Middle phase・2
【士朗〜父子再会〜】
GM: じゃあ、ちょっとカナタをやっちゃおうか。
カナタ:帯刀には……会いに行かないとね。
GM: 「なにを悩んでるんだ?」……というわけで、帯刀さんは言ったんだ。「なに心配そうな顔をしてるんだおまえ」
カナタ:「いや……」
GM: 「力になれてないとか、そんなこと思ってるか?」
カナタ:「……ちょっとね」
GM: 彼。ちゃんと髪を手で上げて、おでこをつけてくれるよ。「おまえ、待ってろ」
カナタ:「え……」
GM: 「あぁ。いや、付いて来たいか? おまえを連れてくと、俺はその……いつも家に帰る時に子供を沢山連れてくんで毎回家族が大騒ぎをするんだ」
カナタ:「ふふっ……」
士朗:いい例が(笑)。
GM: 「そんなつもりはなかったんだけど、俺はその、昔から子供の類を連れてる奴だったんだ」
カナタ:「……うん。まあ、10キロ範囲内だったらそれでもいいかな」
GM: 「10キロか? 仕方ねぇな。……(長い沈黙)俺のプライバシーって」
カナタ:「あ、わかったよ。うん。ふぅ……」
GM: 「ははっ。わかったよ。後でちゃんと帰ってくるから少しの間だけ留守にさせてくれ。俺も子供とのプライベートな時間を持ちたいんだ」
カナタ:「…………。いってこい! いってこい!」
GM: 「いって来いね?ああ。ちゃんと留守番してろよ?」
GM: シーン変わりました。1Dです。
士朗:(コロコロ)くぅぅ〜!? ば〜んかい卍解!
サクノ:あ〜ついにこっち側に来た。
士朗:100%突破! これ、やべぇよHPといい。
GM: はい、というわけで、家の周りにいつも沢山見張りの気配っていうのを感じてたんだけど。その日は気配が無く、ふと、家の前に見慣れない人影があるんだね。その人影は、10年ぶりの……。そして帯刀さんが家の前をうろちょろしてるんだね。君と目線が合うと始めは浮かなかった帯刀さんだが、髪の色が白。そして瞳の色が赤。二人とも思わず目線を合わせた後にしばらくすると。
士朗:じゃあ、それ……外見上すぐにわかっちゃうよね。
GM: わかるね。片腕になってるけど。
士朗:「父さん……父さん!?」
GM: 「士朗か」
士朗:「ほ……ほんとに父さんなのか?」
GM: 彼、近付いていって君の頭の上に手を置く。「身長はあまり伸びなかったな」
士朗:あはぁ♪じゃあ! それをなんとなく、こう、不思議な気持ちでいつつ胸の中からあったかい物が込み上げて来るですよ。「父さん……」
GM: というわけで……。
士朗:と言って感動のシーンにするところだけど、バンって突き飛ばして「バカ野郎! 今までどこ行ってたんだよ!」
GM: うん。彼なんか突然よろめいてるね(笑)。
士朗:「あんたがいなくなったせいで、どれだけ夏樹さんやじいさんが心配したか! それに……俺だって」
GM: 「あ〜……ほんとは、謝りに行きたいところだが、宗一郎さんに斬られちまうからな」
士朗:「あ、うん……まあ……」
GM: 「本当は会って行きたいけど、今日はおまえと話をしに来た。長くはいられないんだ。
士朗:「いや、でも……あ、ま、待ってくれ父さん。母さんも一緒なのか?」
GM: 「母さんのことも話さなきゃならない」
サクノ:あ、さっき言わなかったんだっけ。
GM: そうだな……。
士朗:「話さなきゃならないって、一緒にいるんだったら、俺も連れてってくれよ。母さんのところへ」
GM: 「だめだ!」彼は唇を噛むのに加えて、なにかをこらえるような顔をし「場所を変えよう」とね。
士朗:「……わかった。うん。何時にどこで待ち合わせる?」
GM: いや、このままどっかの店に。
士朗:あ、それならいいね。どうしようか。夏樹さんに一声掛けて行きたいけど……。
GM: まあ、彼も首を振るね。「話をややこしくしたくない。今日はおまえと話をしに来たんだ」
士朗:「わかった」じゃあ、夏樹さんにはちょっとメールを一報だけ入れておこう。『ちょっと歩いてきます』
GM: そうだね。洗濯と掃除をやってる。まあ、今、介護みたいに宗一郎さんの面倒見てる夏樹さんだけど「あれ、メール届いて……あぁ!」と言いながら走って表に出る時にはすでに二人はいない。
士朗:(笑)いない。
GM: というわけで店の中。どっかの喫茶店だね。彼、席に着いて、……言うわけだ「大きくなったな。俺が持ってる写真ではおまえはまだ6つのままだ」
士朗:「……そりゃそうだろ。……ぁあ、そりゃそうだ。あれから10年も経ったんだからな」
GM: 「ところで、おまえの体は……どうだ?」
士朗:「体っていうと……人狼化の事か?」
GM: そうだね。黙っていた彼だけど「知っているかも知れないが、俺たちは人狼だ。人とは違う」
士朗:「あぁ」
GM: 「人を殺して喰らって脅かす化け物だ。人にとってはな」
士朗:「その辺の事はサクノや城島に聞いた」
GM: 「……城島か。あいつは……」
士朗:「やっぱり、親父も知ってたのか。あんたを追ってた奴らってのは城島か?」
GM: 「城島はおまえを守っていただけだ」
士朗:なに?
