あらすじ

ついにゲルニカは周囲の反対を押し切り無謀にもトロルの集落への移住を決めます。途中トロルの戦士たちの挑戦を受けることになる一同でしたが、一行はトロルの族長ハーゲンの歓迎を受け、ついに集落への移住を決定します。
生活区域の開拓から、交流、そして最後は他のトロルの部族との戦いまでを描いた、いわば民族交流的なシナリオです。
案外盛り上がり無い平坦なシナリオなので、日常生活に飢えてる方以外は刺激が足りないかも。


登場人物

ゲルニカ

イリューシア・ゲルニカ

白銀の髪に角を隠さぬナイトメアの娘です。
神学者として知られ蛮族とも友好的に付き合う人物として異端視されています。
彼女自身は信仰を持たないのですが、彼女の言葉は他の信仰心のある人々の救いとなります。
それゆえ宗教家からは好かれています。
前々から蛮族との付き合い方に問題を起こす彼女ですが、今回ついに蛮族の集落に移住してしまいます。
今回からは鎧を纏い騎士として戦いますが、どちらかといえばシンボル的な存在です。

ルーサー

ルーサー

冒険者の店「蒼き雷の剣亭」の主人でゲルニカを引き取り面倒を見ていました。
彼女は彼の手元で冒険者として育っていったのですが、その自立心ゆえに心配ばかりすることとなりました。
今回もPCの警護を依頼します。

オルソン

オルソン

帝国を中心に行商を行っている商人です。
ゲルニカAに出てきた商人と同一人物です。
冒険者に対しては好意的で、できるだけ助力し恩を売ろうとしています。
蛮族相手に交渉できるゲルニカを重宝し色々と便宜を図ってくれます。

ハーゲン

ハーゲン

トロルの部族の族長で、トロルにダルクレムの信仰を説いています。
自身も優れた戦士であり、戦場では戦陣に常に立ちます。
トロルだけでなくボガードや人間であっても戦士として優秀ならば認めるため、
一同がやってきた際にも友好的な反応をします。
ゲルニカCでバンシー(レベル9)カーストアーマー(レベル12)を倒している場合、
一同に対しては勇者として好感を抱いています。

ガガック

ガガック

ボガードの中では歴戦の戦士です。
双剣のガガックと呼ばれるほどの剣の達人ですが、
かつて他の部族にいた際に弱者の虐殺に反対し部族を追われました(ゲルニカB)。
以来一同とは不思議な縁で共闘することとなります。
ゲルニカに対しては関心のような、好感を抱いているようです。

1・帝国での生活

この時期ともなると一同も冒険者として名が知られ始めているでしょう。冒険者の店の主人ルーサーも、一同に対しては安心して仕事を任せるようになっています。

PC導入@

冒険者であるPCは武器屋に預けておいた武器を受け取りにいくところです。
冒険ともなれば武器の消耗は激しく、刃こぼれはするわ耐久力は落ちるわと大変です。修理や修復を行うのは常です。
(防具でも構いません。)
※ 魔法使いのPCの場合は表の通りを歩いていたときで構いません。
丁度通りを歩いている娘の姿が目に付きます。額には角を持ち、白銀の髪をしています。角を隠すこともありません。それを見た人々は、思わず道を明けてしまいます。彼女こそがナイトメアの神学者で知られるゲルニカです。
彼女はそれを気にするふうもなく、通りを歩いていきます。
→ やがて一同を見つけた彼女は、こちらに手を振り、声をかけてきます。
知らない振りをする場合は、彼女は手をとめ、しばし沈黙彼女もそのまま立ち去ることにします。

そのままゲルニカと会って話をする場合
ゲルニカは一言話の前に尋ねます。「通りで私に声をかけられて、迷惑ではなかったか?」
ゲルニカはナイトメアが嫌われているということを十分に自覚しています。それを自分が気にすることはバカらしいことであると考えていますが、一同がそれを気にすることがあるとも案じています。
ゲルニカの目的地は鍛冶屋です。彼女も鍛冶屋に買い物に訪れていたのです。
・ 一同ここで預けているものがある場合、それを引取り料金を支払います。
・ ゲルニカが鍛冶屋に注文していたのはミスリルメイルでした。ミスリルメイルを身にまとって様子を確かめる彼女は上機嫌です。
ミスリルメイル「付き合いのある人物達からの贈り物だ。各地に回る私のような身の上は、体裁をよくすべきだと言われ、何か衣服を送るということになったのだが、私の生活を知れば、鎧の方がよっぽど安全だろうという話になってね。」
「ようやく戦闘特技の生かしようもあるというものだ。」
→ 出資者について
「何人かいる。物好きや酔狂な人々がな。蛮族ではないから、・・・心配するな」

ゲルニカは一同に対しても尋ねます。
「君達は馬を持っているか。馬ぐらいないと、長旅には大変だろう。いつまでも地元で冒険しているわけでもあるまい」
一同が持っていない場合、馬を紹介してくれます。

商人のオルソン

ゲルニカが一同を案内するのは、オルソンという商人のもとです。
一同が訪れたのは、一角にある広場です。帝国の外周部にあり、行商のための商人達が準備をするための場所でもあります。このあたりに貸し倉庫などが並んでいます。

