屋敷の主

GM :誰もいない。押入れがあるのはさっきの和風の寝室みたいだね。知力判定を。

十蔵 :−5。

GM :この柱だけ逆になっているね。

ヨシア:なんでしょうこれ。

十蔵 :欠陥住宅だな。

ヨシア:いや違います。なにか意味があるんですよ。こういう建築には何か悪いことがあるような気がしないでもないです。

GM :そいつを考えるならまた神秘学判定を振ってみておくれ。

ヨシア:成功。

GM :逆さの柱、逆柱があるとその家で家鳴りが起きたり不幸なことがおきるという話が民俗学的にあった気がする。

十蔵 :柳田邦光先生のご高説ですか?

GM :違う。本物のほう。柱を元に戻すとどうにかなるとかいう話だったけど。


柳田邦光は吉亜たちの知り合いの民俗学者。
妖怪にまつわる伝説などを研究しており、時折相談を受けることがあります。
ちなみに本人は妖怪の存在には全然気づいていません。


ヨシア:十蔵お願いします。

十蔵 :上と下をちょん斬ってクルッと回してまたはめればいいか。

ヨシア:そういうことになりますかねぇ。大変ですよ。

十蔵 :それより逆立ちしてみてこの柱がちゃんと合ってるようにしてみよう。

ヨシア:ちょうどいいから腹を蹴ってやる。受けが封じられてますからね。無敵ですよ今の状態は。

十蔵 :じゃ蹴り返す。

ヨシア:え。やめて。あと5分やめて。

十蔵 :カポエラキック。

ヨシア:あとちょっとなのにぃ!やられたらおかしくなってしまいます。…慎重になろう。

GM :君たちが柱に近づいていくと…。

ヨシア:私近づきません。死んじゃいます。

GM :「やめてやめて」という声がしてパタパタと障子の後ろを何かが走っているような音がする。

ヨシア:ソニック手裏剣を手に持ち…。

GM :何かが軋んだような音がする。柱がグリグリと動き始める。

ヨシア:あと4分〜!!


二重人格の吉亜は、戦闘技能のほとんどを裏人格が担当しています。
今の彼女は表人格。戦闘になればかなり厳しいことになるでしょう。

人格交代までは最低でもゲーム外時間で1時間。
なんとか間をもたそうと彼女も必死です。


十蔵 :直接危害があるようなもんでもないんでしょ?

ヨシア:奴はポルターガイストを起こせます。

GM :ジリリ〜ン。

ヨシア:電話だ。

GM :奥にある電話が鳴る。

ヨシア:十蔵取ってみなさい。

十蔵 :はい?

GM :「邪魔をするなぁぁ」

十蔵 :いやそんな僕は決して。(妙に焦った様子で)

GM :ブツッと切れる。同時に柱がキリキリ回転し始める。

十蔵 :邪魔するなって言われちったよ。

ヨシア:あとちょっと〜。

十蔵 :見苦しいぞ!

GM :周りの障子がパタパタと倒れ始めて、君達の周りを取り巻く。

ヨシア:これはとてもいけませんよぉ。ど〜すればいいんだ。

十蔵 :ぼぉくたちは君に危害を加えるつもりはなぁ〜い。(棒読み)

ヨシア:もはや弁舌で戦うしかない。そう彼の言うとおり!私たちは害意も悪意もございません!

GM :「睦月を取り返しに来たんだろう〜」

ヨシア:無害なことを証明するんですよ。そうだ思いっきり頭を悪そうにしましょう。コイツら頭悪いから問題ないって方向で。

十蔵 :軽蔑した目で見てよう。

ヨシア:今生き残るために必死なんですよ。あと3分なんですよ。カップラーメン1個でいけるのに。その後だったらいくらでも相手してやりますよ。

十蔵 :じゃあ…。睦月がどこ行ったか知ってるのかぁ?

GM :それを聞くと相手は「おおおおお」と吼え始める。

ヨシア:逆効果じゃないですか〜!ハァハァ「この人形はなんですか?」

GM :周囲は障子に囲まれた変な空間になっているんだけど…「昔この家に住んでいたものだな」と答える。

ヨシア:なんなんですか?

GM :「ワシが睦月をここに住まわせたのを知って助けを呼びに行ったのであろう。捨てられたのに忠義なことだ」電話がそんな風に喋る。


吉亜と十蔵が会った睦月は実は、睦月のぬいぐるみです。
ぬいぐるみは自分のよく知っている姿、睦月の姿に化けて助けを呼びに行ったのですが…。
…ちょっとわかりにくかったかも知れません。


十蔵 :ということはおまえが無理やり睦月をこの家に呼び寄せたのか?

