飛竜の巣立ち 前編

あらすじ

飛空挺をもった豪商・リンドブルム家。彼らが娘の婚約者選びに採用したのは地元魔王を倒すこと。これによって突如開幕した魔王狩りのシーズン。魔王と冒険者との熾烈を極めた戦いが始まった。

ストーリーチャート

飛空挺をもった豪商・リンドブルム家。彼らが娘の婚約者選びに採用したのは地元魔王を倒すこと。これによって突如開幕した魔王狩りのシーズン。魔王と冒険者との熾烈を極めた戦いが始まった。

しかし当事者である令嬢テレーズはこの結婚話には大反対。なんとか妨害しようと考えたテレーズは魔王を自分で倒すことに決定、PCの協力を得て魔王退治に望むのである。
魔王とであったテレーズは自分達が彼等に迷惑を与え、彼等も被害者であることを悟る。

自力で事態を収拾しようとしたテレーズは母親であり現在の当主であるリュシアンにつめより、力づくででもこの事態の収拾を図るが、それは失敗に終わる。リュシアンはテレーズを監禁し、誰の手の届かない場所、リンドブルム家のアジトに彼女を監禁してしまうのだった。

PC魔王とPC冒険者はなんとかしてテレーズを奪還しなくてはならない。

PC設定

魔王

[PC@:魔王]の設定

魔王のいる古城に住むという伝説上の魔王。
ここの伝説を作った人物というわけではなく、現在の迷宮の継承者という立場である。
そのためここでの統治期間は短く、支配力は0と言ってもいい。
このシナリオは連作であるために今までの「ご近所魔王」経緯を引き継いでも構わない。
そうでない場合は、まずダンジョンクリエイトルールを使用して、自作ダンジョンを製作しておかなくてはいけない。


●今までの設定
魔王のいる古城に人間の手によって生贄にされた少年/少女。(ここでは少年として書いてある)。
種族はナイトメア。古城で魔剣を獲得しついに魔王となる。
どうやらシナリオ開始時点はあまり悪さをしていないようで、勢力も大きくない。
立ち上げ当時の状態だが、魔王になってからある程度年月は立っている。
自分が魔王になる時PCA(前世)・PCBの協力を得ており、唯一の家族といえる。

[PCA:冒険者の少女]の設定

冒険者。魔剣の迷宮に対する研究をしており、持論では魔王の伝説が捏造であるという確信めいた証拠を得ている。ただし周囲はそれを理解せず、PCAのことは軽んじている。PCAはそれを自らの目で確認するために一人で魔王の城に入っていってしまうところから、シナリオを開始する。
このシナリオは連作であるために今までの「ご近所魔王」経緯を引き継いでも構わない。
●今までの設定
冒険者の少女/少年。過去に前世で生贄にされたという経験を持ち、生贄に捧げた人間に殺されたが、死後魔王である少年に救われたという過去を持つが、記憶としてはあやふやである。
ここへは魔王が悪人ではないという確信をもってやってきているが、根拠はまったくなし。多分夢の中での光景と似ているという程度でいいだろう。少年との人間関係は継続。仕種を見るたび思い出すものがある。

[PCB:魔物]の設定

魔王の配下に当たる魔物。魔王の配下として付き従う立場であること以外はどんな設定でも可能。ただし、ロールプレイの問題上知性はあるほうが望ましい。また魔王との関係も隷属なのか忠誠なのか保護なのか共感なのか自由に決定して構わない。あまり関係が悪い状態だと進行の妨げになるだろう。
★ PC@よりレベルの高いモンスターレベルからも選択できない。
・ 知力が高いモンスターは技10・体9・心14に能力値は2ダイスで決定。
・ 怪力タフネスのモンスターは技10・体18・心7に能力値は2ダイスで決定。
・ すばやいモンスターは技16・体12・心7に能力値は2ダイスで決定。

このシナリオは連作であるために今までの「ご近所魔王」経緯を引き継いでも構わない。
ダンジョン内部の魔物の司令官的な役割をするので、ダンジョン内部の魔物の把握と編成をしておかなくてはならない。
●今までの設定
選択したモンスターの特殊能力はすでに習得しているものとする。
鎧は装備できないという外見を選択した場合、生命点は倍とする。また1シナリオの終了時に必ず生命が1上昇する。これは能力値の成長と別に行う。

登場人物

リュシアン・リンドブルム

元冒険者である女船長であり商人のリュシアンは、若い頃から荒くれ者リュシアンと呼ばれるほど気性が荒く、サラマンダーを心に宿すとエルフが嫌うほど破天荒な人物であった。蛮族達と戦い、いくたの大国をまたにかける彼女は、ある国では大悪人であり、ある国では英雄とされる人物である。
彼女が所有する飛空挺は実のところ5台と言われる。それが世界各地で貿易を行うもので、その影響力は大きい。一度は蛮族に滅ぼされそうな国に、軍隊を乗せて兵士を輸送したり、暴君の収める小国には国民5000人を瞬く間の間に亡命させたという離れ業をやってのけた人物である。
もっとも彼女の伝説は彼女の夫の力が大きく ・彼女と二人で二人三脚やってきたらしい。夫は人間であったために死亡。彼女はその財産と方針を引き継いでいるということである。
実はこの夫の命を奪ったのが、後述する地元魔王オリアレオス。リュシアンは子供が大きくなるまで自分を食べるのを待って欲しいと懇願し、約束を交わした経緯を持つ。そういうことで魔王退治には命がけの執念を燃やす。

テレーズ

テレーズ・リンドブルム

リンドブルム家の一人娘。
私略船の船長張りに血の気の荒いリュシアンの娘だけあって、ほとんど冒険者のような人物で、
令嬢とは名ばかりながらも、その内面は強大なカリスマとして指示をうける母リュシアンとの確執にゆれる乙女だったりもする。
手段を選ばないリュシアンを嫌い、もっと普通でいたいという望みを持っている彼女はなんとかしてリュシアンの計画を失敗させる方法を考え、
必然としてPCに助けを求めることとなる。

オリアレオス

黒騎士オリアレオス

蛮族になったナイトメアをダークナイトというが、彼がまさにそれ。
お隣の魔王であり、ルックスがかっこよく強そう。ダンジョンでは重視せず、生活空間程度にしか考えていないつくりしている。
もし勇者がやってきても「部下に危ない橋を渡らせられぬ」とまとめて一人で戦う気概のある人物。

・過去リュシアンと戦い、その夫と殺し、リュシアンの目を奪った人物。

ガーネット

リャナンシーのガーネット

黒騎士オリアレオスが連れているリャナンシー。
精神攻撃の聞かないオリアレオスを落とすことを目的としているが、二人の仲はいい。
二人は別に恋人とかではなく、上司と部下の関係でオリアレオスは何かといやらしい彼女に困り果てている。
オリアレオスが彼女を引き抜いた際に裏切り者としてバンパイアに追い出される。