オルソンの容姿
太った中年で、表情は柔和です。足は短くユーモラスな印象を受けます。オルソンは地方にキャラバンを率いて回っているという商人で、もしかしたら一同もかつて警護の依頼を受けたことがあるかも知れません。
一同と顔を合わせると手を握って挨拶をし、横に並んで案内をします。
・ 初対面)「私は行商人のオルソン。君がゲルニカの話す冒険者達。」
・ 面識あり)「ひさぶりだな。みんな変わりは無いか。旅すがら君達の名前をチラホラと聞くよ。成功しているのだね。よし、今日は再会を祝いご馳走を用意しよう。時間はあるんだろう?」
→「そうこなくっちゃ」/「友人の誘いを断るもんじゃない」

食事

オルソンは昼飯時ということもあり、一堂に食事を振舞います。
出てくる料理もここではあまり見かけない料理が多いようです。今回は鴨の料理ですが、使われているソースは珍しく塩気の効いたソイソースです。また薬味なども用意し、それらをさっぱりと味わいます。出されるパンも表面は固いのですが、中はもっちりとしたものです。このパンはその二つの食感がおいしいらしく。人々は大体固くカリカリした部分を好みます。
・ ゲルニカは「彼らに馬を譲ってほしい」と突然に切り出すと、オルソンも驚きます。 
→ オルソン「いいけど。金は持っているのか?」 ゲルニカ「いや」
・ オルソンはしばらく考え
「まぁいい、いくらなんでもただでは売れないな5000ガメル。期限はいつでも構わない。どうだね」
オルソン「いいんだよゲルニカにはいつも警護を依頼しているのだ。ただでね」
ゲルニカ「キャラバンに同行させてもらっているだけだよ。皆も誤解するな。それに・・・」
オルソン「―それに蛮族に遭遇する率が増えた。問題事は減ったんだが・・・。」
→ ゲルニカに関心のある蛮族は増えているようです。

オルソンは冒険者と付き合うことをプラスと考えています。いざと言うときに自分が頼るのは融通の利かない騎士団ではなく冒険者ですから、冒険者に対しては進んで投資します。
ゲルニカは蛮族と会話できる珍しい人物です。付き合うことでの危険もありますが、オルソンは会話できるという点を非常に大きく評価しています。会話することが商売の基本であることからでしょうが、蛮族を会話だけでしのげればそれにこしたことはないのです。

オルソンの所有する馬

ゲルニカ「オルソンの馬は旅が長いから無理をしない。蛮族と出会っているから蛮族を恐れない。適任だろう」
オルソン「見てくれは悪いがな。」

白い毛並みにぶちのついた馬は、脚が短く今ひとつぱっとしない容貌である。
★ ライダー技能+知力ボーナス+2d6 目標値13
足は遅そうに見えます。移動力は−5mでしょう。ただし生命点は+15です。見てくれが悪いのが玉に傷です。
扱いはウォーホースです。

毛並みの悪い老いた馬です。まだ筋肉には張りはありますが、どこまで乗れるかわかりません。
★ ライダー技能+知力ボーナス+2d6 目標値13
山道を歩きなれています。ペースを崩すことはありません。レンジャー技能7レベル+能力値ボーナス3があるとして扱ってくださいやはり見てくれが悪いのが玉に傷です。扱いはウォーホースです。

黒い毛並みの一回り大きな馬です。明らかに他の馬よりも強そうで、馬車を引くような馬には見えません。
オルソン「いいところに目をつけたね。それは高名な騎士達が相場にしたという名馬だ。槍で知られる騎士。無双の武人達が乗り回したという筋金入りの軍馬だよ」
「いや・・・その、いずれも落馬したり戦死したりしてて、もう乗り手を5回も変えているんだ。縁起が悪いと前回の乗り手が落馬したときに売りに出されてさ。」
★ ライダー技能+知力ボーナス+2d6 目標値13
本当に強い軍馬ですが、乗り手のライダー技能より+2レベル高い実力を発揮します。ただし判定が必要なものは目標値が+2されてしまいます。扱いづらい馬なのです。レベル10を越えた場合、補正値をさらに+1〜2してください。生命点のレベル10の上限は変わりません。扱いはウォーホースです。

若い馬です。体中に傷があり、喧嘩っ早い馬なのでしょう。気性もあらく近づくと落ち着きがありません。体格的にはよく強そうです。
→ゲルニカ「見慣れない馬だな。」オルソン「先日買ったばかりなんだ。気性が荒くて安売りされてな」
★ ライダー技能+知力ボーナス+2d6 目標値13
経験のない若い馬です。乗り手を気にしないために行動のために目標値12で振り落とされないか判定が必要です。ただし命中点と追加ダメージが+2されます。扱いはウォーホースです。

めぼしい馬はこの4頭です。後は通常のホースのために、冒険者に対してオルソンは勧めません。
全部を買ってもいいですし、何頭か選んでも構いません。
→ 一同が馬を買い取ると「まいどあり」と景気のいい声を出します。


帰り道 〜ゲルニカより誘い〜

時間も夕暮れ時になりました。
いろいろと歩き回っているうちにもう日も傾き、往来の人々も帰路につくもの達が目立ちます。家々では食事の準備が始まっているのか炊事のための煙が立ち昇っています。
・ゲルニカは思いつめたように、考え込むことがあります。
一同に対して、何かを言いかけることがありますが、言いよどんでしまいます。
・ ゲルニカに問うならばしばし、「いや・・・」とやはり言いよどみますが、やがては意を決し話しはじめます。
「実は居を変えようと思うのだ。」
「トロルの部族に行ってみようと考えている。先方には連絡はいれていないのだが、まぁどうにかなるだろう。」
● 反対なら)
普通の神経の持ち主ならば反対するでしょう。反対の意見に対してゲルニカは予想していたかのように困ってしまいます。
「確かに危険なのはわかるが、私は多少なりとも付き合い方は心得ているし、トロルはオーガよりかは付き合いやすい種族だ。知人も何人か部族には何人かいるし、つてが無いわけではない。」

