反乱軍のグラーフ

シナリオ紹介文

帝国では新皇帝としてロアンが即位します。彼の政治は乱れ、暴君として人々を脅かしていきます。
時同じく起きた大飢饉に南方バルトゥーユでは民衆の反乱軍が旗揚げしたという報告が入ります。
これの討伐命令を受けたのが帝国の貴族ルイ・フェローです。
彼はPCに対してその反乱軍の全貌を確認させます。悪の反乱軍なのか・・・それとも何か先導する人物がいるのかです。

あらすじ

帝国では新皇帝として暴君ロアンが即位します。時同じく起きた大飢饉によって帝国の治安は大きく乱れていきます。
そんな折り、南方バルトゥーユでは民衆の反乱軍が旗揚げしたという報告が入ります。この討伐命令を受けた貴族ルイ・フェローはPCに対してその反乱軍の全貌を確認させます。悪の反乱軍なのか・・・それとも何か先導する人物がいるのかです。

真相

反乱軍とはいえ、その正体は無理な増税に村を捨てた人々の集まりでした。彼らはグラーフという青年によってまとめられ、非道な暴力には抗い、貧しい者達には施しを与える自警団として活躍していました。
バルトゥーユの領主はロアン王に対して、多額の献金を行っていましたが、その献金には飢饉への援助隊の物資も含まれていました。勿論そのまま流したりはできません。領主はこれを反乱軍にみせかけた配下の騎士達に奪わせることで、反乱軍に悪名を着せつつ、もうけもあがり、皇帝ロアンとの関係を良くするという謀略を考えました。

その後

しかし、どのように不正を証明しても権力前には無駄です。
ついにロアン王子飼いの近衛騎士団が現れると虐殺が始まってしまいます。
一同はこれを回避し、ルイ・フェローの領地まで民衆を逃がさなくてはなりません。
というのが流れです。
この結果ルイ・フェローは民衆のたてとなり、罪を負います。彼はこのことを皇帝に報告し、なんとか考え直してもらうために都へと向かいます。この次のシナリオではルイ・フェローを救わなくてはなりません。


他のルールへの移行

このシナリオは目標値をいれていないので、他のルールでも行うことは可能。

舞台設定

民衆出の皇帝であり、人徳の人物で知られる皇帝ゼファーの建国した国ディノギノス。
その大陸最大の帝国ディノギノスは多くの諸国を併合し、ほぼ大陸を掌握しようとしていた。
だが、異民族との辺境での交戦を機会に帝国は海を隔てた異国との泥沼の戦争を繰り広げていた。
終わらぬ戦争・乱れる政治・かつての栄華と平和がなりを潜め、人々の生活は苦しいものとなっていった。

[PC@:剣士]の設定

主人公は剣術道場に通い、剣を学んでいる少年/青年。
家族は妹のカレンとその夫。二人は最近結婚したばかりで、何かと家にはいずらい。
前回のシナリオでルイ・フェローに使えているのであれば、ルイ・フェローの館にて住み込みで暮らしている。

貴族ルイ・フェローとは知り合いで、友好関係あり。

そんな妹に結婚話があがっていた。長年二人して暮らしてきたがためにの寂しさもひとしおであったが、一生自分の手元に置いておくというわけにはいかない。二人には別れのときが迫っていた。

[PCA:師範代]の設定

剣術道場の師範代。道場は前回のシナリオでたぶん消滅。現在はなにするものぞ・・・。
[PC@:剣士]の兄弟子であり師匠ともいえる存在である。
[PC@:剣士]をあくの道に引き込むような、悪い兄貴分であったが、若い自分にはこのような男には魅力がある前回のシナリオでルイ・フェローに使えているのであれば、ルイ・フェローの館にて住み込みで暮らしている。

[PCB:神父様]の設定

PCの地元の教会で司祭をつとめる人物。医学的な知識も持ち、町でケガをした人々の治療を無償で行うなど、非常に人気のある人物。当然金銭面においては問題があり、領主の寄付を食いつぶし細々と教会を運営している。
教会は帝国とは関係が悪くなっていく。
新皇帝にロアンが即位することとなり、多分大事になることが予想される。
今回のシナリオでは教会からこのままでは空位となることを怖れた帝国は、不在時に皇帝となるべく王子ロアンの即位の準備をしていたが、当然ロアンは父同様の後ろ盾として教会に後押しと祝福を依頼したのである。
しかし、あろうことか教会はロアン王子には王の資格なしとして、後押しを拒むという事態となった。
怒り狂ったロアンと教会の溝は一気に深まりつつあった。」―という経緯


