インターミッション1〜料理の求道者「ケンロク」〜

大衆食堂ケンロクの主人ケンロクはついに皇帝の料理会にコックとして招かれることとなる。
しかし、ケンロクのもとにはそれを阻止せんという刺客の手が迫っていた。
帝国御用聞きの冒険者ゴーバッシュの依頼を受けたPCはケンロクを刺客から守れるだろうか?

あらすじ

今回のシナリオはストーリーがどうとかというようなシナリオではありません。なんかまったりとシナリオ終了後の空き時間を過ごす余暇のような内容です。いわばインターミッシュンです。
PCはゲルニカと休日を過ごします。彼女のすすめで入った大衆食堂ケンロクがこのシナリオの中心です。
大衆食堂ケンロクの主人ケンロクは、下から上まで幅広い人々に指示を受ける料理人です。そのケンロクがついに皇帝の料理会にコックとして招かれることとなります。
しかし、ケンロクのもとにはそれを阻止せんという刺客の手が迫っていたのです。
皇帝の侍従官でありながら表の顔は「帝国御用聞きの冒険者」というゴーバッシュは、この刺客が宮廷料理人が雇ったものだと考え、調査に入ります。そして手の回らないゴーバッシュは警護の依頼をPCに出すこととなります。
はたして一同はケンロクを刺客から守れることができるのでしょうか?

真相

ケンロク襲撃の犯人は宮廷料理人ではありません。なんと仲間の弟子のコックたちです。
実はケンロクはゲテモノ料理を作りまくるという人物で、その中にたまたま食べられそうなものがあるというだけなのです。勿論味は上手い。しかし、その食材ときたらありえないものばかりなのです。
しかも今回はダチョウの肉に蛆をトッピングだの、ハエでプディングなど、ばれたら命すら危ない食材をセレクトしました。
弟子は普段は店ではそのようなものを作ることをなんとか回避してきたのですが、皇帝との料理には自慢の料理を出したいというケンロクついに弟子の意見を押し切って勝負に出ます。
弟子としては、これは・・・絶対にさけなくてはならない。
彼らはここで金を出し合って妨害する冒険者を依頼したのです。

登場人物 イリューシア・ゲルニカ 白銀の髪に角を隠さぬナイトメアの娘です。神学者として知られ蛮族とも友好的に付き合う人物として異端視されています。彼女自身は信仰を持たないのですが、彼女の言葉は他の信仰心のある人々の救いとなります。それゆえ宗教家からは好かれています。

ルーサー 冒険者の店「蒼き雷の剣亭」の主人でゲルニカを引き取り面倒を見ていました。彼女は彼の手元で冒険者として育っていったのですが、その自立心ゆえに心配ばかりすることとなりました。
今回もPCの警護を依頼します。

ケンロク かつては冒険者として知られていたクマのような髭もじゃ大男で、いまは引退してコックとなりました。
彼の料理は非常においしいと評判であり、また安価。客を選ばない料理として人気があります。
実はケンロクはゲテモノ料理を作りまくるという人物で、その中にたまたま食べられそうなものがあるというだけなのです。勿論味は上手い。しかし、その食材ときたらありえないものばかりなのです。
彼はキレ痔に悩んでいます。

ゴーバッシュ

ルキスラ帝国の騎士で、非常に勇猛で強く、皇帝が何か指示を出す場合、直接呼び出されるような人物でもあります。騎士団の地位としては侍従方という、近衛ではなく、皇帝専属便利やという仕事ですが、騎士としての地位もあり、軍事的な動きはしないものの、無視できない存在です。
今回は帝国御用達の冒険者を名乗り、PCにケンロクの護衛を依頼します。

オープニング

さて今回はゲルニカ様と余暇・・・ということなので、別に何がどうという導入はありません。
別にこの導入はやんなくてもいいかとは思います。別の導入を考えてみてもいいかもしれません。
元々ある程度は普通に行えるシナリオですからね。

強引なお誘い

冒険者家業に勤しむPC達も、報酬が入りいくらか懐が暖かくなると、それぞれの余暇を楽しむこととなります。
今日はどういうわけかゲルニカと余暇を過ごすことが話の上で決まってしまっていました。
「お前、次の日曜空いているか?」「暇な時間はあるのかと聞いている。」
→ 忙しいと答えても「ほほう。高名な冒険者様は休日の一日を拘束されるほど忙しいとな?」と凄みます。
それでも断ると、無言で立ち上がり表に出て行きます。
途中一度振り返ると「ちくしょー!」と捨て台詞をはきます。

→ 暇であると答えた場合、ゲルニカはパァっと顔を明るくして「実は私も暇なのだ!」と喜びます。
「せっかくの休日を待て余しているのは可哀想だから、何か付き合ってやろう。」と話を進めます。

