「魔剣の継承者」

あらすじ

このシナリオキャンペーンの5話目にあたります。
この話でようやく王子は何故自分が魔剣を継承するのかがわかります。ここで事件の真相はおおよそわかってしまうでしょう。
このシナリオでは湿原の探索「エルザ」→ 剣竜の背「アルスラン」という経路の冒険になりますが、途中はマイセン独自の魔法があったりします。特殊魔法が苦手な方はすみません。最後の襲撃者を倒した時点でシナリオはクリアです。

今回の登場人物

第5話よりの登場人物です。

アルスラン

ドレイクの長老でしたが、ドレイクとは距離をおいています。この地方の全てのドレイクの始祖であり、ドレイクの指導者になるべき人物なのですが、女神との出会いで無害で中立的なドレイクになりました。
マイセンの千年ダンジョン時代から生きており、ダンジョンのどこかにある魔剣を探し他の部族と戦いました。女神となる人間の娘とはその戦いの中で出会いましたが、彼女より「ダンジョン内部の全ての命は輪廻しダンジョンのどこかで生まれること」を知ります。彼女との死別、しかし生まれてきた娘が彼女であるなど長い人生は彼女という愛の光で種族を越えた協調性を抱くに至りました。そういう敬意でアルスランも彼女の信者になりました。
宰相ヒューモスは双子の兄であり、二人はまったく同じ外見をしています。ヒューモスはいまだに魔剣を探しマイセン王国の宰相に収まりましたが、アルスランはそれを知りません。全てを知った時アルスランはヒューモスとの戦いを決意します。
ヒューモスがドレイクのマリエルの暗殺を企んだのは、マリエルがアルスランを知っているからです。マリエルが自分と顔を会わせればマリエルはアルスランとそっくりな容姿に驚き、ヒューモスの正体を想像します。ヒューモスは今正体を明かすわけにはいきません。


ハウザーよりの報告・次の任務

・ 彼は一同に対して、自分もまた情報を集めていたことを説明します。彼は一人の騎士をその場に呼び寄せる。呼び寄せられた騎士は第一騎士団の騎士ガノッシュです。
将軍は内密に国王警護の近衛騎士の確保を成功していたのです。

・ ガノッシュの話によると―
・ 「まず国王ランドルフが旅の途中で倒れられた。自分たちは国王を休ませるべく、休息を取っていたが、その時ライオネルの襲撃を受けた。」
・ 「自分たちはそこで意識を失ったが、どういうわけだか自分だけが存命し、将軍の手のものディオラに救助された」
ディオラ「他にいた騎士達は死んでいた。息が続いたものだけを連れ帰ったけど、途中消耗してなくなり、彼一人しか助けられなかったわ。」
ハウザー「彼のキズは致命傷だった。恐らくみな一太刀で切り殺されたのだろう。その後、彼等が息を吹き返したことにより、襲撃者は結果として取り逃がした。これは恐らく同行したエルザが蘇生したのだろう。エルザは蘇生の力を持っている。しかし等のエルザがいないのが気にかかる。浚われたのか、殺されたのか。」
→ 「宰相はエルザの身柄を確保してはいない。エルザを発見すればもう少しわかるだろう。
  実は捜索隊がエルザらしいものを見つけてはいるのだが・・・それは人とは形容しがたい、化け物となっているようなのだ。どうして彼女がそれほど穢れているのかわからないが、何か多くの穢れを受ける事件があったのだ。」


エルザ探索

エルザの捜索隊には、第四騎士団のヴァロリーも加わり、一同の手によって行われる。ここに王子も同行するようにとハウザーは告げるのです。
もし王の愛人であるエルザを憎む心がある場合、ハウザーは以下の言葉をかけます。
「エルザのことを許しその言葉に耳を傾けなさい。そうでなければ、事の真相はわからないでしょう」
★この探索には・マリエルとヴァロリーは加われますが、そのほかの人物は加わらないでしょう。


第四4騎士団団長・ヴァロリー

生命点75(抵抗23固定)、精神点60(抵抗23固定)
戦闘特技:マルチアクション・魔力撃・かばう・ガーディアン・ブロッキング

●攻撃
・「斬りつける」 命中16+2D(ダメージ:21+2D/効果:命中すると相手の鎧防護点を永続的に−1)
・「必殺」    命中16+2D(ダメージ:66+2D/効果:このターンの回避不可・オリジナル特殊攻撃です)
・「鍔迫り」   命中16+2D(ダメージ:なし/効果:組み付き技・命中値を基準に脱出可。毎R10点ダメージ。)
・「武器狙い」  命中16+2D(ダメージ:なし/効果:武器の筋力差分耐久ダウン。武器は30。従って両手利きならば破壊)