●なぜそのように考えたか)
ゲルニカは黙ります。少し表情が硬くなりますが、目は何かの感情をはらんでいるか、細められます。
ようやく話し始めたのは視線を逸らせてからです。
「じつを言うと、良くはわからない。」
「居心地がいいというか、興味関心があるというか、その全てなのか・・・」

「人には生まれ持った使命があると思うか?」
「運命付けられた使命や、自分がやらなくてはならない因果が存在すると思うか?」
「自分がこの世界に生まれてきたことに使命があると即答するのは、やはり・・・自信過剰すぎるだろう。」
「ただ神は私に何を望まれているのだろう、と疑問に思わぬ日はない。」
「たぶんこれは必要なことだ。私が行うことは必要なことなのだろうと思うのだ。」

● 一同の賛同)
一同がゲルニカの考えに賛同することは難しいでしょう。ゲルニカ自身簡単に考え応えられても困ります。
場合によってはトロル達に食い殺されるでしょうし、うまくいっても人間と戦っていくことになるかもしれません。
自分の世界を全て投げ出すような危険な選択なのです。

同行の誘い
→ これらのことを考えた上でゲルニカはさらに提案します。
「どうだろう。私と一緒にトロルの部族のもとに向かわないか?」
この申し出を受けた場合、トロルの部族にともに向かうこととなります。

PCへの導入A ルーサーとゲルニカの喧嘩

ゲルニカと途中で別れた場合など、最後の誘いを受けていない場合、一同がこの話を耳にするのは冒険者の店でです。
店の主人のルーサーはその話を聞くなり「なんだって」と耳を疑います。
ルーサー「トロルの集落に住むだって!?」
ゲルニカ「声が大きいぞルーサー。まだ決まったわけじゃない」
・ ゲルニカはトロルの集落に居を移すことを説明します。理由はより蛮族のことを学ぶためということです。
・ 探究心もここまで行けば病気です。ルーサーは仰天し、ゲルニカを止めるためにまくし立てます。
「研究ならもっと別のやり方があるだろう。」
「トロルに食い殺されるぞ。腕の立つ一流の剣士だって猛獣の隣では寝ない。一流はそんなことをしないもんだ。」
「トロルに情が移ったのか・・・・? しかし、お前は人間だ。人間とトロルが争いを始めたらどうするつもりなんだ」
→ ゲルニカ「勿論正しい側に立つ。言い分が対立し、正しい側がないのなら、静観させてもらう。」
・ 二人はケンカ別れするように別れます。ルーサーはあくまで譲らず、ゲルニカは仕方ないとばかりに、出て行きます。

「ルーサー。心配をしてくれてありがとう。しかし、私は行くよ。」
ルーサーは返事を返しません。そっぽを向いて、無視します。それぐらいしかできないのです。

ルーサーからの依頼

ゲルニカが帰った後で、ルーサーはしばらく放心しています。
ゲルニカのことを大切に思っているせいもあり、なかなかに納得できません。
一同が立ち上がり、帰ろうとしていると、ルーサーは一同に声をかけてきます。
・ 「すまないが一つ頼まれてはくれないかな。」
・ 「ゲルニカと一緒にトロルの部族に行ってやってほしい。もし話がうまくいかなくなったら連れて帰ってきてほしい。」
「俺はトロルなんかは信じないし、あの人食いの化け物になぜにアイツが気を許すのかわからない。しかし、アイツが普通じゃないこと、何かやろうとしていることはなんとなくわかる。」
「しかし世の中そんなに甘いもんじゃない。もし失敗した場合、誰かが助けてやらにゃならん。」
「アイツには他に家族なんていないんだ。俺が心配してやらなくちゃならんだろう?」
・ ルーサーは、宿泊費一ヶ月分の無料、食事付きサービスを提案します。
さらに報酬を求めるなら、魔晶石5点を3つ、10点を1つ。を出します。

ゲルニカの誘いを断ったり、ゲルニカ自体から誘いへの話が無かった場合、今回のゲルニカとの冒険はルーサーの警護以来という形になります。もっともこれだとシナリオは随分参加できないでしょう。

2・ゲルニカ・トロルの部族へ向かう

@トロルの部族に向かう朝、出発組は集合します。
ゲルニカは翌日の朝には宿屋の前で落ち合わせることになります。
Aゲルニカの警護をする場合、このゲルニカを待ってそれから一緒に向かうことにするか、一緒に出るか検討してください。


ゲルニカは白銀の鎧に馬という井出達です。さらに背にはマントなどもつけ、井出達凛々しいことこの上ありません。 手には槍と盾をもっています。(馬はゲルニカ4で吸血鬼と戦ったとき、馬車を引いていた馬を使用しています。もし別のPCが使っていたり、また死んでいた場合はどこかで縁のあった馬なのでしょう。今回はゲルニカは荷物も多く、あきらかに帰るつもりなしです。
ゲルニカ「今回は私の警護はあまり考えないでほしい。そのようなことをされるとトロルからは軽んぜられるからな。私もあまり皆を守ることはできないだろう。」
→彼女は出発前に一度ルーサーのいる冒険者の店。蒼き雷の剣亭を振り返ります。
「ごめんルーサー。いつかちゃんと謝れる日もくるだろう・・・」