・オリアレオスとの間には主従というよりは友情があるようである。

オープニング

普段は穏やかな古城。それが喧騒で騒がしくなる。
「そっちいったぞ!」叫ぶPC@魔王。たちどころに走り回る魔物たち。
追いかけっこ宜しく冒険者達がダンジョンに乗り込んでくる。その数は10や20ではない。いまやダンジョンの落とし穴は冒険者で埋まり、入り口は大変な混雑となっていた。
この危機を聞いてか、蛮族たちも集っては古城の死守同盟が急遽結成!冒険者達との熾烈な戦いを繰り広げていた。
・ 大部分は3レベルまでの冒険者であったり、3レベルぐらいの冒険者を引き連れた自称冒険者だったりする。

魔王 対 冒険者

冒険者の装備品を剥ぎ、怪我しただけの冒険者は山積みにて途中の行商に脅して引き取らせる。
死んだ冒険者は腐らないように深い穴を掘っては埋め、ここに冒険者を埋めましたという目印に、持ち物の剣を指しておくという対応が取られる。

そして、その日の晩は冒険者撃退の打ち上げをしていた。
トロルの司祭達の治療を終えたボガード。雑用をこなしていたゴブリンが杯を煽り、コックであるコボルトが料理の腕を奮う。勝利を祝う宴会が開かれていた。
「いゃあ、酒がこんなに美味いと感じたのは久しぶりだ。」
「どうです?この調子でルーフェリアとか滅ぼしちゃいません。うわははは!」と盛り上がる蛮族。
・ 今宵で実に七日七晩戦った一同は互いの健闘をたたえて大いに賑わっていた。
・ しかし奇妙なことである。冒険者の中でもレベルが足りない者達までもが嬉々として古城に挑んでくる。しかも死んでも蘇生上等という指揮の高さである。冒険者とは大抵が自分の力量との兼ね合いがとれる連中なのだが、そういう不思議な状態がここのところ継続している。
・ やってくる蛮族にも限りが無いおかげで、この勝負に終わりは見えないものの、蛮族の種族優位ゆえに現在のところ検討していた。

冒険者の事情

ルーフェリアでおきた事件は冒険者達にとってはまさに悲劇としかいいようの無い事態であった。
飛空挺3台を有する空輸商人リンドブルム家がルーフェリアに訪れたのは今から一週間ほど前になる。
→物語はPCAがその人物を見に行った時に遡る。
 大商人と上質の飛空挺の噂を聞いて多くの人々が物珍しさに集ってくる。
町の人々が・商人が・冒険者が・そしてPCAが・・・

武装商船団リンドブルム

飛空挺のタラップから下りたのは、船長であり商人であるキャプテン・リュシアン・リンドブルムである。
エルフである彼女の年齢は実に100歳を超えていたが体のラインは維持され、今も麗しきとたたえられる容貌をもっていた。彼女は成功した冒険者であり、ある意味冒険者からしても憧れの的である。
今はこのように貴族夫人のような佇まいをしているが、平時はカトラス片手に空の蛮族と渡り合う、武装商船団を率いているのだ。
・ リュシアンは外に出るなり日傘を指して、彼女を招いた商人の一団の出迎えにお辞儀する。
しかし、後ろに続くはずの人物が続かぬことにマユを潜めてしまう。
「あら、テレーズはどうしたのかしら?」
従者が周囲を見回す。「ええと・・・お嬢様はその・・・」

「私は絶対行かないから!」
大きな声が降り立った飛空挺の舳先・船首の上から響く。そこには従者達・使用人たちに追いやり、舳先へと歩を進める少女の姿があるではないか、流れる金髪・衣服も令嬢のそれであり、まだあどけなさの残る顔立ちのその娘こそ、彼女の娘テレーズ・リンドブルムである。
「私は結婚なんかしませんからね!!」と再び叫ぶ。

・ 「アラアラ・・・」とつぶやいたリュシアンは傘の中に仕込んであったライフルを取り出すと、それを娘に向かって向け発砲。驚く一同。しかし、その弾丸はテレーズには当たらなかったようだ。

テレーズはそれを確認すると、「お母様も、腕がなまったのじゃなくて?」と笑う。
その時積荷を結ぶロープが切れると、弧を描いて振られ、積荷はテレーズの横っ面に直撃。地面にいる観衆へと落ちていく。
 招待した商人「だ、大丈夫・・・でしょうか。」
 リュシアン「何、心配いりませんことよ。軽く横っ面を叩いただけですから」

★PCAはこのリュシアンの落下を受け止めるところで出会う。
残念ながらリュシアンは気絶してしまっている。

リュシアンからの依頼

酒場に戻った冒険者達。その中のPCA。
酒場では当然のようにリンドブルム家の噂が飛び交っていた。
「一体奴等なんのためにやってきたんだ?」「まぁそれは商人だからな」
「しょっぱなから騒がせてくれるぜ」などと酒場ではその噂で持ちきりである。

● リンドブルム家の情報
・ 元冒険者である女船長であり商人のリュシアンは、若い頃から荒くれ者リュシアンと呼ばれるほど気性が荒く、サラマンダーを心に宿すとエルフが嫌うほど破天荒な人物であった。蛮族達と戦い、いくたの大国をまたにかける彼女は、ある国では大悪人であり、ある国では英雄とされる人物である。
・ 彼女が所有する飛空挺は実のところ5台と言われる。それが世界各地で貿易を行うもので、その影響力は大きい。一度は蛮族に滅ぼされそうな国に、軍隊を乗せて兵士を輸送したり、暴君の収める小国には国民5000人を瞬く間の間に亡命させたという離れ業をやってのけた人物である。
・ もっとも彼女の伝説は彼女の夫の力が大きく・彼女と二人で二人三脚やってきたらしい。夫は人間であったために死亡。彼女はその財産と方針を引き継いでいるということである。
→ 一同がそのような噂話をしているところ。

主人が新しい依頼を受けている。受けた依頼に驚嘆の声を上げ張り紙を載せている。「正気か・・・」
依頼したのは貴族のような服装に身をつつんだ筋骨隆々とした男達である(リンドブルム家の船員)。
たちまち依頼内容に人々が群がる。
「我々は娘テレーズの婚約者に相応しい者を探しに世界各地を巡っています。魔物との争い盛んなこの町ではさぞや勇敢な英雄や無名の勇者がいることでしょう。テレーズの夫にはそのような人物こそ相応しいと考えます。
人間性や人格はこの際二の次、何ができるのか、何をやろうとしているのだけを問います。
つきましては、この地にいる魔王の首級を挙げたものの中からテレーズの夫を選ぶこととします。
我こそはと望むものは、名乗りを挙げるように。」
「また、こちらには穢れ消しの司祭も用意してあります。一度に限り無料で死者蘇生を行いますので、死を省みず挑んでください。まぁ勿論死というリスクがないわけではありませんけど。」
「また報酬として、飛空挺チケット。どんな場所でも連れて行きます。を商品としてつけます。
また金貨は50万ガメル用意してあります。娘などいらないという方はそちらでも結構です。
以上  〜リュシアン・リンドブルム〜」 

