Middle phase
【〜共同調査2〜】
GM:さて、イベントを挟みましたが、再び調査フェイズに入ります。
一同:了解〜
GM:では今回の調査項目は『国王の鷹狩り』は調べがついている。そして今回は新しい名前が出てきた『鷹のアストラ』についても調べられる。
ドラゴス:えー情報収集の前に<聖地の印><地の利の印>で仲間と自分の判定を4上げます。
シリル:脳筋ばかりだからね。
GM:どうぞ。
ドラゴス:じゃコブスン。
シリル:うん。コブスンは何か怪しい。事件にかかわっている気がしますね。
ロバート:とはいえアリバイはあるんでしょ。
GM:そうだね。当時ロバートと一緒に警護していた。
ロバート:コブスンに関して私が責任を持って調査します。コブスンが王殺しの事件と何か関係があったのかを知りたい。
GM:では目標12で情報収集をば。
ロバート:(コロコロ)12.
GM:成功だね。王殺しとの関係性だ。まずコブスンにはアリバイがあり、王を殺す隙は無かった。それは奇しくも君が証明している。
ロバート:うむ。
GM:でも、バストラールの鎧の調達などはコブスンがやっている可能性がある。この国で、騎士団の鎧の購入履歴があった。
ロバート:共犯は確定。
シリル:とするとバルチモアの命で?
GM:それが怪しい。何せバルチモアはここで動いていないのだ。
ドラゴス:確かに…。バルチモアが主犯だったら、この機に一気に動くだろうし、こんなにタラタラしていないかも。
シリル:もう一人主犯がいるんでしょう…。
ロバート:コブスンはロードのパラディン?
GM:いや、ルーラー。
ロバート:軍師か。あれで…。
ドラゴス:私はグラニアさんと一緒に調査してみます。『漁夫の利を得るもの』を調べたいです。
シリル:漁夫の利?
ドラゴス:うん「グラニアさん。ちょっと聞きたいんですが、バストラール・アドホックレルム・バルチモアで戦ったら、誰か漁夫の利を得るものはいますか?」
GM:「うーん。心当たりがないんですよ。」
ドラゴス:そーかー。バルチモアの暴走貴族がやっている…としかプロファイリングでは出てこないんですよ。
シリル:私は『鷹のアストラ』について聞いてみたいんです。この鷹、名前まである。事件に対して何か意味があるんじゃないかと考えていたんです。
GM:アストラについては情報収集14だね。
シリル:(コロコロ)13。失敗。
ドラゴス:(コロコロ)13.失敗。
ロバート:(コロコロ)16.
シリル:おおお。三人いれば文殊の知恵ですよ。
GM:ではアストラ。アストラという名前は、国王が息子に買い与えた鷹であり、息子の不手際で逃がしてしまい、国王はいつか帰ってくるだろうと子供を慰めた覚えがある。大変思い出の深い鷹である。このことを知っている重臣はほとんどいない。おそらくロバートとコブスンぐらいしかしらない。
ドラゴス:宰相もシグナスさんも知らない。
GM:そうだね。
ドラゴス:これは何かの符丁だな。国王は呼び出されたんだ。
GM:コブスンはそれに絡んでいる。立案者とは考えにくいんだよね。
ロバート:鷹匠は?
GM:うむ。調べてみたがあれは鷹匠ではなかったようだ。
ロバート:どういうこと?
GM:鷹匠の関係者は一様に知らないといい。その男の情報は出てこない。商人ではなかったのかもしれない。
ドラゴス:これは何かの特務部隊か密偵なんじゃないか。
ドラゴス:待って状況を整理しよう。国王はアストラという鷹を見せ付けられたことで、何かを感じ取り森に行った。
GM:アストラは昔、息子と狩りに行くとき使っていた鷹だ。
ドラゴス:うん、それで森に来いということだと思った。そして森で暗殺。近衛の一人コブスンが引き抜かれ、暗殺には加担していた。
GM:多分そうだろうね。
ドラゴス:で、国王を殺して得をした人物って…誰?
ロバート:そうなんだよね。そこがわからない。
シリル:バルチモアとバストラール…どちらもしっくりきません。そうだ。こっちの方向で調べてみたらどうですか。王子が影武者だという噂。
ドラゴス:あーそーね。他国からの介入があるだろうし、もしかしたら、第三の人物が浮かび上がるかもしれない。
GM:では目標は12.
シリル:(コロコロ)13。成功。
GM:やりくちは天恵的なバルチモア。しかし、個人は特定できない。ただ、アドホックレルムやバストラール人に動きがあれば逆に目立つから、この情報を流している出所はバルチモアと考えて間違いない。
そしてバルチモアですよ。
ドラゴス:やはり、バルチモアの暴走貴族…ってことになってしまうんだよね。
GM:ではドラゴス。その日の晩のイベントだ。その日は寝つきが悪く、目を覚まして廊下を歩いていた時、テラスでグラニアを見かける。
ドラゴス:グラニアさん?