山岳への道のり

ゲルニカの目指す部族は、帝国から出て1週間の道のりにある山岳の部族です。トロル達がいるというのですから、当然洞窟に居を構えているのでしょう。
そこまでの道のりは半分までを街道をとおり、その後は森の中の獣道を進むこととなります。
・森の入り口についた時、ゲルニカは休息を取ることを進めます。
ゲルニカはここで仮眠します。トロルは日の光を嫌いますので夜行性です。乗り込むのを夜に使用との考えです。
一同にもそれを勧め、木陰で休むことを提案します。

道中ゲルニカには質問ができます。いくつかの質問解答を参考に載せて起きます。
トロルについて尋ねる)
トロルは夜行性です。日の光を嫌いますので、日中は洞窟などで生活しています。夜間になると出てきます。
トロルは怪力で知られ、自然治癒能力にも長けています。また神聖魔法も使いこなします。
彼らはダルクレムの信者である場合が多いでしょう。

知人)ゲルニカが知人と呼んでいるのはボガードのガガックです。他にも族長のハーゲンが戦士として好意に思っていることも知っています。

夜の出発 〜見張りのトロル〜

夜になると、一同の旅は再会されます。森の中を通るたびは困難ですが、それでも一同は進まなくてはなりません。
ゲルニカはさほど苦労はしていないようです。暗がりの中でも夜目を利かす魔法でも使っているのでしょう。

やがて森の獣道を通っていくと、その正面には何か大岩のようなものが見えてきます。
いえ岩ではありませんトロルです。一匹のトロルが道の真ん中にどっかと腰をおろしています。このあたりは草木が生い茂り天は月明かりすら見えません。昼間にきても光は差さない場所なのでしょう。
→ トロルは一同が近づくと目を開け、「なんだ人間。コレより先は我らの部族。無用に立ち入ると痛い目を見るぞ」と警告します。
 (このトロルは部族の戦士で見張りをしています。戦士なので一同が相手という窮地でもひるみません。)

ゲルニカは蛮族の言葉でしゃべりかけます。
「我はゲルニカ。族長のハーゲンに会いたくてまいった。」
トロルは返事を返しません。無視しているようです。
ゲルニカは構うことなく言葉を続けます。「何も言葉によって通ろうとは思わぬ。資格があるか、試すが良い」とゲルニカは槍を構えます。
とたん立ち上がったトロルは唸り声を上げて、迫ります。
・ ゲルニカは一同に対して下がるように制します。「皆はさがれ、これは一騎打ちだ。」

ビジュアルシーン 〜ゲルニカ対トロル〜

トロルが襲いかかるのにゲルニカは対応できません。容赦なく攻撃がゲルニカの体を捕らえます。
しかしゲルニカの鎧のせいで有効なダメージは与えられません。
ゲルニカの槍が振り下ろされます。魔力撃の一撃は、トロルを驚愕させるものです。魔法などまったく使えないとされていたゲルニカの攻撃は強力な威力でトロルに半死半生のダメージを与えます。
しかし、トロルは戦士の部族です。ただの一撃で降伏などしません。治癒に専念すると態勢を立て直しにかかります。
ゲルニカは手を止めます。態勢を立て直したトロルは再び攻撃に転じます。
トロルの猛攻を前にゲルニカは何もしません。攻撃が負傷させてもリカバリーで治癒し、無視します。
トロルが怒鳴ります。「なぜ避けぬ!!」
ゲルニカは再び槍を突き出し、トロルの眼前で止めます。
「勝負ありだ。お前には私を傷つけることはできぬ。」
→ トロルはこう言われて理解します。ダメージを与えられないのです。魔法で挑んでも生命点を0にする前に自分の精神点がつきます。トロルはようやく負けを認めると、名を尋ねます。
「わかった俺の負けだ。お前の名は?」「私はゲルニカ。こちらは連れだ。」

トロルの集落

負けを認めたトロルは一同を部族まで案内します。
トロルの部族は崖に作られた洞窟住居と、その周囲にある丸太を組んだ巨大な砦になっています。
この部族はゴブリン・ボガードなども率いている大集団です。
・ 一同がやってくるとトロル達が群れを為して走ってきます。
見張りのトロルが案内をしているのを確認すると、怒鳴りつけます。「人間どもを誘い入れおって。どういうつもりだ」
見張りトロル「俺は敗れた。案内するのは負けたからだ。」
凶暴トロル「人間どもに囲まれたのか」
見張りトロル「俺が敗れたのは、白銀にだ。他は知らん。」
凶暴トロル「では他は俺が倒そう。」
→ ゲルニカは会話の流れを通訳します。PCに対して叫びます「一騎打ちを挑まれたぞ!?心しろ。」

同行するPCのうち一人が一騎打ちをできます。ここで一騎打ちをしないで集団戦を行うことは、トロルの集団との戦いを引き起こしかねません。ゲルニカはそれはさけるためにPCに一騎打ちをさせます。
・ 他のPCには、周囲を固めることを指示します。

一騎打ち

トロルとの一騎打ちでトロルが武器をおってしまいます。
ゲルニカは手にもっていた槍をトロルの足元に投げつけます。
「つかえい。武器を折ったことを負けの言い訳にはさせぬぞ」
→ 武器を手に取ったトロルは再びPCに襲い掛かってきます。
★ この勝負は勝利するべきでしょう。勝利でなければ状況は悪くなる一方です。
勝利した場合、とどめの最後の一撃まえにゲルニカから「それまで」と声がかかります。
ゲルニカが声を掛けなければ別のトロルが声をかけます。
★ もしトロルが勝利した場合も、トロルの止めの攻撃を前に蛮族が声をかけます。蛮族はボガードです。ボガードの中では戦士と尊敬を集める双剣のガガックです。
凶暴トロルは「なぜ止める。ガガックよ」と声を張り上げるトロルに対し、ガガックは指差します。
「折れた武器の変わりに、人間から借りた武器で止めを刺すのか」とトロルに言い返します。
トロルは理解すると武器を捨て、引き下がります。
→ この展開はPCとすれば命を拾うわけですからあまり格好よくはないでしょうが。

