女は料理を食べるときの食器の順番から、作法まで知りません。そのことにエリックは大変驚きます。エリック自体はコーデリアの帰還を喜ぶものの、あまりのかわりぶりに驚いてしまう。「あの宝石のような笑顔はどうしてしまったのだ。」と落胆を隠せません。

ガートルードはそんな兄の反応にマユをしかめます。
「兄さんがそんなことを言えた義理なの。毎日プロテイン飲んで、牛を殺して筋トレしてたり、お世辞にも立派な兄じゃないでしょう?」
エリック呆然。尚も言いつづけるガートルード。
「劇場観覧にいけばおおいびきをかくし、馬フェチで馬のにおいを嗅がないと眠れないとか、普通の人間から見ても下の人よ。兄さんは。」
ついにエリック激昂。
「お前に言われたくないよ。お前だって令嬢のれの字もないじゃないか。武器振り回して、女の子のたしなみの一つも無い。
そんなことだから狂った暗殺機械なんだよ。」
ガートルード逆上「な、ななな、なんですって!私がそれを持ち出されるのが嫌いなのわかっているくせに」と今にも飛び掛らんばかり。

→ ついに父ジョンが怒鳴ります。
「やめんか。いいかげんにせんと内臓ぶっこぬいて木に吊るすぞ!!」
奥様も苦笑。
「ごめんなさいね。うちの一家は。作法の一つもできない一家で怖かったかしら?」

その歌声は…

ブランカが歌を披露します。彼女の唯一の自慢はその美しい歌声で、彼女はその歌声だけは自信を持てます。
確かに彼女の歌は美しく澄み渡り、聞く人の心を揺さぶります。この歌は聖歌としてよく町中で耳にするメロディーなのですが、違和感があります。その歌声はどこか微妙に音律に違いがあり、何故か悲しみを孕んでいます。
そしてブランカはその当たり前のことに気が付かないのです。

★裏話
コーデリアは後に命を落とし、その心臓をブランカが口にすることになるのですが、その前に歌を歌うことを強要されていました。どこかでコーデリアの歌う歌声をブランカが耳にして覚えたのですが、彼女の境遇も歌声の違いも知らなかったのです。

動揺

この歌を聞いたエリックは不安に駆られます。エリックの心配そうな眼差しを受けた時、ブランカは初めて理解します。
コーデリアが歌を歌っていたことは予想していました。しかしコーデリアの境遇を想像すると、歌声が何か感情をはらんでいてしかるべきです。ブランカはそれを真似てしまい、動揺します。
→彼女は歌を止め、顔を覆うとしゃがみ込んでしまいます。
彼女はいたたまれない心境です。逃げ出してしまいたいと考えます。

→一方エリックはコーデリアの失われた記憶に何かあったと考えます。穢れがないのでオーガなどとは考えません。

ブランカ失踪

ブランカはコーデリアという人物の知識を持ちません。そのために周囲の心の動揺に敏感になり、彼女はこの館にいづらさを感じます。
内密にこの館を脱出することにしたコーデリアは文章をしたためようとしますが、彼女は文盲です。かろうじて「さよなら」だけを書いてその場を立ち去ります。
→ 翌日のことです。コーデリア失踪に驚いたエリックは一同の元を訪ねて、再び探索を依頼します。
・ 彼女は自分がコーデリアを傷つけたことをしっており深く後悔しています。
・ 父親にも諭されたことを話します。父親は自分がコーデリアを傷つけたことを自覚するように促し、エリックもそれに考え直します。

ガートルード「兄さんが、前のコーデリアと違うなんて拘るからよ」
ジョン「・・・わしが内臓ぶっこぬくとか言ったから怖かったのかな?」
奥様 「ホホホ」

ブランカ失踪

ブランカがエリックの家を出ていった後、ブランカの消息はようとして知れません。
・エリックは再び一同にブランカを探して貰えないかと依頼します。

情報収集

ブランカの情報を集める場合、現時点では発見できませんが以下の情報を手に入れることができます。
●冒険者の店にて
・ブランカは蛮族を恐れていないようだ。以前「山野で生きるのは危険ではないか?」と訪ねたところ、「心配ない。私の山の蛮族は私にはあまり手を出してこない」と言っていた。
→噂では彼女には住み家があるらしい。
・彼女が山野で暮らしているのに身なりがいいのは、他に誰か援助している人がいるからだろう。ブランカの衣服は新調されているから、買い物はしているはずなんだが…。
・彼女はルキスラ帝国内部では未だに迷子になるらしい。