・ NPC・可

[PCC:騎士]の設定

領地を治める貴族:ルイ・フェロー侯爵の従者・騎士。ルイ・フェローは民の気持ちがわかる名君で、精錬潔白・貴族の魔反となるべき人物なのだが、そのために摩擦も大きい。暴君となるロアン王との仲は悪く次第に対立していくために、配下騎士も運命をともにすることになるだろう。

・ 基本的にはルイ・フェロー合流後は従者・騎士ルーシャスと同行する。いわば人数合わせの設定である。シーンとしては書き込んでないので、GMが適当に導入してくださいな。
・ NPC・可

登場人物

ルイ・フェロー

帝国の大貴族。爵位は侯爵の地位にあり、名門であり建国王ゼファーからの新任の熱い一族である。精錬潔白で騎士の鏡とされ、人々の尊敬を集める人物だが、やはりこの当時の貴族ということもあり、民衆の台所事情や生活には詳しくない。また、謀略などにも疎いので、まっすぐな性格が災いして色々と危険に首を突っ込んでしまう人物でもある。
貴族として自分は気高いながらも、部下とする人物には家柄を優先せず、自分が信頼できるかを中心に評価する。そのため灰かとなった人々には、ルーシャスのような頭の足りない力持ちもいる。

ルーシャス

ルイ・フェローの部下で、怪力無双として今だ負け無しを誇る巨漢。教養などはまったくないのだが、ルイ・フェローに好かれて部下となり、彼の騎士として戦う。頭は足りないが、竹を割ったような爽やかな性格をしており、中々の好漢である。彼は招待はライカンスロープであり、肉体的に普通の人間とはまるで違う。そのことを全て知った上で自分を登用したルイ・フェローのことを尊敬している。

法王・ベルサリウス=グリュンディッヒ

金色の盲目の天使。
教会区画のあるグリュンディッヒ領を収める人物で、帝国からは法王という称号を貰っているが、本当は枢機卿の一人。ただし彼女は天使であり、ゼファー王の召還に応じて、暗黒の世界に人間の国を建国させた天使達の一人である。そういう意味では教会でも別格的な存在感をもっている。温和な性格で、また何かと頭の固い天使の中では、政治的な配慮も取れ、バランス感覚に優れることもあり、大抵の人物とは有効的な関係となる。教会が慈善事業をしようとしたら大抵は彼女の指示である場合が多い。
なお戦の際は自らも槍を手に騎馬を率いることもあり、辺境諸国の国々を異民族から守り、幾度となく戦っている。支援や発展にも貢献しており、辺境では皇帝よりも存在感がある。

レンブラント

ベルサリウスの配下の騎士であり、彼女の命令であらゆる仕事をこなす苦労人でもある。
辺境諸国の発展のために各地で色々と人道支援活動をするが、内政官不足の国にいっては国の発展のために尽力。そのために諸国の騎士達はほとんど彼を同胞と認識している。まじめな性格で、また感情表現が苦手なために、堅苦しい男と思われがち。後述するグラーフとは顔見知りであり、辺境の国オードリュークの復興の際に二人はともに協力しあった仲間。

グラーフ

大飢饉に見舞われ支援を求めてやってきた辺境オードリュークの騎士。バルトゥーユの悪政を見逃せず、民衆を助けてしまい、気がついたら彼を頼って人々が集結。心ならずも反乱軍のリーダーとなってしまう。
明朗快活・正義感に溢れる爽やかな好青年なのだが、猪突猛進で考えが足りず、それゆえ話が大きくなってしまう。人々からはそんな感情表現の大きな彼の性格は好まれるのだが、ある意味問題児とも言える。

クロムハーツ

グラーフを見出した騎士。高名な騎士だったが、死後は不死者の騎士・ハイランダーとなる。その後全てを捨て浮浪者にまで落ちぶれていたところ、彼を守ろうとするグラーフの勇気を見て騎士として再び剣を取るようになる。
グラーフに騎士道を教え、親のいないグラーフを育て上げ、二人は兄弟として師匠と弟子として苦楽をともにする。
非常に慈悲深い性格で、敵を倒すことに悲しみを覚え、また相手が傷付くような言動はあまり口に出来ない。