     → こうしてこの事件が始まったのである。

PCAへの依頼

こんな中冒険者であるPCのもとに依頼が来る。
依頼人はなんとあの噂の人物・テレーズ・リンドブルムである。
もっともテレーズは有名人・酒場の主人も内密に会いたいという彼女の依頼から、すぐには依頼人を明かせず困っている。
冒険者であるPCAとの接触は、深夜店を閉めた後の酒場で会いたいということを告げる。
酒場の主人はそういうわけで依頼人を明かせない。
「お宅に名指しで依頼が入っている。」
「今回の事件に一口絡む内容なのだが、詳しい話は依頼人に聞くといい。」
「依頼人の名前は明かせない」と説明する。

その日の夜・PCAに会うべく依頼人が訪れる。
依頼人が訪れるのは深夜になってからのことで、それまでは酒場のマスターと雑談などをして過ごすこととなる。
やがて深夜裏口の戸を叩く人物が現れ、酒場のマスターは応対、依頼人であると確認すると招き入れる。
それはフードとコートに身を包んだ金髪の娘。さも邪魔そうにコートを投げ捨てる姿はテレーズ本人である。

● テレーズからの依頼
・ 「あなたを魔王に詳しい冒険者と見込んでお願いがあります。」
・ 「お聞きの通り我が母リュシアン・リンドブルムが出した依頼によって今、私の人生は恐るべき危機にさらされ、またこの辺りの冒険者事情的にもよからぬ状態となっています。」
・ 「皆さんに依頼したいのは、私が魔王を倒すのに協力してくれないか・・・ということです。」
・ 「もし魔王を倒すことが不可能である・・・またはそれを進めない場合は、私を魔王のもとに連れて行ってください。私が自ら冒険者の邪魔をして、冒険者を撃退しますから。」
・ 「それというのも理由があります。実はこの町に冒険者グループ死鋼(デスメタル)が現れたのです。」
→ 酒場のマスターは「なんだと!?」と声を出して叫ぶ。
マスター「残虐非道。勝つためならば手段を選ばぬ冒険者の風上にもおけないグループだ。
ある意味・・・すぐれた戦闘集団なのだが、目的は鍛え上げた自分の力を振るう相手を探すだけ・・・。罠の解除の為に先に冒険者のパーティに生かせ、ボス直前で背後から両断。おいしいところだけを持っていくという卑怯さももっている。最悪のグループだ・・・。」

・ 「そうです。私はそんな○○○野郎と結婚なんてしたくありません。ですが、私の母は考えが違います。
そんな社会的な常識なんて・・・通じません。試練さえ突破すれば、どんな小悪党、○○○や○○○○○とでも私を結び合わせるでしょう。そんなことだけは絶対に許せません。」
・ 「これは、私の反逆なのです。」
・ 「お礼としては、私のヘソクリの1万ガメル。父親の形見のアンクレッドを差し上げます。このアンクレッドは一度だけ生死判定を6ゾロにする効果があります。」
・ 「どうでしょう引き受けては頂けませんか?」

マスター「引き受けてやれよ。実は今回の事件は俺達でも大問題なんだ。なんせ駆け出し冒険者にものすごい数の被害が出ている。俺もやめてもらおうと直談判に言ったんだが・・・・取り合ってももらえない。」
「依頼料金が足りなければ、俺の年金2万ガメルを出すぜ。」

プレイヤーの合流

PCA冒険者はこうしてPC@魔王と合流しなくてはならなくなる。
このシナリオは連作であるために今までの「ご近所魔王」経緯を引き継いでも構わない。
その場合は二人には面識があるので、即出会って構わない。
そうでない場合は、魔王であるPC@が製作したオリジナルダンジョンに挑戦しないとならない。
尚・それすら面倒くさい場合は、非常に簡単な簡易版ダンジョンを下記に載せておくので、それを使ってもいいだろう。
※ 一応・このマップはとなりの領地に当たる魔王オリアレオスのダンジョンのコピーである。

サンプル古城・内部

城門を超えると中は大きなフロアになっており、その広大なホールへと入ると、大扉が待っている。
・ 通路を真っ直ぐ進んでいくと左右には通路というT字路に出る。

T字路右

★罠・スカウト技能+知力ボーナス+2d →目標値15
つり天上。突然落下してきて一同を押しつぶす。この罠は発見できても解除できない。
ゴーバッシュがいるときは支えてくれるので、即死はしないものの、激突で20点のダメージを受ける。
→ このつり天上の上には部屋があり、鎖を巻き上げている間に上って上を見ることができる。 

鎖を巻き上げているモンスターはプレイヤーのレベルによって変えるべきだろう。
・ レベルが3以内だった場合はスケルトンがPC人数の倍・・・ただし魔法の武器を持ち命中ダメージ+1
・ レベルが5以内だった場合はスケルトンウォリアーがPC人数
・ レベルが8以内だった場合はアイアンゴーレム1体
このモンスターを撃破しない限り、吊天上はやたら感度よく落ちてくる。
→ この先にはレバーがあり、このレバーを引かないと、反対側の扉は開かない。

T字路左

★罠・スカウト技能+知力ボーナス+2d →目標値15
左右から槍が突き出すトラップ。ダッシュで駆け抜けるか、衣服でもはさんで固定しない限り、解除できない。
刺さるとダメージは15点。
解除は ★罠・スカウト技能+器用ボーナス+2d →目標値15
ダッシュ★冒険者技能+敏捷ボーナス+2d →目標値13

正面は鉄製の扉があるが、鍵穴らしいものはなく、開く様子も無い。
T字路右にあるレバーを引けばあきます。非常に簡単な作り。
左の扉を入ると、弧を描くような通路に出る。通路の先からは光が漏れているという作りになっている。
そこは大きな広間になっており、壁には彫刻が刻まれている。ここには柱が規則正しく並び天上はとても高いという作りになっている。その先にはそのまま一団高い場所に台座が設けられており、どうやら王座のようである。
・そして魔王のフロアとなります。

テレーズ・魔王と会う

魔王であるPC@とテレーズが会った場合、テレーズはPC@が魔王であるとは信じない。
PC@はナイトメアなので人間として考える彼女は、PC@が魔王であると知った場合、愕然とする。
そしてたちまち意気消沈すると、頭を下げて謝罪する。