●貴族からの情報
貴族にコネがあるのならばコーデリアの情報を手に入れることができるでしょう。
・コーデリアの出身グロリアス家は貴族の名家だが、鼻持ちならない身分主義を振りかざす閉鎖的な家柄で、格式ばかりで偉ぶると人々には不人気な家である。
・コーデリアの両親は、コーデリア失踪後には領地を息子である兄エトバルドに譲っている。エトバルドはコーデリアの兄にあたる人物だが、コーデリアとは中が悪かったらしい。コーデリアの失踪の際もろくな調査をしなかったとか。
・エトバルドはローランド家との婚姻にはそこまで乗り気ではなかったのかもしれない。ローランド家は礼節より実益でのしあがった家だから、エトバルドの目には成り上がり者とうつっていたのかも。
・コーデリアはずっとグロリアスの堅苦しい檻から飛び出したいと望んでいたが、現実を知らないお嬢様だった。
→ブランカもどこか世間知らずな純真さがあるが彼女にはそれでも生きていけるだけの実力がある。コーデリアにそれがあるとは思えない。

ブランカの足跡

それからしばらくしてのことです。
ブランカの情報は冒険者の店にてある程度入ります。ブランカはやはり冒険をしている過程で合流することが多いので、冒険者達がチラホラと情報を持っています。
・今現在ブランカは蛮族について調査をしている冒険者達と顔を合わせています。
・冒険者は30人あまりの人々が生活する開拓村から蛮族退治の依頼を受けましたが、冒険者が到着した時には村は全滅した後でした。ブランカとは調査中に合流。協力しました。
・ブランカは蛮族に心当たりでもあったようです。まだその調査を続けると話をしていました。
⇒この後、蛮族の部族討伐の依頼が張り出されることになります。ブランカと合流できるかもしれないと誘導しましょう。


依頼「ボガードの流れ部族退治」

蛮族の集落の移動を確認した。蛮族は移動のときに差し掛かった村を滅ぼしながら移動しているということです。
今のところ人口100戸以下の村が潰されるという被害だけですが、それだけですむとは思えません。
酒場の主人の情報
・ 中でも一番の問題はルキスラ帝国との国境際であるというところである。
・ この事件は小さなものではあるが、領地区分的には帝国の外である。領主は帝国の介入を招きはしないかと不安がっている。

依頼人は領主に仕える従者で、臆病そうな猫背の男です。髭ズラの中年騎士を一人護衛として連れています。中年騎士はたたき上げといった感じで傭兵といったほうがふさわしい印象を受けます。
●従者の話によると
・ 「ボガード退治をしてほしい。数はおおよそボガードが30・ゴブリン50〜70ぐらいの集団である。」
・ 「騎士団を出したいが、帝国の国境際に騎士を派遣すると何かと面倒ごとが多くなってしまう。そういうことで冒険者に依頼したい。」
・ 「一人1000ガメル支払う。支払いは前金で300、後金700という支払いである。」
・ 「討伐隊は他にも声をかけており、10〜15名はすでに集まっている。できれば30名くらいまで集めたい。」

●中年騎士の話。
(中年騎士は会話の最中にさえアルコールを飲み、震える指をさすります。どうやら彼はアルコール中毒のようです。)
・ 「この話はきな臭い。ボガードを追い込んだのは帝国かもしれない。こちらで対処できなくなれば軍事介入をしてくるだろう。やっこさんこっちが失敗するのをまっているのさ。」
・ 「今回は依頼人としてうちの騎士が何人か同行する。俺も同行するぜ。」
→ 訪ねれば彼の名前はジェイコブであるとわかります。
若い頃は傭兵団として有名でしたが、騎士となり贅沢な生活をすると酒と博打で身を滅ぼしたと自分で説明します。「今じゃ、護衛係か馬番くらいしか仕事が無い」、と苦笑します。

もしパーティが依頼を受ける場合、2日後の夜明け、町外れで集合するという流れになります。
夜明け頃、町外れにはすでに冒険者が15人あまり集まっています。騎士は5人。新米らしい3人の騎士と、一人は依頼の際にいた中年騎士、それと精悍そうな若い騎士がいます。
姿を見受けます。若い騎士は一同を依頼するリーダー格のようですが、経験はあまりつんでいないように見えます。
・その若い指揮官こそが今回の隊長です。名前をハロルドといいます。
→ ハロルドは経験の浅い騎士で、貴族のボンボンです。正義感は在りますが、その実あまり役に立ちません。配下にいるジェイコブのほうが頼りになるので、ハロルドは彼を嫌っています。ジェイコブはハロルドの父親にハロルドを頼まれていますが、嫌われているために大変やりずらい仕事を強いられています。