GM: そして、あいつの話をされるんだね。
士朗:「まさか!?(笑)城島……なに言ってるんだ。城島は俺の友達を殺した!」
GM: 「城島から真剣に相談をされてた。おまえが人間を喰ったとな。人間を喰った奴は城島のようになる。はっきり言おう。おまえはこの後も人を喰うかどうかの衝動に苛まれて生きていくだろう」
士朗:バーンと机を叩いて!「俺はそんなことしない!」って言って周りがビクッとして注目する。で、その後ちょっとバツが悪そうに座って「……そんな事はしない。俺は城島とは違う。奴にもそれはしっかりと伝えた」
GM: まあ、彼の方はしばらく黙っていたが……。
士朗:じゃあ、城島のことにちょっと突っ込むか。「俺を守っていたっていうなら……あんたも城島の仲間なんだな?」
GM: 彼の方は舌打ちをし、目線を流した後に「ああ、そういうことになるな」
士朗:「くそぉ! ……なんてこった」
GM: 「だが、勘違いはするな。俺たちはずっと昔からそういう生き方なんだ。人に追われて、人を殺して」
士朗:「じゃあ……」
GM: 「だが、おまえは知らなくても仕方がない。おまえが生まれてからの人生は俺にとっても人間らしい人生だったからな」
士朗:「京極を、京極を…… 京極を死なせたのは……沢山の事故で多くの人を死なせたのも……城島は俺の仕業だって言ってた。あいつのあの時の目に嘘はなかった。俺もそれは信じてる。も、だからと言って俺はあいつを許す気にはならない。城島に会ったら伝えてくれ」
GM: 「あいつは……」
士朗:「どんな理由があろうとも!俺はあんたを許すつもりはないって」
GM: 彼の方も考えて……「城島は死んだ」と言う。
士朗:「……死んだ?」
GM: 「俺たちはみんなそうやって生きてる。要するに殺した殺された。そういう世界だ」
士朗:「誰にやられたんだ」
GM: 「UGNの連中だな」
士朗:(笑)「UGN?」
GM: 「思うべきところはあるな。でも、気にする事はない。本当に……気にする事もないことなんだ」
士朗:「だったら……」
GM: 「おまえ、あらかじめ先輩として、親父ではなく先輩として教えてやるが、人狼にとって一番辛いという事はな。人に忌み嫌われる事ではないんだ。人とは一緒に生きられないということだ」
士朗:「……」
GM: 「おそらく、おまえはかつての俺のように人を殺し家族を殺し、本能に駆られながら自分に追われ、あてどなく無く彷徨い……そして人を愛するだろう。だが、はっきり言おう。その愛する人も含めておまえは追われ続ける」
士朗:「……そんな事は無い。俺は父さんとは違う!父さんみたいに人との繋がりを重荷に感じて逃げ出したりはしない! 現にこうして今まで夏樹さんやじいさんと、それに大切な友達と一緒に生きてきた」
GM: と、言った時に彼はグッと手を伸ばし、喉元を掴むんだね。
士朗:「うっ! ぐっ!?」
GM: そして侵食値が2D下がるわけだ。
士朗:(爽やかに)ありがとう父さん!
一同:爆笑!
カナタ:めっちゃありがたいわ(笑)。
士朗:父さんもっと握って!?(笑)
一同:(笑)
GM: 笑っちゃうでしょ!?
士朗:だって100%を超えた男は藁にも縋るんですよ!