GM:椅子に腰を降ろし、少年でありながら月見酒などを飲みながら、ツマミを啄ばんでいるグラニアと目が会う。「おや、寝付けませんか?」
ドラゴス:「はい。」と横の椅子に腰掛ける。
GM:「私は盗み食いですよ。悪いことはこっそりやらなくてはね。」酒瓶を手で揺らし言う。「共犯になっちゃうかい?」
ドラゴス:「いいですね。僕の存在が共犯者そのものです。」
GM:と二人は国王秘蔵の酒を開ける。
ドラゴス:「独立はできそう?」
GM:「難しいねぇ」
ドラゴス:「中立するためには、軍事力かバランスのいずれかが必要ですよね」
GM:「ええ。そうですね。君、よく考えているよね。このまま王様になっちゃう?」
ドラゴス:「勘弁。でも僕がやった失敗で誰かが被害をこうむるのは嫌なんです。少なくとも僕は今この国の王子なんだから、その責任は取らないと……。」
GM:グラニアは何かを納得したような顔をする。「そうだねぇ。君も…いつか……が来るのかもね。」
ドラゴス:「いつか?」
GM:「足の抜け時がわからなくなって逃げられなくなる時がさ。」
ドラゴス:「もー!あなたがこんな状況を作ったんでしょ。」
GM:「はは。そうだね。でも私も巻き込まれたクチだから。」
ドラゴス:「ふーん?なるほど。」
GM:グラニアは苦笑する。そしてさも当然というような表情をして、グラスに映った自身の顔見てはグラスを傾ける。「皆には話していませんが…実は私…バストラール女王カルディアの子…なんですよ。」
ドラゴス:「ええ!それじゃあなたは王子じゃないですか!」
GM:「野心多い隣国バストラールの関係者が王となったとしたら、国内は大荒れするでしょう。」
ドラゴス:「それはそうです。何故この国に?」
GM:「私たち軍師は…何かをやりたいんです。そして私はこの国の貧しい状況を改善したかった。そこには国境は無いんです。」
ドラゴス:「はぁ」
GM:「おかしいですか?」
ドラゴス:「いえ。」
GM:「気がついたら、バストラールも大きくなり、フレジェスも栄え、気がついたら名乗れなくなっていたんです。」
ドラゴス:「名乗ったら…」
GM:「ウラヌス王も怒髪天、王殺しも陰謀とされてしまう。でも一番の問題は、バストラールはここを前線基地にするでしょう。」
ドラゴス:「戦争ですね。フレジェスは滅亡ですか。」
GM:「はい。時の流れは…またやがて新しい時代を呼び込むでしょう。それは仕方ありません。」
ドラゴス:「……」
GM:「そこに我々の国の面影はない。よしんば任せられても…もう私達の理想郷は無いんですよ。」
ドラゴス:「あの。グラニアさんから見て、バストラールがこの事件に絡んでいる可能性はありますか。これを知ると、現時点ではバストラールがリードしているように見えます。」
GM:「ほうほう。」
ドラゴス:「あなたを宰相に据えて、王を暗殺すれば、フレジェスはバストラールのもの…世間はそう考えますよね。」
GM:「無いと思います。母上はそのようなことをしません。でも母上は、ほんの僅か…吐息の一つで戦を起こせるんです。そしてバストラールは戦において無敗です。」
ドラゴス:「そんなことをしなくても、フレジェスなど取れる?」
GM:「ええ」
ドラゴス:でも被害は少ないほうがいいでしょう?フレジェスだって抵抗しますよ。
GM:「あなたが思っているよりも、母上はあっさりと奪うでしょう。例えるなら、倒れかけた巨人を指で押すように。それでも巨人は崩れ落ちるんです。」
ドラゴス:「それほどまでに…」
GM:「ええ、私にいわせればカルディア女王に並ぶものは天下にいません。吐息の一つで国を滅ぼせる人です。」
ドラゴス:「……」
GM:「バストラールの邁進と天下統一の志には大義がありますが、異論を挟めず諌めることすらできない強硬な指導者の下、どうして自由が育めましょうか……フレジェスは自由こそ武器です。」
ドラゴス:「大丈夫。フレジェスは巻き込まれついでに守りますよ。」
GM:「ええ。守りましょう。私達はなんだかんだとのらりくらりと国を守れていますから。」と悪戯者めいた笑みを浮かべてみせる。
ドラゴス:「そういえばダニエル王子の過去の書類ですが…」
GM:「何をいっているかわかりませんなぁ。ハハ。」
ドラゴス:「のらりくらりと、かわしますね。」
バストラール王国の宮殿の一角。各地より齎される報告を聞いていたカルディアはいつものように聞き流し、爪を弄っていた。
フレジェス王国に対する疑念が、諸国に色々な動きをさせている時期である。
カルディアは手を伸ばし、綺麗に濡れたマニキュアに笑顔を綻ばせた。
「ふむ。頃合…よな」
重臣が目を向ける。
「風を起こすとしよう。フレジェス宰相グラニアが実は私の子供であるという情報を、内密に流せ。」そしてニヤリと牙を剥く。
その日、人知れず大国は激震していた。
フレジェス国王の死後、国家の全権を掌握していた宰相が実はバストラール王子であるという情報は、バルチモアを恐怖させた。ウラヌス王は直ちに軍事力を集め、フレジェスに対しての態度を硬化していった。一方、情報の届かぬアドホックレルムも、敏感に戦の気配を感じ取っていた。
それは、フレジェスのまだ知らぬことであった。
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