★★★《出発の朝》★★★ 依頼を受けて出発する朝、一同はブランカと合流できます。

ブランカと合流

依頼を受けると集合した冒険者の中にブランカを発見できます。
ブランカは依頼を見ていたわけではなく、この依頼に参加する冒険者から偶然事情を聞いて参加することにしたと説明します。そんな経緯なので彼女は報酬をもらうつもりはありません。
・ブランカはこの事件には大規模な蛮族の影があると説明します。
・彼女は今まで滅ぼされた村々を見てきましたが、かなり統制が取れた集団です。今まではゴブリンの事件ということですが、ゴブリンではこれは無理でしょう。ボガードかそれ以上の仕事です。
・彼女はPC達を信頼していますのでもう少し説明します。彼女には蛮族専門の情報屋の知り合いがおり、自分の縄張りの蛮族の動きは事前に分かります。ところが、今回の事件はまったく知らないことでした。これは調べてみないとならないと思ったのです。

※GM情報
ブランカが『蛮族専門の情報屋』と言っているのは自分の生まれたオーガの部族です。
彼らは今でもブランカを支援していますし、同郷として好意的ですから、辺りの他の蛮族の情報を教えてくれているのです。
しかし、今回は通達がなかったためブランカは混乱しています。
これは部族の決定なのですがブランカが知れば反対することが分かっていたので彼らは通達しませんでした。


道中の追加イベント「キャンプの一幕」

旅の道中のイベントです。もしブランカのキャラクターが分からなかった場合にサポートする部分なんで、場合によってははしょっちゃって下さい。

兎鍋に待った!

キャンプの一幕です。捕らえた兎を使って晩飯を作ろうという話が上がった時、ブランカが待ったをかけます。
→ちょうどウサギと目線があったブランカは、ウサギの運命を思い涙目になります。ウサギを憐れんだブランカは、ウサギを解放することを提案します。
・ブランカの正体はオーガなので、PCはウサギに等しい獲物です。ですがブランカはその獲物を哀れんでしまう性格なので、殺せません。PCが生存競争を説くなら後で自分の言葉のしっぺ返しを食らうでしょう。

集落に到着

一同が村に訪れた時、既に日は暮れ太陽は地平の果てに沈もうとしていた。
村は周囲に木々で組まれたバリケードが用意され、バリケードには馬車なども使われているという状態である。村の自警団と思われる人々が、集まっては作業している様が遠目からでもわかる。
・ 今現在彼らは村の周囲に堀を掘っている。堀の深さはまだたまだ浅いが可能な限りの準備をしているといったところか。

訪れた一同に視線を送った村人は、騒がしくなる。
まず、村人に呼ばれたのか村長と思われる人がやってくる。壮年の男性は、一同がやってくると頭を下げ、手で招いて村へと案内する。
●村長からの話。
「村は現在ボガード達に教われています。ボガードは今はまだ大掛かりな攻撃はしていませんが、もし襲ってきたらこの村などあっという間に滅ぼされてしまうでしょう。」
「後一日皆さんが来るのが遅かったら、この村の命運も尽きていたでしょう。」

村の防備

「村では戦える若者や大人には鍬や鋤などを持たせています。勿論武器としては物足りないものなのですが、この際仕方在りません。」
「村の周囲には一応堀を掘って、バリケードを組みましたが・・・はたしてどれだけ持つものなのか。」
●中年騎士ジェイコブの指示。
「戦いは夜になるだろう。夜に向けて松明などを用意するんだ。」
「食事なんかも今のうち用意しておくんだ。いつ口に入れられるかわからないからな。」
「冒険者達の一部は森の茂みに隠れるんだ。見晴らしのいい場所に陣取って相手の様子を伝えるように。こっちは数が少ない。相手の動きを読んで先回りして対応するとしよう。」
→ ハロルドはジェイコブはさっさと指示を出すのに対し、厳しく一括します。ジェイコブが勝手なことをやったととして「下がっているように」と指示します。
ハロルドからは叱咤激励が飛び、村人を人数わけし、各冒険者の割り当てることを考えます。
この考えはあまり言い考えでは在りません。冒険者は戦果を上げられる人数の一まとまりにして、遊撃手のように走り回って活躍するのが望ましいのですが、ハロルドのこの案だと、動き回らずその場に残って持ち場を守ることが検討されてしまいます。
ここでPCが異論を上げた場合、自由に行動することが許されます。