●回避
・「回避する」  回避17+2D(防護点:21)
※ 1ターンに3回まで身代わりをしてくれます。


霧の湿原

エルザの現れるとされる湿原地帯は濃厚な瘴気が立ち込める危険な場所です。周囲には生き物の気配もまったくなく、周りには人も立ち入らない場所です。
→ 一同の案内役として同行するディオラ「ここに第三騎士団の死体を見かけたわ。彼等もここに来ていたみたい。」

@ オーガの群れと出合う。オーガ達はバジリスクの元から逃げ出したオーガ達であり数は20人程度、レッサーオーガをつれた落ちぶれ氏族です。
彼等は一同と対決をしようと襲い掛かるが、ヴァロリーがハウザーより渡された「印」を見せるとオーガは狼狽、協力的になります。
「まて、将軍と敵対するつもりはない。俺たちはバジリスクのもとから逃げてきたのだ。」
彼等の話によると―
・ 「この辺りには魔物が現れる。危険な場所だが、めったに人が立ち入らないのでここなら隠れ住むことができると思った。」
・ 「ここより北に進むと湿原の中の中洲に出る。そこは朽ちた教会がある。そこには近づかないほうがいい。魔物が出るらしい。」

A 大湿原で休息を取る一同。
 ディオラの口から、国王は既に死にかけで、エルザの手を借りなければ政務も取り掛かれぬほど弱っていたと教えられる。
 「国王は確かに憔悴していたのだけど、旗から見ればエルザのほうが疲れが溜まっているようにみえたわ。エルザは・・・そう何か人を遠ざけるようになっていたらしい。」

B この場所は底なし沼となっています。
一見すると安定した場所ですが、次第に足場は沈み込み。下手すると馬すら飲み込まれてしまいます。
一度沈み込んだ場合、引き上げるのは困難です。冒険者技能+筋力ボーナス・目標値16で5回判定します。3回以上成功すると脱出できますか、以下だと、損害をこうむります。
具体的には馬などは失ってしまうでしょう。

C 沼地にアンデットが現れます。
沈み込んでいた水面下から起き上がって攻撃してきます。この場所にとどまることはできません。この場所から離脱するまでに最低でも1度戦闘で勝利しなくてはいけません。その場合毎ターン5匹づつ現れます。
この場所での戦闘は体を動かしづらく、回避に―4の修正を受けてしまいます。

朽ちた教会

朽ちた教会で一同は魔物と成り果てたエルザと再会します。それはできれば避けたい姿での再会です。
それは人とも竜ともおぼつかぬ形で、体はバラバラに浮かびながらもそれぞれがつながっているように形作っています。
周囲を取り巻く光は悪しき力・穢れであり、この世につなぎとめようという未練そのものなのです。その瞳は既に正気を失っています。
・ 既にエルザはアンデットとなりはてレブナント状態です。マリエルは穢れを集めすぎたということが一目でわかる。
・ マリエルは降霊の術での会話しかコンタクトが取れないと話し、一同はエルザを対決の末、破らなくてはならないと説明します。

戦闘〜エルザ〜

『アンデットドレイクのエルザ』

生命点150(抵抗40固定)、精神点150(抵抗30固定)
戦闘特技:マルチアクション・不屈

●攻撃
・「剣の如き爪」 命中16+2D(ダメージ:18+2D/効果:自動麻痺毒-2修正)→格闘・追加攻撃可能。
・「乱れ髪」   命中16+2D(ダメージ:18+2D/効果:絡み付き-2修正、絡みついた状態では行動のたび1ダイス振る。出目が1,2ならば強制キャンセル)
・「幻像」    精神16+2D(ダメージ:なし/効果:命中判定の際に1ダイス振り出目が1,2ならば命中)
・「死霊を呼ぶ声」判定なし(効果:死霊を3体召喚)
→「死霊の叫び」生命16+2D(ダメージ:なし/効果:このRの行動キャンセル)
→「ドレインタッチ」命中15+2D(ダメージ:10点/効果:防護無効)

