領主ルイ・フェロー

あらすじ

帝国の貴族ルイ・フェローとの関係が成立するまでの話。
主人公@は貧しい家の生まれ剣術を学んでいる。PCAはその通っている道場の師範代。PCBはPC達とは知人である神父兼医師。PCCはルイ・フェロー配下の騎士である。
・PC@の妹の結婚式に旅の途中現れた帝国の公子ロアンは単純な不快感から妹を牛裂きにすると決める。それを止めさせたのはこの土地の領主である大貴族ルイ・フェローとその配下の騎士達であった。
・ やがてPC達はルイ・フェローが奨望し、自分達の一派で取り仕切られている武芸上覧を行うこととなる。
ここで行われる不正にPC@は大成の機会を失いそうになるが、その試合を見て、不正を感じとったルイ・フェローは試合を正当なものとしてやりなおさせる。
しかし、面子を潰された相手方の逆恨みに、PC@は狙われることとなる。そのことを危惧したルイ・フェローは部下である騎士(PCC)を送り、またPC@の知人(PCAB)にそのことを伝え、窮地を逃れるのである。
結果責任を感じた道場師範は自決することとなり、ルイ・フェローもまたその結果に残念さを覚える。
ルイ・フェローは道場の残り火に責任を感じ、面倒をみていくこととする。


他のルールへの移行

このシナリオは目標値をいれていないので、他のルールでも行うことは可能。

舞台設定

民衆出の皇帝であり、人徳の人物で知られる皇帝ゼファーの建国した国ディノギノス。
その大陸最大の帝国ディノギノスは多くの諸国を併合し、ほぼ大陸を掌握しようとしていた。
だが、異民族との辺境での交戦を機会に帝国は海を隔てた異国との泥沼の戦争を繰り広げていた。
終わらぬ戦争・乱れる政治・かつての栄華と平和がなりを潜め、人々の生活は苦しいものとなっていった。

[PC@:剣士]の設定

主人公は剣術道場に通い、剣を学んでいる少年/青年。
両親は既に他界、この余に残されたのはカレンばかり。青年なら妹のカレン/少年なら姉のカレン(ここでは妹)
今は剣術道場に通い、その印可を貰うことで大成を目指すことだけが生活を楽にする術である。

主人公が通う道場からは多くの剣士・剣豪が大成し、都にて仕官の口を得ていた。
そのため各地から剣技を学ぼうというものが次々とこの道場には集っていた。

主人公にはたった一人の妹がいた。名をカレンという。
カレンは唯一の家族であり、家事を切り盛りする良く出来た妹であった。
自分達は貧しいながらも、慎ましやかな暮らしをしていた。

そんな妹に結婚話があがっていた。長年二人して暮らしてきたがためにの寂しさもひとしおであったが、一生自分の手元に置いておくというわけにはいかない。二人には別れのときが迫っていた。

[PCA:師範代]の設定

剣術道場の師範代をつとめる。[PC@:剣士]の兄弟子であり師匠ともいえる存在である。
・ [PC@:剣士]をあくの道に引き込むような、悪い兄貴分であったが、若い自分にはこのような男には魅力があるもの、一同の中では人気者である。現在、道場の師範をつとめるのは彼であったが、その腕前は既に父を超えると噂されるものである。
・ NPC・可

[PCB:神父様]の設定

そばの教会で司祭をつとめる人物。医学的な知識も持ち、町でケガをした人々の治療を無償で行うなど、非常に人気のある人物。当然金銭面においては問題があり、領主の寄付を食いつぶし細々と教会を運営している。
最近・教会が建て直される。
教会は帝国とは関係が悪くなっていく。 「皇帝が海外遠征から帰らぬこのディノギノス。もはや現在の皇帝ゼファーの生還は絶望視されていた。
このままでは空位となることを怖れた帝国は、不在時に皇帝となるべく王子ロアンの即位の準備をしていたが、当然ロアンは父同様の後ろ盾として教会に後押しと祝福を依頼したのである。
しかし、あろうことか教会はロアン王子には王の資格なしとして、後押しを拒むという事態となった。
怒り狂ったロアンと教会の溝は一気に深まりつつあった。」―という経緯


