サイドB 【ウルスの反乱】
シーンPC 部族の英雄ジィク
GM:辺境ウルスの戦が始まる。先んじて突入したヒルダ部隊は、バストラールの尖兵を装って森の出入り口に旗印多く布陣する。これは相手に狭い抜け道を選ばせるためだ。そしてそこに君が案内したヒルダ本隊を配置するというのが状況だ。
ジィク:俺たちは時間稼ぎだ。早く仲間が合流してくれないとな。降伏はさせられないのかな。
GM:ヒルダは君を見上げる。君は何も喋らないからね。何を考えているのかな? と。
ジィク:ほとんどの戦士は、報復や復讐をしようとしている筈だ。しかし、インダストリアに出兵してそこで死ぬことを知れば、中には騙されたと感じるものもいるだろう。それはあまりにも可哀想だ。だが、今更俺が皆の前に出ても部族の裏切り者だからな。
GM:そんな君をヒルダは見ている。衣服に手を添える。
ジィク:「どちらにせよ……裏切り者の謗りはまぬがれないな」

GM:かくして戦が始まる。相手の先鋒部隊との交戦が始まる。しかし、そこで一同が目にしたのは、騎馬隊と装甲兵部隊なんだ。ウルスにはいなかった新しい部隊だ。
ジィク:なんだ、これは!?
GM:これは君には予想外の事態だった。アルテイが平地に備えた部隊を編成していたこと、そしてこの領地でそれを整えたことは逆に驚きだ。そして僥倖でもある。つまり森の潜伏などはまったく考えていない部隊だった。
ジィク:しかし、これがウルスなのか!? 俺の知っていたウルス族はどこにいってしまったんだ。でも言うべきことはこれだ。「死にたくない者は退がれ!」そう言って切り込んでいく。
GM:奇襲の成功。まさか住み慣れた森で自分達が奇襲を受けるなどと考えていない先鋒は突き崩されるが、たちまち相手は退き、態勢を整えにかかる。そして軍略判定だ。目標は12。
ジィク:ここで俺は天運を使う。使いどころだ! しくじるわけにはいかない(コロコロ)いい目だ。14。
GM:ヒルダ隊が追撃に移る。そんな中、君は不意にあることを気がついた。足跡が等間隔だ。必死に走るもの、逃げるものの足並みは自然と駆け足になる。これは整然としている。理性がある。
武器なんかも落ちていないんだな。これは誘いこまれているぞ!
ジィク:姫を止める!「伏兵がいる」
GM:「全員防御陣を敷け!」と姫が合図をする。小さな密集陣形が組まれて追撃の手が緩む。ゴダが両手斧を手に訪ねる。「違ったら! 好機を逃すぜ?」ヒルダ「結構なことだ。兵も死なない」
ジィク:知恵の回る奴がいる。戦慣れした奴が……キヌバ……か!?
フィンチ:おお!
ジィク:そうだ。俺の直感がそう告げている。タタールじゃないとこんなに早い切り返しはできない。
GM:ヒルダ部隊の追撃が静止したことを森の中でで確認した部族戦士・キヌバは漏らす。「手強い……」陽動して奇襲・突破口を切り開く作戦がこれでは台無しだ。
フィンチ:やっぱりだよ!!
GM:こうなれば仕方ない。キヌバは直ぐに作戦を修正した。再び踵を返して向かってくる部隊。この遭遇はなし崩しに戦闘を継続させた。指揮を取っているのは刺青の男・キヌバだ! ガルデンの片腕と呼ばれた男だ。
ジィク:やはりいたな!