ボガードの襲撃

ボガードが村に攻撃をしてくるのは夜です。
深夜ボガード達は松明の明かりを手に行動を開始します。松明のあかりを持っているのはゴブリンでボガードは攻撃に徹します。
尚、この時10体のボガードは別働隊として村を迂回し側面から攻撃をしかけることを考えます。このボガード達はしばらく村の攻防を静観します。
★ この別働隊ボガードを発見するためには、自分たちが索敵・捕捉しなくてはいけません。他の冒険者にまかせていた場合、この判定は失敗します。
レンジャー技能+知力ボーナス+2d6で目標値は12です。

村の戦闘で相手のボガードには指揮をとるローブの人物がいます。その人物は戦いを静観しながら時々支持を与えます。
ローブの人物の正体はオーガウォーロードのバルバです。
彼の指示する作戦は以下のとおりです。
@ なるだけ蛮族・ボガードとゴブリンの襲撃に見せて戦うように。そのためには一箇所を攻める単調な攻撃が必要である。
・ ゴブリンは戦果が上がらないので、戦闘には参加せず、冒険者達が側面に回った場合、それを防ぐための落とし穴を掘る。目標値は12だが、油断している相手ならば落下するだろう。
A 相手の注意が正面に向いたら、ボガードの奇襲部隊は側面から攻撃。
B それでもしくじったら、村の内部に潜ませている蛮族に内部から奇襲させる。この挟撃はなるべくならしたくはないが、もしもの時は仕方ない。
蛮族の目的です。
蛮族はオーガの部族で少しづつ普通の人間と入れ替わって人間の社会に混じっていこうという長い計画を実行しています。
彼らはそのために村を襲撃しながら逃げ出す村人に自分達を混ぜているのです。
・ 彼らは特別なオーガです。彼ら部族も偉大なドレイクの指導者によって作られた新種族なのです。このオーガは穢れが無く、剣の守りを無視できます。また人間の姿をとった場合にも制限時間はありません。

村での戦いの流れ

1・まず戦いが始まります。正面から攻めかけるだけのボガードですが、持ち場主義のハロルドの作戦は失敗し、正面を防ぐ冒険者達は苦戦を強いられていきます。
 ここでハロルドは他の部署から援軍を呼ぶように伝達。この報告が一同に伝えられます。
→ ジェイコブは側面から叩くことを提案します。群れをなして襲い掛かる蛮族の混乱を招こうと考えるのです。
この奇襲はPCが乗るならば依頼しましょう。

2・ハロルドも武器をとって正面では奮戦します。ある程度数が集まると正面は持ちこたえられるようになります。ここでボガード達が奇襲攻撃をしてきます。
 ボガードが奇襲をしてきたとき、偶然その場所を警備していたのはジェイコブでした。自分だったら・・・という勘は運悪く的中。ジェイコブはボガードにしては手際がいいことから、別のボスがいることを見抜きます。
 一同がここで奇襲していないのならば、ジェイコブは自分の周りの人々とボガード達を相手に奮戦します。
 ジェイコブ優勢に見えた中、ジェイコブを背後から襲うのは村人でした。傷付き倒れるジェイコブはこの村に既にオーガが潜んでいたことを知ります。
オーガ「苦労したんだぜ。村で暮らす数年はサ。」
  ジェイコブ「なるほど・・・そっちが一枚上手だった、ってわけか」「・・・やれよ」
→ ここでジェイコブは殺されてしまいます。

一同がここにいる場合、不意打ちは一同にも及びます。背後から不意打ちは強力です。
ここでのシナリオでの目的は、一同を捕えることですから、手加減をする必要はありません。
・ ここでの村人はオーガのデータを使います。オーガは10人程度です。これが村人としてこの場所に集まっているのです。
・ 一気に不意打ちして攻撃し数を減らしましょう。その後に残ったPCには魔法を使い沈黙させるのが手です。
→ 敗北した場合、一同は捕えられます。
オーガ達はブランカの顔を見ると殺すことをやめ、捕えることを選択するのです。

3・ハロルドの指揮する正面もここでついに危機を迎えます。背後からボガードの奇襲を受けてしまうからです。これに村人が四散するとも冒険者も立て直すのは無理と判断。ここは逃げ出すことを選択します。最後まで潔く戦おうと考えたハロルドもここで敗れ、捕えられてしまいます。