・ NPC・可

[PCC:騎士]の設定

領地を治める貴族:ルイ・フェロー侯爵の従者・騎士。ルイ・フェローは民の気持ちがわかる名君で、精錬潔白・貴族の魔反となるべき人物なのだが、そのために摩擦も大きい。暴君となるロアン王との仲は悪く次第に対立していくために、配下騎士も運命をともにすることになるだろう。

・ 基本的にはルイ・フェロー合流後は従者・騎士ルーシャスと同行する。いわば人数合わせの設定である。しーんとしては書き込んでないので、GMが適当に導入してくださいな。
・ NPC・可

登場人物

ルイ・フェロー

帝国の大貴族。爵位は侯爵の地位にあり、名門であり建国王ゼファーからの新任の熱い一族である。精錬潔白で騎士の鏡とされ、人々の尊敬を集める人物だが、やはりこの当時の貴族ということもあり、民衆の台所事情や生活には詳しくない。また、謀略などにも疎いので、まっすぐな性格が災いして色々と危険に首を突っ込んでしまう人物でもある。
貴族として自分は気高いながらも、部下とする人物には家柄を優先せず、自分が信頼できるかを中心に評価する。そのため灰かとなった人々には、ルーシャスのような頭の足りない力持ちもいる。

ルーシャス

ルイ・フェローの部下で、怪力無双として今だ負け無しを誇る巨漢。教養などはまったくないのだが、ルイ・フェローに好かれて部下となり、彼の騎士として戦う。頭は足りないが、竹を割ったような爽やかな性格をしており、中々の好漢である。彼は招待はライカンスロープであり、肉体的に普通の人間とはまるで違う。そのことを全て知った上で自分を登用したルイ・フェローのことを尊敬している。

ロアン

先代皇帝ゼファーの嫡子。皇帝ゼファーが奴隷から裸一貫国を建国、大陸の半分までを平定する建国王であるのに対し、生まれた時から地位が高く苦労知らずのボンボン。世間に厳しさなどまるで知らず、わがまま三昧放蕩振りを見せるも、権力欲だけは強く、自信過剰。自分の力を見せ付けたいという願望は強い。非常に残酷な性格で、人が傷付くのを見るのを好む。人を人とも思わぬ行いが過ぎ、余興といっては市民をいたぶり殺す。

ゼロ

ロアンを守りロアンの忠実な部下として働く、いわばロアンの片腕。生まれは名家であり、家柄はいいのだが、たたき上げの軍人であり、皇国の英雄バストールには遅れを取り、その兵力差は開くばかり。バストールには嫉妬し、暗黒騎士を目の敵にしている。ロアン王が王位についた際には、ロアンの新任を背に軍事力掌握に乗り出す。
性格は冷酷で、ロアン王のかゆいところに手が届く。二人はツーカーである。
でもゼロってすごい名前だよね?

1・オープニング 〜導入〜

剣術道場にて 道場の師範は高齢であったが、かつては名を馳せた剣客であり、その剣術技量は都でも一目置かれ、その名は尊重されている。しかし、寄る年月には勝てず、最近は自らが稽古をつけることはなくなっていた。
・ 一同はここで稽古をするところから話が始まる。自分達の実力を試すために最弱の雑魚を倒すなどしてウォーミングアップを図るのもいいだろう。
・ なおここでの人間関係もここで把握しておくほうがいいだろう。
師範 ・・・剣術だけで身を立てていた人物。しかし、既に剣の腕は衰え、[PCA:師範代]に稽古を任せている。
師範代・・・PCA。ここで剣術の稽古をしているのは実は彼。アウトロー的・または粗暴な性格でなきゃダメ!
PC@・・・結構強い方の部類の剣士見習。しかし、生まれが貧民のために貴族のボンボンからは嫌われている。
練習生・・・だいたい平民かそれ以上の地位を持つ人が多い。貧民は嫌っている。師範代のことは尊敬しているがPC@は嫌っており、イジメの対象となっている。師範代が庇うなら、表ざたにはしたくないと考える。