●魔法
・「クリメイション」 魔法16+2D(ダメージ:20点/効果:単体。燃え上がりダメージ)3回まで使用します。
・「レブナントカース」魔法16+2D(ダメージ:なし/効果:死亡した対象をレブナントにします。)1回使用します。

●回避
・「回避する」  回避10+2D(防護点:12)
・「ブリンク」  精神16+2D(ダメージ:なし/効果:1回の攻撃を無効化)5回まで実行します。


エルザを撃退した後、その場にはエルザの遺体だけが残ります。そのエルザに対して「降霊の術」を使うマリエル。
その傍らに現れた霊エルザは儚げで悲しげな顔で一同の前に姿を現します。彼女は自分からは話しません。ただ何か告げる瞳で見るだけです。
・ 国王についての質問)
「国王は既に死病にかかっており、自分は国王を幾度か蘇生してまでして彼に時間を与えてきた。あの方の望むものがまだ何かあるのならば、それに力を貸したかった。たとえこの身がどのようなすがたになりはてても。」

・ 何があったか)
「最後の旅のとき国王は倒れ、私はまたも蘇生の術にかからなければならなかった。そこに現れたのはあの男だった。ライオネル。
ライオネルは同行する騎士を殺し、私もそこでライオネルにバラバラにされた。
国王に止めを刺そうとしたライオネルから国王を奪ったのは、・・・まるで光。神のようだった。多分あれはこの地の神・運命の女神ではなかっただろうか。
国王を女神はつれていったのだ。それにはライオネルも手を出せなかった。
私は最後にここの騎士達を蘇生してこのことを伝えようとしたのだが、あの時既に気が狂っていました。私はもうそれから何をやっていたのかわかりません。」

→ 最後に)
「あの人は息子が大きくなる日を夢見ていたし、あの子を守っていました。私はそれに力を貸したかった。ただそれだけ・・・。
  愛し合うことはできなかった。でも、それでもよかった。彼等の生涯に幸があれば、私はそれが気がかりだった・・・。」

信じがたい話にヴァロリーも困惑する。「どう報告すればいいのだ。女神が・・・つれていっただと。」


女神の時代から生きるドレイク

帰還した一同。
ことを聞いたハウザー大将軍自体もその事実に困惑を隠せません。政治的な思惑とばかり思っていた彼には、ことの真相がまったくわからないのです。
それに対してマリエルは女神を知る人物、女神と面識のある人物に聞いてみれば、その意向がわかるのではと提案します。
「部族の長老アルスランはすべてを知っています。女神誕生の時代からいるあの方に聞けば・・・何かわかるのでは」
・ ハウザーもそれを了解すると、女神の時代から存在するドレイクの長老のもとへ目指すように指示します。
彼は王子がそれに参加することは必要であると考えます。事件の渦中なのはやはり王子なのですから。
・ ヴァロリーは騎士としての仕事があるらしくここで離れる。ガンツァーはプレイヤー達にに自分の「印」を渡し、仕事がしやすいように取り計らいます。 
この印があれば、国内の騎士は全て従いますし、また魔物たちもほとんどのものが対立を避けるのです。

今回の冒険にはアトラントも同行します。

魔法使いアトラント

生命点70(抵抗23固定)、精神点150(抵抗23固定)
戦闘特技:マルチアクション・魔法範囲拡大・魔法対象拡大・鷹の目・魔力撃
☆マルチアクションにつき、攻撃と魔法を同時に使います。

●攻撃
・「斬りつける」命中18+2D(ダメージ:24+2D/効果:ウポンマスターを使用すればなぎ払いも可能。)
・「治癒魔法」     精神10+2D(ダメージ:なし/効果:15点回復)
・「サンダー」     精神16+2D(ダメージ:35点/効果:雷晶石装備につき威力大)
・「スティールマインド」精神16+2D(ダメージ:精神に18点/効果:精神点を10点回復します)
・「ウェポンマスター」 精神16+2D(ダメージ:28点/効果:なぎ払いを覚えます)
12レベルまでのソーサラー魔法とコンジャラー魔法を使います。

●回避
・「回避する」回避15+2D(防護点:4)
※消魔の魔晶石によって5点まで魔法ダメージを軽減。1人5つ所持。倒せば未使用分は獲得。
・「ブリンク」  精神16+2D(ダメージ:なし/効果:1回の攻撃を無効化)5回まで実行します。