GM:不意に火の手が周囲の森から上がる。乱戦に巻き込んだキヌバは、決して数の多い部隊ではないが、この無理やり開かれた戦端は、少なからず部隊を前進させてしまった。
ジィク:そうか、この2年でウルス族も変わったんだな。戦で火を使うタタールのやり方を学んだんだ。血が混じったのだろうか。
GM:軍略で勝ってはいるから、被害は多くは無い。
ジィク:でも、これは不味いか。森の出入り口の雑木が焼き払われてしまう。俺たちの伏兵が隠れられなくなってしまう。ゲリラ戦が出来なければ、突破されるかもな。やっぱりタタールは強い。俺は嫌というほど知っている。奴等はとは10数年前から戦ってきたんだからな。
GM:そんな中である。二人が遭遇したのは。
ジィク:「決着をつけよう!」
GM:いろいろ思うことがあった。お互い意に沿わぬ境遇であった。でも互いの胸に宿ることは一つ。
ジィク:「長年の因縁に決着をつけよう!!」
GM:両者に誓いが結ばれたね。
一同:おおお!!

GM:マスコンバットではない。一騎打ちだ。戦場で偶然であった二人が運命のように決着をつけようとしていた。キヌバの行動値は13だ。
ジィク:早い! キヌバからだ。
GM:キヌバは邪印使いのアームド。つまり……
ジィク:同キャラか!?
GM:駆け抜けざまにグレートソードを横なぎに振るう。命中は(コロコロ)18。ここで<秘奥到達>
ジィク:一発目から!? 一撃必殺か! 回避に天運を使うか? この攻撃を食らったら……アウトだ。死ぬ。自分が一番わかる。天運1を使う!(コロコロ)22避けた!
GM:避けた背後の燃える大木を抉るグレートソード。亀裂が走る。命中していたら45点は入っただろう。
ジィク:「剣がぶれているぞ!」偉業技!<秘奥到達>命中(コロコロ)21
GM:(コロコロ)回避19。キヌバの目も高かったが。
ジィク:ダメージ! 59点
GM:その一撃を受けるキヌバ。勝負あり、その時であった。炎に燃える大木が倒れ、キヌバの上に押しかかってくる。挟まれるキヌバ。
ジィク:キヌバ!
GM:身動きすらできず観念がつく。そしてこの負傷だ。「ようやく決着がついたな。お前の勝ちだ」
ジィク:行動不能に持ち込んだけど、生きているという感じか。「……ああ。そうだな」
GM:その燃える木を手が掴む。姫は剣をつかえて木を動かそうとする。
ジィク:「姫!?」
GM:「決着はついた! なら生きていても! いいじゃないか」論理的ではない! しかし、その目に迷いは無い。
ジィク:部族の戦士はここで死んだほうが幸せなんじゃないのか。だけど、「悪いなキヌバ。俺の主君はこういう方なんだ」
GM:「何を……バカな。この木はお前たちでは――」
ジィク:「俺には仲間がいるんだ。なんとかなる」と俺も木を抱え込んで持ち上げようとする。
GM:ゴダが斧を地に突いてから、木を掴む。ようやく開放されるキヌバ。何か言いたいこともあったのだろうが、意識を失う。
ジィク:「戦士の誇りを傷つけられたのなら、恨むのは俺にしてくれ」キヌバを救護兵に任せる。
GM:というわけで合流だ。
ジィク:ヤッター! 来た! 紙一重の戦いばかりだった!
GM:アルテイ部隊率いる騎馬隊の突入が再び開始される。森での防衛はもう限界だ。しかし勢い込んで突破したアルテイ部隊は後詰めのガレス部隊と激突。向こうではガレス戦が開始されている。
ジィク:ガレス王子が来てくれたか。頼りになるな。
GM:そしてフィンチ王子を伴ったランカスター部隊が到着。アルテイの戦の中心にいるのだろう。
フィンチ:「ヘルメスありがとう! ヘルメスは!?」と向かう前に振り返る。
GM:サーベルを抜いて指揮を取る。「ウルスの残党を集めるわ。安心しなさい、戦わないわ。無駄な戦だもの」とウインク。そうして分かれた二人。フィンチ王子が戦場を抜けてここまで合流できたのは、ハバリクの誘導だろう。
フィンチ:「姉さん!」とみんなと合流!「ジィク! みんな無事でよかった」
ジィク:ハバリクやったな。口には出さない、俺はそう思っている。
GM:無言。だけど微笑む二人。
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