シーン:「貴族のボンボンによる折檻」 場所:道場

もし戦闘などをやらずに終えた場合の追加イベント。PCが一人であった場合も、追加イベントでやってもいいだろう。
道場で剣術稽古をする中、生まれの悪い[PC@:剣士]に対しては貴族の御曹司達は何かと因縁をつけてくる。
そ日も稽古が終わった後の[PC@:剣士]をからかう為に集ったボンボンは[PC@:剣士]をフクロにすべく、取り囲む。
「稽古をつけてやろう」という彼らの言い分とは他所に、行われるのは派手な折檻である。
・ 例え道場稽古といえど、息子が平民に傷つけられるを良しとしないゆがんだ親心は、息子のためとはならず、それゆえこの御曹司たちにはまともな剣術は身につくはずも無かった。
・ しかし[PC@:剣士]がここで打ち返し、手傷でも負わせよう者ならば、遺恨となるのは当然のことである。
⇒ ここで彼らを倒してしまった場合、返って事態を悪くする。
 彼らは返ってこのことを父母に泣く泣く訴える。誇張された話に家族は報復を考えるだろう。

[PC@:剣士]の家〜 もはやあばら家〜

家はあばら家、わずか一室であり、竈と布団があるばかり。 生活としてはほとんど私物を持たない最低限の生活である。
この家の財産といったら、道場稽古用の剣と試合用の剣。後は[PC@:剣士]の一張羅とばかりである。
・ カレンは主人公がまだまだ弟子の中では核が下で禄がもらえないこともあり、身を粉にして働きつづける。
そんな生活に悪態をつきつつも少しも[PC@:剣士]を責めないという甲斐甲斐しさを見せる。

主人公は貧しいながらも御周囲の愛情に恵まれる日々を過ごしている。
[PCB:神父様]はこの家に妹の誕生日の打ち合わせで訪れていたところであり、すでに妹の結婚相手の男性とも式の当日の詳細が話されている。
ところが・・・妹のカレンはPCの帰宅が遅く、心配していたというところである。
いくつになってもお兄ちゃんは心配なのである。
→ PCが帰ってくるのは、そんなおりだろう。
★神父様は村では医者の真似事をしている。
・ ケガをしているのならばPCを治療してあげるべきだろう。ねぇ神父様?

妹の結婚相手について
妹の結婚相手は行商をしている若者で、隣町から道具や日用品を売りに来ている。名前をアランという。
アランはカレンの家に品物を売り込みに来て好感を持ち、二人の仲は自然と進展していった。
アランは金持ちではないので、生活は苦しいだろうが、二人の仲むつまじい様子は、そんな心配を吹き飛ばすだろう。
・アランはPCにもなついているので、大変心配する。

シーン:「[PCA:師範代]に誘われて違法賭場へ」 場所:賭場

何かと素行の悪い[PCA:師範代]。道場での稽古が終わり、今日は今日とて違法の賭博場に繰り出そうとする。
そんな[PCA:師範代]は[PC@:剣士]を誘うのが常となっている。
・さて[PCA:師範代][PC@:剣士]を賭博場に誘うと、賭けに乗り出すところである。
・ 酒に女と品行悪い賭場にて、一同は賭け事を満喫する。
・ [PC@:剣士]も断ることはできず、その賭場にて当時流行っていたルーレットのようなものを行うのだが・・・
このルーレット、球は転がさず、回転する盤が止まった時の模様を当てるというものである。
始めのうちはイカサマがないのだが、実は大事な勝負はイカサマを使うという仕掛けが公然とされていた。
⇒ 見れば[PC@:剣士]は貧民これ以上は金を支払えないと見切りのついた胴元は、イカサマを使い[PC@:剣士]を負けに追い込む。