剣竜の背

マリエルが一同を案内した場所はドレイクの集落のあるマイセン西部の森より遥かに北の地です。切り立った岩肌は剣竜の背のようであり、風が削った鋭角的な岩肌が幾重にも並ぶ様は鱗のようにも見えます。
一同はその岩肌を進んでいきます。

使い魔の目

一同が進んでいくと、やがて空に黒い影が浮かびます。→「冒険者技能+知力ボーナス+2D6」で目標値14でわかります。
カラスの大群です。あの群のあり方は尋常ではありません。
アトラントはあれがバジリスクの魔法「使い魔の目」と説明します。本当の意味の使い魔ではありません。彼らが見てきたものは、やがて彼らの口から伝えられるのです。
→「レンジャー技能+知力ボーナス+2D6」で偽装し目標値16で隠れられます。見つかってしまった場合には、夜にバジリスクの攻撃を受けます。

夜営

その日の夜、一同は夜営します。一同は岩肌の影、光が目立たぬように焚き火を燃やし、腰をおろします。
マリエルは何かドレイク語で唱えるとどこからともなくウサギが現れます。ウサギはマリエルの言葉に、誘われるままに竈に飛び込もうとします。
→それはすんででアトラントの手に掴まれます。
アトラント「何をしとるか!?このメスドレイクが!」
マリエル「皆さんに晩御飯を用意しようとしたのです」
マリエルとアトラントはしばし口論しています。アトラントは「これだからドレイクは」と悪態をつきつき、保存食を食べます。マリエルはちゃんと説明しようとしているのにアトラントが聞かないものだから、怒り半分落胆半分に話を打ちきります。

長老アルスラン

マリエルからドレイクの長老の話が聞けます。

「長老アルスランはこのマイセンが巨大なダンジョンだった頃から生きている方で、我々血の薄いドレイクは始祖として尊敬しています。」
「長老アルスランは運命の女神とも面識があり、他の何人かの女神の高弟とともに、ダンジョン世界マイセンに秘められた秘密を調べていました。哲学的な意味でです。」
「長老アルスランの話によると、マイセンの初代国王の人間も、同じく女神の弟子の一人だったとか…」
「女神は当時は人だったともドレイクだったとも言われています。ただマイセンの初代王の妻だったので人間というのが有力です。」
「長老アルスランはこの世界が解放された後は、ドレイクの集落に戻ることはなく世捨て人のように暮らしています。ドレイクはそれでも偉大なドレイクとして信仰しています。」


夜・バジリスク

もしバジリスクに見つかってしまっている場合、王子はその日の夜には精神抵抗を行って下さい。
冒険者技能+精神力ボーナ+2D6で目標値は20です。
→その日の夜、酷い悪夢を見ます。そのうなされかたからただ事ではないことがわかります。
夢魔の魔法の一つで悪夢で心を害そうとしているのです。
アトラント「バジリスクじゃろう。奴は次々と新しい魔法を作りだす。」

アトラントの魔法

アトラントは懐から取り出した袋から粉を取り出すと焚き火に投じます。
突然焚き火の炎が火柱のように燃え上がります。その火柱の中に、山羊の骨を被ったような化け物の姿が浮かびます。バジリスクです。バジリスクはこちらを遠見の水晶球で見ています。
→アトラントは何かを唱えると、炎の中に自らの手を突っ込みます。
するとバジリスクの傍らに手が現れ、手は遠見の水晶球を握り砕きます。とたんに炎は閃光を放ち、火柱は消えさります。
アトラントは手をさすります。その手には火傷などはありません。
「明日からは旅を急いだほうがいいのう」と呟きます。
★アトラントに今の魔法を訪ねることができます。
アトラントはパイプを吹かせ休憩していますが(実は見張ってくれています)、訪ねられればちらりと見ては教えてくれます。
「もう随分昔になるが…以前妖精から貰った魔法の粉じゃ。悪意に敏感でのそれを突き止める効果がある。妖精はこれで剣を作ったり警報を作ったりするのじゃが、ワシはそれを利用して奴の探知を阻害したのじゃ。次に見たら目を潰してやるわ。」


