飛竜の巣立ち 後編

あらすじ

意に添わぬ結婚を強要されるテレーズのわがままを許さず母親リュシアンはテレーズを自分のアジトに捉えることとする。普通ならばここでテレーズを取り返すのは想い人なのであるが、ここで彼女を取り戻しに来るのは魔王であったりするわけで、はたしてこの物語の顛末はいかに?

ストーリーチャート

飛空挺をもった豪商・リンドブルム家。彼らが娘の婚約者選びに採用したのは地元魔王を倒すこと。これによって突如開幕した魔王狩りのシーズン。魔王と冒険者との熾烈を極めた戦いが始まった。

しかし当事者である令嬢テレーズはこの結婚話には大反対。なんとか妨害しようと考えたテレーズは魔王を自分で倒すことに決定、PCの協力を得て魔王退治に望むのである。
魔王とであったテレーズは自分達が彼等に迷惑を与え、彼等も被害者であることを悟る。

自力で事態を収拾しようとしたテレーズは母親であり現在の当主であるリュシアンにつめより、力づくででもこの事態の収拾を図るが、それは失敗に終わる。リュシアンはテレーズを監禁し、誰の手の届かない場所、リンドブルム家のアジトに彼女を監禁してしまうのだった。

PC魔王とPC冒険者はなんとかしてテレーズを奪還しなくてはならない。

PC設定 〜前回の続き〜 

魔王

[PC@:魔王]の設定

魔王のいる古城に住むという伝説上の魔王。ここの伝説を作った人物というわけではなく、現在の迷宮の継承者という立場である。そのためここでの統治期間は短く、支配力は0と言ってもいい。
このシナリオは連作であるために今までの「ご近所魔王」経緯を引き継いでも構わない。
今回の場合は自作ダンジョンは必要ないだろう。
●今までの設定
魔王のいる古城に人間の手によって生贄にされた少年/少女。(ここでは少年として書いてある)。
種族はナイトメア。古城で魔剣を獲得しついに魔王となる。どうやらシナリオ開始時点はあまり悪さをしていないようで、勢力も大きくない。立ち上げ当時の状態だが、魔王になってからある程度年月は立っている。
自分が魔王になる時PCA(前世)・PCBの協力を得ており、唯一の家族といえる。

 

[PCA:冒険者の少女]の設定

冒険者。魔剣の迷宮に対する研究をしており、持論では魔王の伝説が捏造であるという確信めいた証拠を得ている。ただし周囲はそれを理解せず、PCAのことは軽んじている。PCAはそれを自らの目で確認するために一人で魔王の城に入っていってしまうところから、シナリオを開始する。
このシナリオは連作であるために今までの「ご近所魔王」経緯を引き継いでも構わない。
●今までの設定
冒険者の少女/少年。過去に前世で生贄にされたという経験を持ち、生贄に捧げた人間に殺されたが、死後魔王である少年に救われたという過去を持つが、記憶としてはあやふやである。
ここへは魔王が悪人ではないという確信をもってやってきているが、根拠はまったくなし。多分夢の中での光景と似ているという程度でいいだろう。少年との人間関係は継続。仕種を見るたび思い出すものがある。

[PCB:魔物]の設定

魔王の配下に当たる魔物。魔王の配下として付き従う立場であること以外はどんな設定でも可能。ただし、ロールプレイの問題上知性はあるほうが望ましい。また魔王との関係も隷属なのか忠誠なのか保護なのか共感なのか自由に決定して構わない。あまり関係が悪い状態だと進行の妨げになるだろう。
★ PC@よりレベルの高いモンスターレベルからも選択できない。
・ 知力が高いモンスターは技10・体9・心14に能力値は2ダイスで決定。
・ 怪力タフネスのモンスターは技10・体18・心7に能力値は2ダイスで決定。
・ すばやいモンスターは技16・体12・心7に能力値は2ダイスで決定。

このシナリオは連作であるために今までの「ご近所魔王」経緯を引き継いでも構わない。
●今までの設定
選択したモンスターの特殊能力はすでに習得しているものとする。
鎧は装備できないという外見を選択した場合、生命点は倍とする。また1シナリオの終了時に必ず生命が1上昇する。これは能力値の成長と別に行う。