レオン=ガートランド

暗黒騎士の中では最年少であり、野心の強い男。流れるような金髪ウェーブと、赤い唇、非常に礼儀正しい芝居がかった物言いから、みたまんま貴族であるが、その正体は市民の出である。しかし、その過去を捨て、一人の騎士として生きることを選んだ男。暗黒騎士団は近衛騎士団とは仲が悪いので、今回のところは一応仲間。

ロアン

先代皇帝ゼファーの嫡子。皇帝ゼファーが奴隷から裸一貫国を建国、大陸の半分までを平定する建国王であるのに対し、生まれた時から地位が高く苦労知らずのボンボン。世間に厳しさなどまるで知らず、わがまま三昧放蕩振りを見せるも、権力欲だけは強く、自信過剰。自分の力を見せ付けたいという願望は強い。非常に残酷な性格で、人が傷付くのを見るのを好む。人を人とも思わぬ行いが過ぎ、余興といっては市民をいたぶり殺す。

ゼロ

ロアンを守りロアンの忠実な部下として働く、いわばロアンの片腕。生まれは名家であり、家柄はいいのだが、たたき上げの軍人であり、皇国の英雄バストールには遅れを取り、その兵力差は開くばかり。バストールには嫉妬し、暗黒騎士を目の敵にしている。ロアン王が王位についた際には、ロアンの新任を背に軍事力掌握に乗り出す。
性格は冷酷で、ロアン王のかゆいところに手が届く。二人はツーカーである。
でもゼロってすごい名前だよね?

皇帝ロアン 〜残忍な宴〜

一同が従者見習となるとおこるシーン。従者がいないならばカットしてOK

都へ登る

ある時、ルイ・フェローの警護方として、従者としてPC達は都に登城することとなる。
この年に起こった大事件のためである。
皇帝ゼファーの帰還を絶望的と見る帝国は、教会の後押し無く、ロアン王子の皇帝への即位を推し進める。

ロアン王の戴冠式

皇帝ロアンとしての即位の式典には、諸侯たちが集り、戴冠式が行われる。
財の限りを集めて作られた帝都は、まるで今が戦時中であることを忘れるほど華やかであり、このあらゆる苦痛などここには存在しないであるかのように、にぎやかできらびやかであった。
見たことも無いほど大きな建築物が立ち並び。都にいながらにして珍味が届く海運能力などこの都は当時最先端の技術の結晶体であった。

式典は諸侯たちの同意をもとに行われたのは見掛けだけ、強大な軍事力を後押しに、一同に忠誠を誓わせるやり方は先代皇帝となるゼファー皇帝の政治とは遠く、その忠誠心は及ぶものなどどこにもなかった。
この時皇帝が後ろ盾としてのは近衛騎士団のゼロであった。ロアンが皇帝となることで、ゼロの権力は飛躍的に増大。近衛騎士団は最強の軍隊と変貌を遂げた。

都は花咲き乱れ、荘厳なる戴冠式の金がならされる。金と権力に目がくらんだ司祭の祝福の言葉によって、一応の形としての戴冠式を終えた後の夜のことである。

戴冠式の宴

諸侯たちを集めたパーティが行われる。
ロアン王のもとにおべっかを使い集る諸侯たちと、その他とが明確にわかれるパーティ。この宴にかけられた金額は途方も無いものであることが伺える。

・ 一同の視界に入るのは皇帝ロアン王と・その腹心のゼロの姿である。彼らは、徒党を組んでいる。
●宮廷魔術師長・ゴーティエ
・ 皇帝ロアンの傍に寄り添う長身の女性は、黒いドレスとその青い唇に加え、頭部に角を持つ異貌をもっていた。皇帝にかしずくように他の諸侯がかしずく姿を見るに権力者なのだろう。皇帝ロアンもその女性には経緯を払っている。
→ 彼女にはとても話し掛けられる様子はない。
彼女の名前はゴーティエ。宮廷魔術師長をつとめる人物で、先代皇帝が従えた悪魔であるらしい。帝国の建国に関わった一人であり、建国の功労者。ロアン王の後ろ盾にして育ての親である。
ロイ・フェローは好意をもっていないようで、彼女に挨拶するつもりは無い。