族長のハーゲン

一同が来たことが部族の中では騒ぎになり武装した戦士が集まってきます。
その中に屈強なトロルが姿を現します。黒い肌は光沢がありまるで鋼鉄のようです。一同を見下ろす巨躯の前では他のトロルなど赤子のようです。族長のハーゲンです。
・ 「よせよせ。お前達では勝てる相手ではない。奴らはこの地に蘇った魔剣の騎士を倒したほどの腕前ぞ(シナリオ「ゲルニカ4より」)」
・ 「何しに来たのだ。見たところ。争いに来たわけではあるまい。そうであるなら望んだりなのだがな・・・」

ハーゲンは一際大きい自分の館まで案内します。館と表現されるのもそのはず。その洞窟は十分に整理されまるで建物の中のように整えられているではないですか。そこには台座となる椅子までも岩をくりぬき削ったものです。
ハーゲンはそこに虎の皮をしいて腰掛けています。
ゲルニカは話を切り出します。
・ 「どうだろうハーゲン。私をここに住まわせてもらえないだろうか」
「私はお前達のことをもっと知りたい。」
・ ハーゲンは大変驚きます。
ハーゲン「蛮族に加わりたいというのか」
ゲルニカ「いや違う。私がここにいるのはあくまで私のためだ。人族も蛮族も関係ない。」

  ハーゲン「蛮族が怖くは無いのか」
  ゲルニカ「運が悪ければ人は死ぬ。家でも戦場でも同じだ。」
「寝首をかかれて死ぬことは、ここならばあるまい?」と周囲を見渡すと、トロル達は顔を見合わせます。
トロル達が全て勇猛な誇り高い戦士というわけではありません。しかし、こう言われると悪い気がしないのも人情です。
さらに、ここで不意打ちなどしたらハーゲンの怒りを買うでしょう。そうしたら誇りにうるさいこの部族では破滅です。

ハーゲン「いいだろう好きなように暮らすといい。必要なものは用意させよう。」
「お前達は部族の中の戦士と比べても遜色ない。いやそれ以上の戦士だ。好きなようにするといいだろう」

一同に宛がわれた部屋

一同の部屋としてあてがわれる場所をいくつか案内されます。
一つの洞窟です。一応毛皮のようなものはいくらかおかれています。ですが部屋は薄暗く光源になりそうなものはありません。当然窓などもなく、出入り口も一つだけです。部屋の大きさだけは数mあります。

次に案内されたのは表です。高床式の建物で見張り小屋になっている場所です。大きく大胆なつくりをしていますが、中は大部屋が一つあるだけ、窓はあるのですが、壁は薄く、ただ風よけとして存在している限りです。
→ PCはどちらの部屋も選択できます。

次に一同が紹介されたのは貧相なゴブリンです。一同と顔を合わせると、愛嬌など無い笑みを浮かべます。
「これがお前達のゴブリンだ好きに使え。」
このゴブリンの名前はPCが自由にけて構いません。
名前はそれほど重要なものでもないようです。

生活に必要なものを手に入れる。

一同に必要なものは自分達で手に入れなくてはなりません。
・ 牛馬のための干草を持ってきます。干草はベッドにも使います。干草の上にシーツをしいてベッドとして使うのです。
・ 机やテーブルなどを集めることは苦労はありません。壺や樽など、明らかに人間から奪ったと思われる戦利品があります。これに獣の皮をかぶせて周囲を蔦で縛ればイスの出来上がりです。
→ タルの置き場所はゴブリンが案内してくれます。ようするにそこはゴミ捨て場です。
・ 一同がそのような作業をしていると一同の部屋に花がいけられています。
ゲルニカが花をいけてくれたようです。「日中は表に出し、夜間は中にいれるのだ。毎日水をやるように」とゴブリンに教えます。
→ ゴブリンはやけに元気のいい返事を返します。それが帰って信用できません。

トロルの生活。

トロルの生活は日々の訓練と肉体の鍛錬ばかりです。中には狩りを行うなどして鍛錬を行うこともありますが、ほとんどはそのために時間が割かれています。もっとも鍛錬というもの自体が敵と戦うことなので危険な部族に違いはありません。
トロル達の村を支えているのは、ゴブリンとコボルト達です。勿論トロル達も食糧を集めるのですが、料理したり細細とした仕事をするのは彼らばかりです。
・ 一同が時間を過ごしている間にゲルニカはまずコボルト達に色々と指示を与えています。
どうやら食べられる食べ物の採取の仕方を教えているようです。
→ 「トロルに腹を減らされるとろくなことにならないからな。」

トロル達の食事についてもゲルニカは色々と考えます。
彼らは牛や鹿などを捕まえては生で食うこともありますが、最近は丸焼きにして食べることもあります。
・ 味付けに関してゲルニカは考えます。
「多分人間のような味付けをしても、トロルの味覚は刺激しないだろう。」
ゲルニカ取った獲物の血抜きの際に血の一部をソースに使うというものを提案します。
「人間でも鴨料理などは伝統的にこのような食す場合がある。」
→ 一同が怯えるのならば)「生物とは本来残酷なものだ。それに曝されることに恐怖を感じる気持ちはわかるが、彼らは何も我々を取って喰おうなどとは考えていない。今のところはな」