登場人物

リュシアン・リンドブルム

元冒険者である女船長であり商人のリュシアンは、若い頃から荒くれ者リュシアンと呼ばれるほど気性が荒く、サラマンダーを心に宿すとエルフが嫌うほど破天荒な人物であった。蛮族達と戦い、いくたの大国をまたにかける彼女は、ある国では大悪人であり、ある国では英雄とされる人物である。
彼女が所有する飛空挺は実のところ5台と言われる。それが世界各地で貿易を行うもので、その影響力は大きい。一度は蛮族に滅ぼされそうな国に、軍隊を乗せて兵士を輸送したり、暴君の収める小国には国民5000人を瞬く間の間に亡命させたという離れ業をやってのけた人物である。
もっとも彼女の伝説は彼女の夫の力が大きく・彼女と二人で二人三脚やってきたらしい。夫は人間であったために死亡。彼女はその財産と方針を引き継いでいるということである。
実はこの夫の命を奪ったのが、後述する地元魔王オリアレオス。リュシアンは子供が大きくなるまで自分を食べるのを待って欲しいと懇願し、約束を交わした経緯を持つ。そういうことで魔王退治には命がけの執念を燃やす。

テレーズ

テレーズ・リンドブルム

リンドブルム家の一人娘。
私略船の船長張りに血の気の荒いリュシアンの娘だけあって、ほとんど冒険者のような人物で、
令嬢とは名ばかりながらも、その内面は強大なカリスマとして指示をうける母リュシアンとの確執にゆれる乙女だったりもする。
手段を選ばないリュシアンを嫌い、もっと普通でいたいという望みを持っている彼女はなんとかしてリュシアンの計画を失敗させる方法を考え、
必然としてPCに助けを求めることとなる。

オリアレオス

黒騎士オリアレオス

蛮族になったナイトメアをダークナイトというが、彼がまさにそれ。
お隣の魔王であり、ルックスがかっこよく強そう。ダンジョンでは重視せず、生活空間程度にしか考えていないつくりしている。
もし勇者がやってきても「部下に危ない橋を渡らせられぬ」とまとめて一人で戦う気概のある人物。

・過去リュシアンと戦い、その夫と殺し、リュシアンの目を奪った人物。

ガーネット

リャナンシーのガーネット

黒騎士オリアレオスが連れているリャナンシー。
精神攻撃の聞かないオリアレオスを落とすことを目的としているが、二人の仲はいい。
二人は別に恋人とかではなく、上司と部下の関係でオリアレオスは何かといやらしい彼女に困り果てている。
オリアレオスが彼女を引き抜いた際に裏切り者としてバンパイアに追い出される。

・オリアレオスとの間には主従というよりは友情があるようである。

火竜・メフメト

オリアレオスが紹介し、PCと対決する竜。オリアレオスには過去敗れた経験があり、本人はオリアレオスに苦手意識をもっている。邪悪な竜であり、人間などいたぶるだけの存在としか認識していない。とはいえ人里に下りて何か悪さをするというわけでもなく、年がら年中洞窟に潜って生活しているせいで周囲からはその存在すら知られていない。
今回はリンドブルム家のアジトに渡るための道具として、白羽の矢が立つ。枯れには迷惑な話である。

前回までのあらすじ

飛空挺をもった豪商・リンドブルム家。彼らが娘の婚約者選びに採用したのは地元魔王を倒すこと。これによって突如開幕した魔王狩りのシーズン。魔王と冒険者との熾烈を極めた戦いが始まった。

しかし当事者である令嬢テレーズはこの結婚話には大反対。なんとか妨害しようと考えたテレーズは魔王を自分で倒すことに決定、PCの協力を得て魔王退治に望むのである。魔王と出会ったテレーズは自分達が彼等に迷惑を与え、彼等も被害者であることを悟る。

自力で事態を収拾しようとしたテレーズは母親であり現在の当主であるリュシアンにつめより、力づくででもこの事態の収拾を図るが、それは失敗に終わる。リュシアンはテレーズを監禁し、誰の手の届かない場所、リンドブルム家のアジトに彼女を監禁してしまうのだった。

リンドブルム家へ向かうための手段

移動手段の確保

どうすればリンドブルム家に行くことができるか、一堂は大いに悩むことになるだろう。そしてこの時点ではどうやっても見たことの無い国に対して向かうことができないとわかるはずである。
リンドブルム家に向かうには・・・

ありがちな対応について
『冒険者が、魔王を倒したという偽情報を作り、賞金の受け渡しを待ち構える。』
・・・その場合、飛空挺を奪ってその拠点に向かうということが移動手段となる。

