Middle phase

           

【士朗〜警察からの帰路〜】

GM: というわけで、警察の事情聴取なんだな。これからは侵食率を振っていきます!

士朗:うぁいよっ!(コロコロ)4!


警察の事情聴取は長くはなかった。説明できること事態が多くないのだ。


GM: 人を引き裂くなんて高校生にできるのかみたいな。大型の猛獣でも迷い込んできたのか。

士朗:うん、そうだね〜。でも、こっちも放心状態っていうか廃人になりそう感じですよ。

カナタ:「しかし、14回目ですよ?」「だが……」

士朗:そういえば、警察までグルだって言ってたんだよな。

カナタ:でも、ここは町が違うんじゃない?

GM: 警察がグルって話はあの人から聞いただけだよ。実は伊丹は警察がグルって言い方をしていた。でも、京極は警察がうまく機能していないって言い方をしていた。

士朗:ああ、言ってた。

GM: 二人のニュアンスは微妙に違うんだよね。多分、京極は警察と連携をしながらうまくやりたかったんだよ。

士朗:う〜ん。

GM: 伊丹は警察を信用したくなかったんだよ。

士朗:う〜ん、じゃあこっちはあれだな。ショックだからなぁ。どうしよっかな。あ、城島の話は普通するかな。「あの坊や、口を開けば城島、城島って」

カナタ:「10年前にいなくなった殺人鬼か……こりゃあミステリーだな」

士朗:「まったく、あの坊やも頭がいかれちまったんじゃねぇのか?」みたいな感じに、取調室の鏡の向こうで刑事達がね。

GM: ああ。

士朗:で、俺が目の下がサクノさんみたいになってるんですよ。(サクノさんは目の下にクマがある)

GM: そんな感じだろうね。「ま、迎えが来てるから返してやるか。とりあえず今日のところはな」「もう一人の女の子は?」「あいつか。もうまともに生活できる見込みはないだろう。死んでたほうが幸せだったんじゃないのかね」

カナタ:なにこの警察。死ねばいいのに。

一同:(笑)

GM: でもね、まだ生活できないわけじゃない。本当はバラバラにされちゃうところだったからね。

士朗:体というよりは心だよね。

GM: 意識が戻らない。そんな感じ。というわけで夏樹さんが迎えに来てくれるんだね。雨が降っている。夏樹さんは傘を差し出して君を車に案内するね。

士朗:うん。じゃあまるで死人のように文字通り《屍人》で、ユラユラと夏樹さんに付いていこう。

GM: 車内でもあんまり声をかけない。「……無事で良かったわ」って。

士朗:「……よくなんかありませんよ」

GM: 「……」

士朗:「京極は死んだ。向田もひどい目に遭った。他のペンションにいた人達は皆殺しにされた……。あいつは……城島は俺に会いに来たって言ってた。俺のせいで死んだんだ! ……みんなっ!!」

GM: と……言うと夏樹さん、目を細めて「それで?」と言うんだね。

士朗:「……それでだって?」

GM: 「それであなたはどうするの?」

士朗:「俺が……どうする? ……わかんない……わかんないですよ。警察にいくら城島のことを話したって取り合ってくれない。俺に……俺に何ができるって言うんですか?」

GM: 「本当にできなかったの?」とは彼女は言ってくれるね。

士朗:じゃあ、あの赤い月の夜がフラッシュバックするんですよ。城島の腕を引き裂いたあの時が。

GM: はい。

士朗:「俺は……」これじゃますます『この力を使わせるな』系の主人公になりそうだからやらない!