●暗黒騎士団長・バストール
・ 一同の視界にはこのような場なのに、軍服のような礼服を着ている男を見かける。その男は屈強な体に野性味をもちつつも目には知性をもっている。知性ある獅子のような雰囲気をもった男である。少し話し掛けづらい雰囲気をもつ。
→ 彼は暗黒騎士団長・バストールである。暗黒騎士団は帝国の剣と称されるほどの軍事力であり、彼の存在は異民族の恐怖の象徴でもある。戦場での情け容赦ない戦いに人々は畏怖を語り継いだ。
バストールに意見を尋ねることがあっても、周囲が「ひかえい。下郎!」として放す機会を奪われる。

●暗黒騎士・レオン
・バストール側の騎士に追い返された場合、一人の騎士が近づいてくる。やはり暗黒騎士らしく黒い軍服をここでも着込んだ姿であり、癖のある金髪をユビでいじっては、赤い唇をユビでなでる美形の男性である。近づくとむせ返るような香水の匂いがする。
・ 「ふふふ・・・失礼した。私は暗黒騎士団・団員レオン・ガートランド。」
・ 「今日は我が主人も、機嫌が悪いようだ。ロアン王からは政敵の監視を仰せつかっているのだからね。
渦中に身を置く人物が、そのことをわきまえぬというのに、何をどうして守ることができよう。
・ 「宮廷というものは、謀略の渦だ。戦場に身を置く方が安心できるとすら感じられる・・・
いや、そのように考えるのは我々ぐらいのものか。」
●ベルサリウス
・ さらに一同の視界に入るのは天使である。一人の娘の姿である。中性的な雰囲気の娘は包囲を纏い、背には光の翼を纏っている。天使なのである。瞳は閉じられ開く様子は無い。
・ 訪ねるのならば彼女が、ゼファー王と教会の呼びかけに応じ、地上に降りた天使達の最後の一人であると告げられる。
・ 名を「法王ベルサリウスという」。教会勢力でありながら、領主として国を任されている人物でもある。

知識15
・ かつてこの国を建国する前、蛮族との戦いで人の側に立って助力した天使達だが、建国後人間が会い争うを嫌い、天使は姿を消した。
→ 彼女はその時も地上に残ったという。ただ、人々の悪行を見て、苦痛に視力を失ったという話である。
彼女はロアン王に対し即位を認めるつもりではあるが、「協調性と調和が必要である」と説く。
・ 「陛下はまだお若こうございます。先代の教えを守り、よく学ばれ、諸侯と手を携えて国を守られるのがよろしいかと」
・ 「私が教会には話を通します。ですから、そのようなことにお心を惑わされず王道を歩んで下さいませ。」
ロアンはベルサリウスには気を許しています。

「教会の者達は皆、私の即位を邪魔したがお前は違う。私はお前が気に入ったぞ」と値踏みでもするかのような眼差しを向けるロアン。ベルサリウスはまじめな話をしようとしているのに、それができず、困ってしまう。

●ベルサリウスの従者レンブラント
ベルサリウスが従えているのは金髪の長い髪の美しい男性で、一見すると線は細いのだが、マユは太く、意思の強さが感じられる。作り笑いが下手なのか、笑顔をあまり見せることがなく、周囲の様子を眺めている。
・ 彼はベルサリウスの騎士のレンブラント。一同が名前を名乗るならば彼も好意的に名乗ってくれる。
・ ロアン王の悪名を知っているのだが、むしろ自分の目で確かめるために来ているという雰囲気であろう。
訪ねると「先帝が為しえた偉業は比類なきもの・・・それを負っては何かと気苦労もあろう」と返す。
この会場ではロアンのことを非難するようなことは当然言わない。
「戴冠式には辺境の領主達は呼ばれていないようだな。私は辺境の領主に顔が通じるのだが・・・、見た顔ぶれはいないようだ。」
 「ここで名のある貴族といえば
先帝の元では重用されなかったが、ロアン王の元では近衛を務め現在大成したゼロ。
帝国の剣として恐れられる暗黒騎士団・人物バストール。
帝国の宮廷魔術師長にして・先帝に仕えた悪魔ゴーティエ。ロアンの育ての親だ。