→ 一同が決して降伏せず戦う場合、一同を捕える役はオーガウォーロード・バルバが引き受けます。
●バルバの外見。
筋骨隆々とした青銅色の体に流れる髪という巨漢で、瞳は理知的です。戦士として一流の風格がありつつも、物腰に知性を感じさせ品格もあります。
・ バルバは降伏を促します。降伏しないというのならば、戦闘になります。
・ 戦いになる場合でもバルバは名乗り・一騎打ちなどを提案します。バルバとしても有利ですし、勝利すれば捕えた人々の全てを解放するという提案なのです。
・ 冒険者であるPCが一騎打ちをするのは有利とは思えません。パーティとして挑んできた場合は、バルバもそれも仕方ないとと納得してくれます。
「一騎打ちが人の全ての慣習でないことは理解している。お前達全員で挑むというのならば、それでも構わない。心残りの無いように挑むがいい。」
・ 戦闘になった場合、好んで止めを刺しません。ブランカと知人であるバルバは一同を殺すことには躊躇してしまいます。またブランカの正体を一同が知ることでブランカが傷付くことを怖れています。
★ バルバはブランカと同じ剣を持っています。彼は剣を2本装備し、2回攻撃してきます。

→ 自力でオーガウォーロードを倒すのは序盤のこの時点では不可能でしょう。
ただしPCがあまりにもレベルか高い場合は、戦いが成立してしまう場合もあるでしょう。
その場合はバルバを強化してください。
・ 剣のカケラを装備する。13個で生命点は65点UP。
・ 「決死の鉢巻」によって一度だけ捨て身カウンターが可能とする。(アルケミストワークス)
・ 「ヴォーパルウェポン(18Rダメージ+8)」「バークメイル(18R防護+8)」を補助行動でどちらか一つづつ使用する。(アルケミストワークス)
・ 魔法の武器で命中+1/ダメージ+1。キャッツアイ・デーモンフィンガー・ターゲットサイトで命中+4→命中強化合計+5.魔晶石3点を42個所持(6R分)。

★★★《襲撃者の指揮官バルバ》★★★ バルバと初めて出会い対決するときの追加イベントです。ブランカにまだ不信感がある時使うといいかと。

ブランカとバルバ

ブランカは、そのオーガの指揮官と面識があるようで、オーガの指揮官に対して詰め寄ります。その立ち位地はまるで敵と向かいあっているようではありません。
ブランカは問います。
「何故だ。バルバ!何故人の村を襲う。」
「人の体を奪おうというのか?」
→オーガは何も答えません。

ブランカ「そんな…そんな悲しいこと。承服できぬ!」

対峙

ブランカはバルバと呼ばれたオーガの指揮官に刃を向けます。そうしてみると分かりますがブランカの剣はバルバの持っている剣とは同じものです。
→結果は散々なものです。ブランカにどれほど腕力があろうと、バルバには腕力以上に力量があります。バルバはオーガウォーロードなのです。
やがてブランカが力尽き意識を失うまで戦いは続きます。
そして倒れたブランカに対し、ようやくバルバはそっと返事を返します。
「…約束しようブランカ。彼らの姿を奪わない。」
そういった後、血にまみれた彼女を優しく抱き抱えます。


蛮族のアジト

天には暗雲立ち込め、荒涼とした大地を不気味に照らし上げる。彼らが向かうのは、人が立ち寄らぬ蛮族の地バルバロスの顎である。
その一つ山岳の中に作られた、塔があった。ねじくれた塔とその周囲には大きな塀が作られ中からは蛮族の生活から上がる水煙などが上がっている。
人では開くことはできないと思われる巨大な門がそこにはそびえている。
・ 中にはオーガの部族が生活しておりオーガの戦士たちが帰還すると彼らは皆平伏して出迎える。
・ 中でもオーガウォーロードのバルバは尊敬を集めているようです。

牢屋

一同は武器を解除された状態で牢屋にいれられます。中が見渡せるように外に対して鉄格子で仕切られています。
牢屋ではありますが一応は備え付けのベッドや、一角にトイレなども用意されており、一つの部屋は10人ばかりまで入る大きなつくりをしています。
・ 一同からはブランカだけ別の部屋につれていかれます。ブランカは抵抗しませんが、一同のことを案じます。
・ 一同が来た場合、既に先客が3人います。彼らはどこかの地方で捕えられた村人達のようです。
このうち一人はオーガが化けたものですが、オーガ自身普通のオーガと違い穢れが無く、また人間での生活が長いために、見分けることは困難です。このオーガは人に変身できる時間に制限がありません。