GM: と、いうところで車が停まった先が、道場なんだね。

士朗:ああ。

サクノ:ほう。

士朗:「どうして? 家に帰るんじゃ……」

GM: 「退院してきたら宗一郎さんにも挨拶をするものよ。それに、自分のことを知りたくはないの?」

士朗:「夏樹さん……やっぱり知ってるんですね? 俺の……こと。そして城島のことも」

GM: ちょっと目が優しいね。そして頷き、家のほうを指すね。


【宗一郎の道場〜過去〜】

士朗:「わかりました。じいさんに会ってきます」と言って車の扉をバタンって。

GM: 宗一郎は道場で待ち、向かい合って正座をさせるんだね。「おまえには話しておかなければならないことがある」

士朗:「ああ、俺の方もあんたに聞いておかなきゃいけない事がある」

GM: 「もし何も起こらなければ、ワシはこの秘密を墓の中まで持っていくつもりじゃった。そうもいかんようじゃ」

士朗:そこまで聞いてこっちは立ち上ろう。「ふざけんな! なにが墓の中まで持っていくだ!なんで今まで話してくれなかった! あんたはこういう事が起こることを見越して俺を子供の頃鍛えてたんじゃないのか!?」

GM: 宗一郎さんは眉をしかめたまま、言われるままに聞いている。

士朗:「どうして……もっと早く言ってくれなかったんだ! 俺がもっとそれを自覚してれば! 京極や向田は!」

GM: 「……ふう」

士朗:「いや……まあいい。じいさんのせいじゃないっていうのはわかってんだ」と言ってまた落ち着いて座り直します。

GM: 「……もう17年になるか。おまえが生まれるちょっと前だからな」「お前の父・帯刀と母・夏目の話をしよう。17年前、帯刀は傷ついた姿をでこの道場に迷いこんできた……見つけたのは夏目。帯刀は何かに追われているようで、ワシは帯刀を匿い手当てをしてやった」

GM: 「何に追われていたのかはワシもわからん。おまえを襲った奴かもしれん」

士朗:「父さんが……」


「ワシも頑固爺じゃが、アイツも相当な変わり者じゃった。周囲と関わりあいを避け、奴は拒絶と敵意の視線を向けた」


GM: 「とにかく……なんというのかな。ぎこちないし、噛み合わないし、頭も悪いし頑固な上にワシの言うことを全然聞かん男だった」思い出してムカムカしてきた彼は茶を握り締め……。

士朗:(笑)「あ、じいさん。話を先に……」

GM: 「野良犬を拾ってきたようなもんじゃ。ワシは嫌いじゃった。あいつが死んでおってくれればと思っておった」

士朗:「いや、そこまで……」

GM: 「しかし、夏目は好いとった」「アイツは確かに普通の人間では無かった……。どうやら人間ではないようなのだ。時々、酷く傷ついた夏目の姿を見掛けた体中が傷だらけでな。満月の夜だった」

士朗:「満月の夜……」


「ワシは帯刀を問いただし、責めた……しかし、それはどう見ても獣の傷。帯刀も何かを悔やんでいた。」


GM: 「…ふう」


「帯刀が人ではないと知ったのは満月の晩。帯刀を追っていた連中が襲ってきた時、ワシらを守ろうとして正体を現した」


士朗:「父さんも城島に追われていたのか? いや、違う。奴は言っていた。『おまえも俺達と同族なんだよ……!』そうだ! あいつは同族って言ってた!つまりっ……城島たちは複数いるんだ。なにかああいう……いや、こんな馬鹿な話……」


「人狼とでもいうのか……。おまえの父は化け物じゃった。」


士朗:あの時、鏡に映ってたことにしてもいい?「あの時鏡に映った俺の姿は……血まみれの白い人狼だった」

GM: 「……ふう」宗一郎は続けるね。


「ワシは追い出そうとした。帯刀とは一緒に暮らせない。そう思っていたが、夏目は違った。やがて二人は愛し合い、結ばれ、お前が生まれて、帯刀も必死に自分を変えようとしていた」


士朗:「そ……それでっ! 待ってくれじいさん。父さんと母さんは……死ん……だって言ってたよな? 10年前に」

GM: 「夏目が第二子を授かった時、帯刀と夏目は失踪した」

士朗:「……失踪? 生きてるのか?」

GM: 「そこからの話は夏樹の方が詳しい」


夏樹さんは正座の位置をズラして向かい合うと、穏やかに説明する。「夏目……さんは、謎の連中に拉致されました。前から帯刀さんを狙っていた人達かも知れません」


GM: 「あなたも覚えてない?」

士朗:GM。ここは判定いりますかね?