しかし、これを見ていた[PCA:師範代]。音の変化で盤に仕掛けがされていることを見抜く(何故なら[PCA:師範代]は以前この手で大金を巻き上げられたことがあるのだ)。
→ イカサマであることを公言するならばあたりは物々しく騒ぎ始める。
当然賭博場の胴元及び用心棒は「イチャモンだ!」と逆に威圧するというありさま。
・ [PCA:師範代]がからくりを公開するならば(例:盤を突き刺し、盤をひっくり返して断ち割ると→ 中からは鉛と錘、何かの仕掛けが飛び出す。紐でいわいてある盤は回り具合を加減できるのだ)、青ざめる用心棒。しかし、それを認めない胴元はついに用心棒達をけしかけてくる。
→ 用心棒達との戦い。5人の雑魚を撃退せよ!。
その場はたちまち大騒ぎになる。
⇒ この事件は違法賭博ということもあり大事にはならなかったが、[PCA:師範代]はヤクザものに睨まれたり、逆にヤクザ者に金を貰ったりという有様。父である師範は、それは大変怒ったが、あくまで「剣名を汚す行い」としてである。

2・妹の結婚式 〜ロアン王子/ルイ・フェロー侯爵〜

妹の結婚式は近くの教会で行われる。この教会はこの辺鄙な村には珍しく新しく・豪華なものである。つい先日まで、見ているのも恥ずかしいほどのボロ教会だったこの教会は、村人の寄付のもと、ついに再建されたのである。
・ その日ばかりは近隣の知人達が集り、彼らの持ち寄った食べ物が並べられる。
・ 知人達からは次々と贈り物が送られる。彼らは彼らなりに気を使い、自分達でこしらえた家具を持ち寄ったり、財産になるだろう羊毛などを持ち寄ったりしてくる。
・ 近所の人々もその日ばかりは、豚肉や鶏肉タマゴを持ち寄って祝ってくれるのである。

その結婚式にとんだ珍入者が現れる。
突然に現れた毛むくじゃらの大男。ボサボサの髪と獣人ではないかというような大きな体格。すごい胸毛、赤だらけの肌。着る物はボロボロという男であり、唯一まともな所持品は、刃のかけて棍棒となりつつある剣のみという服装である。
・ 男は用意された料理をムシャムシャと食べ始め、見る見る平らげていく。
→ 静止しようとしてもまったく聞いてくれない。
・ どうやら男は眠りながら食べているようで、いびきすらかいている。

食事が終わって一息つくころ、ようやく意識を取り戻す大男。彼はそのいかつい要望に似合わぬひょうきんな顔で土下座して詫びる。「すまなかった。本当にゴメン。俺は腹へって腹へって、意識が飛んでしまっていたんだ。」
・ 男は自分の名前をルーシャスと名乗る。
・ ルーシャスは故郷を目指して旅をしていたようであるが、旅の途中昼寝をしていた際に盗人に路銀を盗まれ、のまず喰わずで旅をしていたらしい。
・ 今は故郷から地元に帰るところらしい。地元はここの地域で、自分はここで色々と人足のような仕事をしていると説明する。
・ 一同に対しては「力仕事でよければいくらでもやろう」と進み出る。
・ 彼の仕事を正確に訪ねても彼はお茶を濁す。彼はここの領主である貴族ルイ・フェローの従者である。しかも彼はライカンスロープであり、そんな自分が従者をしていることの引け目も感じているのだ。

そんな侵入者を迎えつつ、一同は再び結婚式を始める。
着飾ることの無かった妹の生涯に一度の花嫁衣裳は誇張抜きに美しく、彼女もまた幸せに輝いていた。
人々もその姿に祝福の言葉を送り、二人の前途を見守る。
・ 教会の神父様は、誓いの言葉を上げるのがいいだろう。
→ カレンとアランは二人は生涯の愛を誓い合うのである。

ロアン王子の行列

そんな一同の教会の前を仰々しい一団が通りかかる。武装し着飾った騎士達と仰々しい馬車である。
その馬車にはこの国・ディノギノス王室の紋章が刻まれている。護衛する騎士団は1000にも及び、隊列は長い。
・ ディノギノスは圧政を強いる大国なので人々の評判は悪いが、ことここの領主:ルイ・フェローだけは別である。