●リンドブルム家の対応・参考
 実はこの方法は過去リンドブルム家が何度か行われたことがある一般的な反応である。
 この「冒険者・魔王を倒す」の虚構は、いわば詐欺の手口であるが、彼らも冒険者が倒した魔物を魔王と偽るような事件にいくつか会っている。また50万ガメルは大金である。50万ガメルのためなら、金をのこのこ持って現れた対象を襲うというやり方も考えられる。当然彼らとしても対策は練る。
・ リンドブルムの報酬受け渡し船は確かに50万ガメルを積んで現れるが、そこには彼らの腕利きが50人ばかり乗り込んでいる。一見して大広間での金の受け渡しだが、問題があると、周囲の壁が倒され、腕利きが一斉に包囲するのである。
⇒ この時彼らが取り得る攻撃方法も確実性の高い・周囲を取り囲んで魔法で削り・という戦法である。
・ 魔王としての証拠となるのは「魔王の首」と「魔王であることが証明できるアイテム」である。魔王の魔剣などが適切だろう。従者達は魔王について調べ上げているので、生半可な偽者では看破されてしまう。従者のセージは8知力ボーナスは+3。判定目標は11+2dである。判定は必ず指輪を割って真贋を確認する。よって判定目標は13+2dである。
⇒ この判定は3人のセージが行う。

・・・このやり方の危険性に関しては冒険者ならば噂でわかるし、酒場の主人などは(冒険者が訪ねるのならば)説召してくれる。
ある程度の力技を行えばこの手段を行うことは不可能ではない。

オリアレオスの協力

オリアレオスと付き合い・この事件のルーツを聞き出しているのならば以下のイベントもおこる。

一同がこの方法について悩みこみ途方もくれている時に、オリアレオスの配下であるリャナンシーのガーネットが訪れる。
ガーネットはオリアレオスの使いとして現れたのだ。
「今回の事件にはうちの主人が関わっていることでもあるし、主人もそれなりに責任を感じているのよ。
事情をきくによると、貴方達はどうやら海を越えて、そのリンドブルムの拠点に向かおうとしているのだから、その協力をしてもいいという話よ。興味があるかしら。」
「興味があるならば、湖畔の古城においでなさい」

湖畔の古城も今となっては落ち着いている。すでにこの地方最強と呼ばれる冒険者達は既にやぶれているのだ。
こうなると他の冒険者達も尻込みして中々攻め込むことができない。

オリアレオスの古城

古城の入り口ではいまやかつてのように冒険者が倒れているという光景は無く、今では綺麗に片付けられている。
壊れていた欄干なども補修作業の跡が見られ、血で汚された足元も今では綺麗に洗われている。

オリアレオスの古城にての晩餐
食卓の上に並ぶ料理の数々、高価な葡萄酒がふるまわれ、卓上には籠にパン。見慣れない形をした大きな魚などが、振舞われる。調味料をふんだんに使われたクリームスープなどが出される。
オリアレオス「献上品が届いたもので、丁度良かった」
⇒ 献上品?)「村人とか、ディーラとか(ハーピーみたいなの)、後は湖の生き物とかの・・・」

● オリアレオス
・ 「海を渡る方法ならば、いい方法がある。竜を使うのだ。海を渡り、世界を巡っても尚疲れぬという竜を知ってはいる。君達ももう立派な魔王。そろそろ竜の一匹も従えてもいいだろう。」
→ ガーネット「私は賛成できないわ。危険な竜だもの・・・、あなただって駆け出しの頃は苦労したでしょう?」
・ 「非常に危険な竜だ。本来のところ、従える時は一騎で挑んで打ち勝つものなのだが、全員で挑んでも、その仕事ぐらいは引き受けてくれるだろう。どうだねやってみるかね?」
・ 「私もある程度協力しよう。支援とか、その類はね。」
・ 竜との関係)「かつて私が戦い従えたレッサードラゴンだ。命を助ける代わりに主従の契りを結び、門番やら雑用やらに駆り立てていたが、今ではあまり交友が無い。元々私は争いごとを他人に任せるのを好むわけではないのでね。」
「今回の場合は、一つの例外といえるだろう。私はテレーズにもリュシアンにも関心がないし、関心があればあったで、喰うか喰わぬかに悩ませられる。そのようなものはごめんなのだ。」」