●テレーズ
「御免なさい。私、魔王というのだから、さぞ邪悪な奴なんだろうと・・・そんなふうに誤解していたわ。
人間など虫けらとしか思わず、ただ悪意を撒き散らすだけの害虫なんて考えていた。そんな魔王なら死んで当然だと思っていたわ。」
「でも私はわかっていなかったわね。私のせいであなたが、この問題に巻き込まれたのなら、私が責任を取らないと・・・」
→ 「お母様と話をつけないとならないわ。場合によっては暴力に訴えても止める・・・!
だから、心配しないで。」

ここでPCAには報酬がわりに、父親の形見のアンクレットを手渡す。
●アイテム『不死鳥のアンクレット』。
翼を広げる不死鳥の形をしたアンクレットで首飾りのように首から下げて使用する、
これは生死判定を1度だけ6ゾロにすることができるアンクレットである。

お隣魔王オリアレオス

お隣の魔王の使者・リャナンシーのガーネット

一同のダンジョンに来客が現れる。その来客は、来客として訪れたのは隣の湖畔の魔王の従者である女性一人、手に回覧版をもち、ブラブラとして待っている。見た感じ美人なのだが、スポーティーな格好をしておりあんまり着飾っていない。
・ 彼女は顔に痣があり、頬にキズなどがあり、体の所々を包帯で巻いている。
・ 彼女は自分の名前をガーネットと名乗り、隣の領地の魔王に仕えていると告げる。
・ 彼女の話では、自分達の領地も冒険者の攻撃を受け、そりゃ大変なのではあるのだけど、こっちの領地ではなんとか撃退できているのか、見て来いっている魔王の命令であるという。
・ 彼女はまずはデクスタリーポーションを3つ、トリートポーションを3つ渡し、剣のカケを5つ手渡す。それから手にもっていた包みを開くと食べ物の入った入れ物を差し出す。どうやらそれは食べ物のようであり、基本的には簡易的な保存食を野性味溢れる味で味付けした感じである。星肉などの肉類ははいっていない。
「噂だとあなたは人は食わないんでしょう?肉の趣向って難しいから、今回はそれ以外を一応色々と用意しておいたけど、口に合うかしら」
⇒ 「もしかしたら食事を取る暇も無いほど忙いということもあるはずだから、一応もっていってやれといわれているのよ。」

● テレーズに会うと。
「あら?あなたリュシアンじゃないの?久しぶりね。まだ蛮族狩りなんてやっているの?
拾った命を無駄にしちゃだめよ?」
「リュシアンじゃない?  ・・・娘のテレーズ。 ははぁ時のたつのは早いものね。私なんていっきに歳をとったことを実感したわぁ」と自分の頬をなでる。
⇒ 「私の口から多くを語ることもないでしょう。もし何か聞きたいことがあるのならば、主人オリアレオス様にお聞いてみるといいでしょう。」

湖畔の古城・中庭

見渡す限り穏やかな小さな湖で、一角に人間が住むのだろう集落がある。
湖畔の城は湖畔の中に浮かぶ小島の上に作られている。自分達の古城と同じくらいの大きさで、そこまでは長い桟橋がかけられている。
古城の門は開け放たれており、中には中庭という作りになっている。
・ 橋の手すりにはキズだらけの冒険者達が転がりうめき声を上げている。また吹っ飛ばされた冒険者が城壁に引っかかって、ぶらさがっている。その数は実に100人にも及ぶ。
・ ガーネット。「もぅ!綺麗にして出て行ったのにすぐにこうなんだから。」

湖畔の古城・内部

中庭は下りとなっており、中央には噴水、周囲には石造りのイスが作られ、まるでちょっとした劇場のような作りをしている。違うのは舞台のあるべき場所には噴水があること、劇場のイスには花壇が作られていることである。
→ ここより奥にガーネットが案内する。
そこは大きな広間になっており、壁には彫刻が刻まれている。ここには柱が規則正しく並び天上はとても高いという作りになっている。その先にはそのまま一団高い場所に台座が設けられており、どうやら王座のようである。
・ そこには一人の蛮族の姿かある。
現れたのは、頭部に角を持ち、黒い金属鎧を着た人物。背にはマントという井出達で、まだ若いお兄ちゃんである。瞳が大きく、童顔。尻尾や翼はもっていない。
→ 魔王オリアレオスの姿である。
オリアレオスは一同が近づいてくると、突然大きな口を開けて(PCの人間のキャラ・またはテレーズ)に飛び掛る。それを頭からくわえ込むと、丸呑みにしようとし、その足をガーネットが引っ張る。
「ちょっと待った。そちらがお客さんなのよ!」
オリアレオスの口から解放されると彼は、再び衣服を正すと、礼儀正しくうやうやしくお辞儀する。
「ふむ、私はこの城を統べる魔王・オリアレオス。」
と名乗るや否や、腹の虫が鳴くと彼は情けない顔をする。
・ 「ガーネット。こちらの食べ物の用意がお留守だぞ〜。飢えて飢えて仕方ない。後一歩と人は食わぬという禁を破ってしまうところであったぞ。」
ガーネット「いつ人は食わぬと禁を作ったの?おなか空いているのならば、そこいらに転がっているのを取って喰ったらいいじゃないの」
オリアレオス「私の魔王としての威厳を損ねるつもりか?」

●オリアレオスの話
やはりオリアレオスもテレーズに会うとはじめはよく思い出せないが、リュシアンのことをガーネットにつつかれると何かを思い出せそうで・・・でも思い出せない。
ガーネット「あのハンターよ。覚えてないの?新型銃と称した爆弾を冒険者に配ってダンジョンに送り込んできた。特攻隊の親分よ。自爆テロ作戦よー!もう、あれだけ個性的な奴は少ないでしょう?!」
オリアレオス「ええと、ええと・・・。」

ガーネットは時間がかかると考え食事などの準備にかかっていく。
リャナンシーのガーネットは食事の準備をしに、最奥の生活区域に入っていく。王座の前につくられた急ごしらえのテーブルとイス。一同は王であるオリアレオスを席に据え、食事の出来るのを待つことになる。
・ 料理にはまじりっけなしの赤ワイン。バスケットの中にパン。油の乗った豚の肉が用意される。
そしてそれを見て「あぁ!」とオリアレオスは手を打つ。
 はっとして思い出すオリアレオス。「ああ。思い出した。」
「全ての始まりは・・・そうこの豚肉だ。」と豚の肉をホークでつつく。

・ 「私はミノタウロスとガルーダなどを従えていたのだが、蛮族にも牛・鶏などの知性的な生物がいる。そして当時我々蛮族に新たな知性的な仲間が編入した。豚の蛮族オークだ。」
⇒ ガーネット「もう!食事がまずくなっちゃうじゃないの!豚肉ダメな話題なら先に言ってよ」