風の谷間

歩を進める一同、は巨大な谷間に出ます。
風が削ったのか、谷間には石で作られた橋がかかっています。この橋には継ぎ目などは一つもなく、長さは100m近くもある長いものです。また下は随分と深く、はるかそこに筋のように川が見えます。この高さから落ちれば助からないでしょう。
●隊列は先頭は道案内のマリエル。最後尾は魔法使いアトラントが見張っています。
→一同が歩いていると空に黒い鳥の群があらわれます。しかしこの場では隠れる場所はありません。一同は一息で渡るしかありません。

雷雲

やがて空に暗雲が立ち込め始めます。暗雲の中で雷光が光ると突然一同に向けて雷が落ちてきます。
★冒険者技能+精神力ボーナ+2D6で目標値は20です。
失敗するとダメージを20点受けます。成功するとダメージは10点ですみます。

魔法の小瓶

アトラントはまた懐から取り出します。何かの液体が詰まったガラスの小瓶です。それを下の川に投げ込もうとした時、アトラントに雷が当たり、小瓶が橋に転がります。
「それを川に落とすんじゃ」とアトラントは指示します。
@PCが小瓶を拾い川に投げ込むには冒険者技能+敏捷力ボーナス+2D6で目標値は14です。アトラントは最後尾と扱い、その手前のプレイヤーが行います。
アトラントから一人離れるごとに目標値は+1されます。
A小瓶を投げ込んでも、なんと黒い鳥が落下中の小瓶を加えあげ、邪魔します。この黒い鳥は射落とすしかありません。
命中判定はハンター技能+器用力ボーナス+2D6で目標値は14です。
→成功したら小瓶は落下し川に落ちます。射撃判定は各1度までです。

失敗なら

失敗すると雷の中走らなくてはなりません。常に落下の危険があります。
冒険者技能+敏捷力ボーナス+2D6で判定し、複数回の判定目標値の合計が100で突破です。その間は毎ラウンドの雷です。回復を併用しないと厳しいでしょう。
アトラントの魔法の小瓶が川に落ちた場合雷は防げます。

成功なら

川に小瓶が落ちた場合、川から何かが駆け上ってきます。水でできた巨大な蛇です。アトラントの杖を指示に水の大蛇は雷に向き直ります。大蛇に雷が流れてしまうので雷は届きません。


崩れ落ちる橋

一同が橋の出口まで到達するや、雷で出来た亀裂に橋が崩れ落ちます。まだ残すところ10mを残すばかりです。
幅跳びには限界があるでしょう。

魔法の木の実

アトラントは再び懐から何かを取りだしそれを手の内で広げます。種か木の実のようです。それを天高く放ると先ほどの黒い鳥達が我先にとそれに飛び付きます。
「皆のもの。神は勇気を示せといっておる。飛び越すんじゃ」
「心配ない。ワシ等は正しいことをしようとしておる。必ず神が守ってくださる。」
→一同が幅跳びした場合目標値の算出は無駄でしょう。距離的には必ず失敗します。しかし、その足元に先ほどの黒い鳥の群が集まり重なると一瞬足場が生まれます。一同はそれを渡って移動できます。

最後にアトラントも来ると。安堵の笑みをこぼします。「さっきはワシは神なんて話を持ち出したが、ワシは神なんて信じておらんよ」と舌を出します。


夜の刺客

その日の晩のことです。
焚き火を前に一同も休みを取ること、アトラントは寝ずに見張ってくれているのですが、さすがに疲れがたまっているのかウトウトとし始めます。
★見張りは知覚判定をしてください。冒険者技能+知力ボーナス+2D6で判定し目標値17で気が付きます。アトラントの足元にムカデが近づいていきます。ムカデは普段見たこともなく禍々しい雰囲気をもっています。それは衣服の上を上ってきます。
→気が付かない場合は、一同にはアトラントの黒猫が教えます。

★ムカデの退治はわけのないものです。しかしファイターまたはフェンサー技能+器用ボーナス+2D6で目標値15以下を出すと、払う際に噛まれてしまいます。払うことはできます。
噛まれてしまった場合は、毒による生命抵抗判定をします。冒険者技能+生命力ボーナス+2D6で判定し目標値20です。失敗すると毎ラウンド5点のダメージを受けます。


アルスランの遺跡

遺跡の入り口は大きな石柱がいくつも立っています。それは円を描くように配置されています。
→マリエルは一同をその中央に導き、ドレイク語で何かを唱えます。やがて静かなその場に地響きが響き出すと、それは轟音となり始めます。
一同のいるその周囲の足場は一同を回るように少しづつ沈みこんでいきます。まるで螺旋階段が出来上がろうとしているように見えます。