竜のいる山へ

山脈の下に広がる大湿原

山脈の尾根に広がる森。
そこには一年中日が差さないと噂される大湿原が存在していた。この湿原では草木は全て枯れ果て、苔やらカビやらの類だけがその強靭な生命力をもってこの森では繁栄していた。ここには生物らしい生物はそのなりを潜め、それゆえこの命亡き森とされる場所は、呪われた森として人々に忌み嫌われていた。
★ ここでは魔王オリアレオスは同行しない。
オリアレオスはこの湿原の先にあるという山との境にて待つとだけ告げて、先に向かってしまう。
オリアレオスは翼も魔法も使わず、空を舞う力を持っているので、その土地まで一息に飛んでいけるのである。だが人間ではこのような動きをすることは困難であろう。

湿原の移動

ここの湿原を歩くというのは非常に困難なことである。足元は膝上までもが沼地に浸かってしまうという湿原おいては、普通の靴ではたちまち泥に奪われてしまう。歩くためにはブーツなどを使用しなくてはならないだろう。
★ ブーツを奪われなかったかは、冒険者技能を基準に筋力判定を行い、目標値15でチェックをする必要がある。失敗すると泥に飲み込まれた靴は見つからなくなってしまう。当然のことだが、この判定は水に足を下ろさなかった場合は必要ない。

ヒルの沼

湿原をしばらく移動していると、水深のやや深い場所に出る。この場所は腰より上・だいたい1.2mを超えるほどの水があり、背の低い生き物はそれこそ頭からすっぽりと飲み込まれかねない場所となっている。好運なことに、ここの水は比較的粘性が無く、水気が多いために、体をとられるようなことはほとんど無い。
★ ここの場所でもっとも危険なのは吸血虫・ヒルの存在である。ここの水に使っているとヒルが衣服の隙間から入り込みも吸血を行ってしまう。入り込むヒルの数は1d6×3匹で一匹につき1点のダメージを受ける。
これは回避する方法はあまりないが、直接水につからない方法がある場合はこのダメージを受けることはない。
→ この時冒険者レベルを基準に生命判定を行う。目標値は15である。
ここで最も怖れるのはヒルの毒である。吸血の際に流し込まれる毒は対象をマヒさせ、吸血自体を気付かせないという効果をもたらす。これは一種の痺れのようなものであり、肌の感覚がなくなってしまうのである。
これによって、マヒ修正がはじめに振ったダイス(3匹につき1ということでもある。)分の修正を受けてしまう。

野営の出来る丘?

湿原を移動していて次に出くわす場所は、草木のある丘である。周囲の草木はやはり枯れ木であったが、そこだけは足場が湿地ではなく、いくらか足元も安定している場所である。
・ 移動してきた一同にとってはようやく休息できる場所でもあるのだが・・・。
★ ここの場所は降り積もった草木が堆積してできたものであるが、その底には水があり実は水深はかなり深い。
→ この時レンジャー技能を基準に知力判定を行う。目標値は15である。
ここで休んでいると、数時間も擦れば、沈み込んでしまい、体ごと飲み込まれてしまうのである。
ここで野営をする場合のチェックでこれらのことはわかるだろう。

清らかな沼

苔すらはびこらない沼地へと出る。下に堆積した泥の類まで見渡せるようなある意味すんだ沼である。
この沼には生物らしいものは見受けられない。
★ この場所は毒気をはらんだ水であり、生物全てに対して毒である。ここなし場楽使っているだけで浸かっている部位はひどく痛み、激痛を発する。
→ この時冒険者レベルを基準に生命判定を行う。目標値は15である。
  こうなると、その部位に何かが触れるだけで激痛となる。6時間休めば悼みも消えるが、それ以外では中々緩和しない。勿論魔法を使って治療することは可能である。
★ ここの足元にはドルギラスが沈んでいる。死んでいるのは確実だが、カビすら生えず、まるでアルコール漬けにされているように当時のまま水底に沈んでいる。

山岳の入り口

山岳が次第に見え始める。山岳と湿原の境は転がる巨岩と湿地とが合い待った場所にあり、この場所に来ると剥げ鷹のたぐいが姿を見える。うっかり湿地に足を取られた獲物を物色しているようである。

山岳地帯の岩場へと入っていくと足場には道らしいものが発見できる。
この場所には年月は随分経っているものの、明らかに人の手が加えられており、石段らしきものが出来上がっている。

廃墟となった山岳都市

廃墟となった町が現れる。この町の石造りの建物は、今も人が住んでいたことが忍ばれるようなものであり、あまり被害らしい被害はない。打ち捨てられてから年月は随分経っているものであることがわかる。
・ ここにも生き物がいる形跡は無い。人の手が加えられたというのに草などは生えず、苔すらここには育っていない。
→ この時レンジャー技能を基準に知力判定を行う。目標値は15である。
ここには時間によって毒気が流れる作りをしているのである。