牢の警備
牢を警備しているのはオーガが4匹です。それが半日ごとに交代する仕組みです。
オーガ達は基本的にはこちらのことを「腕の立つ冒険者」と警戒していますが、人間が友好的な反応を取った場合は無礼なことはしませんし、いくらか便宜は図ってくれます。 ・ 牢の鍵は壁にかけられており、ジャラジャラとこの辺りの鍵が全て下がっています。
・ この鍵開けるのには音が立ち、いちいち鍵を開けるのに手間がかかるという面倒なものです。

牢番からの説明
・ 牢番は一同に無茶をさせないために説明します。
・ 「ここは黒の聖者の塔の中だ。脱出しようとしても、難しいぞ。ここを出ても真っ直ぐの道だけ、オーガの戦士達と戦わずには出られないのだからな」
・ 「安心しろ。お前達の命を奪うことは・・・少なくとも今はないだろう。私達は無駄に人の心臓を喰らったりしないからな。それは我々の主が決めることだ。」

牢番から情報を収集することもできるだろう。
・ ブランカについて 「心配か?」 → 答えは返さない。心配であると答えた場合、オーガとしては満足している。満足した理由を尋ねても答えない。
・ ここの王について 「我々は王によって作られ育てられた。ロードも我々も全て王の子供で我々にとっては父に等しい方だ。」

●食事
牢番のオーガは一同に食事などをもってきます。驚くことですが、オーガの出す食事は人間の食事とさほど変わりません。
バスケットに入ったパンと鍋にはいったスープを出し、一同に与えます。

やがてオーガの戦士達が訪れます。戦士達は武装し、一同を牢から出すように指示、つれていきます。
・訪ねるのならば「主のもとへ連れて行く」と説明します。

部族の支配者

部族の王

オーガの戦士達に連れられて移動することで塔の内部の構造わかります。
頭は中央は吹き抜けになっており周囲を螺旋階段が登っています。そこから分岐するようにいくつもの部屋が周囲に開いており、生活区域や戦士達の部屋など多くの部屋にわかれています。上に行くほど地位の高いものの部屋であるようで、ある程度の高さのまでいくとぷっつりと生き物の気配がなくなります。ここからが王の区域となるようです。
・ オーガ達より注意が促されます。「これから会うのは我等の王である主だ。無礼の無いように。」「無礼を働けば主が許しても我々は許さぬ。」

案内されたのは非常に天井の高いフロアで天にはステンドグラスが散りばめられ、石造りの壁にも彫刻が刻まれた荘厳な部屋である。
一角にあるバルコニーは大変に広く、今は夜であるようで外の暗闇を映し出している。
・ ここで一同は再びオーガウォーロードのバルバと会います。一応王の警護としてつくのです。

ドレイクのファーロ

一同が案内された部屋にて彼らの主と出会います。
背には鳥のような大きな翼、頭部には2本の角を持ったドレイクです。
ローブを着て口元に髭を持ち、頭部には茨の冠を被っています。しかし、王冠というよりもっと別のものであるようにも見えます。
長身で体は細身、年齢は40代〜50代くらいでしょうか。

そこにはどこからか用意されたピアノがあり、ドレスの姿のブランカがそのピアノを弾いています。その音も一同が来ると動揺に乱れ、不安の色をともします。
ブランカはなるだけ動揺しないようにピアノを弾きますが、その音色には精細さを欠きます。
バルバは心配そうにブランカに視線を送ります。

ファーロより
・ 「ようこそ隣人。我々の出会いでは、この出会いを喜ぶことができないこともわかる。しかし、人という者は暴力を抜きに同じ卓につくことはできぬもの・・・許されよ」
・ 「お前達は強く勇敢な戦士だとバルバは言う。私はお前達にもう一つ思慮とそして共に語る言葉を望む。どうかね。」と訪ねる。

・ 会話を望むのならば
・ 「私はファーロ。この部族を作り、この地に住むようになって随分の年月が経つ。」
・ 「太陽の下に出でて400年。我々の部族も隣人と会い争うことを避けられぬ。しかし、私はそれを望まない。私は多くの時代、人と戦い争い続けたが、文明の興亡を経ても争いあう我等の運命に悩み、疑問をもった。我等はやはりこのようにあらなくてはならないのか、と」
・ 「私が隣人に望むのは共存だ。時に剣を向けることもあろう。二つの種族には言葉以上に大きな隔たりがあるのだから。だが、どうだろう。私達のことを人間の一つの王国と同様に扱い、時に交友を持ち、話会う機会を得られたら、我々はもっと別の関係になっていくこともできるのではないだろうか。
・ 私がお前たちに求めるのは、我々との繋がりだ。」
・ 「もし、おまえ達がそれを認めるのならば、私も人を無作為に駆逐することを止めよう。いや・・・この数百年私も無作為に人を殺すことをやめている。それを部族にも広めよう。
どうかね?」