瓶の間

一番下まで訪れるとそこは巨大な瓶のような作りをしており、下には水が溜まっています。一同はその周囲を回る螺旋階段で降りてきます。
・壁越しには一つ扉があります。
・また瓶の底には大扉があります。
→これは水圧で開きません。
マリエル「以前私が来たときは水が溜まっていませんでした。私が人間をつれて来たので遠ざけるおつもりなのかもしれません。」

壁側の扉

●壁側の扉を進む。
扉には鍵はかかっていません。中は下り階段が続いています。壁が自然と青白く発光し、道は暗くありません。

光が降り注ぐ通路

●下り階段を抜けた下のフロアは真っ直ぐ続く通路になっています。天井は高く光が降り注いでいるように見えます。
通路になっております道がまっすぐ続きます。

螺旋階段

●正面突き当たりまで来ると、登りの螺旋階段があります。登りの螺旋階段は中央の支柱の回りを足場がくみあわさった簡素な作りです。
→一同の体重がかかると螺旋階段は沈み込み回転し始めます。
これはスイッチにもなっており、瓶の水はこちらに流れ込んできます。一同は足場が水没する前に螺旋階段を登り終えないとなりません。

足場〜浮上通路〜

螺旋階段の上のフロアは足場があるだけのフロアで先ほどの光が降り注いぐ通路を見下ろす作りになっています。
→ここに来る途中、螺旋階段のスイッチで通路は水没しているはずですが、水没したことによってフロアの足場の一部が浮かび上がります。どうやら軽い材質だ ったようで、それは足場となり水上に浮かんでいます。
★足場が浮かび上がったことで、水中では、さらに下が覗き見えます。どうやら下には何か小さなフロアがあるようです。

水中の小部屋

水中の小部屋は3m立法の空間で中央には鉄製のチェストがあります。
罠:この部屋には微弱な電流が流れています。微弱な電流は体の動きを奪いひきつらせてしまいます。
→冒険者技能+生命力ボーナス+2D6で判定し目標値18です。失敗すると体がひきつり行動できません。生命ラウンドが経過すると溺死してしまいます。

宝箱:鍵はかかっています。鍵明けの目標値はスカウト技能+器用ボーナス+2D6で18です。
宝箱の罠:スカウト技能+知力ボーナス+2D6で判定し目標値18です。密閉した空間から腐食ガスがゆっくりと上ります。それは革製の物を壊し、接触する金属なども腐食します。ガス状態のイミテーターなのです。それは感染するように接触するものに広がります。光で殺菌されやがては消え去ってしまいますが、失敗したものと、それに接触したものは装備品を失ってしまいます。魔法の品は壊れません。

宝箱の中身:
言語の種
黒い小さな木の実です。中には5つぶ入っています。セージ技能+知力ボーナス+2D6で判定し目標値17で鑑定することができます。失敗すると効果がわかりません。
食べると1時間の間全ての言語がわかり、その言語で話すことができます。会話だけに有効で、読み書きには使えません。売ると1つぶ2000ガメルの価値があります。

ガラスの剣 
必要筋力10 打撃力30・クリティカル8という非常に質のいい剣。命中判定の2d6で5以下を出した場合、直ちに破壊されます。

石壁

●浮上通路を進むと石壁に出ます。突き当たりなのです。
スカウト技能+知力ボーナス+2D6で判定し目標値16で「隠し通路」が発見できます。これは瓶の間へ続く螺旋階段の一角へ出ます。

★★順路★★

★水を流し込んだ後は、瓶の間より大扉をあけて、地下遺跡に入ることができます。
隠し通路を発見できなかった場合は泳いで戻らないとなりません。
冒険者技能+生命力ボーナス+2D6で判定し目標値14 を2回出せば成功です。息継ぎなしに泳げるのは生命ラウンドまでです。自信がないプレイヤーは息継ぎの方法を考案しないとなりません。空気袋でもなんでも考えて下さい。


