幻想戦記リプレイ シーザーVSレオン
レオン 対 シーザー
風雲急を告げる空。
天は曇り、今にも雨が降り出しそうである。そしてフランス首都・パリス郊外で、両軍は対峙する。
というさきほどの部分である。
その数は一見して互角拮抗していた。
見た目には45・50のいい勝負。しかし、水面下ではすでに作戦が始まっているのだ。
シーザー「では馬を陣頭に進めよう。レオン王!」
レオン 「では私も馬を先陣に進めます。
両軍の王がまず馬上にて言葉を交わす様は、まるで三国志のような戦記ものを彷彿とさせます。
レオン 「貴殿が我が国の国土を踏み荒らす輩か!王たるもの母国の地盤無くしては始まらぬ。兵をとってかえし、国内の安定を図るのが、良計よ。取り返しのつかぬようになる前に戻られるのが良かろう。」
シーザー「戦場では礼を尽くさぬのがならい。ご容赦なされたい!
ことここに及んで、事の是非を問うような無粋な真似はいたしませぬ。
互いに武勇・智謀の限りを尽くしましょう?
ではレオン王よ。まず兵をもって競うか・策をもって競うか?!」
レオン 「・・・ふぅむ」
レオンの軍勢に将兵はあまたいますが、武勇ということでは他国との戦いに勝てるだけの逸材がどれほどいることか。対する相手はバイキングなどを寄せ集めた蛮族の兵士。ともなればこの戦・武力の押し合いで戦うのは好ましくありません。
レオン 「策を用いて勝負をしようぞ!」
シーザー「では!と馬をひるがえし。戻ってくる。」
後日談:
シーザー「戦というものは勝てばよし、負ければ悪し。その機会が訪れたのならばなりふり構わず戦をしかけれるべきであると『前田慶次』も言っている。」
レオン 「まぁ、体裁を気にかけて国を傾けるわけにもまいりませんからな。しかし、此度は不意打ちですぞ?」
シーザー「いや最大限の礼と受け取ってくださいな。そうしなければ万に一つの勝機も無かったからね。」
GM 「ちなみにこの時、戦場の習いと互いに言葉を交わす二人ですが、この挨拶「まず兵をもって競うか・策をもって競うか?」が計略の始まりだったとはこの時点では気がつきませんでしたね。」
ミドルフェイズA パリ・郊外の戦い/第一局面
さて戦が始まると両軍の行動を開始します。
さっそく行動したのはシーザーです。配下の兵・ミーシャに命じて別働隊をセーヌ川の上流に移動させます。
レオンは多くの密偵を予め配置する作戦に出ています。この時点ではミーシャの動きは看破されています。
要は、それに対してどう反応をするかというところです。
レオン軍は・・・
レオン 「ミーシャの部隊は5部隊か。さして多い数ではないな。
さて、どうするべきか。では武官でドーベントを呼びます。」
GM 「天幕の中、戦の仕度にかかっているレオンの元に、黒い鎧の騎士がやってくる。
天幕の中のランタンの明かりに照らされる男『ドーベント』だ。モミアゲが長くマユのつながった男が現れる。黒い鎧を纏い、襟に獣の皮を飾っている。
『お呼びで』と敬礼するね。ちなみに彼は暗黒騎士だ。」
シーザー「外見的には格好良くないよね。」
レオン 「うちの軍勢のルックスはちょっとね。でも100年経てば美形の肖像画に描きなおされますよ(笑)」
このドーベント。古強者で知られる人物です。
ドーベントの父・グラスコーはレオンと長年ともに戦ってきた部下でしたが、グラスコーが引退した後は彼が後を引き継いでいます。このドーベント。彼は父同様にライカンスロープであり、戦となれば黒いドーベルマンのような顔となって戦います。
かつてレオンが暗殺の窮地に立たされたとき、ドーベントはレオンの乗る馬車を一騎で守り抜いたという経歴を持ちレオンの信頼を勝ち得ました。
レオン 「さてドーベント。セーヌ川上流に敵が5部隊が向かった。どうみるかね?」
GM:ドーベント「5部隊じゃたいした戦果は上がらないでしょう。計略のためと思うべきでは?」
レオン 「提案があるかね。」
GM:ドーベント「こちらも監視の軍勢を派遣して、相手の兵力の動向を見て随時対応するというのがセオリーかと」
レオン 「ふふ・・・(誇らしげにユビを立てる。)ドーベント君。これは計略だよ。」
GM 「???」
レオン 「私はここ数日この首都近郊に密偵が来ていないかを調査させたが、どうやら来ていないらしい。
セーヌ川上流に向かった部隊が何かの計略を行うためには時間と下準備が必要だ。
しかし、今回はその両者も無かった。」
GM:ドーベント「では相手の狙いは?」
レオン 「私は長年こんな戦ばかりしているからわかるんだが、この手ごたえ・・・あの兵士は囮だよ。
こちらの兵力を陽動するために配置した、いわば弱兵と見た。
相手の狙いは、こちらの戦力の分割だ。おそらく正面の兵士も数を多く見せた偽の陣と思う。
とすれば、お前に一つ働いてもらいたい。」
GM:ドーベント「正面から叩いて、手ごたえで相手の正確な戦力を推し量る、ですね」
レオン 「その通りだ。話が早くて助かるよ。」
GM 「では第一局の開始だ。翌日の早朝。ついに軍勢は動き始める。レオン軍・ドーベント率いる軍勢が正面から出てくる。部隊の数は20ほどで、この攻撃の構え・・・様子を見るなんていう生易しいものではない。