たとえ中央政権に属さなくても帝国でも無視できない権力者達もいる。
領主として名代高名な人物・ルイ・フェロー侯爵。
そして私の主人となる、法王ベルサリウスだ。もっとも法王というのは帝国の与えた爵号であり、教会では枢機卿の一人にすぎないのだがね。」

ロアン王の座興

ロアン王は一同に声をかけ座興を行うと告げる。
窓を開け、外の景色を見せさせるロアン王。中庭には何かの炎が燃え上がっている。炎に燃え上がる十字架が見える。
なんとその十字架には人が縛られており、その人物の悲鳴がここまで届いてくる。
貴族達は狼狽し、グラスを落としたり吐き戻したりする始末。しかし、ロアン王は笑みを浮かべるとそれを肴に酒を楽しむ。

「あれは私を裏切った教会の豚どもだ・・・、私が求めるのは忠誠のみ。裏切り者には死を!」と演説する。
それを聞いた近衛騎士団長ゼロも「裏切り者には死を!!」と声を上げる。
それに対してベルサリウスは動揺してしまう。
ルイ・フェローは王の前でひざまづくと「おやめください。皇帝にあるまじき暴挙です」と制する。
ロアン王はルイ・フェローに憎しみの視線を向ける、目線で合図しゼロにルイ・フェローを殺すように指示をする。
しかし、ゼロの前に立ちはだかったのは暗黒騎士団長バストールであり、他の近衛も彼の部下に邪魔されて乱入できなくなる。ロアンは、それを気がつくと口惜しがり、ルイ・フェローに対し責めたてる。
「詫びよ。そうすれば許してつかわす」
ルイ・フェローは殺気を感じ、しばし悩むが返す「やはり、陛下は間違っておられます」

・ この危機に対してPCもなんとかしようとするかもしれない。
しかし、血の気荒く武器を抜こうとするのならば、それは逆に災いを招くだろう。
ルーシャスは剣の柄を思わず握ってしまう。その前に現れたのは暗黒騎士レオン。レオンはマントで、ルーシャスの剣を隠す。「落ち着かれよ!」と小声で告げる。

その激怒を感じ取ってベルサリウスはルイ・フェローの横に並んで平伏。
「座興となされるのならば、座興で手打ちはあまりに酷でございます。風に当たり頭を冷やされるのがいいでしょう」そう言って場を仕切り、外に出す。
→ 「ここにいてはよからぬことになります。国に帰り、礼物と詫びの書状をしたためなさい。いいですね。」

座興には料理を出そう 〜皇帝の悪ふざけ〜

ロアン王はベルサリウスの勝手な遣り取りに興ざめするが別の楽しみを思い出す。
彼は何かの料理を持ってこさせる。
その間にもロアンはベルサリウスに絡んでいく。
ベルサリウスの唇を突然に奪うと、慌てるベルサリウス。跳ね除けて青ざめる。
ロアン「うははははは!天使を汚してやったぞ!見たか!」 「座興だ!怒るな」

もってこさせた料理の蓋をあけると焼け焦げた司祭の頭を見せる。
「それとも、このほうが良かったか? ハハハ!」
→ 盲目であるがためすぐに気がつかなかったベルサリウスだが、それを顔になすりつけられると気が付き、顔面蒼白になって、膝を追ってしまう。

ゼロはPCとフェローを始末しようとして追ってくるが、バストールに止められてしまう。
ゼロ   「バストール!貴様立てつくか?!」
バストール「貴様こそ何を考えている。この国を傾けるつもりか!」
 ゼロは諦め、バストールはそれを見て立ち去る。
ゼロ「今に見ておれ、バストール・・・」

国に帰還したルイ・フェローに咎めが無かったのは、この帝国にはまだ心有る人物達がいるからだろう。
ベルサリウスの進めによって進物を送ったルイ・フェローにはしばしの謹慎と一部領地の削減という咎めだけで住んだのだが・・・このことは彼には苦い経験となった。
のちに領地を訪れたベリサリウスの叱責の言葉は彼の胸に刺さった。
「短慮すぎます。確かに皇帝の行いには問題がありました。しかし、ここで命を落としたらあなたの領地は誰が守るというのですか?!今回削減され、手元を離れた良民の気持ちをよくお考え下さい。」
・ 一同に対しては、ルイ・フェローの行いの正当性を評価していることを告げるが、領地没収の口実を狙う皇帝の思惑を好んで乗る必要は無いとも告げる。