やかましいモーニングコール

ゲルニカは朝っぱらからやってくると、ルーサーから合鍵をせしめて室内に入ってきます。
そして耳元で「朝だぞ!起きろ!」を繰り返します。
それでも起きない場合、ベッドの上に飛び乗り、枕を奪い取ると、枕でポコポコと殴りつけては「朝だ!朝だ!」と騒ぎ立てます。
→ PCがこれで起きるようならば、理性的な雰囲気を装い「ふ」と余裕の笑みをこぼします。
濡れタオルを手渡し天使・・・天子の微笑みを返し、「目が覚めたかね?」と声をかけます。
「私は下で待っているから、5分で仕度をしなさい」とムチャクチャを言います。
・ 仕度が整わなくても彼女はすぐにはやってきません。ただ遅いとイライラしてドアの前で待っています。
やってくると、怒っていたことを忘れ機嫌を直します。

ただ飯を食わせてくれ!

ゲルニカはイスの上で足をブラブラさせては、知性的な装いで「ルーサー何か食わせてくれ」と空腹をアピールします。
ゲルニカは金遣いが荒く、あまり所持金をもっていません。
ルーサーはゲルニカの育ての親に恩義があるので、ゲルニカを無碍に扱いませんが、「金を払え」と言い返します。
→ ゲルニカは満面の笑顔で「ない!」と返事をします。
PCが金を出すならば、ゲルニカも人並みのものを食べられます。

「今日は近くでおいしい料理店が開いたので、そこで昼を食べようと思う」と提案するゲルニカ。
その言葉にルーサーも反応します。
「今、金がないって?」
「勘違いするなルーサーよ。料理店にいく金ぐらいこちらで用意している。奢ってもいいぐらいだ。
金が無いといったのは、ルーサーに払う金はないといったのだ。」
→ これでゲルニカはルーサーに手ひどく怒られることになります。

午前中

午前中の間はブラブラして過ごすことになります。
→ ここで何かやりたいことがあったら適当に過ごしてください。
・ 朝といえば、朝市なども開かれていますが、食べ物をここで再び食いまくるというのも、この後の食事の展開によってはどうかと思います。

大衆食堂「ケンロク」

昼飯時、ゲルニカが向かうのは安っぽい大衆料理店です。
しかし、この日はかなりの行列が出来ています。人々の噂の店であるようです。
料理店は「創作料理の店・大衆食堂ケンロク」とあります。
・ ケンロクは店主の名前です。彼は近年冒険者を引退し、料理店の店主に転向しました。彼の料理は非常においしいと評判であり、また安価。客を選ばない料理として人気があります。
・ もっともケンロク自体がこの料理を全て調理しているのではなく、ケンロクが考案した料理がここでは振舞われています。大衆に広める意味合いからも鉄板焼き関係も豊富であり、食材自体を売ってくれたり、レシピの販売も行っています。

1時間ほど並んだ後、一堂もその店の中に入ります。部屋は小さく分割されている個室と、大部屋に分かれています。どれも窓から光が取り入れられている明るい店内です。
・ ゲルニカは鉄板焼きのあるところで、注文します。
・ 彼女は彼女は現在ルーサーのところへ下宿のように泊まっている次第なのですが、あまり手伝える分野は多くありません。現在は店が閉まった後の店内の清掃やら、風呂焚きやらをして恩返しをしています。
料理の一つも作りたい彼女ですが、あまり得意な料理もないので何かと勉強しようという考えもあるのです。
・ 店内に張られた張り紙より、店主の顔がわかります。店主はクマのような毛むくじゃらの大男であり、彼はなんとルキスラ帝国皇帝の食事会にコックとして呼ばれたらしいのです。この噂を聞きつけ、店には行列が出来たのです。
→ 普通なら、そのことを大いに喜ぶ店員や弟子達でしょうが、彼等の表情は皆暗いものばかりです。

運ばれてきた料理は大変おいしいものです。見慣れない料理なのでどのように判定して言いかわかりません。
ゲルニカは鉄板焼きの類なので、考案するだけでしくじることがないものを頼みます。それこそお好み焼きの類です。
しかし、それらのものが食材と比率まで考えられていることを彼女は気がつきません。

ケンロク

→ そんな一同の前に大柄のクマのようなコックがやってきます。
彼はケンロクです。
ケンロク「ゲルニカ!また来たのか!あんたには恩がある。好きなだけ喰っていってくれ!」
ゲルニカ「ただで!?」
ケンロク「・・・ダメだ。」
・ 恩というのは訪ねればわかります。彼は持病の痔をゲルニカに治してもらったということを説明します。
ゲルニカ「街角で武芸者のような男が突然苦悶の声を上げていてな。『む、無念』と呟いて倒れたのだ。どうやらキレ痔だったので・・・」
→ 周囲の店員から話のネタにストップが入ります。