そのほかにもニンニクなどの香辛料を使うことに決めます。
「ニンニクは昔から使われていた香辛料で、煮詰めてよし・焼いてよしの料理だ。多分トロル達の口にも合うだろう。」
とゲルニカは次々と食事のレシピを考案していきます。
→ 生き生きとしたゲルニカの冗談は冗談になりません「喰われる身になると怖いものだな。」

怯える一同に対してゲルニカは笑いかけてから、となりに腰を下ろします。
「知っているか?トロルは巨人語を話す。オーガはドレイク語だ。何故だと思う?」
「私が考えるに、トロルとオーガは一見似ているようで、その実はかなり違うものだ。」
「オーガは知性から人を殺す。オーガが話す上位蛮族語はドレイク語ともいう。ドレイクが蛮族を扱う上ではやらせたためだろう。ではトロルは何故それに入っていないか。私が思うにトロルはより古い起源の部族なのだろう。」
「オーガは真語魔法を使う。これはオーガがロジックの産物で、人間との戦いは誰かしらの論理によるものだからだ。もっともこの宿命は神の論理かもしれないが。」
「トロルにとって信仰は本能だ。いや本能を信仰に消化させ、それらを明確に分けることで種族を別ったと思う。トロルは本能的にダルクレムの神がかみあい、そしてその一念が本能を越えたからの種族ではないかと思う。
もっともその根本が本能であるのだから、やはり完全に越えたものではないのだろう。」
「私がこの部族に関心をもったのは彼らがその点において成熟しているからだ。歴史の深さゆえか、彼らの闘争本能は他者を殺戮することに意味を求めている。彼らは私達を殺そうと思えば殺せるだろう。私は否定しない。しかし、私を殺すことで理念を失うのならトロルとしては敗北なのだ。」
「私もまたトロルという存在に一石を投じる存在なのだ。」
「生きるというのは困難なものだよ。トロルであれ・私であれ。今は祈ろうではないか。ダルクレムの神の信仰が常に彼らとともにあることを・・・」

晩餐にて 〜ダルクレムの神〜 その日の夜の食事はトロル達には大いに口に合ったようで、野性味溢れる料理の新たな味わい方に舌鼓を打っていているようです。もっとも共に食事する一同には決して安心できる光景とは言えないでしょうが。
・ しかしこの光景で気がついたことは、彼らは想像以上に自分を自制できる生き物のようです。解放を信念に生きる彼らがこれほどまでに自制することは違和感があります。
・ ハーゲン)
・ 「ダルクレムの神は確かに解放を信仰の要としている。ではそれは鍛錬を怠り惰性に時を過ごすことか。そうではない。戦士は腕を磨かなくなったとき戦士でなくなり、王は戦場に立たなくなったときに豚となるのだ。」
・ 「我々は飢えても共食いはしない。ボガードも喰わないし、ゴブリンやコボルトも喰わない。そんなものを食う道が強くなるための道だとは思えないからだ。おまえ達とどのように別れるか、それは知らない。しかし、戦に破れる以外の終わり方など我々は望まない。」
・ 「もし、飢えて食い殺したり、だまし討ちで命を落すことがあるなら、我々は悲しむだろう。そんなつまらない結末など望んではいないのだ。」
・ 「ダルクレムの神は我々に最強の体を与えた。これは神が与えた力だ。我々はそれを穢れなどと嫌わない。この体が振るう力に歓喜し、好敵手との戦いに酔い痴れるのだ。ただ我々は恐れる。豚のように太り果て、力を満足にも振るえず神の与えた肉体を汚すことを。」
・ 「神は全てのしがらみを破壊せよと言った。我々トロルは悩んできた。掟などいらないのか、縛られぬことが強いことなのか、そしてトロル達が減っていった。後に残されたのは私達だけだ。おそらく信仰を履き違えたものが減っていったのだろう。自己を縛れぬものに自由無く、惰性に生きるものにはやはり勝利はないのだ。
・ 我々はダルクレムの神の教えを履き違えてはいないと思う。
我々は生きることで今も「この力が穢れである」という 「この世界の掟・束縛」を断ち切りつづけているのだ。
それは、もしかしたら・・・不自由な道かもしれんのだがな。」

今度はハーゲンがいいます。「何か話を聞かせてくれ」
PCは思うことをここでハーゲンに伝えることができます。もっともハーゲンは敬虔なダルクレムの神官です。そのようなものの見方しかできません。しかし、そのものの見方であっても一同の話には耳を傾けます。
「私にはわからんが、そういうものなのだな」

ゲルニカが何かを言うとしたらそれらが終わってからです。
「私はいまだ若輩です。何かを論じるに値するようなものではありません。」
「しかし、私の考えを言わせていただけば、長い年月の間磨きぬかれた信仰は、今まさに新たな掟をやぶり・束縛を断つためにあるのではないでしょうか。」
「何をすべきであるだとか、どう生きるべきであるということを私は知りませんし、導く言葉もありません。
ただ貴方は信じるところへと、部族と・トロルという種族の全てを引き連れていくだけの力がある。
貴方が結論する次の道のりが、道無き道であっても、正しい道であると確信できます。」