ブランカについて
・ 「彼女を責めないで欲しい。私は彼女に人のことを調べさせるために、人の体を与え、人の町に放ったのだ。彼女が人と生きても憎しみ合うことのないよう、私達の因縁も引きづらぬよう、人への憎しみを教えぬように育てた。」
・ 「彼女は人を学び、人を愛し、守りたいと思えるようになったようだ。今では私の知らない心も手に入れたのだろう。そして私には理解できないが、それは素晴らしいものなのだろう。私はそれを汚したくない。だから、お前達と会話を持とうと思ったのだ。」

・ 共生とは
・ 「簡単なことだ。我々もまた大地にあるという事実を人に受け入れてもらいたいのだ。人が付き合うように付き合い、人が争うように争う。全てはまずそれからだ。」

考え
・ 「私はこの部族を蛮族の掟に縛られぬように育て上げた。人を憎しむここは生まれもって備わっているものではないと私は知った。
ならばこそ、私達が引き摺った血と鋼鉄の歴史は、彼らに引き継がせるわけにはいかないだろう。それはとても愚かなことだ・・・。」
・ 「おまえ達が我々のことを他言せず、その関係を認めるのならば、解放しよう。
私は本意ではそれを信じてはいないが・・・それはブランカとバルバの望みでもある。私もそれを信じてみてもいいだろう。」

PCの解答

PCが本心からファーロに従う筈は無いでしょう。ここでPCの反応は―
・取り敢えず脱出の口実になる糸口をつかむために舌先三寸話をまとめる。
・本意ではないこと、自分の力の範疇でないことは了承できない。嘘をつくのにも抵抗がある。
―の上記2点の反応だと思います。

→ ここで一同が同意した場合のみ解放されます。
もっともここで交換条件があるわけでもなし、PCにとっては口からでまかせでも構わないのですが。

●ファーロ
PCの口約束が本心でないことはファーロにはわかるでしょう。かといってPCや捕虜を無下に殺すというのもブランカに対して無遠慮過ぎるかとも考えています。
まぁ裏切られたところで、自分の徳を損じることはありませんし、人間が自分の価値を落とすのを咎める立場でもありませんしね。

一同を解放する際もブランカの不安は消えず、そしてピアノを弾く手をとめてしまいます。ファーロはそのピアノに手を添え、一緒に曲を弾き始めます。
「信じなさい。お前と、お前の仲間、そして我等の運命に未来があることを」
→ ブランカはファーロを仰ぎ見ては、頭を下げます。
バルバはオーガに一同の武器を渡しては、引き上げの準備をさせます。
・ 「オーガの部族から解放されたとしても誰も信じないだろう。お前達の道もまた苦難なのだ。」
・ 「俺は人間は信じられぬ。人間と戦い、生きてきたのだから。だが、主が目指すものはわかる。私も人を称えている。私も人に理解されたい。
ただの蛮族、ただの人間・・・そういう時代は終わりにしたいのだ。」
・ 「主があのようにおっしゃったのは、我々の気持ちを組んでのことなのだろう。だが主も我等もその考えをたがえることはないだろう。おまえ達が我々とのつながりを断たない限りな。」
● ブランカは一同に駆け寄っては、立ち止まり言葉をかけられずにいます。
一同が声をかけるならば初めて近づきますが、自分が皆を裏切っているのではという想いに駆られます。
→ バルバはブランカの前にひざまづき手を取っては自分の頬に当てさせます。
「私は本心ではお前にここに残っていてもらいたいのだ、。もし人の地に向かうことが辛いのならば、ここに留まればいい。」
ブランカは首を振ります。答えはノーなのです。

脱出

PCが従わない場合は処刑されることになるでしょう。オーガとしては自然な解答です。
→しかしブランカとしては仲間(PC)をみすみす処刑されるわけにはいきません。ブランカは深夜PCと他の捕虜の脱走を考えます。

@ブランカは夜の食事を運ぶ際にその係りを引き受け、捕虜を逃がすことを考えます。
・ブランカが処刑前に話をしたいという口実に、食事係を交代して実行します。

持ってきた食事をオーガに浴びせ、驚くオーガを蹴り飛ばします。飛ばされたオーガが鉄格子にぶつかると捕虜達が組み付いて抑えます。
★その腰には鍵があります。

A一同はオーガの鍵を奪い、脱出しなくてはなりません。その場合も素手で最低1体は撃破しなくてはならないでしょう。

ブランカは残るオーガと組み合います。食事を浴びせられたオーガは転倒したショックで気絶しています。
・一同がオーガを撃退、脱出した頃にブランカも相手のオーガを気絶させます。
・無事に合流できれば、ここでブランカは一同に奪われていた武器を返します。