・ 「彼らオークが編入し、蛮族の都ゼルブリスも賑やかになったのだが、実はそれによって新たな問題が起こった。メニューだよ。今までどんな蛮族でもあまり嫌うものの無かった食材豚肉にタブーがかかると、急遽需要が高まった新たな食材があった。人間だよ。」
・ 「蛮族の人間狩りは一時的な隆盛だったがきっかけさえあればたちまちドンパチ始めるのが、我々蛮族と人間のサガ・・・、そんな時だった。あの冒険者達がやってきたのは。」
・ 「彼らは周囲の駆け出し魔王を倒し名前を売っていた冒険者で、魔王の生皮を剥いで集めていると噂されるほど蛮族にとって危険な冒険者だった。彼らはその時も徒党を組んで彼らは襲ってきた。」
・ 当時まだ若かった私と彼らは対決。苦労の末私は、冒険者を撃退。彼らのボスを切り捨て、その妻であった女を手に掛けようとした。リュシアンだな。」
・ 「リュシアンはその時、命乞いをした。リュシアンは身ごもっており。子供だけでも助けて欲しいと言ってきた。
・ 私も酔狂だったのか。こう答えた。その子が育つまでお前は食べずにおいてやろう、と。あれから随分たったのだな。」
・ 「別に私は人間を無理に食べなくてはいけないというわけでもないし・・・今の今までその約束を忘れていたのだから、もうしばらく忘れていてやってもよい。まぁ、夫の仇・・・として狙われることとなるのであれば、降りかかる火の粉は払わなくてはならないが。」

リンドブルム一族

テレーズと同行する場合、テレーズが母親に直談判する。この時同行を進み出れば現場に立ち会うことができる。

リンドブルム邸

リンドブルム家が宿泊しているのは、現在野外の広場に停泊している飛空挺の一つである。
この飛空挺はタラップが一つだけあり、それで船の後部にある通路に入ることができるという仕組みになっている他には出入り口らしいものは見受けられない。

内部は豪華な作りになっており、この飛空挺だけが他の飛空挺とは違い、まるで邸宅であるかのような作りをしている。
船内に用意された絵画や彫刻などの芸術品は大変高価なものであり、それらは全てが固定されている。
リュシアンとは船長室で出会うことができる。
船の最後尾の2階こそがリュシアンの部屋である。中は大変豪華な部屋ではあるが、やはり船長としての彼女の立場を物語るものか、壁には地図が貼られ、この大陸が写されている。また壁にはカトラスがかけられ、帽子掛けには自分が普段は使っているであろう、船長の帽子がかけられている。
・ 中にはリュシアンの姿だけがある。今はラフな服装としてレースのついた白いシャツだけを胸元はだけるように纏い、右目をつぶり何か宝石のようなものを磨いている
・ →それは義眼であり、彼女はそれを僅かに伏せてから隠すように目に戻す。
・ 「あら、帰ったの? 聞き分けがいいというのは、私には結構なことだけど、いさぎいいというのは人が生きる上では必ずしもいいことではなくてよ?」

テレーズ・直談判

ここでテレーズは母親に反対します。
「お母さんのせいで沢山の人が迷惑をかけているの。冒険者も一杯死んだわ。魔王さんも迷惑している。もうこんなお祭りはやめましょう。」
「私はお母さんのおもちゃじゃないし、勝手に扱われるのは不快だわ。でも今回はそんな私の気持ちだけじゃないものも問題になっているの」
「母さんは後悔するべきよ。自分が犯した過ちを悔い、皆に詫びなくてはいけないわ。
財力・暴力が全てではないわ。その傲慢な考えには罰が下るでしょう。」

リュシアン 「言うようになったわね。確かに世間一般じゃ正しい言葉・・・正論だわ。しかし、私に対しては意味をなさないわ。
私は教えてきたはずよ。理想を百回述べるより、一回の現実。布教活動より撃鉄一回なのよ。
もしあなたが正論を言うつもりなら、強くならないとならないわ。少なくとも私よりわね。」

テレーズ
「・・・母さんのようになれないわ。」懐から銃を取り出し、それを母親に向ける。
表情は泣きそうになり、何かを懇願するようなテレーズ。
対してリュシアンは余裕の面持ちで葉巻を取り出し、葉巻カッターでそれを斬っては咥える。
「ふふふ、嬉しいわ。愛娘の成長を見るというのは。でもあなたに引き金が引けるかしら。母は殺せても世界は変わらないわよ。あなたが世界を変えるというのなら、私は喜んであなたに殺されるわ。」

テレーズはついに泣き出してしまう。
「お母さん。私はただ普通にしていたいだけなのよ。確かに、愛とか希望とか・・・そんな言葉はおままごとかもしれない。でも私はそんなおままごともしていたかったわ。
世界を変えたいんじゃないわ。ただ、お母さんを変えたいの」
→ リュシアンは余裕で葉巻をくゆらす。見ているのは銃口と撃鉄の上の指先だけ・・・。

テレーズは覚悟を決めたように見据える。
「私にはお母さんを変えられないのね。でも私にだってこの事件を止めることくらいできるわ。」
そういって銃を握りなおすと、自分の頭に突きつけ引き金を引く。
「私がいなければ・・・跡取問題なんて起きないでしょう。」
→ PCが止めるべき・・・なんだけど、そうでない場合はリュシアンが灰皿を投げつけ、その手を打って銃口を逸らす。
「テレーズ!!」リュシアンはテレーズに駆け寄る。PCが邪魔しないようならば力ずくで抑え、顔をひっぱたく。
「なんという・・・バカなことを!」

リュシアンの問い掛け

・リュシアンは、従者達を呼び寄せテレーズを部屋に閉じ込めて監視するようにと命令します。
・PCがそれを阻もうとした場合、リュシアンは「あなたはテレーズの命に責任が持てるの?」と訪ねる。
→ 「はい」と答えた場合、リュシアンは「では、テレーズを自分ならば守れると思っているの?」と問い直す。
 →→ ここでともに「はい」と答えた場合、リュシアンは、葉巻の煙を吐き出し、「いいわ」と答える。
「テレーズはあなたに預けます。」
「私と少し話をしましょう。私のこと・・・テレーズのことを話しましょう」
・ ここでテレーズを一人のPCに送り届けさせることとする。

●リュシアンの話
「私はかつて冒険者として世界各地を巡っていたわ。私の愛した夫も冒険者。誰よりも大きなことをやってのける男だった。
でも本当に偉大なのは私の知っている夫。英雄ではなく、一人の男性としての彼。
テレーズが、そんな相手と結ばれたくない、というのはわかるわ。私もそうあるべきだと思う。あの子は私の手元から飛び出して羽ばたいていくべきなのよ。
あの子はね。本当の意味では抵抗なんてしてないの。こうしたいな・こうあるといいな・ということを自分のうちでは考えてる。でもそんなことを行動に起こせずズルズル引きずられて、そしてその選択に流されてしまう甘えん坊なのよ。
私はそんなあの子の甘えん坊のところを治したいの。」
「あの子が私を撃って飛び出していくというのなら、それもいいわ。私は死ぬつもりはないし、あの子ぐらいには殺されはしないわ。そのくらいのことをしてもいいとさえ思っている。」
「でも、自殺するというのは認められないわ。それがあの子の選択じゃないことは私だってわかっているわ。
ただそこまで流されたとするのならば、あの子は弱い子なのよ。私は自分の子供でアレ、弱さは決して認めないわ。」