GM: いらなくていいでしょう。

士朗:じゃあザーッと思いだす。

GM: 彼女の名前はハッキリ言ってるからね。知ってる人だったってわかる。冬郷サクノのことは。


士朗:「冬郷サクノ……そうかっ! あの時どこかで見たことがあるやつだと思ってたけど、あの時の……女の子」

GM: 「詳しい事はわからないけれど、彼女知り合いに拉致されたみたい」

士朗:「冬郷サクノは父さんの知り合いだって言ってた!」

GM: 「助けてくれてのも事実」

士朗:「じゃあ! あの人にまた会えば!! 父さんがどこにいるのか、それからっ一体何が起こっているのかわかるのか? 城島の行方も!?」

GM: 夏樹さんはそれに対しては無言になってしまうね。代わりに宗一郎が続ける。


「人狼は月齢の影響を受けるらしい。満月の夜には変身する。帯刀はよく自制していたが夏目を傷つけた」


士朗:「それはっ……」

GM: 「しかも〈意志〉判定に失敗すると周りを殺すかも知れん」

士朗:じいさん! ちょっとそこ!! (笑)


「ワシが夏目の代わりにお前を繋ぎ止めてやろうと思った。しかし、癌になってしまってな。体力は落ちるばかり。お前を助けるばかりか、命を落とすだけかもしれん」


士朗:「じいさん……癌……癌って。それも聞いてないぞ」

GM: 「そこで」

一同:スルー!?


「そこで夏樹にお願いしたんじゃ。夏樹とてお前を止めることはできんかもしれん。しかし、夏樹は命をかけられる。夏目も帯刀を助けられたんじゃからな。」


士朗:「満月の時……あの時もそうだ。城島に襲われている向田を救おうとしたのに、あの時俺を突き動かした衝動は……」画面がブラックアウトして『目の前の女を喰らいたい』

GM: 場合によってはこのままR‐18にもいけたのに。

士朗:あそこでじいさんのロイスを切らなかったらヤバかった!「じゃあ夏樹さん……あんたは俺に殺されるかも知れないのをわかって、ずっと一緒に暮らしてくれてたっていうのか?」

GM: 夏樹の方はなんか苦笑。「いや、そんな単純なものでも……」という風に困った顔をするね。

士朗:「じいさん……あんたも」

GM: 「ま、後のことは夏樹に任しておる。ワシの力が夏樹と同じほどに残っておったら考えたかも知れんがな」



GM: 君の家の前。

士朗:そこでちょっとね。俺、夏樹さんと二人だけのシーンがほしいんだけど。

GM: いいよ。

士朗:じゃあ、夏樹さんの家の前で。じゃ、車から降りるところかな?

GM: そうだね。

士朗:「夏樹さん」

GM: 「ん?」

士朗:「さっきの答え、わかったよ。夏樹さん……聞いたよね。俺に何がしたいのかって」

GM: 夏樹は……黙ってるね。

士朗:じゃあ、そのまま言葉を続けよう。「俺はまず知りたい。一体、父さんや俺たちの家族になにがあったのか。それから、城島の奴を。いや、違う。俺たちを追い立てる人狼を……ぶちのめしたい!もう二度と、京極や向田みたいな人を出さないために」

GM: 夏樹は「……私はそんなのは見たくない」と言うね。彼女、俯いてしまう。「ヒーローじゃないんじゃなかったの?」という風に、なにか声が震え、そのまま家の鍵を取ろうとした時に、家の前に人がいるんだね。車椅子。

士朗:ああ、出てきたな。

GM: とりあえず、フラグの方、愛がたってるんでね。

士朗:(笑)

GM: 一瞬、愛と夏樹さんの目が合い、夏樹さんは弱々しい目線のまま「……ちょっと買い物に行ってくるわ」と言って席を外す。鍵だけ君に渡す。


士朗:あ、そこまで進んじゃったか。「ヒーローじゃない」って今のところダークヒーローかなぁ。

GM: わかんないよぉ。


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