アルスランの神殿

無限と続く台地の切れ目に穿たれた階段を下っていく一同。コウモリの飛び交う巨大な空洞を下っていくことになります。足元には石段があり石段を下って行けるものの、下はあまりにも急です。 数日ほど下へと下った後のこと、下から漏れる赤い光が見えてきます。大地の底を流れる溶岩流です。その光景ははまるで地獄の底のようです。
そこに併設するように作られた聖殿こそがアルスランの住まう場所です。
誰一人いないその神殿の最奥の玉座に腰掛けるしわがれた老人こそがアルスランです。
・ アルスランの顔を見た時、その容姿は宰相と瓜二つであることがわかります。しかしマリエルは既に面識があるせいで特には驚きません。逆に何を驚いているのか訪ねてくるでしょう。

アルスランより

・ 剣について
「我々ははるか過去、剣を求めてこの地にやってきたドレイクであった。この地にはドレイクが・バジリスクが・ドラゴンが・人間がやってきていた。
それは数世紀もこの土地の中で剣を奪い合ってきたのだ。これは呪いじゃ。一度この場に入ると、誰かが剣を手にするまで決して抜け出すことはできない、そう輪廻の輪がつむがれるのだ。罪を犯した人も蛮族となり、そして蛮族も時として人と生まれ変わる。そういう延々と続く輪廻の中で、わし等は剣を奪い合った。
まさに地獄だ。愛するものが敵として転生するのも見てきた。醜い裏切り・変貌・共闘と離別を繰り返し、ただ剣を奪い合う。それだけがこの地の掟じゃった。」

・ 女神について
「この世界に終わりをもたらし、剣を手に入れたものこそあの女神・・・人族の娘じゃった。
前世では我が娘であり、時として妻となり、武器を手にとって戦い殺し合いもした女。されど愛おしい娘よ。彼女は司祭でな。始めから一つの力を手に入れたことが彼女の運命を切り開いた。リーンカーネイト。次の転生のときも記憶を引き継げる。それが彼女にこの世界の理解を与えた。
彼女は物事には因果と運命があると考え、それを我々に諭したのだ。運命は読み解くことができる。それが彼女の考え方であった。
しかし、我々はその言葉を聞き、さとされても誰も耳を傾けなかった。彼女の妻と息子ですら、剣と王座に執着するばかりで彼女の言葉には耳を貸さなかった。
彼女は夫と息子の殺し合いを目の当たりにし、それを遠ざけるように剣を手に取ったのだ。そしてこの永きにわたる呪いはなくなり、この地に解放が訪れた。
彼女は言った。「私は神になどなりたくなかった。この剣は私の言葉が胸に届くまで、しばし私があずかりましょう」とな。

・ その後
「わしらはそのことで一つのことを学んだ。何一つない無人の荒野に道を通すことが信仰の目覚めなのだと。そしてそれが剣を得るということなのだと。我々は結果だけしかみていなかった。神となるのはそういうことだと。わしはそれ以来、剣への道をあきらめた。愚かなことだからな。しかし、悲しきかな、部族には因果が残った。人間との戦いは終らぬ。」

・ 兄について
「私には双子の兄がいる。兄は運命を彼女とも学びあった仲じゃ。しかし彼女は、未来を信じることが運命を紐解くという「神の心を愛」と読み解いたが、兄は運命をカルマと業であると読み解いた。兄が結論付けたのは「運命は知ることではなく、作ることにある」というものだ。
兄がもし生きていれば、そういう生き方をしておろう。」

・ 剣の所持者
「彼女の理論の最大の理解者が夫と息子だった。そして彼等はわし等との協定を始めて作り、輪廻にとらわれた世界を調停した人物じゃった。
もしその二人が殺しあわなければ、剣はどちらかのものとなっていただろう。そして彼女もそれを望んでいた。運命とは皮肉なものじゃ。」

・ ランドロフ国王
「先日国王と合う機会を得た。結婚話を持ち込んだときじゃ。彼の顔は、あの女神の夫に似ていた。どうりで、同じように民族に調和をもたらそうとしているのもうなづけた。恐らくランドルフはあの男の生まれ変わりだろう。」

アルスランの願い

仲間に加わったアルスランですが、それは騎士団には顔を出しません。あくまで裏から支援するつもりなのです。
アルスランはヒューモスが作った国は素晴らしいものだったと評価しています。
アルスランがドレイクであり、ヒューモスもドレイクであった事実が、例え真実であれ「魔剣獲得のための陰謀」であったと知られたくないのです。
アルスランは一同に、「ヒューモスは国を作った立派な宰相だった」として欲しいと願います。