都へ向かうだろう馬車から声が出る。「馬車を止めろ!」。
そこから顔を出したのは豪華の衣服で着飾り、王冠を頭につけて青年である。端正な顔は不愉快にゆがみ、人を信じることの無い不信感を剥き出しにし、人々を受け入れられぬ狭量な性格が見て取れる目線を一同に投げかける。
・ 「なんというけしからん奴らだ。戦火が続き、乱れた世にあって太平をむさぼり、贅の限りを尽くすとは!?」
「どうせこの教会も、我々の寄付で立てているのだろう。」と難癖をつけてきます。
教会の神父は知っています。
・ 父が海外遠征から帰らぬこのディノギノス。もはや現在の皇帝ゼファーの生還は絶望視されていた。
・ このままでは空位となることを怖れた帝国は、不在時に皇帝となるべく王子ロアンの即位の準備をしていたが、当然ロアンは父同様の後ろ盾として教会に後押しと祝福を依頼したのである。
・ しかし、あろうことか教会はロアン王子には王の資格なしとして、後押しを拒むという事態となった。
怒り狂ったロアンと教会の溝は一気に深まりつつあった。

ロアン王子は「その着飾った馬鹿な娘を牛裂きにせよ!!」と命じる。
王の配下であり、冷酷な騎士である近衛騎士団長ゼロは、ニヤリと笑い、その座興の準備とともに、王子に酒を用意する。
ゼロは冷酷かつ残忍な騎士である。
一見すると端正な顔立ちの美青年である彼は、王子に負けず劣らず、一同に対してあまりにも冷淡な態度を取る。
一同など「害虫」とでもいわんばかりの視線を送り、その視線には嘲りすら浮かんでいるではないだろうか。
・ 命じられた騎士達は100人が向かってくる。
・ 100人もあれば場を制圧できるし、PCが徒党を組んで立ち向かったも制圧されてしまう。しかもゼロはこれで優秀な男である。主君ロアンには絶対危害が加わらないように配慮する。

さすがのカレンも泣き叫び必死に許しを乞う。
カレン「違います。今日は私の結婚式なんです。こんな格好をしたことは今の今まで一度だって・・・」
人々「教会はみんなで金を出し合って直したんです。」
アランも必死に許しを乞うが、ロアンは許さない。
ロアン「その女が死んだら、次はお前だ。自分の無力さをかみ締めながら死ぬがいい。」
「おっとここからが大切なところだ。死ぬ時には神の無力さを呪い、私への許しを請いながら死ぬのだ。」

義侠ルーシャス

・ その騎士達の前に歩み出るのは毛むくじゃらの大男ルーシャスである。

ルーシャスは進み出て笑顔満面提案する。
「あっしがその牛と力比べをします。牛をつないで止めたら、この刑はなしというのでどうですか?」
ロアンはそれを笑って受け入れる。
ロアン  「いいだろう。お前の手足と・女の手足に結ぶがよいな。」
ルーシャス「あっしの手足に全部の手綱を握りますがいいですね」
ロアン  「ああ構わん」

用意される牛は8頭
普通の牛裂きも2〜4頭も使えば十分である。ロアンは何が何でも殺す気なのだ。
牛の尻に鞭が打たれ走り出す牛達。それの手綱がひかれ、一気に腕に食い込む。しかし、あろうことかルーシャスは憤怒の形相で、手綱を握り締めると決して手綱を放さない。いやそれどころか、手綱をつかんで手繰り寄せ、牛を引っ張り戻すではないか。

手が血に染まり、血管が浮き出し、鼻血を流してもルーシャスは放さない。
しかし、これは拷問なのだ。終わりの掛け声などない。
瞬間ルーシャスが力をこめると8頭の牛が続けて転倒、うち6頭の首の骨が折れる。
ルーシャス「へへへ、これであっしの勝ちですね。」