「この世の中で・・・生き残っていくのは、正しいものでも・力あるものでもなく・強いものなのよ。生きるというのは並大抵のことじゃないのだから。」

質問:何故魔王狩りなど)
その瞬間に彼女の瞳は不敵に輝き、笑みを作ると葉巻を机にこすって消す。
「いいわ。教えてあげましょう。」
彼女はそこで突然背を向けると、上に来ていた唯一のシャツを脱いでいく。そこには生々しい傷跡があり、深く引き裂かれたキズがある。
「このキズを負ったのは、ルーフェリアに前に訪れた時。私の夫が死んだ時よ。ここにいた魔王と戦い私達は敗れたの。
全盛期5台あった飛空挺のうち2台をここで失ったわ。そして夫を失い、私は片目とこの背のキズを負った。」
「私にとっては・・・魔王はゆるすまじ宿敵なのよ。」
そう言ってシャツを着る。

「もしも、あなたが彼女を愛し、幸せにしようと考えているのならば・・・、なんという呪われた運命なのでしょう。
私はあの子が生まれた時、神に祈った。万難を与え人の成長を促す試練の神に。
この子が強くあるためにならば、どのような呪いを与えてくれても構わない。この子に万難と試練をと・・・
しかし、この試練は私をも巻き込んでいたのね。やはり、我が神・・・ゲルニカは甘い神ではなかったようね。」

「そうそう・・・死鋼(デスメタル)とは既に話がついているわ。娘には興味がないらしい。」
「彼らは魔王を倒すのが狙いで、魔王狩りをしているらしいわ。ただし報酬は大きいものこの依頼には飛びついたわ。
魔王を倒し、飛空挺1台と100万ガメルで娘の婚約者の権利も放棄すると言っているわ。」

リュシアンの行動解説

⇒ リュシアンはこの話をした後、この町から引き上げることを放す。
 PCがこの飛空挺を下りた直後、夜だと言うのに飛空挺を発進させ飛び立つ。
★ もしPCが単独である場合、リュシアンは可能であればPCとテレーズを引き離すつもりである。
飛空挺からPCが下りた場合、飛空挺を飛び立たせるが、この時実はテレーズはこの飛空挺内部の一室に閉じ込められている。

死鋼「テレーズの誘拐」

この時、テレーズを送るPC達の下に集ってくる一団が現れる。
それは冒険者の一団であるが、どういうわけだかまるで顔を隠すように仮面をつけている。
冒険者の一団の数は実に30人に及ぶ。
(この襲撃者の招待は死鋼である。彼らは手下に冒険者を雇うと、襲撃をたくらんでいるのである。彼らは古城を取り囲み情報を探っていた。テレーズが魔王になびいたことを危惧した彼らはテレーズを確保するようにリュシアンに命じられているのである。)

・ 彼らは「テレーズに用がある置いて消えれば・・・」といいかけたところ、後ろのボスらしい一団に「やれ!」と突然指示され驚く。「え、そんなお嬢様は?!」
・ という状態で、突然周囲からスパークが奮われる。このスパーク・・・全員で30回。普通ならばいつかは気絶する。そうなるとテレーズはさらわれてしまうだろう。(気絶した時点で対象から外れるので、とどめは刺されない。)
・ もしここで魔王がいるようなら、彼らは止めを刺そうとするが、この時点で彼ら自身の同士討ちが始まってしまう。
冒険者「馬鹿な。狙いは魔王でお嬢様ではないはずだろ?!」「このことは官憲に報告するからな!!」
死鋼「うるさい。その言うことをきかんならここで消えてもらうまでだ」 →冒険者「え、消えてって?」
死鋼「お前等はもう用済みだと言っているんだよ!!」   →冒険者「そ、そんな!?」

⇒ この騒動で冒険者達の騒ぎが起こり、官憲は集ってくる。
PCはリュシアンと別れた後、テレーズはリュシアンの手によって拉致されてしまう。
リュシアンは魔王を信用しないのである。身の上話をしてもテレーズを自由にしたり解放したりはしない。
リュシアンと話した場合、こうしてリュシアンがテレーズを力づくで拉致してしまうのである。

⇒ もしこの時テレーズと同行しなければ、テレーズは一人で母親に挑みそして捕えられてしまうのである。
リュシアンはテレーズを確保した後は飛空挺を移動し、安全な土地に立ちこもることにする。

対決 死鋼(デスメタル)

飛び立った飛空挺の噂 〜町にて〜

飛空挺が飛び立ったという噂は次の日の朝には町中に知れ渡る。当然のようにこのことは「依頼はどうなるのか」というような問い合わせが殺到冒険者の店の主人もてんやわんやしてしまう。
⇒この時リンドブルム家の従者が訪れて、一同に説明をしてくれる。
●リンドブルム家従者
・ 「ご安心下さい。リンドブルム家からの依頼は消えてなくなったわけではありません。私は依頼の完遂を見届け次第このことを『通話のピアス(遠距離会話の魔法アイテム)』によって奥様に伝えるように仰せつかっています。」

もし、飛空挺の行き先を尋ねたのであれば
・ 「奥様は我々の拠点に戻られています。そこは人が望んでも立ち寄れる場所ではありません。放すだけ無駄というものでしょう。」
⇒ 「ここより西、海へ出でて、飛空挺で2日ほど言った場所に立ち寄る船を沈めるという魔の海域がございますが、実は霧につつまれたその場所には天へとそびえる柱のような山が突き出ております。その山頂に飛空挺を降ろす場所がございます。そこがリンドブルム家の拠点です。」
「流れる海流は早く、船は底板をやすやすと削られてしまいます。途中に吹き荒れる風は厳しく、軽い船では転覆は招かれるはできないでしょう。水深浅い船では辿り着けないでしょう。」
「したがってそこに向かうには空を飛ぶしかございません。吹き荒れる風の中を丸二日にわたって飛びつづければ並みの騎竜では持ちますまい。何よりあそこの空には魔物もおりますれば・・・。」
「そういうわけで、もし向かわれるのであれば、ご自由に。リンドブルム家はそのような勇者を勧化しております。」

 