1・オープニング 〜大飢饉〜

その歳は大飢饉となる。人々は食べ物にあぶれ、大量の餓死者が現れる。人々は上のために先に死んだものを食わなくてはならないほどの飢饉である。この飢饉に拍車をかけたのが、皇帝ロアンの大増税である。
ロアンが教会の変わりに後ろ盾としたのは軍事力であり、子飼いの近衛騎士団は増設されていった。

しかし、このルイ・フェローの領地では、飢饉の大きな痛手は起こっていなかった。ルイ・フェローが十分な対策を練っていたこともあるが、この地での飢饉はさほどでもなかったのである。
・ ルイ・フェローも元に帝国からの使者が訪れる。

ルイ・フェロー側の導入 

訪れた使者の服装は人を付会にするものであった。豪華な金の刺繍の入った衣服。シルクの輝きと財の限りを尽くしている。その服装は明らかに、先帝の大よりも財が使われていることを示している。
・ 帝国からの使者・皇帝の命令にはルイ・フェローひざまづいて受けることとなる。
「南方で起こった反乱軍を鎮圧・掃討せよ。首謀者はことごとく首を打ち、荷担したもの全てを捕えよ」
→ 彼の立場では、それをただ甘んじて受けるしかない。

ルイ・フェローからの依頼 〜反乱軍の実態調査〜

ルイ・フェローはその日からあわただしく戦の支度に取り掛かる。
必要な軍事物資を集め、軍隊を編成するのである。今度の戦に駆り立てられる兵士は1000人。そして、帝国から増援として送られてくる軍隊2000人と合流して南下するのである。
→ しかし、ルイ・フェローはこの戦いにいくつかの疑問をもっていた。
・ 「皇帝がいかに暴政を中央で働こうと、南方諸侯の領地が乱れるのはおかしいこと。」
・ 「皇帝の悪名は存在するが、それだけで民が望んで反乱をおこすとは思えない。人々を炊きつける者が存在するのではないだろうか?」
・ 「この飢饉は困難なものだが、何も民が全てを捨てて反乱に乗り出すようなものではない。」

●一同への依頼
ルイ・フェローは一同を先んじてその土地に送り、様子を確認させることとする。
反乱軍の首謀者が誰であるかを確認し、報告をしてほしいとのことである。
・ この依頼は配下の騎士達は当然受けることになるだろうが、そうでない場合は、知人で頼りになる人々に依頼を出すということである。
・ PCの中に騎士になっているものがいるのならば、依頼人は騎士。もしくはルーシャスである。

PC@の導入 

PC@の妹の旦那のアランが南方バルトゥーユにいったまま帰って着こない。
妹はそれを大変心配し、毎晩中々寝付けない様子。誰かが来るたびに旦那のアランだと思い迎えに出るが・・・ガッカリを繰り返す。
・ アランの言ったバルトゥーユは飢饉が激しいということで、商売のタネになるとアランはいっていたが、果たして無事か・・・
・ PCは妹の依頼でアランを探しにいかなくてはならない。
※ なおこの導入は他の導入がある場合でも、追加のネタとして併用可能。

大飢饉への援助隊 〜神父様への教会からの依頼〜

教会より地元の教会に使者が訪れる。教会からのやってきた使者の話によると、大飢饉のため各地に援助物資を運ばなくてはならないのだが、人手が足りないということである。そのため、飢饉のひどくない土地の司祭はできるだけ協力してほしいということである。
・PCBは医師としての経験もあるため、援助隊に加わってもらえないかという提案がされるのである。
→ 引き受けた場合、後日・神殿からの騎士団と合流する。
・ この時、PCに話を通して、一緒にいくことも可能。