ケンロクは何かを置くから持ってきます。
ケンロクはフタをされたトレーを持ってくると、「新メニューを考えたのだが試食するかね。」と訪ねます。
店員は突然フタを取る手を押さえ込み「まだ、それは早いかと・・・」と必死になって抑えます。
周囲の店員達も鬼気迫る勢いでケンロクを押さえ込みます。
「皇帝陛下のために用意したのでしょう。ここでそれを出してしまっては」「そうそう!」等と青い顔で止めます。
ケンロクも納得、試食は取りやめます。

食事の料金は20ガメルほどです。
ゲルニカこれに店で販売されている、ソースとドレッシングを購入し帰ります。これはあわせて5ガメルほどです。

依頼「ケンロクの護衛」

冒険者の店「蒼き雷の剣亭」
ゲルニカはルーサーにソースとドレッシングをプレゼントに渡し、上手いものめぐりの自分の調査したレシピ表などを手渡します。
これにはルーサーも「ただの我侭じゃなかったんだな」と多少なりとも感激します。
ルーサーは何かを思い出したのか、依頼表を取り出します。
「ちょうどケンロクに関しての依頼が入っていたのだ。どうだ?やってみるか?」
● 依頼人は冒険者ゴーバッシュ
依頼内容「料理人ケンロクの護衛」
報酬「一人1000ガメル」
拘束期間「5日間」・・・ちょうど5日間後には、皇帝の食事会が開かれるのでそれまでという話です。

→ もし依頼を受けるようならばゴーバッシュを紹介してくれます。
ゴーバッシュは明日の昼にも顔を出すということです。
ゴーバッシュについて。
外見は凶暴そう。白目を剥いて顔面キズだらけマリオみたいな感じ。
性格は誠実で信用できる人で、頼りになる先輩冒険者的な男。色々忙しい多忙な人で、帝国とのコネをもっているのか、冒険者に依頼を代行させたり仲介したりしている。

ゴーバッシュ

ゴーバッシュは翌日の昼間にやってきます。
表でチンピラ達が、駆け出し冒険者(ドワーフ女)をカツアゲしていると、突然巨大な足がチンピラを踏み潰します。
ゴーバッシュです。「ほっほっほ。大丈夫かいお嬢ちゃん?」
ゴーバッシュは靴の隙間に挟まったチンピラを剣で引っかいて落としています。
駆け出し冒険者(ドワーフ女)はあまりに恐ろしすぎてお礼が言えません。

ルーサーが紹介してくれます。
「ゴーバッシュさんだ。」

ゴーバッシュからの依頼内容について。
●依頼内容「料理人ケンロクの護衛」
・ 「今度皇帝の食事会に呼ばれたケンロクだが、生まれは冒険者で粗野で教養もない粗暴な人柄を聞いてか、協定料理人はこのことに反対している。ケンロクを妨害しようという動きまである次第だ。」
・ 「そこでケンロクの護衛を依頼したい。拘束期間は当然4日間後の食事会までだ。」
・ 「報酬は一人1000ガメル出す。」
・ 「こういう背景である以上、妨害してくるのは宮廷料理人の関係者だろう。あんまり話を表ざたにしたくはないのだ。その狭量な態度は問題があるが、嫉妬は誰でもがするもの。そこを罪として問うのはいささか哀れだ。
勿論犯人の調査は行うが、世間一般には公開せず、事件がわかり次第秘密裏に解決しようと思う。
  だから、口外しないということもこみに報酬が設定されている。」
・ 「私は犯人の調査でケンロクの護衛ができない。そこで護衛はだれかに依頼しないとならないのだ。
私が主犯を捕まえるので、君たちは護衛を頑張ってもらいたい。もし共犯を捕えたら、追加報酬に500ガメル支払おう。」

シナリオの真相

料理店店長ケンロクには刺客が送られている。
しかし主犯は宮廷料理人ではなく、なんと仲間の弟子のコックたちである。
実はケンロクはゲテモノ料理を作りまくるという人物で、その中にたまたま食べられそうなものがあるというだけなのである。勿論味は上手い。しかし、その食材ときたらありえないものばかりである。
ダチョウの肉に蛆をトッピングだの、ハエでプディングなど、ありえないものばかりである。
弟子はそのようなものを作ることをなんとか回避してきたが、皇帝との料理には自慢の料理を出したいとして、ダチョウの肉に蛆をトッピングしたものと、ハエでプディングを作ることにしたのである。
これは・・・絶対にさけなくてはならない。
彼ら弟子のコックたちはここで皆が金を出し合って妨害する冒険者を依頼したのである。