岩肌の神殿 〜オリアレオスとの再会〜

都市の上に続くのは神殿である。神殿は、既に天井が落ち、岩肌の上に吹き曝されているような作りをしている。
簡素な作りの祭壇といくつかの石の柱が残る以外はあまりたいしたものは残っていない。
★ ここに一同が訪れると、オリアレオスが姿を現す。
3mを越す大きな翼を大鷲が現れると翼を広げて舞い降りる。その姿は地面に降り立つとたちまちにうずくまる男となり、マントからは大鷲の羽が舞い散る。オリアレオスである。
「よくぞここまで無事に辿り着いた。」
「ここは風が吹き込む安全な土地。ここでまずは体を休めると良かろう。」
「道中見てきたとおりここの地形は生物にとってはあまりに困難な地形だ。この土地はこの山岳にすむ竜がやったものだ。
毒の息・炎の息などを吐き散らし、住まう生き物に脅威を与える存在なのだ。」
「ここより上には山岳が続く。やがて洞窟に出るだろう。奴はその洞窟に住んでいる。奴を倒し、従えるのだ。」
「私はその洞窟の入り口でお前達を待つことにしよう。」

竜のいる山への山岳 

山岳を上る道は随分といたみも激しく、ガケに面して作られた石段は所々崩れている。この急勾配は、普通の人間などでは登ることも困難であり、何か理由が無いことには決して登るものもいないだろうという地形である。
→ この時レンジャー技能を基準に知力判定を行う。目標値は15である。
山岳を登っていると石段が外れて滑落しそうになる。ここから落下すると30mは落ちて湿原へと沈み込んでしまう。湿原出口に現れる(剥げ鷹は死ぬのを待っている)。
→ この時冒険者レベルを基準に筋力判定を行う。目標値は15である。
 吹き付ける風が強く吹き飛ばされそうになる。ここから落ちるとまた再び落下ダメージを受けてしまうだろう。
やはりここから落下すると30mは落ちて湿原へと沈み込んでしまう。湿原出口に現れる(やはり剥げ鷹は死ぬのを待っている)。

続いて風に飛ばされた落石が落ちてくる。ろくに避けるための場所の無いため回避は困難。
→ この回避判定を行う。目標値は15である。
→ 回避に失敗した場合、冒険者レベルを基準に筋力判定を行う。目標値は15である。

熱泥地帯 

山の中大きな岩のゴロゴロと転がる場所に訪れる。その付近には随分と変わった形の岩肌があり、まるで解けて流れるような形をしたものなども存在している。また所々では噴煙が上がり、硫黄の匂いが立ち込めている。
→ この時レンジャー技能を基準に知力判定を行う。目標値は15である。
突然に吹き上がる間欠泉によって熱泥が吹き上がる。これを浴びるとおお火傷を負ってしまうだろう。
ダメージは防護点無効で20点である。

 さらに吹き上がって硫黄とて有害物質で喉を害する怖れもある。
→ この時冒険者レベルを基準に生命判定を行う。目標値は15である。
ダメージは毒で咳き込んで言葉がうまく喋れない。喉をいためてしまうのである。
一日休息を取れば直るのだが、ここでは安心して休むことが出来る場所が無い。

竜の洞窟・入り口 

やがて大きな洞窟と思しき場所に出る。そこは大きな大穴が空き、まるで岩肌の切れ目のようにも見える。ただその大穴は下へ下へと下っているのである。壁は溶解し、溶けかかっている。幾度も熱にさらされた後が見える。
・ ここまで来ると再び大鷲が現れる。大鷲は地面に降り立つとたちまちにうずくまる男となり、マントからは大鷲の羽が舞い散る。オリアレオスである。
「よく辿り着いたな。それでは今よりおまえ達が向かうのはこの洞窟の奥。
そこには竜がいるだろう。会話の通じるような相手ではない。」
「己の力だけで竜を倒す自身があるのならば、私はここでお前達を待つことにしよう。」
→ 助力が必要であると求めるのならば同行する。自分の力を試したいというのならばそれも認めるようである。

竜との対話 

洞窟の奥に下るに連れて赤い光が漏れ出す。やがて熱い熱気が立ち込める場所に訪れる。
そこはぐつぐつと煮立った溶岩の流れる場所である。その溶岩の熱の中に踊り狂うサラマンダーの姿。
しかし、恐るべきはその溶岩は決して火山のためなどではない。そこに住む竜が吐く息とともに溶かした岩が溶岩となって周囲を渦巻いているというだけなのだ。こうしてこの洞窟は次第に作られ下へ下へと伸びている。
・ ここで足場となるのは岩肌が残された外周部分だけである。