死鋼のダンジョン探索準備

リュシアンはこの町を離れるが、リュシアンの依頼は消えたわけではない。
下火になりつつある魔王狩りの祭りもどうやら残るのは本命だけである。当然ここで残るのは冒険者パーティ「死鋼(デスメタル)」である。
⇒ 死鋼はPCのダンジョンへの攻略を始める。
ようやく準備を整えたとばかりに死鋼はいよいよPC魔王のダンジョン攻略を開始する。
@ 死鋼は、今までダンジョンに先入した冒険者から情報を獲得している。このために、基本的にフロアの情報に対してはだいたいを把握してしまっている。謎解きに関しては既に看破されているが、罠に関しては変更もあることだろう。把握していない。
A ダンジョンに救援に蛮族が来ないように、他の冒険者を使い蛮族退治の依頼を出す。彼らはこれに10万ガメル支払い、冒険者にダンジョン増援を防がせておく。これによって自分の把握しない蛮族の救援はもはや来ないだろう。
B 死鋼はここまで準備してから、噂を流す。彼らの噂は「街中で問題を起こした死鋼は官憲ににらまれ、町を追い出されるらしい」というものである。これは彼らがまことしやかに流した偽情報であり、死鋼が立ち去るという噂を立てて蛮族の緊張を緩めようというものである。もっともこれはさほど高価を期待しているわけではない。

ここで死鋼のパーティと直接対決するのは被害を出す可能性がある。
予めダンジョンクリエイトのルールを使用して、相手を消耗させる方法を練っておかなくてはならないだろう。

 

死鋼のダンジョン探索

嵐の晩である。
強風が吹き荒れ、雷雨はつきを隠し、どこからともなく吹き込む隙間風がヒュウヒュウとダンジョン内部で反響・こだまの音を立てる。時間は既に深夜を回り、日中に動き回る生物ならばすでに寝込んでいるであろう時間である。
● ついに本命である。死鋼がPCのいるダンジョンに向かう。
 この時、夜間の警備網をしいていない場合、死鋼は次々と進入をしてくるだろう。
・ PCが知覚する場合は冒険者レベル+知力ボーナス+2dで判定・目標値18である。
・ 彼らは鎧はある程度称オンにしているものの、金属鎧を装備した大所帯なので、発見されることも致し方ないと考えている。 彼らが使用するダンジョン探索アイテム
@ 最低でもホバリングし、足場に足を下ろさず行動する。これによって圧力関係の罠は無効化してしまうだろう。
A マナサーチで罠として設置されたゴーレムなどを発見し、遠距離から狙撃する狙撃先方。これなら直接ゴーレムなどと接近することはない。
B リモートドールで室内の探索。これは罠を発見するための方法であり、リモートドールは毒の発見の為に鳥籠をもっている。鳥篭の鳥が死んでしまうようなら毒が使われた証拠である。

● 死鋼を撃破すれば、冒険者の襲撃は抑えることができる。
尻込みして中々ほかの冒険者が攻略することが難しくなってしまうのである。

これで前半は終了。
勢いがあるのならばこのまま後半に入ってしまってもいいだろう。
経験点は1000点・どうぞ成長してくださいな。


「バッドエンド」 対決 リュシアン 対 オリアレオス

オリアレオスとリュシアンの因縁が事態の原因である以上、二人が対決することを望む場合もあるだろう。
一見すると当事者同士の解決なのだが、その実、引き返すことの出来ない殺し合いに発展する。
その場合は、どうあってもバットエンドになってしまうだろう。
・ リュシアンはその事実がわかり、対決がありえるのならば望んで決着をつけることにするだろう。
一方オリアレオスは、リュシアンを殺すのにいささか抵抗があるものの、そういう答えが望まれているのならばそれもやぶさかでないと相手をする。

対決

リュシアンは冒険者を集め、オリアレオスのダンジョンに向かうだろう。この時死鋼たちもオリアレオス退治に向かう。
当然オリアレオスはその全てを引き受けて一人で対決を行うこととする。
オリアレオスはこの時全力を尽くして戦うだろう。全力が必要と思ったのは追い詰められたわけではなく、オリアレオスが「相手の命を奪う」礼儀としてである。こうなると冒険者達も予想しない結果となってしまう。

@オリアレオス・変身
ナイトメアであるはずのオリアレオスはドレイクのように姿を変える。
巨大な竜となったオリアレオスは、翼を広げて咆哮を上げる。
→ こうなると死鋼のダンジョン変化の魔剣などもオリアレオスの行動範囲が大きすぎて、もはや手におえない。
特殊能力の無いキャラクターとなってしまう。
・ この時オリアレオスは優先的に冒険者を攻撃する。リュシアンは狙撃系なので、後衛であり、進んでオリアレオスは攻撃しないが、攻撃以外の特殊能力は使用する。
★ まじめに戦闘をやる必要が無いのならば、ここは飛ばしてしまっても構わない。

Aリュシアンはたった一人になっても戦闘を止めない。
リュシアンが一人になった場合、オリアレオスは人の姿に戻り再び提案する。
「私は長いこと、お前と交わした約束を忘れていたのだ。
お前がもしそのことを忘れてもよいというのならば、私も無下にお前の命を奪わなくてもいいと思っている。」
「私もお前を討たなくてはならぬ身だが、どうだろう互いに妥協してみては?」
→ リュシアン「愚かなことを。流した血も、私のキズも過去に流せるものではない。そしてあの日の約束もな。
私と娘が解き放たれるのは、お前の命を奪ったときだけだ。」

リュシアンの死

リュシアンの銃声が響く。同時にさやより引き抜かれるオリアレオスの剣。
その弾丸は剣に当たると跳ね返り、リュシアンの残された瞳を奪う。
リュシアンの絶叫。もはや自分が追うべき相手も見つけることはできず、ただうめきと共に銃をあらぬ法へと撃ちつづける。

そのリュシアンの耳元に響く声。娘テレーズの声。
そしてその柔らかい手は、リュシアンを固く抱いてはその場から引き離すように引きずる。
「お母さん。ダメ。ここにいてはダメよ。あの魔王から逃げないと」
リュシアンはその手にいざなわれつつも、かぶりを振って反論する。
「あいつを殺さなくては! あいつはいつか必ず。私達の前に現れるわ!」

その時テレーズの声が答える。
「え? そんなこといったって、それは無理よ。だっていままでだって一緒にいたじゃない」
そして握り返す手。異常なまでの強い力で手が握られ、握りつぶされる。
そしてテレーズの声はオリアレオスの声へと戻る。
「そんなこといったって、それは無理だよ。お前は私に囚われ、一度だって逃げ出すこともできやしなかったではないか」

リュシアンの悲鳴。噛み砕き租借する音。リュシアンの最後である。

バッドエンド

一同が訪れた夜・食卓でオリアレオスは事件の顛末を簡素に説明した。
「私はリュシアンと戦い。そしてリュシアンを倒した」と。

悪霊の伝説

テレーズがその事実を知っていれば、ショックで口も聞けなくなってしまい。魔王を強く恐れるだろう。
PCとの関係もおしまいである。
― 「あれから、この領地の周りには盲目の悪霊が現れて、人々を恐れさせている。
その悪霊は魔王を探し、休むことなく森の中をさまよい、出会った人間を決まって魔王と間違えて、その手のライフルを打ってくるのだという。」