ハーゲン「人間との共存を望むのか?」
ゲルニカは首を振ります。
「共存など言葉です。人間同士が殺しあうというのに、共存などという言葉にいかな価値がありましょうか。共にあるということならば、今の私達のことを言うのでしょう。」
「ただ・・・人と蛮族が争うこともまた大切な意味のあることと思います。それも私は否定しない。」

それからの暮らし

それからまたしばらく経った後です。
それからしばらくの間、一同はゲルニカから言語の勉強をさせられるでしょう。
トロルの部族と話をするのにトロルの言葉がわからないでは、話になりませんから、ただしそれだけには終わりません。
汎用蛮族語も学ばなくてはならないのです。これはゴブリンやボガード達との会話に使うからです。
基本的には汎用蛮族語だけで会話はできるのですが、トロルの言葉がわからないことには交流は進みません。

凶暴だと思われていたトロルの戦士は、対決したPCと何かと張り合いますが関心は持っているようです。
一同に狩りの時に使われる「罠の張り方(落とし穴程度の大雑把なものです)」や泉の場所・川の場所なども教えてくれます。
→ ここでの生活は自由に行えます。
● ゲルニカの元を訪れた場合、丁度ボガードに茶を立てていたところです。
飲んでいるのはボガードのガガックです。彼は一同が入ってきても何かを気にする様子もありません。
● 一同の部屋にあった花が枯れました。原因は毎日水をやりつづけるゴブリンです。いつも花は水の中に浮かんでいる状態になります。何度言っても返事はいいのですが理解しません。
→ それでも責めつづけると突然に罪の意識にかられたのか何度も壁に頭を打ち付けて自虐します。あまりに激しくて見ていられません。そのままほっておけば部屋はメチャクチャになってしまうでしょう。

● コボルト達がいもを粉にしてからタルに収めてしまっていきます。冬のための保存食です。これは冒険者達が教えてあげたことです。コボルトは頭悪いのですが単純作業を文句も言わずこなすために、ゴブリンよりも使い道のある種族です。

外のトロルとの戦い。

この地に別の土地からトロルの部族がやってきます。
部族の戦士達は皆警戒します。トロルの戦士に尋ねると教えてくれます。
「トロルと一言で言っても色々な奴がいる。あいつらはとはうまが合わない。」
「それにこの地は俺達がいる。あいつらが来るべき場所ではない。」
やってきたトロルの戦士たちはこちらの部族に負けず劣らず屈強な肉体をした戦士たちばかりです。
族長のハーゲンとの話し合いを求めた外のトロル達。ハーゲンとの話し合いは決裂に終わったようです。
・ 一同がハーゲンの元を目指すならばハーゲンから事情が説明されます。
・ ハーゲンの話
・ 「戦に破れて逃れてきた部族が、この部族の吸収を考えたのだ。彼らの部族は元々が大きい。数が減ったとしても媚びる様子など無い。戦になるだろう。」
・ 「彼らは毒も罠も使う。勝てばよいのだという考え方だ。それで負けてしまってはな・・・」と洩らすハーゲン。
・ 「負けて落ち延びてきた部族だ。もはや逃げる先もあるまい。ここで討ち果たす。」

ハーゲンはすぐに戦士に戦支度を整えるように指示します。
一同も望むのならば戦には参加できます。
→ ハーゲンは「何故、おまえ達が?」と尋ねてきます。
ゲルニカは何もいいませんから、参加したいPCが説明しましょう。
★ゲルニカは参加するようです。

ゲルニカに訪ねても何も応えません。しかし、その場合、戦場に向かう馬上にてゲルニカは声をかけます。
「ハーゲンは哀れんでいる。」

月夜の戦い

戦はその日の夜・山岳の中腹にて行われます。
このあたりは木々もまばらで所々に点在する広場が格好の戦場になったからです。
この辺りならば馬で動く際もあまり苦労はありません。

相手のトロル達は30人ばかりです。
彼らは岡の中腹に陣取っています。こちらのトロルは100人・ボガードも50人が付き従うという形です。
・ この戦いはハーゲンが圧倒的に優勢なのですが、ハーゲンはあえて全員ではなく自分を含めた30人の戦士で戦いを決したいと考えています。ここまで従って歩いてきた一同に対して、ハーゲンは静止を求めます。

夜中・両軍の大将がそれぞれ咆哮をあげます。山野に響くのは獣のごとき咆哮だけ、その声はさぞ人々を恐れさせたことでしょう。その声に両軍の戦士も奮い立ちます。雄たけびをあげ、それを合図に戦いが始まります。
・ この時、外のトロル達は動き回らず丘の上で迎え撃つことを選択します。

★ファイター/フェンサー/グラップラー/シューター技能の持ち主は、技能レベル+知力ボーナス+2D6で判定してください。目標値は14です。
→ これはおかしなことです。彼らは戦に破れたいわば敗残兵ですが、指揮はおちません。むしろ高いままです。
勿論これはダルクレムの信者であるからという話もありますが、そうでない場合もあります。
→ 外のトロル達は実は待ち伏せをしています。数は50体ほどいますが、30人だけを出し、残りを岡の裏に潜ませているのです。彼らは攻撃が始まった場合、回り込んで側面から襲い掛かります。

このことを気がついたのならばすぐに救援に行かなくてはなりません。
ゲルニカは「(PCと自分の人数¥−20)人続け!」と声をかけ馬を走らせます。
この言葉にすぐさま従ったのはボガードの双剣のガガックです。
・ ガガックはすぐにボガード達に声をかけると一同の後をおいかけます。