一同が訪れ、呼びかけるのならば、溶岩の中から鎌首を上げる巨大な姿がある。その体は解けた溶岩を浴び正確に全容を窺い知ることはできないが、それが竜であることはシルエットからでも窺い知ることができる。
・ 竜はドラゴン語で応じる。
「焼けた肉が望んで俺の腹に納まりにきたのか。それとも退屈しのぎのおもちゃが俺に弄ばれに来たのか?」
「折角遊びに来たのだから楽しんでいくがいい。俺にとってお前は面白い音を出す玩具以上の何者でもないのだからな」と言って自分達の来た入り口の方向に炎をはきつける。解けた入り口からは溶岩が閉ざすように滴っていく。
★ 話す気まったくないドラゴンである。

竜との戦い 

★ オリアレオスの支援は間接的なものである。
・ 平気で2万ガメル×数枚を消費し、全員にバークメイル(防護点+8)、またはヴォーパルウェポン(ダメージ+8)を使用する。これは戦闘が始まる前に準備してくれる。
・ オリアレオス自身は炎などまったく効かないために、相手のブレスや攻撃などはほとんど無視している。
基本的には傍観者の立場なのだが、相手がサラマンダーなどを呼んだ場合、サラマンダーの行動の後に攻撃し駆除する。
★ PCはどうせ戦闘になることを別っているのだから可能な限り自己を強化しておくのが望ましいだろう。

竜の行動について 

● 竜の尾の攻撃はPCを対象とはせず周囲の岩肌を攻撃する。
これによって岩肌が崩れ、足場に亀裂が走ってしまう。こうなると足場から移動しなかった場合は溶岩に滑落してしまうだろう。制限移動でも移動できた場合は以下の判定。判定しなかった場合は自動的に落下してしまう。
→ この時冒険者レベルを基準に敏捷判定を行う。目標値は15である。
落下するとダメージは防護点無効で10点である。

尚足場となる場所を探すには、レンジャー技能を基準に知力判定を行う。目標値は15である。
自動的に2つまで足場は見つかっているが、それを失った場合はこの判定で発見しないと、熱泥の中で戦わなくてはならない。

● ブレス。この熱風ブレスは自分達の足場も溶かし、また強風で吹き飛ばすという効果もある。やはり滑落判定も必要になる。
→ この時冒険者レベルを基準に敏捷判定を行う。目標値は15である。
落下するとダメージは防護点無効で10点である。
ブレスを実行すると直後にサラマンダー1体が誕生してしまう。
このサラマンダーはPCに対して次のターンはブレスなどを吐いて攻撃してくるだろう。

竜に勝利した場合 

この戦闘でドラゴンを撃退すれば、ドラゴンは降伏し一同に命乞いをする。敗れてしまうといきなり卑屈になるドラゴン。
自分の命の助命嘆願の為に一同に対していくつかの提案をしてくる。
「どうだろう命を助けてくれるというのならば、金の山・財宝の海を用意しよう。」
「老いることの無い体を与えよう。どうだろう?」
穢れの酒を勧める。この時竜の用意した酒を飲むと魔物の特殊能力の点が不老となる。でも確率は低い。
1d6で効果は決定される。これは1回ぶんしかない。
1・何もなし。穢れ+1
2・能力値成長6回
3・任意能力値+6/1能力値同時に−3
4・防護点+1/休息時再生1R1点/最大生命点+15/主動作でHP全快(1日1回)
5・防護点+2/常時再生1R1点/最大生命点+30/主動作でHP・MP全快・状態異常治療(1日1回)
6・不老化
→ 知らずに飲もうとするとオリアレオスが(やってきて)口をはさむ。
「飲むでない!・・・穢れの酒だ。」

ここでドラゴンに法外な要求を出した場合、ドラゴンはそれを飲むが、その代わりPCに反逆する。
例えば海を渡る時にPCを振り落とし海に投げ捨てるという風にである。
→ ドラゴンは助力無くPCが一騎打ちで破らない限り本当には従うことがないのである。
→ 一回限り約束である場合は竜も「まぁ一応」という程度に約束を守る。
この場合は竜は自分の名前を明かし、従うことを約束する。彼の名前は「メフメト」である。