→ 断った場合他の導入へと移行してましょう。
●神殿騎士レンブラント
数日後訪れるのは神殿騎士の一団である。騎士団を率いるのはまだ若い青年である。
神殿騎士レンブラント
金髪の長い髪の美しい男性で、一見すると線は細いのだが、マユは太く、意思の強さが感じられる。作り笑いが下手なのか、笑顔をあまり見せることがない。礼儀正しい人物で挨拶も非常に丁寧である。
・ 「法王ベヘルサリウスが配下・神殿騎士レンブラントです。司祭様には今回のご協力、感謝いたします。大変な仕事となるでしょうが、これも人々のため。共に力を合わせて難局を乗り切りましょう。」
・ レンブラントからの話では、仕事は物資の輸送と必要な援助物資のリストの製作で長時間は滞在しないということ。
・ なんでも目的地バルトゥーユには山賊が現れるらしく、教会の支援物資も奪われている。
・ 教会からの騎士団は100人。とはいえ、そのうち50人は物資輸送の人足。残り50人も半分は志願兵である民衆である。
・ 彼は小休止の間、荷物もちの人足たちの様子を確認して歩いている。人足の靴が壊れていることに気がついたレンブラントは、それを見ては靴に代わりがないかと訪ねる。
→ 男は金が無く出稼ぎに来たということで、無いと応えると。レンブラントは自分の靴を渡し、素足で歩いていく。
訪ねられると「こういう場合、人足がどこかで靴を盗むことがある。その予防です」とそっけない、対応を取る。
レンブラントは
「私に靴を直す技術があれば、このようなことをしなかったでしょう。私の靴には限りがある。物を与えて一部を良くしようなどという考え方は、私も本来望むべくところではないのです。
ただ、世間のために力を貸す者達にボロは纏わせられません。」と呟く。

2・騎士グラーフ 〜反乱軍〜

南方バルトゥーユ 〜荒廃した村〜

南方のバルトゥーユはルイ・フェローの領地と隣接する領地であり、この地より南は南ディノギノスと評される土地へとなっていく。大きさはフェローの領地の1/4程度であるのだが、肥沃な大地と、中央への街道・なだらかな土地ということもあり、主要貿易街道となっている。通行税などは大きな収益の源になっている。

南方へ向かう街道には立て札が立てられている。
「土地を捨てるもの、逃げ出すものは、その村の罪とする」

まず最初にたどり着いた村は既に廃墟と化していた。住人の姿は無く、すでに捨てられたものと考えられる。
●村の入り口
縛り首にされた死体が町の入り口にはぶら下げられ、そこには立て札が貼られている。
・ 彼らは税を納めず、あまつさえ反乱を犯した者達であると記されている。
●村の様子
人々の姿は無く、財産になりそうなものはどれもこれもなくなっている。貧困から捨てられたと考えた方がいいだろう。

南方バルトゥーユ の荒廃した村〜山賊の襲撃〜

教会の援助物資を輸送する輸送団が訪れた時、周囲の山岳から狼煙が上がる。
それを見たレンブラントはすぐさま防御陣を引いて、騎士団が周囲に布陣する。
●山賊の動き
相手の山賊は建物の上へと回り込むと、一度に攻撃してはこず、一斉に射撃攻撃をしてくる。
これでは、こちらからは手が出せない、人足達は次々と打たれていく。
・ レンブラントは「山賊は5〜10人程度と聞いていたのに、これでは100人以上いるではないか?!」と動揺する。
・ レンブラントは指示を出し、仕方ないとばかりに騎士団が血路を開いて脱出を考える。
しかし、騎士団が切り込み囲いの薄い方向へ攻めかけると、そこには落とし穴があり、その槍ぶすまで多くの騎士が命を落とす。これには、レンブラントも驚き「散開して逃げよ」という、命令を出す。これでは全員脱出は不可能どころか、運頼みである。
→ レンブラントはPCBを連れ、命からがら逃げるのだが、他の騎士や人足がどうなったのかはわからない。

PCが生き残るためには・・・
@ 100人の族を相手に獅子奮迅の活躍をする。
ただし、山賊は手ごわいと思うと、遠巻きからネットなどの攻撃で捕えようとしてくる。これに囚われるとつかまってしまうだろう。
全滅させるのは多分不可能なので、戦って撃退する場合は、追い散らし追っ手を巻く程度だろう。
その場合は何人かの生存者(多分10人前後)をつれて都市まで向かうこととなる。

A レンブラントとともに逃げ出す。
まぁ順当。戦いはレンブラントに任せ逃げ出す。レンブラントは人間は出来ていても剣の腕はダメ。こういう現場になると逃げるしかない。二人は命からがら、都市に到着する。