GM :「ちが〜う!」そう言いながら周りに沢山の柱が渦巻くように回っている。

十蔵 :すごい光景だな。

ヨシア:あと1分ですよ〜。あと1分ですよ〜。

十蔵 :じゃあ面白いこと教えてやろうか。

ヨシア:なんです。

十蔵 :…60秒って長いぞ。

ヨシア:ガープス時間にしないで下さい!

GM :「睦月を連れてくなら、た〜だ〜じゃ〜お〜か〜ねぇ〜」

十蔵 :睦月がそれを望んでいるのか!

ヨシア:そうですよぉ。睦月君の意思を尊重しないと。

GM :黙った。…そして柱がギャリギャリと回転しながら君たちのほうに迫ってくる。

ヨシア:…十蔵がんばって。あと数秒。

十蔵 :ここで弥生が傷ついたら睦月も悲しむぞぉ。

GM :柱が一瞬止まり、畳がパタパタとドミノのようにすごい勢いで弥生を遠くに運んでいく。

ヨシア:キター!ピコーン!人格変更!!フフ…いつでも来なさい。

十蔵 :ち。盾が消えちまった。

ヨシア:自分たちが人質にするつもりだったんですか。ふ…まあいいんですけどね。早速行きますか。

GM :変わりすぎだ!

十蔵 :任せた。


やっと戦闘モードに入った吉亜。
対する逆柱は典型的なパワータイプ。
技術自体は低いですが、体力と大きさに任せて回避困難な攻撃を連発する厄介な妖怪です。


ヨシア:さてと。ベレッタを取り出して…片っ端から倒してあげますか。

十蔵 :柱相手にそれじゃ無理だろう。

ヨシア:…そうかも知れないですね。

GM :では移動力順。こちらは12。柱はものすごい勢いで回転し始める。その勢いで柱のそこかしこから釘が飛び出し、雨あられと降り注ぐ!全包囲攻撃なので避けは無効だ。

十蔵 :ESP発動!銃弾受けだ。受け回数が足りないか?

ヨシア:全力防御をするんですよ。これはまずいですね。十蔵の後ろにいましょう。

GM :そのまま君たちに向けて体当たり。体力判定は-150。

十蔵 :体当たり?(コロコロ)体力判定+1。

GM :+1?君まだ変身してない?

十蔵 :してないよ。1ターン必要だもん。

ヨシア:それは危ないですね。私がお相手しましょう。ダメージを言って下さい。そいつをESPで回復する。…時間停止も使うか。


なんだかんだ言って代わる代わるガードしあう吉亜と十蔵。
いざ戦うときのチームワークは抜群です。


GM :わりと痛いぞ。51点ぐらい。

ヨシア:51点は相当キツイんだけどさぁ。40点は時間停止した布で防ぎ、11点は直撃して回復だ。痛ぁ。硬気功も使えばよかった。こんなんでよく十蔵と戦えてたなぁ。

GM :最後に横になってグルッとなぎ払う。これも範囲攻撃なんで避けは不可だ。

十蔵 :受ける。−15で受けてるぞ。

GM :こっちは体力で転倒させる気満々だ。−100何十とか言ってる。

十蔵 :そりゃ転倒しますよ。

GM :ターンエンド。

十蔵 :寝転がったまま変身。立ち上がって終了。

GM :こっちの行動は同じだ。まず釘の散弾銃。

十蔵 :50点ぐらい止めるけど抜ける?

GM :抜けるかも。16Dくらいだから。

十蔵 :そりゃ抜けるよ。えっ強くね?

ヨシア:…武器がないんですよ。

十蔵 :一回目の範囲攻撃で吉亜の前に出てそのまま喰らうわ。

ヨシア:悪いですねぇ。

十蔵 :24点通るでしょ?生死判定成功。

ヨシア:危ないですよ。…私なら即死ですけど。

十蔵 :来い。

GM :行きます。体当たり。

十蔵 :体当たりは無理なんだって。ダメージいくつ?

GM :49点だった。

十蔵 :チーン。(弾く)

ヨシア:あれは危ない。

十蔵 :最後の行動で柱はフワっと上に浮き上がる。

ヨシア:なんでしょう。仕方ないですねぇ戦ってみますか。銃撃ってみましょう。どれぐらい効くか。タンッ!

GM :回転し始めた。物理反射でそのまま返してくる。ダメージは?