「そいつらの首を刎ねろ!!!」ロアンは怒りに任せて号令をかける。
その時行列の目前から、また別の一団が訪れる。旗印はこの地元の領主:ルイ・フェローである。

ルイ・フェロー

ルイ・フェローは縦ロールに金髪の大変美しいまつげの長い貴族であり、服装もきらびやかである。ある意味その服装は庶民離れしており、人々の理解の外にいる美形である。
・ 「王子。お見えになるのが遅いので、お迎えに参りました。」
・ 彼が訪れるとロアンはドギマギとする。王子は王族といえど、束ねている諸侯は少ない。ルイ・フェローは侯爵の地位を持つ大貴族なのである。ロアンといえどルイ・フェローの領地で勝手なことはできない。
・ ロアンは「あの大男が無礼を働いて・・・」と言い訳する。そうやって目線を向けられるとルーシャスは「しまった」と言う顔で縮こまりユビをいじり始める。
ルイ・フェロー「おや? ルーシャスではないか。一時帰郷するとは聞いていたが戻ってきたのか。随分と遅かったな? して王子。あのものは私の従者であります。あの者が何かの無礼を働いたのでしょうか?」
ロアン「・・・馬の前を横切ったのだ。」

ルイ・フェロー
「これは異なことを、そういう警備は近衛の方々が責任を持って行われております。1000人もいてそのようなことになるとは思えませぬ。しかし、それでも尚ルーシャスが道を阻まねばならぬ道であるのならば、その道は危うい道であったのではありませんか?」
ロアンは「もう・・・よい」と話を打ち切り、ルイ・フェローとともに、彼の領地に向かいます。

ルーシャスはルイ・フェローに頭を下げ、「すいません。考えなしに大事にしてしまいまして・・・」と詫びる。
ルイ・フェローはそんなルーシャスを一括する。
「立つのだルーシャス!正しいことをした君が頭をたれてどうする。胸を張りなさい。」
・ 一同に対して
「諸君。失礼した。王子からもお許しが出たことであるし、宴を続けなさい。
そうだ。折角王子が我が領地にお見えになっているのだ、領地を上げて宴をするのも悪くあるまい」と他の手勢に指示し、町での宴の支度がされていく。
かくして一同は結婚式を続けることとなる。
・ ルーシャスは「これで食べた分は恩返しできたか?」と一同にはにかむように笑う。


3・武芸上覧 〜ロアン王子/ルイ・フェロー侯爵〜

シーン:武芸上覧試合 場所:広場特設会場にて

剣術道場では武芸上覧が予定される。
この領地の領主ルイ・フェローは広く人材を集めている。そのためにこのような武芸上覧も一つの仕官口なのである。 仕官が叶わなかったとしても、賞金は大きく、貧困層の希望の糧になっているのも事実である。 ルイ・フェローがその目で直接試合を見る上覧試合は、領内の武芸者にはもっとも意味のあるものであり、もっとも権威ある式典であった。ここでそのお眼鏡に止まることはもっとも価値のあることであった。
・ その試合は全て師範の名で取りまとめられ、つまりはこの国内では師範の地位が不動であることの表れでもあった。
・ そしてその上覧試合に腕の立つものは次々と名を連ね、参加を決めていくこととなる。
⇒ そして[PC@:剣士]もその上覧試合に参加することとなるのだが・・・。
しかし、[PCA:師範代]はその式典からは外されてしまう。なぜなら、[PCA:師範代]は加減を知らず、このような試合となれば相手の命すら奪いかねないためである。当然それを危惧した師範は参加を許さなかったのだ。
  ただしこのままでは[PCA:師範代]は何をするかわからない。そこで師範はそのまま言うことを聞かぬ息子を館に閉じ込め軟禁を命じるのである。

仕組まれた出来試合

上覧試合に出る[PC@:剣士]の対戦相手は、貴族のボンボンである。
貴族のボンボン相手の勝負の前に師範からはキツイいい渡される言葉がある。
・「この勝負は勝ってはならない」というものであった。
・ 仕官の道としてやってきている対戦相手に、自分達の道場は便宜を図らなくてはならない。
この試合はそのために行われた催し物、勝ちを譲れば、扶持を与えよう。というものである。