対するシーザーの軍はミーシャの軍を減らしてしまい。戦力は低下気味だ。」
※ この軍勢。レオンの読みとは違い偽兵ではありません。
双方の思惑とは外れ、戦はしょっぱなから大きな総力戦に入る様相を迎えました。
シーザー「(苦笑)」
GM 「相手の軍勢が動き出したわけだ。指示を求めて集るバイキングとか諸々・・・が集る前に一人女性が傍らに。
シーザーと目が合っては笑顔を浮かべる。乗馬服の貴婦人・護衛であるコンスタンスだ。」
シーザー「他に誰もいないか?」
GM 「自分の帽子の中に妖精のシフォンがいるが・・・」
シーザー「それはいい。」
GM 「コンスタンスは動じている様子も無い。ただ、何かいわれるだろうお言葉を待っているね。」
シーザー「(アゴに手を当てて)凄いなレオンは。
レオンの見立てどおりミーシャは陽動だ。
ミーシャの陽動にもかからず、そればかりか、正面から兵を押し上げてきた。歴戦ゆえの勘と言うべきか・・・
皆には言うなよ。王が顔色を変えるわけにはいかないからな、と口元まで覆面で覆う。」
GM:コンスタンス「この局面は皆に頼られてはいかがでしょぅ。皆もそれを望んでいますよ」
シーザー「・・・そうだな。」
GM 「帽子の中の妖精シフォンは出てきては何かを取り出す。」
妖精シフォン
:北欧の妖精で種族的には邪妖精と呼ばれる。姿見を変える力とサイズを変える力を持つ。スプリガンなどに近い魔物。
種族としてはフィボルグ・フィモールなどと呼ばれる。
先代ネロの時代では敵として登場したが、ネロは彼らと協定を結び部下とした。
シフォンはフィモールでもっとも頭がいいとされているが、素行はあまり賢そうには見えない。
GM 「木の皮を虫って取り出した虫だね。それを差し出す。」
シーザー「いゃ・・・、いい。」
GM: 「で、実際ピンチなん?」
シーザー「予想した通りの、な。」
さてレオンの軍勢に対して、正面から応戦するシーザーの軍勢、指揮するのはロロという巨人族の族長の息子である。
早期に動いたレオン軍はここでよもやの反撃を受けることとなる。
巨人族の弓矢は予想以上の飛距離を持ち、ドーベントの軍勢を襲い掛かる。
レオン 「何が起こったのかね。と様子を確認。」
GM 「とその見上げる頭上から矢が降り注ぎ、天より降ってくる。地面に突き刺さったそれはまるで槍のようにすら見える。しかし、これは魔剛事なき矢なのである。」
レオン 「バカな。この間合いで?!」
GM 「とか言ってると降り注ぐ。」
レオン 「お助け!(凄く嬉しそうに逃げ回る)」
GM 「すんでのところで、横から降り注ぐ矢をつかむ腕。ドーベントはそれを掴むと、へし折り。『数えろ!』と指示を出す。」
どうやら、相手の戦力はそのまま。本隊がここに布陣していることを一番槍で互いに確認しあった両軍である。
ドーベントは理知的を装うがここはライカンスロープ。この矢の雨をものともせず、進軍を考える。
GM 「頭を掻いたと思ったドーベントの髪が黒く染まり、そしてドーベルマンのような顔をあらわすと、一同に視線を送り、『騎馬隊準備』と声をかける。」
★ 戦場では小競り合いが開始される。
巨人の攻撃力をマジマジと確認し実力はこちらの部隊をやや上回ると判断するレオン。そしていよいよ両軍の激突が開始しようというそのときである。
レオン 「まった。ドーベント。」
GM 「ドーベントは跪き視線を上げる。」
レオン 「引き上げだ。今回の目的は戦力の確認だ。戦ではないからな」
GM 「ドーベントはその命令の後、一瞬瞳を大きく見開いたものの、あとは冷静に静まり、『御意』と答える。
相手の軍勢を振り返り『命拾いしたな』とポツリとつぶやくわけだ。」
一方シーザー側。
GM:コンスタンス「おや?相手の軍勢が撤退を開始します。」
シーザー「であろうな。一手打っておいたからな。」
GM:コンスタンス「は?」
シーザー「レオン王は元々武官に恵まれず、内政官を重視した国づくりをしている。そのレオンに武勇か知略かと問えば知略を選択するのは当然だ。
我々にとっては正面からの激突は勝ち負け以前に避けたい事態なのだ。そのために相手に武力攻めというカードを出させないようにする必要があった。そこであのように言ったのだ。」
GM:コンスタンス「しかし、それでも力押しをよく留まりましたね。」
シーザー「相手は作戦で挑むとこちらのことも踏んでいる。無理に仕掛ければ被害を出すのではと考えているのだ。
しかし・・・」
GM:コンスタンス「しかし?」
シーザー「実際のところ、我々は正面のこの場において、レオンを押し止める計略は・・・無い。」
GM 「!!!」
シーザーの陽動を看破し、レオンは正面からの攻撃に転じたあたりはまさに歴戦の名将であることがわかります。
この辺りの長年の実戦経験からの勘の良さは、脱帽です。
対峙したシーザーは相手の矛先を向けられながらも打つ手は無く。来るならば全軍の激突になりかねない情況。
その情況を陣頭の言葉の駆け引きで回避します。
序盤の小競り合いはまったくの互角というところ。両軍はまったく被害を出しません。
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