サイドB 【愛していても】
シーンPC 駕籠の鳥王子フィンチ
GM:ランカスターの下に馬を飛ばす王子。その後ろをフランクが走ってくる!
フィンチ:「フランク!?」
GM:「僕も行きます! 僕はあなたの騎士なんです!!」
フィンチ:「ありがとう! フランク! ありがとう!」
GM:そして二人して騎乗でランカスターの下に向かうのだけど……
フィンチ:乗馬が下手!
爆笑!
ジィク:ハバリクすまないが――
GM:並走した馬に乗った男が手綱を掴み、君を自分の馬へと案内する。「始めまして王子。ハバリクと申します。以後お見知りおきを」
ジィク:助かるな。
GM:久方ぶりの港町だった。不安を駆り立てるように戦支度に明け暮れる町並みを馬が抜ける。
ジィク:この物々しい雰囲気はなんだ。やはり戦は本当に始まるのか。
GM:君はここでは不審者ではなく見知った仲間だ。館である船も物々しい。見慣れた君には軽い挨拶がかけられる。案内されるのは彼女の執務室である。そうしてヘルメスとの再会だ。
フィンチ:僕は部屋にかけていく。「ヘルメス!」
GM:「ホントあんたは人の都合を考えないよね」地図を丸めて束ねるヘルメスは苦笑い。
爆笑!
フィンチ:「連合の中にあなたの名前があったんですけど……」
GM:「そうだね」とぶっきらぼうに答えるヘルメス。
フィンチ:「なんで……いつですか。アルテイが来た時ですか?」
GM:「ああ、その時だよ」
フィンチ:「僕を! 僕を解放する条件だったんですね」
GM:「バカだね……アンタのためじゃないよ」
フィンチ:どうして……
GM:ヘルメスはこの戦には反対だった。ただ、彼女がこの話に乗ったたのは。ガルデンの気持ちを察してやるだけの器があり、それを尊ぶ思いがあったからである。
フィンチ:あ……あ…あ
GM:それは彼女の立場を窮地にするものであったとしてもだ。そして彼女は戦支度を進めていた。「これでウルスもタタールも終わりね……」そうつぶやくヘルメス。物憂げである。
フィンチ:「お願いだ。知恵を貸してよ。僕はこの戦いを止めたいんだ。もう僕がどうだとか、個人がどう考えるかという問題じゃないんです!」
GM:「アルテイは望んで挑んでくるんだよ?」そう、彼女の考え方は一貫しているからな。
フィンチ:「アルテイはそうかもしれないけど! 巻き込まれる人が一杯いるんです」
GM:「バストラールの政治が彼らの蜂起を――」
フィンチ:「制度は変わるんです!」
GM:言葉を止め、その瞳を見ては意味を飲み込むヘルメス。
フィンチ:「……」
GM:「あんたがやったのかい?」
フィンチ:「……はい。奴隷制は終わるんです。まだ上手くいかないことは一杯ありますけど、それもなんとかします」
GM:その瞳の力を見ては、少し考えるヘルメス。何かの納得と、肩の力を抜いた手振り。
フィンチ:「アルテイのところに行くんですか?」
GM:「ウルスとタタールを全滅させるわけにはいかないでしょ」
ジィク:戦う覚悟はできているんだな……
フィンチ:ヘルメスとは戦いたくない。
GM:「王子、大切なことを教えるわ」そういって屈んで顔をのぞき見る。
フィンチ:「ヘルメス」
GM:「戦争における善悪観念は捨てなさい。戦争は善でも悪でもないわ。戦争は生存競争、勝てばいいの。相手はそういうつもりでくるのだから、卑怯も何もない。そう思ってあげなければ、命というものに失礼すぎるわ」
フィンチ:「ん」(唇を硬くつぐむ)
GM:そして肩を掴む。「あなたが、誰かを愛していても戦うの。愛していてもなお戦うの。戦っても、あなたは人を愛せるのだから。生き残りなさい。生き残れば、あなたはあなたの出会った人を全てを大切にできる」
フィンチ:うう……
GM:フィンチの涙を指で拭ったヘルメスは「アルテイ軍の援護として私がバストラール軍の背後に回れば、アルテイはそこを通って突破を図るはずよ。連れて行ってあげるわ」
フィンチ:「え!?」
GM:「そこからは貴方がやりなさい」
フィンチ:「じゃあ!」
GM:「でも一人じゃダメよ」
フィンチ:「わかった。僕はそこで仲間と合流する。僕には仲間がいるんだ」
GM:「でもちゃんと恩を返すのよ。次のバストラールの矛先は私に向かうんだから」
フィンチ:「いつも世話になってばかりだね。でも絶対恩返しするから」
ジィク:ランカスターは凄い心強いな。俺たちは仲間の合流まで時間稼ぎをして突破させなければいいわけだな。俺たちは実際の戦力としてはどのくらいなんだ。部族と比べて。
GM:急場だから手勢はわずかだ。ヒルダにしても奇襲や伏兵でもしないと戦としては厳しい。突破される可能性のほうが高い。救いは君が森に通じていることだが、それは部族の戦士も同じはずだ。

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