ヨシア:3点…。ダメですよこの武器じゃ。だが私だってなんの考えもなしに撃ってるわけじゃない!同じ場所に48発撃ち込む!いや壊れないかと思って。

十蔵 :しゃがんどこ。

GM :返すのは7点まで。後は喰らう。

十蔵 :柱なんだから火が一番いいんだけどね。

ヨシア:そんな術はありません。

十蔵 :ま、俺もできないんだけどな。

ヨシア:コイツで通じないんだったらほとんど意味ありませんよ。

十蔵 :遠距離攻撃鬼斬り!

GM :特にマイナスがないなら…あんまり高くないけど避ける!

十蔵 :6回攻撃…。いや3回にしてそれぞれフェイント入れよう。−10。−15。−9。

GM :うん喰らってる。

十蔵 :ダメージ!ひどいねぇ。41点を3回。斬りで。

GM :140点ぐらい喰らった。

十蔵 :…のこぎりがほしいな。

ヨシア:どうしよう?

GM :対戦車ライフル持たせておくべきだったか?でも普通持っていくようなもんじゃないしな。

ヨシア:仕方ないですね。…手刀。

GM :なに?

ヨシア:ダメージは…8点。

GM :それはちょっとキツイな。

十蔵 :バスーカーとかないの?

ヨシア:全部車です。駐車違反で止められたら国際問題です。

GM :んじゃおなじみの釘爆弾行くよ。

十蔵 :受ける。

ヨシア:畳返し。っていうか止め。

GM :さらに空中から棒が落ちてくる。地面が波のように揺れる。体力判定。失敗すると転びます。

ヨシア:相打ちでジャンプ。

GM :そのまま体当たり。どっちがいいかランダムで…。(コロコロ)吉亜。

ヨシア:…気合入れるしかない。

十蔵 :最初から入れとけ。

GM :44点。

ヨシア:受けます。ボキボキボキ!…しかし柔道技能で組み付きましたよ。…この距離なら短頚が打てます。

十蔵 :柱の急所とかわかるの?

ヨシア:わかりません。がむしゃらに打つだけです。…8点が5回。

GM :むう。厳しいな。神秘学を振ってくれ。逆さ柱は逆さまにすると妖力を失うらしい。

ヨシア:では逆さまにする…と言いたいところですが…私の腕はもうダメ!

十蔵 :逆さまか…。まあ俺も体力じゃ勝てないんだけどね。

ヨシア:組み付いてるから自動ヒットです!ぶった斬ってくださいよ!

十蔵 :ああ〜低い。40点が6回。最後に妖術。55点。

GM :逆さ柱は打撃で回転し、最後に打ち込まれる。「ああぁ〜」と呻き声のようなものがあがり、障子空間が消えていく。「降参だ…もう2度と機会はないと思ったから…もう少しだけ引き止めたかったんだ…」

十蔵 :刀の背で一生懸命叩いてよ。

GM :君達は押入れの前に戻っている。怪我とかはなくなっているな。

ヨシア:きぃ。やってくれましたねコイツ。ライフルがあればこんな奴。…まあ半死半生にしてくれた罪は許せませんけど…まあそれは自分のことですからね。


住まう家族のいなくなった逆柱は、家を訪れた睦月と弥生を帰したくありませんでした。
吉亜と十蔵のことも、お父さんとお母さんの代わりのように考えていたようです。
睦月を取り返そうとするまでは。

ちょっとかわいそうな妖怪のつもりでしたが、破壊力がありすぎましたね。
痛い目に遭わされたPC達は怒りのほうが勝ったようです。
反省。


GM :押入れの中に子供が気持ちよさそうに眠っている。弥生さんも廊下をパタパタと走ってくる

ヨシア:ああヒドイ目に遭いました。その子供が押入れの中にいますからさっさと回収しなさい。

GM :「なにやってるの睦月!」ピシピシ「ン…お姉ちゃん?」「もう…」

ヨシア:もっと火力のある武器を…。(ブツブツ)

十蔵 :体鍛えろ。

ヨシア:そうですねぇ。ボクサーにでもなりましょうか。

十蔵 :腕の中に大砲でも仕込めよ。

ヨシア:無理ですから。

GM :「…今ね。ちょっといい夢見てたんだよ。最後のほうはなんか凄かったけど」

ヨシア:死ぬかと思いましたよ。

GM :じゃあ弥生さんは「家に帰ろう?」と言って「うん」と睦月は頷く。 

ヨシア:あれぇ?そういえば十蔵は物質を破壊できる妖術を使えるんじゃありませんでしたか?

十蔵 :できるよ。

ヨシア:それは妖怪にも効くんじゃなかったですか?…この野郎!!

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