『ここでは竜の背を借り、リンドブルムのアジトに向かってもらうことが目的となるだろう。』

海を越えて

竜の背に乗れば海を越えることができる。
・ 魔王オリアレオスはここまででこれ以上ついてはこない。自分が行ってもややこしいことになるだけだと考えている。

竜の背に乗った一同。しぶしぶであった竜も致し方ないとばかりに、翼を広げる。風を渦巻き竜は羽ばたく。
その姿人がまるで風であるかのように失踪する竜。駆け抜けた先では突風が巻き起こり、大地がまるで竜によって揺らされているかのような錯覚を覚える。
「見ろ人間よ。俺は大地の支配者なのだ。羽ばたかねば自分が小さなこともわかるまい。」
「国・国境・下らん争いだ。例えなんであれ俺を束縛することなどできんのだ。俺の翼はどんなものでも飛び越える。」

たちまちにうちに海へ出た一同。
空では吹き荒れる雷鳴が響き、いてついた風が雨とともに顔に打ち付ける。雷が竜の体に当たるも竜はなんら気にする様子も無く羽ばたきつづける。さすがにそれが面倒だと感じた竜は雷雲の中に炎を吹き上げると、雲を追い散らすようにかき消していく。

丸一日とんだであろう竜にはそれでも疲れる様子はまったく見られない。それどころか彼はPCが振り落とされないように加減すらしている様子なのだ。
竜が飛んでいるとその眼下にはワイバーンの群れの姿が見える。竜はなんら関心を持たないようである。
→ 訪ねられると「渡りをしているのだろう」と話してくれる。

リンドブルム家のアジト 

やがて見えてくるのは雲のあいだにまで突き出しているという巨大な山をもった小島であり。その姿は明らかに異質である。まるで海の中に突き立てられた剣のような作りをしている。
竜はそれをしげしげ見ると「どうやら魔剣の迷宮の跡地か何かなのだろう」と感想を述べる。
・ 見たところ周囲には飛空挺の姿などは見えないようである。

その頂点はまるで切り取られたかのように水平になっており、そこには大きな館が一つ立てられている。この館の中庭には飛空挺が1台止められているのが見える。これはリュシアンの船である。
→ 竜は少し怖気づいたような様子で、「夜になったらそっと降ろしてやるから」と提案する。

リンドブルム家にて 

リンドブルム家のアジトでは、こういう防御網であるためにさほど警戒してもいない。

●テレーズ/
テレーズはこの館に軟禁されている。今は落ち着いており何か早まったことをする様子はない。
意気消沈してしまい。部屋に閉じ困っている。
リュシアンはこの館でももっとも過ごしやすい部屋を宛がわれているので、窓から彼女の顔を見ることもできるだろう。

●リュシアン/
リュシアンは部屋で一人仕事として溜まっている書類に目を通したりして時間を過ごしている。
内部では過去襲撃などを受けたことも無いせいで彼女にしては珍しく安心している。
テレーズが何か勝手なことをしていてもリュシアンとしては放任している。まぁここではたいしたことも出来ないだろうと考えてのことである。

●従者/
警備をする執事達は日に一度の報告を受けてそれをリュシアンに報告している。
リュシアンのもとには使用人や他の船からの情報がまとめられて一律で報告されるようである。
館の中を歩き回る使用人たちの中には前回やってきた使用人達の顔も見える。
彼らはリュシアンに対してあの後の顛末を報告している。
・ おそらく倒されたであろう死鋼のことを報告し、冒険者達の魔王狩りは下火になったことが報告されている。
・ リュシアンは魔王のことを気にしているようだが、従者達はそんなリュシアンの心中がわからず訪ねる。
従者「あの魔王にはもはや打つ手などないでしょう。」
リュシアン「お前にはわかりませんか。私は今まで多くの人々を見てきた。
だから言えることがあるわ。あの目は何かする者の目よ。
たとえ絶対にここまではこれないとわかっていても、確信があるの。あいつは必ずここに来る。」

テレーズとの再会後の流れ 

@ テレーズと再会した場合、テレーズは大いに驚き、一同に抱きついてまでして再会を喜ぶ。
テレーズは自分の母親がPC達を処分してしまったのではないかとすら案じている。
→ テレーズは「ここまでどうやってきたのか」を訪ねるだろう。

A 脱出を考える一同に対してテレーズはその前にやっておくことがあると告げる。
それはリンドブルムの飛空挺に細工をすることである。飛空挺の操縦は一人では出来ないし、自分達だけでは飛空挺を奪うことはできない。それに逃亡していたら彼らが追ってくるのは自明の理である。
→ 幸い、中の警備は厳重ではないので、飛空挺に入りこむのは苦労がない。
・ ここでテレーズは内部の火薬庫に爆弾を仕掛けてしまう。
「一度くらいあのお母さんをギャフンと言わせてみたかったのよね?」