プレイヤーがアルスランの正体を明かすことを望むのならば、アルスランは洞窟から出たくはありません(強く乞われれば承諾しますが)。
竜の姿でならば問題がないのでアルスランは出ます。


襲撃者

アルスランは状況を理解すると、自分も王国を目指し真相を明らかにすると告げ、協力を申し出ます。
一同が地下から帰還した時のことです。それを待ち伏せするかのような奇襲部隊の攻撃が行われます。
一同へと奇襲を仕掛けてきたのは第三騎士団ののアクリールです。
・ アクリールはアルスランの顔を見ても狼狽しません。宰相から全てを聞いています。聞いていて従う狂信のものなのです。
宰相への忠誠は絶対です。アクリールは一同に対して問答無用の襲撃をおこないます。

戦闘の勝利条件はアクリールの部隊の前衛を撃破することです。

宰相の手駒 レベル5

生命点 25 精神抵抗8+2d(15固定)
マルチアクションで2攻撃と魔法を実行。
<攻撃>
「棍棒で攻撃」 命中 14+2d 打撃点18点 
「短剣で攻撃」 命中 13+2d 打撃点17点  毒:生命判定16 失敗すると毎ターン1d6点のダメージ。加算する。
「鍵縄で攻撃」 命中 11+2d 打撃点なし   命中すると回避−2修正。
「エネルギーボルト」 魔法7+2d(14固定) ダメージ10点固定 抵抗すると5点。
<防御>
「回避」    回避 7+2d(14固定)  防護点 2点 ・・・27点で即死する。
→ 斬られるだけのいわば雑魚。倒して経験点をかせげ。

アクリールの射撃は毎ターン1d6−2回行われます。
「狙撃」    命中 17+2d  打撃点40点   毒:生命判定16 失敗すると毎ターン1d6点のダメージ。加算する。
「死の矢」   命中 17+2d  打撃点20点   特殊:貫通ダメージを規準に生死判定。失敗すると即死。
「矢の雨」   命中 17+2d  打撃点40点   3回の攻撃回数を使用する。人と馬の両方にダメージ。

仲間の行動
・ アトラントはアクリールに向って射撃魔法を繰り返し射撃する。モロゾフが彼女を撃退するまで、戦闘は継続されます。
2d6振り8以上が出ればアクリールに魔法が通り30点与えます。7以下なら15点。アクリールも戦いながら回復するので10発通さなくてはなりません。抵抗されたら20発。
この判定はPCが変わりに代行します。
・ アルスランは特殊能力行動回数付与をPCに行う。これによってPCはもう一度攻撃できる。
行動回数付与の変わりに、MPトランスファーもでき、2体同時に20点MPを回復させる。40点・2回分までしかできない。
PCの役割
アトラントがアクリールを撃退するまで、前衛を気散らさなくてはなりません。

真相

これは事件の真相になります。PCがたどり着けるのであれば、それがベストです。アトラントがするのは補完的な処置です。

何故・マリエルの婚姻を妨害したか
「ランドルフ国王は、神託を受け息子ヴィクトールとドレイクの姫マリエルの婚姻を結ぶこととした。しかし、それは宰相には破滅するかもしれない危惧する事態だった。
姫はアルスランと面識のある人物・・・宰相がドレイクであるということがわかってしまうかもしれない。(身分低いミルザは面識が無い)」

宰相は何を企んでいるのか
「もし、女神が剣を託すとするのならばそれは本来持つべきであった者。建国王とその息子である。アルスランの言葉通り、建国王とランドルフ王が瓜二つで転生した姿であるのならば、二人に剣を託すことだろう。本来手に取るべきなのは彼等なのだから・・・。
そしてアルスラン同様に宰相もまた一目で国王の転生を知ったのではないだろうか。国王と王子のどちらかが剣を手に取ると知ったからこそ、宰相は国王に近づき時間をまったのではないか。この国をつくるという膨大な時間をかけて。」
しかし、すると剣を取るべき人物は国王と王子となる・・そのうち誰が剣を手に取るか、それは誰にもわからん。運命を知るものにしかな。」

続く

運命の女神にかかわるもの、ヒューモス・アルスラン・そしてランドルフの存在がわかり、王子も自分に関わる運命を知ることとなります。 宰相のたくらみの全貌はおおよそ明らかになりました。宰相も王子を宿敵として決着をつけにくるでしょう。 いよいよ次回は決戦です。


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