グラスの中の・・・

テレーズがもし何も知らなければ―
「そう・・・」と俯いて答える。「でも、仕方の無かったことなのよね。お母さんは魔王と戦っていたのだから」
→ オリアレオスは、「そうだね」と頷く。
そしてテレーズの帰り際に、どこからともなく声が響く。リュシアンの声が。
「だからあなたはまだ子供なのよ。命のやりとりの・・・なんと残酷なことか、それがわかっていない。」
振り返るテレーズ。しかし、そこにはオリアレオスの姿しかない。
オリアレオスは手にワインを持ち、涼しげに答える。「どうかしたのかね?」
「いいえ」とテレーズは再び、背を向けようとし、・・・凍りつく。
オリアレオスのワイングラスの中に浮かぶのは、氷でもチェリーでもなく、人の目なのだ。
その義眼はコロコロとグラスの中で音を立て、その魔王の口へと運ばれる。


登場人物データ

●『死鋼・弓使い』LV13

先制値20
・生命点:80 /生命抵抗:16+2D(23)
・精神点:30 /精神抵抗:16+2D(23)

命中:19+2D/ダメージ:19+2D/効果:武器は弓矢を使用
回避:10+2D/防護点:12
《マルチアクション使用》
★真語魔法6レベル・魔力10+2D
★操霊魔法6レベル・魔力10+2D
★魔導器術6レベル・魔力10+2D

★魔剣を所持し、戦闘開始時にダンジョンを展開する。
創造されるダンジョンは縦穴式で、ダンジョン創造後は相手は落下。激突して30 点のダメージを受ける。
★ダンジョンは毎R開始時に上下反転し再び落下を繰り返す。これによって入っ たものが飛行できない場合は翻弄されるだろう。
※…死鋼・弓使いは翼を生やし、下への弓矢の射撃を繰り返す。射撃手段が無い と応戦できないだろう。距離は30mを維持。

●『死鋼・水使い』LV13

先制値20
・生命点:90 /生命抵抗:16+2D(23)
・精神点:30 /精神抵抗:16+2D(23)

命中:17+2D/ダメージ:19+2D/効果:武器は槍。2回攻撃
回避:20+2D/防護点:2
《マルチアクション使用》
★真語魔法6レベル・魔力10+2D
★操霊魔法6レベル・魔力10+2D
★魔導器術6レベル・魔力10+2D

★魔剣を所持し、戦闘開始時にダンジョンを展開する。
創造されるダンジョンはガラスケース状態で戦闘フィールドを密閉空間にし、中 を水で満たす。
★相手の呼吸・呪文の詠唱を防ぎ、耐性の無い者を溺死させる。
※…死鋼・水使いはエルフであり装備も軽く、無呼吸で行動可能。

●『死鋼・闇使い』LV13

先制値18
・生命点:90 /生命抵抗:16+2D(23)
・精神点:30 /精神抵抗:16+2D(23)

命中:19+2D/ダメージ:19+2D/効果:武器はマギテック・クリエイトウェポ ンで創造。
回避:19+2D/防護点:2

《マルチアクション使用》
★真語魔法6レベル・魔力10+2D
★操霊魔法6レベル・魔力10+2D
★魔導器術6レベル・魔力10+2D


★魔剣を所持し、戦闘開始時にダンジョンを展開する。創造されるダンジョンは 暗闇空間で暗視能力が無い場合、まるで見えない完全暗闇(−4)。
★さらにスモークボムを使い相手の機会以外の知覚をさそう。
※…死鋼・闇使いは戦闘中相手に擬態するため、同士討ちの可能性あり。(1D6奇 数なら同士討ち)

●『リュシアン・リンドブルム』LV13

先制値20
・生命点:70 /生命抵抗:15+2D(22)
・精神点:30 /精神抵抗:17+2D(24)

命中:17+2D/ダメージ:打20+24/効果:銃使用
回避:17+2D/防護点:2
★魔導器術13レベル・魔力17+2D


★所有しているのはロングライフル・カルネージ。両手持ちの武器を執事の手を 借り手を添えてもらい2丁持って戦う。

魔法のアイテム
『7フィート・ロングバレル』
形状:210pの折り畳み式ライフル。
必要筋力:25
魔力+2
効果:この銃の攻撃を受けた対象は10m後方に飛ばされ転倒、次の主行動をキャ ンセルする。この銃は連続した出番に使うことはできない。


●『テレーズ・リンドブルム』LV5

先制値20
・生命点:30 /生命抵抗:7+2D(14)
・精神点:30 /精神抵抗:8+2D(15)

命中:10+2D/ダメージ:打20+12/効果:銃使用
回避:10+2D/防護点:0
★魔導器術5レベル・魔力17+2D


★本来魔物技である連続攻撃2を可能。攻撃が命中し続ける限り+2回まで攻撃 可能。
魔法のアイテム
『トランク・イン・ザ・ガン』
形状:黒塗りの旅行鞄で、1m程の大きさがある。
効果:内部に納められた銃を装備する場合、装備によるペナルティを無くし、装 備の順番制限を無効化する。この中に収納された弾丸にかけられた魔法は、鞄の 中に有る限り持続する。
また盾としても使用でき必要筋力17・回避+1・防護点+1として扱う。


オリアレオス・ドラゴン

 生命点 胴180 翼51 /抵抗 20+2d  精神点 81 /抵抗 18+2d
 :先制値17

[攻撃]
●翼

・ 「剣の翼」      命中19+2d ダメージ:50+2d 効果:命中する限り3回まで攻撃可能
●頭部・胴体
・ 「テイルスイング」  命中19+2d ダメージ:50+2d 効果:周囲5人攻撃。連続した出番不可
・ 「真語魔法7レベル」 魔力17+2d ダメージ:魔法によりけり 効果:複数化などできない。
・ 「エネルギーブレス」 生命19+2d ダメージ:50+2d 効果:単体対象。連続した出番不可。

●自動発動 「ストームメイル」  精神抵抗22  ダメージ:2d+25 効果:出番終了時自動的に周囲に風魔法ダメージ。
「凝視」       精神抵抗21  ダメージ:なし    効果:単体の主行動禁止。
「自動回復」     効果:1Rに生命点が37点回復する。

[防御]
・ 「回避」       回避14+2d 防護:22点 効果:状態以上と炎冷気無効。
・ 出番終了時に15点回復。魔法ダメージ10点軽減。

後編へ

シナリオ紹介へ

トップページへ

Copyright(C)ゴスペラードTRPG研究班 (c) 2009.