B 飛空挺に細工をした一同であったが、この頃となるとテレーズがいないことが発見されてしまう。
テレーズ一同が中庭に戻った時点で発見されてしまうのである。
周囲を取り囲む従者達、それを従えて姿を現すのはボスであるリュシアン・リンドブルムである。
・ リュシアンは一同を取り囲みも始末することを考える。リュシアンの中には魔王と手を組むという選択肢はないのである。

リンドブルムの巣立ち 

テレーズはリュシアンの手勢に包囲されても今度はひるむ様子はない。
「口で言ってもわからないってわかったから態度で示すわ。お母さんが大嫌い!」
そういってスイッチを押す。それを合図に飛空挺は爆発炎上。ガレキと噴煙を巻き上げて、炎が巻き起こる。その衝撃で周囲の従者達は倒れ、情況がわからず狼狽する。
★ 脱出のタイミングは今である。

竜を呼び寄せるのならば 

竜はその一度の中に風を撒いて現れる。建物へと舞い降り建物を砕き、そのまま一同のいる中庭へと突き進む。
一同のほうに向かっては手を差し伸べるように伸ばす。
「掴め人間」
→ この時冒険者レベルを基準に敏捷判定を行う。目標値は15である。

エンディング

唖然とするリュシアン。テレーズともども空へと消えるPC達。
リュシアンはそれを呆然と見た後、何を思ったか思わずクスクスと笑い地面に座り込むと、大の字倒れてしまう。
立ち去る竜に手を伸ばし、それが届かぬことを確かめる。
「我が愛娘が巣立っていった。もう私の手の届かぬところへと行ってしまったようね。」

従者「あの魔王といかせてよろしいのでしょうか。」
リュシアン「もうあの子は子供ではない。好きなように生きて、好きなように死ぬだろう。それでいいのよ。」

そして魔王の伝説が 

リンドブルムの令嬢をさらったという魔王の話はたちまちに噂として広がった。
苛烈で知られる当主リュシアンがこのことに賞金をかけなかったことを人々はいぶかしんだが、その真相は語られることはないだろう。そして白紙であった魔王の伝説にもまた新たな1ページが刻まれることとなった。

報酬

というわけで経験点はやはり1000点
成長してくださいな。
テレーズからのお礼は、
約束どおりヘソクリの1万ガメル。父親の形見のアンクレッド(こっちはすでに渡していることだろうが)。
●アイテム『不死鳥のアンクレット』。
翼を広げる不死鳥の形をしたアンクレットで首飾りのように首から下げて使用する。
これは生死判定を1度だけ6ゾロにすることができるアンクレットである。

登場人物

●『リュシアン・リンドブルム』LV13

先制値20
・生命点:70 /生命抵抗:15+2D(22)
・精神点:30 /精神抵抗:17+2D(24)

命中:17+2D/ダメージ:打20+24/効果:銃使用
回避:17+2D/防護点:2
★魔導器術13レベル・魔力17+2D


★所有しているのはロングライフル・カルネージ。両手持ちの武器を執事の手を 借り手を添えてもらい2丁持って戦う。

魔法のアイテム
『7フィート・ロングバレル』
形状:210pの折り畳み式ライフル。
必要筋力:25
魔力+2
効果:この銃の攻撃を受けた対象は10m後方に飛ばされ転倒、次の主行動をキャ ンセルする。この銃は連続した出番に使うことはできない。


●『テレーズ・リンドブルム』LV5

先制値20
・生命点:30 /生命抵抗:7+2D(14)
・精神点:30 /精神抵抗:8+2D(15)

命中:10+2D/ダメージ:打20+12/効果:銃使用
回避:10+2D/防護点:0
★魔導器術5レベル・魔力17+2D


★本来魔物技である連続攻撃2を可能。攻撃が命中し続ける限り+2回まで攻撃 可能。
魔法のアイテム
『トランク・イン・ザ・ガン』
形状:黒塗りの旅行鞄で、1m程の大きさがある。
効果:内部に納められた銃を装備する場合、装備によるペナルティを無くし、装 備の順番制限を無効化する。この中に収納された弾丸にかけられた魔法は、鞄の 中に有る限り持続する。
また盾としても使用でき必要筋力17・回避+1・防護点+1として扱う。


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