シナリオ本編・護衛の流れ

@ ケンロクは護衛依頼を大袈裟として笑う。「もともとベテラン冒険者である自分には、不要だ。」とするが、戦闘で緊張すると100%キレ痔が再発し行動不能になるために、護衛は必要である。
A ケンロクは食材選びに外出することが多い。
・ この時ケンロクをつけている影がおり、調べると彼らも逃げようとしている。レベルは5、彼らの偽装は14が目標である。強敵か? 目標値12ならば2〜3人ぐらいはいるのではとうかがえる。
・ なおケンロクが市場で購入するものは、およそ食材とは思えないゲテモノじみたものばかりである。正直何を作るつもりなのか怪しい。

B ケンロクが帰還すると、店員達が騒いでいる。
「料理会に出席するのをとりやめろ。さもないと災いがふりかかる」とかかれた投げ込みがあったことがわかる。
調べてみても目撃者はない。(これだけの人気店なのに)
→ 実はこの犯人は店の従業員と弟子のコックたちである。そういうわけで目撃者はいない。

C ケンロクはなにやら厨房にこもりぶない料理を作りつづけている。
しかし、非公開ゆえにそれはわからない。厨房から出てきた弟子達は次々と吐き戻しつづけている。

D 翌日の未明。ケンロクの店から謎の出火。犯人は不明。店は半焼してしまう。
ケンロクにこれでは店は開けないというコック達に、ケンロク青空食堂を提案。皆で力を合わせて青空食堂を成功させてしまう。これには弟子達も驚き、ケンロクの技量をみとめざるをえない。
・ この放火犯の正体も弟子のコック達。

E これより隙があれば、襲撃者があらわれる。もし隙がなければ最後に襲撃者が現れる。
F 料理会の前日の夜。興奮してねむれないケンロクは表に外出。その最後のタイミングに襲撃者があらわる。

ボス戦「襲撃者」

襲撃者は2人
一人は魔法使い風の男。ソーサラー5・スカウト5である。
もう一人はエセ「ブルース・リー」風の男で、ピチピチの黄色いタイツ姿で現れる。

格闘家は懐からヌンチャクを取り出し、それを振り回す。
魔法使いは「あぶねぇ」と避ける仕種。
やがてヌンチャクが自分のハナに当たると、物凄い鼻血をだし、制止。しばらく黙祷したのちヌンチャクを束ねて握り締め、一息にへし折る。「ホァチャ!」
拳を構えた格闘家。ひじが魔法使いのアゴに当たり、魔法使いは昏倒する。

戦闘「ブルース・リー大好きな男」LV5

 生命点 50 /抵抗 8+2d  精神点 21 /抵抗 8+2d
[攻撃]
・ 「殴りつける」  命中5+2d ダメージ:3+2d 効果:2回攻撃に加えて追加攻撃1回可。対象別可。
・ 「蹴る」     命中5+2d ダメージ:3+2d 効果:使用すると命中失敗に関わらず転んでしまう。
・ 「ヌンチャク」  命中5+2d ダメージ:3+2d 効果:1回片手格闘攻撃で2回攻撃可能。回避されると自分がダメージ。

[防御]
・ 「回避」       回避7+2d  防護:2点 効果:なし。
これを撃破すると魔法使いは真相を話してくれます。
弟子のコック達につめよれば弟子のコックも事情を話、食材を見せてくれます。

エンディング

ケンロクにここで説得することができれば、普通の料理を皇帝に出すことができます。
皇帝はその食事を大変楽しみ。ケンロクの料理を褒め称えます。
ケンロクの店はさらに繁盛し、弟子のコックやケンロクとの友情が生まれ、ここはただ飯が食える店となります。

ここでケンロクを説得できなければ、ケンロクはダチョウの肉に蛆をトッピングと、ハエでプディングを出してしまいます。これに対して皇帝は何も知らずに絶賛しますが、食材からもれたハエが飛び回り、真相がわかってしまいます。
皇帝は一度「美味しい」といったことは取りやめませんし、そりことでケンロクを責めませんが、しばらくの間拒食症に陥ってしまいます。

→ こうなるとケンロクの店はつぶれてしまうでしょう。依頼は成功しても、シナリオとしては失敗です。

さてゲルニカがその食材を見たとき、さすがにゲルニカも吐き戻してしまうでしょう。
これがケンロクには大変効果的な説得材料になります。頑張ってください。

報酬

というわけで経験点は1000点
事件の成功失敗はGM判定で構いません。余暇の過ごし方に失敗・・・ということはないでしょうから。
そして、成長してくださいな。
ゴーバッシュからの報酬は、
約束どおり一人1000ガメルです。
ゴーバッシュに刺客を突き出したところで、宮廷料理人には行き当たりません。
ゴーバッシュも事情を聞いては大事にしないように考えてくれるでしょう。

シナリオ紹介へ

トップページへ

Copyright(C)ゴスペラードTRPG研究班 (c) 2009.