GM: そうだね(笑)。お父さんは言うんだね。
士朗:「ぐぅっ! 何をするんだ父さん!?」
GM: 「治療ができる。これをやればおまえの状態も少しは良くなる」
士朗:「ほんとだ……なんだろう?」
GM: 「おまえにも訓練をすればできるようになる。はっきり言う……」
士朗:「今、何をしたんだ?」
GM: 「俺たちはUGNの言うところの特殊な力を持っている。人を……癒す力を持っているんだ」
士朗:「だったら、これでみんなの怪我を治すわけにはいかないのか?」
GM: 「だが、人を喰う恐れもある。両方とも持っているんだ。おまえも俺と一緒に来れば同じことができる。しかし、もし俺と来ないのであれば、おまえは他の道を探さなければいけないな」
士朗:「……一つ教えてくれ父さん。10年前、父さんを狙ってたって連中。それは……母さんを連れ去った連中と同じ……なのか?」
GM: 「……そうだ」
士朗:「UGNか?」
GM: 「UGNだ。ジョージじゃない。追ってきたのはUGNだ」
士朗:「……そうか。もう一つ聞かせてくれ」
GM: 「ああ」
士朗:「なんで、サクノさんはUGNにいる?あの人はあんたの相棒だったんだろ?」
GM: まあ、彼の方は唇を噛む。苦しそうな顔だね。辛いといってもいいかもしれない。それからそっちの方を見て「おまえにはっきり言っておく。UGNが憎いんじゃない。人間とうまく生きられない。それだけだ。俺は……おまえにも言っておこう。おまえの母さんは、UGNに殺されたが」
士朗:「殺された!?」
GM: 「俺はUGNを憎んでいないんだ」
士朗:「どうしてっ!? 俺はっ……俺は、勘違いだったかも知れない。それでも城島を憎んだ。この手で切り裂いてやりたいと思った!あの時夏樹さんがいなかったら……俺はきっと、この手で城島を殺してた」
GM: 「おまえの憎しみという名の壁よりも、俺の 人とは生きられない という壁の方が遥かに高く強靭なものだ。おまえは感情に駆られて走っているだけだが、俺の気持ちに比べればはっきり言えばゴミみたいな物だ」
カナタ:ぶほぉぅ!?
GM: 「人間と生きられないというのは、そういう自覚がある日生まれるものだ。おまえが『生きたい』とか『憎い』とか、そういう感情とはまったく別だ。生きられないんだ。城島を憎もうとどう思うおうと、それはおまえの自由だ。だが、人と俺たちは一緒には生きられない」
士朗:「……ざけんなよ。あんた、この10年でそんな腐った考え方に行き着きやがったか」
GM: 「待て。だが俺は、おまえをその考え方にするつもりは無い。おまえが選ぶことだ。俺は今日、おまえを迎えに来たんじゃない。話をして自分の道を選ばせるために答えを聞きに来た。俺はもう一度出直す。そして俺は、おまえを力尽くで連れて行くだろう。それが父親としての責任だからな。だが、おまえが何を信じるか、それは全部おまえの自由だ」
士朗:「変えるつもりはねぇ」
GM: 「俺は悪党としておまえの前に立ったわけじゃない。おまえとは違う道を行くかも知れない男で、そして同じ道になったかも知れない男だ。どの道を選ぶか、おまえが決めろ」
士朗:「……親父」ここでそろそろ親父かな?「あんた一体何をしたいんだ」
GM: 「……」
士朗:「あんたは俺を連れてくと言った。俺を連れてって、あんたは一体何がしたい?」
GM: 「俺にもくだらない理由がある。オーヴァードから治してあげたい子がいるんだ」
士朗:「……治せばいいじゃないか。親父ならできるんじゃないのか?」
GM: 「奇跡を待つばかりだ。ま、結局のところ俺も神様じゃないんだ」
士朗:「親父にも……できないのか」
GM: 「おまえを幸せにもできなかった」
士朗:「俺……それは……それは違うぜ親父。確かにあんたに幸せを貰ったとは思っちゃいない。でもな、俺はこの10年間、不幸じゃなかった事だけは確かだ」
GM: 「……宗一郎さんに感謝しなけりゃいけないな」彼は宗一郎さんが育てたと思ってるからね。ある程度。
士朗:「じいさんだけじゃない。夏樹さんや、それに愛、俺の周りにいた大切な人達だ」
GM: ま、彼立ち上がって「じゃあ早く決めるんだな。そいつらが全員いなくなる前に」
士朗:「いなくなりはしないさ。俺は決めたんだ。そして夏樹さんに誓った。周りはなんと言おうと、沢山の人を殺めたとはいえ、俺はこの力を大切な人達を守るために使うってな」
GM: 彼は踵を返しそのまま立ち去る。「また来る」
士朗:「待てよぉ!」とか言って。チンピラっぽく(笑)。で、ロイス取らせていただいたんだけど感情はねぇポジティブ誠意、ネガティブ憤懣で。憤懣に取らせていただきました。
GM: そうだね。あの別れだしね。
士朗:そうそうそう。
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