玄関前
夕闇の中にポツンと溶け込む古い家。
そろそろ夕餉を囲む時間。
明かりの消えたその家は寂しげにただ佇んでいる。
ヨシア:まぁ…この家は問題あるんですけどね。
十蔵 :とりあえずお札貼っとけばよくね。
GM :二人は家を出るとき「ありがとうございました」と頭を下げていく。
ヨシア:ぶち切れて柱を蹴っておこう。
GM :「ああ〜やめてよ」では二人は新しい家に帰っていく。さっきのぬいぐるみとか抱っこして。
十蔵 :明日はちゃんと学校に来いよ。
GM :「はい!…やっぱ欠席になるのかな」
ヨシア:ええなりますとも。
十蔵 :ていうか今何時?
GM :夜中辺りだな。
ヨシア:これで明日の夜だったら大変ですからね。保健室の先生なんて1日いなくても怒られませんけど。担任の先生じゃ話は変わりますからね。
十蔵 :まあ一日ぐらい平気だろ。
ヨシア:平気じゃありませんよ。
GM :歩いていく二人の背中からぬいぐるみがチョコチョコ手を振る。
ヨシア:あれも妖怪ですよ。
十蔵 :ま、いいだろ。
ヨシア:ここでぬいぐるみ撃ったりしたら最悪のオチですしね。
十蔵 :ところで車は?
GM :たった今、公僕がシールを貼ろうとして…。
ヨシア:後ろから当身を!
GM :ま、それはいいとして君たちの前に車が止まる。中から着物の老人が出てくるね。「おお。君達は」
十蔵 :只者じゃねぇ。
GM :老人は柳田邦光先生だね「この家を借りることにしたんじゃよ」
ヨシア:どうしましょうか。
十蔵 :まあ…いいんじゃないの?
GM :彼は逆柱の話を聞くと、神に近づかないために柱を一本だけ逆さにしておくと言う魔除けのような意味合いの逆柱のことを教えてくれる。
ヨシア:ま…私はコンクリートジャングルに住んでるから関係ありませんけどね。
GM :鉄筋が1本だけ逆さに…。
ヨシア:そういうのはあれになるんですよ。耐震強度偽装に…。
GM :そりゃ妖怪より怖いのう。
ヨシア:いつだって一番怖いのは人間です。
十蔵 :そのとおりだよ。
ヨシア:妖怪が言わないで下さい!
こうして、奇妙な失踪事件は終わりを告げました。
逆柱の家も新しい住人を迎え、新たな思い出を刻んでいくことでしょう。
日常戻った保健室。
人知らず事件を解決した二人は相変わらずの日々を過ごしています。
GM :では数日後。保健室だね。
ヨシア:…彼らはまた学校を休んだ。
GM :あの家は取り壊しだ!って違う。保健室では十蔵がなおした扇風機がブィーンと回転している。相変わらす変なところで止まるけどね。
ヨシア:もういいですよ。諦めました。
GM :雨は上がって…これから暑い季節がやってきそうだ。
十蔵 :暑いから保健室で寝よう。
ヨシア:帰れ!この野郎!
おしまい
あとがき
ゴミ捨て場に持っていったら扇風機が風でカラカラと…。
そんな体験からこの話は作られています。
逆柱は確か漫画の百鬼夜行抄や、その他もろもろを参考にしたんじゃなかったかな。
シナリオ自体はシンプルで、一通り怪奇現象を見て回ったら妖怪と対決、という妖魔夜行ではやってしまいがちな内容になっています。
実際には、睦月が誰だかPCにはわからなかったり、のっけから病院に連れて行かれそうになったりで、GMもPCもだいぶ苦しんだりしていますね。
吉亜と十蔵のノリの良さに助けられました。
そんなこのシナリオをリプレイにした一番の理由は…ぶっちゃけ短いからだったりするわけですが、
いざ聞いてみると当時のやり取りが思い起こされてなかなか感慨深かったり。
このシナリオを録音していたのはほんの偶然ですが、他のもとっておけばよかったなぁと後悔したり。
なんにしろ、彼らのプレイの雰囲気を感じていただければ幸いです。
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