脱出の手段

塔を下って脱出するのは不可能です。脱出の過程で発見され、オーガ達に塔の入り口が固められてしまうでしょう。

ここでブランカからワイバーンが塔にいることを説明されます。ワイバーンに乗れば、脱出できるでしょう。
ワイバーンは塔の一角に上にいます。
・オーガに発見されていた場合はオーガの追跡を受けます。
上にはファーロの近衛がいますが彼らは降りません。下から追ってくるオーガは20体程です。

ワイバーン

ここで一同がブランカの誘導に従いワイバーンの部屋でワイバーンを獲得すれば脱出できます。
・ワイバーンを乗りこなせない場合、ブランカはワイバーンの手綱を握ります。この場合はブランカの背に乗ることになります。


帰路・ブランカ

帰路を案内するのはブランカです。ブランカは今は再び白銀の鎧に惑っていますが、その表情の重苦しさは変わりません。
山脈を越えて人の村まで案内するなか、ブランカは自分の生い立ちを説明します。
ブランカの話
・ 「私はこの部族のレッサーオーガだった。私は部族ではもっとも肌が白く美しいともてはやされたオーガで、バルバは特に私を大切に育ててくれた。兄のような存在だ。」
・ 「我々の部族は、人の心臓を好んで食べたりはしない。それには訳があった。主は我々に褒美として人の体を下さるので、我々が人の体を集めるようなことは美徳に反していたからだ。主の愛にまさるものはない。どうしてそのようなつまみ食いができるだろう、と。そう考えていたのだ。」
・ 「私は人の部族を知ることを使命とし、そのためにこの体を頂いた。どこからか届く歌声を真似て歌い、そしてその持ち主の体を頂いた。私はあの時わけもわからぬまま幸せであった。白い肌に綺麗な髪。素直に嬉しかった。バルバも大変喜んでくれた。」

・ 「人の里におりて、人を学ぶにつれ、私が口にしたものは、この体はなんなのか。疑問がわいた。私は何を食べたのか。人の友人が増えるたびに不安に駆られ、私は恐れるようになっていった。もしこの者の家族がいたのならば、今も心配しているのでは・・・と、私は不安に刈られ、野山で暮らすようにした。会いたくない。会っても私には何もできない。私は、多分説明もできないだろう。」
・ 「私の技はバルバが仕込んでくれたもので、いわば乙女の護身術だそうだ。実際オーガの力は私を助けてくれている。そんな力があるのだから、私は目前で行われる悪意からは人もオーガも助けている。やがて私は冒険者として扱われるようになっていった。」
→ 「オーガといっても色々いる。主の部族以外のオーガは人を食い物としか見ていないし、私たちもあまりそういう者達とは話が合わない。時として戦うこともある。」
「やはり我々の部族は特別なのだろう。」

ファーロについて
・ 「主は我々の部族を作り上げた起源であり創造主だ。我々には父にも神にも等しい存在で、我々はあの方の愛に報いるために生きている。我々に言葉を教え、教養やモラルなど全てを教えてくださった。部族にいてはわからなかったかが、我々はオーガでありながら穢れをもっていないのだ。
我々の連綿とした生き方が穢れを落として下さった。そんな生き方を下さったのが主だ。私たちは特別なオーガなのだろう。人になる時間にも制限は無く、剣の守りも関係が無いのだから。」
・ 「私は知らないが、世界に強大なドレイク達がいるそうた。主もその一人で、主の話しだと、王に仕えるもっとも優れたドレイクの一人であると言う。
魔導器文明時代には文明を滅ぼすのに躍進、国々を滅ぼし文明崩壊にも関わった方であるらしい。」
・ 「遥か昔のその頃から人間というものと戦っていることもあり、主もかつては人は敵対者に過ぎなかったそうだ。
しかし、主は魔剣について研究するうちに、『我々は何をなすために生まれてきたのか』を疑問に思うようになったという。
ルミエルが価値観溢れる世界を、イグニスが力強き世界を、カルディアがそしてそれがともにある世界を作ったとするのならば、この後どんな世界が来るのか。
そんな話をよく話して下さった。」

シナリオクリア時の経験点

 無事生還した場合、経験点は1000点です。

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