その試合内容は既に相手にも伝えられており、いわば決められた筋書きを追うだけ。
それを知る対戦相手は余裕の面持ちで、「よろしく頼むぜ」と出来試合に乗っていた。

●もし[PC@:剣士]が勝利を相手に与えようとするのならば、相手は調子に乗って、こちらに一本を叩き込む。
しかし、その時、声が響く。
「浅い!」と。その声をかけたのは、なんと領主:ルイ・フェローであった。 ルイ・フェローはその一撃を許さず。再び戦闘が継続、相手が何度一本を決めても―「浅い!」と静止をかけるのである。
これには師範もただただ青い顔をするばかりである。
⇒ [PC@:剣士]が勝たなければ、これは続くのだが、こうなると相手の面目はつぶれてしまう。
どちらにせよ、領主を憎めるはずもなく、相手の憎しみは[PC@:剣士]に向けられていくこととなるのだが・・・。

●もし[PC@:剣士]が手加減無く勝利をつかむようならば、やはり遺恨となるのは当然のことである。
⇒ ここで彼らを倒してしまった場合、事態を悪くする。
 彼らは返ってこのことを父母に泣く泣く訴える。誇張された話に家族は報復を考えるだろう。

そして逆恨みの仕置きが始まる。

さてその後はよからぬ様相へと事態は転じる。
ここまでの間に貴族の息子/賭場のヤクザなどから怒りを買っている場合がある。
★ ここで[PC@:剣士]が上覧試合で勝利していたのならば、対戦相手はこのことを王に問いただされ、やむなく自決に追い来れてしまう。相手の親はそれをたいそう憎しみ、[PC@:剣士]のせいとして復讐のために悪党を派遣するのだ。
また師範もこれによって面目を潰され、この弟子を不忠として処分することを決定する。

@ そして道場で問いただすと称されて、復讐劇は始まってしまう。
[PC@:剣士]を待ち伏せして襲い掛かる弟子達。それは全て師範の指示によるものであった。5人の弟子を倒した後も追っては[PC@:剣士]を必要に付けねらうこととなる。

A そしてその魔手は[PC@:剣士]は[PC@:剣士]の家まで届いていた。[PC@:剣士]の家に襲撃しにきた刺客達は、カレンを始末しようとしてくる。アランたちも抵抗しようとするのだが、弟子達が相手に素人では戦えない。 その魔手から、二人を救うべく動く影がある。ルーシャスである。
ルーシャスはこっそり忍び込んで、[PCA:師範代]と[PCB:神父様]に告げると自分も守るべく、[PC@:剣士]の家に向かう。
・ 現れる相手の手勢は20人ほどであるが10人はルーシャスが引き受ける。相手10人のうち5人を倒せば撃退できる。
・ ルーシャスは懲らしめるつもりで戦うので、棍棒で叩きのめす。

⇒ これらの魔手から無事に逃れるということは、師匠にとってはまさに恥じである。
しかもこの一件は領主:ルイ・フェローの耳に入る。ルイ・フェローは師範の顔を考え、師範には罰として「隠居」を進める。師匠はこの一件をこの上なく恥じると、自刃して果ててしまう。

結果

こうして心ならずも[PCA:師範代]は道場を継ぐ・・・というか、どうすべきか考えることとなる。

道場の師範の死の一報を聞いたルイ・フェローは道場を訪れる。
ルイ・フェローは師範の死を悲しみ。ことの顛末を[PCA:師範代]に説明すると、「まことに申し訳ない」と頭を下げる。また一同がそれを許すというのならば、一同に感謝する。
やがて一同にはルイ・フェローの従者見習とならないかと話が提案される。(神父は相談役など)
話を持ってきたルーシャスは一同を高く評価してくれる。
ルーシャス「別に騎士にならなくてもいいさ。仲良くやろう。そういうことだ」

顛末
ここでルイ・フェローのもとで騎士見習を目指すもよし。
ルイ・フェローの支援を受けて道場復興を目指すもよし。
報酬となる金だけを受け取って、まぁそれでまとめるもよし。


シナリオ紹介へ

トップページへ

Copyright(C)ゴスペラードTRPG研究班 (c) 2009.