Middle phase

           

【サクノ〜紳士再来〜】

GM: というわけでサクノ。君に連絡が入ってくるわけだ。


場所はUGN支部の地上フロアの一角にある応接室。
側面がガラス張りのフロアでソファとテーブルという簡素な作りをしている。
中に入ると紅茶のいい香りがする。窓の外を見る男の背中。イギリス紳士ウィリアムズである。


士朗:およ?

カナタ:……生きてやがる。

GM: ウィリアムズは振り返る。「久しぶりだねサクノくん」

サクノ:「久しぶりね。……なんで生きてるのか知らないけど」




GM: 「ま、博士の偉大さ故にかな?」

サクノ:「……ふぅん?」

GM: 「……10年ぶりか」

サクノ:「……そうね。こちらとしては、もうあなたの辛気臭い顔を見なくても済むと思っていたのだけど」

GM: 「残念だな」

サクノ:「……」


GM: 「まあ、君には何も話していないから、私を憎む気持ちがあっても仕方がない。だが、いよいよ私も話さなければならないことがある。そのために日本に帰国したのだ」

サクノ:「ほほう? じゃあ勿体つけずにとっとと話したら?」と言いながらソファにドガッと座ります。

GM: 「紅茶はどうかね?」

サクノ:「いらないわ」
v GM: 「まず、10年前になにがあったか話しておこう」

サクノ:「ふん」

GM: 「あの時、君の服に付けた盗聴器で……」

士朗:うおぉぁ〜!?

サクノ:「……」

GM: 衣服を直した時に。「帯刀君の家族構成を知り、私が通報して、その妻を拉致した」

カナタ:もはや言葉がないわ。

GM: 「元々病院の通報があったんだ。帯刀君の子供がいるのではないかとね」

士朗:う〜ん。

GM: 「私は高田所長にそれを拉致するように指示を受けていた。そのために彼を電話で誘き出し、突入班を入れたのだが、偶然にも士朗の事は病院のスタッフは知らなかったようだ」

サクノ:「……ああ」

GM: お母さんが家族構成を全く話さなかったのと、来る時に必ず夏樹さんを含めて何人かの子供で来ていて、特定をさせなかったらしい。

サクノ:ふんふん。

GM: 「そういうこともあって、士朗の事は知られなかった。……私も報告はしなかった」

サクノ:「……」

GM: 「しかし先日、殺人事件が起こった。ペンションでな。おそらくオーヴァードの犯行と思われる殺人事件で、生き残りが大神士朗だ。もはやこの状況においてUGNは気付いてしまった。私はすぐに呼び出され、査問会にかけられた」