戦闘

一同はここでトロル達を相手に戦うことになります。
囲まれていたハーゲンは手傷を負いながら振り返ります。
→ゲルニカも声を張り上げます。
「ハーゲンよ。お前は愚かだ。しかし、それでもその道を通せばお前の道は開ける。
お前には神が与えた鋼の肉体があるのだ。振り返らずに進め!!」
ハーゲンは意を決し、再び外のトロル達のボスであるダークトロールへと向かいます。途中にいるトロルは殴り倒され、木の葉のように舞い上がります。ハーゲンは獣のような咆哮をあげるとバーサークし、そのまま相手のダークトロールに襲い掛かります。

・ この戦いではゲルニカは指揮を担当します。
・ トロルの数はプレイヤーの合計人数+2です。
これによって一同の命中力は+2されます。またゲルニカの澄んだ声は戦場でもよく通り、一同を鼓舞します。
それはまるでバトルソングのようです。一同の命中力をさらに+2・ダメージを+2します。
→ 結果命中+4・ダメージ+2となります。
これはそばで戦っているボガード達にも適応されます。ボガードも獅子奮迅に戦いを始めます。
→ 一度に複数と戦う場合は死ぬ危険があります。
その場合はここでガガックは一同をひきつける囮となります。結果として1d6人の攻撃がガガックを優先します。これでプレイヤーが直接戦う相手は減少します。

勝負あり。

勝負の決着は相手のダークトロールをハーゲンは破った時に訪れます。
ダークトロールは最後はハーゲンの拳に叩き下ろされ、殴りつづけられるうちに体をひしゃげさせられて絶命してしまいます。鋼鉄のような体すら平たく潰す鉄の拳です。
→ ハーゲンの勝利の咆哮とともにトロル達は指揮を失います。
 彼らはこうなると逃げ出したり降伏したりしていきます。

一同は傷ついたハーゲンと再会していきます。
ハーゲンのひび割れた肌は放っておくとたちまちに癒え、元の鋼の体へと戻ります。ダルクレムの神が与えた体です。
・ ゲルニカは傷ついたボガード達の治療に入ります。馬上から降り、その傷を自身のマントで拭い、手を触れることで治療に入ります。ゲルニカは薬草の類で治療しようというのですが、落ち着かせるために相手の体に手を触れるのです。
・ 治療を終え立ち上がるゲルニカのマントは真っ赤に染まってしまいます。しかし、それを気にする様子も無く馬上に戻ります。

この活躍にトロルの戦士たちも歓声を上げます。一同の戦いを、そして自分達の戦いを互いに賞賛しているのです。
その声をハーゲンはまるで鐘の音のように耳を澄ませています。

帰路にて 〜ゲルニカの話〜

帰り道のことです。
ゲルニカ「ハーゲンは迷っていたのだろう。結局のところ、どんなに信念を持った指導者でも、毎日悩みつづけて生きていくのだ。自分は正しいのか、今日自分は正しくあれたか。今日は勝つ事ができた・・・しかし明日は?」
「そしてどんな信念も時として現実の前では瓦解する。貧困・敗北。部族の長は何があっても部族を守らなくてはならない。ただ自分の信念を貫けばいいというものではない」
「だからハーゲンは悩む。毎日のようにな。」
「彼が正しかったか・・・それを証明するのは彼ではないのだろう。この部族が繁栄することが彼が正しかったことを証明する」
馬の横に寄り添うガガックはゲルニカを見上げます。
見下ろすゲルニカは視線をガガックに向け続けます。
「私もそれを望んでいる。彼とその部族の繁栄を。彼が正しいと信じる者の一人だ。」

宗教論議・エンディング

時折あるという宗教論議にゲルニカは向かうことを決めます。
ゲルニカはライフォス・キルヒアなどの神官の前で、その言葉を続けます。彼女は司祭ではありません。しかし、彼女は他の司祭達に認められてここに入っているのです。
「穢れをもって生まれる蛮族にも、何か神の御意志があるはずです。」

まず始めには善も悪も無かった。
世界は過酷で残酷なものだった。人が生き返らぬも、老いて死ぬのも定め、弱肉強食は摂理だった。
そこに始原の神が現れた。穢れはその時、時同じくして生まれたのでしょう。
永遠の命も、反魂の魔法の穢れです。穢れとは自然ならざる流れです。
人が神になるという行為自体に、人の心は乱され、当時の人々は自身の神に摂理すら変えることを望んだのではないでしょうか。
禁忌の生まれる前の世界、多くの人々が自らも神を目指し、理をゆがめてきたでしょう。
ライフォスもティダンも穢れの蔓延に苦しみ戒めてきたのでしょう。
穢れが蔓延する世界で人々を救ったのは、繁栄へと導く善の神々ではなく、破壊の神にして戦神ダルクレムだったと思うのです。

人は死ぬという魂の輪廻を加速させるために。破壊と再生の流れを加速させるべく、レブナントになるしかなかった命に穢れをたくして新たな命を与えたのがダルクレムです。
そしてダルクレムは、過酷な世界に生まれいでたる命に身を守る術を与えた。
蛮族が強いのはダルクレムの愛と思うのです。神が自分の子等を愛さぬはずはない。

蛮族を倒すなとはいいません。蛮族と人は神が定めた宿命の中にあるのです。
だが、蛮族も人も等しく神の愛を受け、この世に生まれてきたのです。」


これでシナリオはクリアです。
経験点は1000点獲得します。またトロルを倒したことによりハーゲンからは勇者の証として剣の欠片がもらえるでしょう。トロルはレベル6のモンスター。相手の生命点に関わらず6つの獲得します。

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