サクノ:「ふぅん?」

GM: 「喋るしかなかった。この先、彼の周りにはUGNが向かっていくことになるだろう。確保に動き出すのが使命だ」

サクノ:「それで? それを私に話してあなたはどうしたいのかしら?」

GM: 「高田所長から、この件は君の仕事だと聞いている」

サクノ:「ああ……」

GM: 「私は前のような事態は避けたいのだよ。一般人を巻き込んで犠牲を出すのはもううんざりなんだ」

サクノ:「ふん……」

GM: 「UGNに来るように言っては貰えないかな?」

サクノ:「……なるほど」

GM: 「私はね。帯刀君があのような目に遭ったのは仕方がなかったと思っている。彼は人ではないからね」

サクノ:「……」

GM: 「ただのオーヴァードでもない。そしてその息子である士朗も多分そうなのだろう」

サクノ:「……ふん」

GM: 「しかしだ。彼の周りにはまだ家族が生きている。それを高田所長のおもちゃにするのは少々忍びない」

サクノ:「……ふぅむ」

GM: 「今の担当が君である以上、私は君にまず伺いを立てたほうがいいしな」

サクノ:「なるほどね」

GM: 「私はすぐに確保するつもりはない」

サクノ:ふん。

カナタ:普通のエージェントの思考としてはおかしくはないのかも知れないな。


GM: 別におかしな事は言っていないんだよね。彼のできる限りの譲歩としては士朗を野放しにすることなんだね。でも、できないとわかったから。

サクノ:「……なるほどね」

GM: 「だが……今さらだと思うだろうが、私はやっぱり君が帯刀と一緒にいなくなってくれればと思っていたよ」

サクノ:「……」

GM: 「こんな役目を君が負うぐらいだったらね」

サクノ:「私は………………それは…できない相談ね。だって今この研究をしようと思っているのは私の意志ですもの」


GM: 「そうか」

サクノ:「だからこそ、あの博士の元で今までやってきたの」

GM: 「……もしもまだ、彼らを救えると思うのならカガリのことをよく調べてみなさい」と言って彼は立ち上がり「私は彼女の名付けの親だからわかることがいくつもある」

サクノ:「?」

GM: 「彼女もやはり救われるべきものだ」ウィリアムズは背を向けて「敵対するのは忍びないが、そういう運命になることを望んでいるよ」

サクノ:「……ご忠告感謝するわジェントルマン」

GM: カガリとすれ違うと、声をかけられているね。「おう『フライング・ジェントル』来たな」フライング・ジェントルってコードネームじゃなくてあだ名だから。

一同:(笑)

GM: 「私がコイツのコードネーム考えてやったんだよ!『フライング・ジェントル』いいんじゃね?」

サクノ:いいんじゃねって……(笑)。

GM: 「カガリちゃん、大きくなったね」なんて話をしながら歩いてる。

サクノ:あ〜。

士朗:なるほど。見えてきたぜ!


サクノ:あ、このシーンで情報収集できる?

GM: このシーンだと難しいな。ちょっとわかるのは、やっぱりカガリとウィリアムズは知り合いみたいだ。

サクノ:結構いい感じの知り合いなの?

GM: いや、なんかねウィリアムズは一方的にカガリに対して優しくしようとし、カガリは「うっぜぇ大人」と思っている。

サクノ:ゲシゲシって感じだな(笑)。

GM: 「あいつは笑い顔が想像できないんだよ。髭で隠れちゃってさ、どんな顔して笑ってるかあんまり想像できないんだよね。寝てたら髭剃ってやろ」

サクノ:「え? そんな理由なの?」

GM: 「あいつガキの頃から知り合いみたいな顔して来やがってむかつくんだよ」

サクノ:ガキの頃からってどういうこと?

GM: 「機械になってから少しマシになったけどさ、今じゃ指一本で爆死するぐらいの差ができちまったってのに」

サクノ:(笑)

GM: カガリはそんなことよりも……士朗のこと知ってるからね。「聞いた」

サクノ:「え?」

GM: 「新聞に載ってた。『大神士朗また生還する!』」

サクノ:「ああ〜」

GM: 「ゴシップ誌だけどさ」

サクノ:「そうみたいね」

GM: 「14回目の生還だけど……顔色悪りぃなコイツ」

サクノ:「ふふっ。まあ、そりゃあそうでしょう。14回もたった一人だけ生き残っちゃあねぇ」

士朗:それが、たった一人じゃないみたいだよ?

GM: 「女もいるみたいだ。種馬だったな」

士朗:そこかい!

サクノ:「ま、それにしたって気分のいいものじゃないわよね」

GM: 「『女がいた』ってことだよね?」

サクノ:「え?」

GM: 「気分良くないわぁ」

サクノ:(笑)「え、なに? 彼に惚れちゃったの?」

GM: ……カガリはちょっと無言になって眉をしかめた後。

サクノ:

GM: ちょっと表情が違うんだね。なんか色々考え込んでる。「ま、他人じゃねぇって奴さ」

サクノ:「ふぅん?」

GM: さっさと歩いていく。

サクノ:じゃあ、このシーンを閉じる前に購入判定をやらせてもらおうか。大型拳銃だ〜!(コロコロ)失敗!

GM: うぉわっ!

サクノ:二丁拳銃が遠い……。


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