B 隠れる。
わりといい選択。隠れるための技能゛必要だが、成功すれば助かる。山賊はここでは物資だけを運んでいくので、生き残りまで捜索はしない。ただ、彼らの動きがやたらといいことは気になる。

C 気絶。
戦闘した結果負けた場合など。止めは刺されないので、多分助からないかも、という状態で放置される。
シナリオ的には、村に到着する後続のPCに発見されるというものである。

D 捕まる。
これは最悪。捕まると一応司祭ということもあり・その一団ということもあり、つれていかれるのだが、途中の森でボスはやはり殺すことに決定する。森で処刑となるのだが・・・
ここでグラーフと出会うこととなるだろう。

南方バルトゥーユ の荒廃した村〜襲撃の後〜

これは神殿騎士団の後、ルイ・フェローから依頼を受けた騎士達。
ここでは戦闘が行われた後であることが即座にわかる。戦闘が行われてから1日程度は経過しているだろう。
人々は騎士が数十人・使用人か何かの作業員が20人近く死んでいる。
戦闘技術や実戦を知る者ならば、統率された襲撃者であることがわかる。
・ 密集した矢の攻撃。落とし穴に落ちて殺された騎士達。襲撃はある程度の人数で効率よく行われている。
・ わだちの後から積荷を運んでいたことがわかる。
★ もしPCB神父が生存し、ここで隠れている場合は、ここで再会するのがいいだろう。

バルトゥーユの森 〜グラーフ〜

一同がここの地方都市を目指し、一同が移動していた時のことである。
丁度街道を通された小さな森に差し掛かる。森は切り開かれているためにさほど歩く分には苦労はしない。森は枯れ木の山となっている。薪を取った後があることからも、このあたりに人がいるようである。
・ そんな中一同は森の中で馬車の一団と出くわす。
馬車は3台。いずれも重厚なつくりをしている。大型で何か厳重に警備された品を運んでいるようである。
 守っている人物は警護の騎士と思われる4人と、その他が10名ばかりである。
→ 彼らは丁度食事をしていた時である。

・会いに行くと、彼らははじめ警戒したが、すぐに落ち着きを取り直す。
彼らは一同にも食事を勧める。彼らは飢饉ということもあり、一同も腹をすかせているのに違いないと考えたのである。
食事にしていたのは、ほとんど具の入っていないスープと、わずかばかりビスケットである。

彼らのリーダーはまだあどけなさの残る青年騎士であり、若い青年騎士は年配の騎士達の中でも皆の敬意を集めている。
彼は丁度一同にスープの入れた皿を配るようにしているのだが、自分の物を最後に配るせいで、すっかりと中身がなくなっている。それを見て、彼の傍らにいる一人の騎士が自分の皿を差し出し交換する。
青年騎士は「俺なら気を使わなくていい」と返す。
騎士は「私には必要ないのですが、食事だけは共にさせてください」と笑顔を見せる。

残る二人の騎士は粗暴な雰囲気ながら愛嬌のある若者。彼は騎士というより傭兵か何かに見える。
→ 一同にも興味を持ったのか、「どっから来たの」だの、「すげぇ武器。何かやてんの」とか訪ねてくる。
もう一人の赤毛の騎士がそれを制する。赤毛の騎士・・・といったが、服装はマントというかローブ。それに刺繍の入ったベストというおしゃれな男で物腰は穏やか、理知的な印象を受ける。
彼は「バセロン。食事とは静かにするものだ。」と注意してはメガネを外す。

彼らの招待 

彼らは騎士の身なりをしているが、その正体は彼らこそまさに反乱軍である。
とはいえ反乱軍とは名ばかりの人々で、むしろ悪政を行う領主から財産を奪っているいわば義賊のような人物である。
今回も騎士の振りをして奪った物資を都市に配っりにいくところなのである。

●食事の光景
いよいよ食事が配られると、いきなり食事をしようとする青年騎士に対して、「待った」をかける傍らの騎士。
彼は「食事の前の祈りの言葉を」と、進め、青年騎士は短縮した祈りの言葉を唱える。
「天にまします我らの神よ。この食事に感謝します。」と食事にありつくのである。

●グラーフ
栗毛色の青年騎士。もしかしたら教養などはないのかもしれない人物で、食事の礼法などは知らないようである。
名前をグラーフと言う。
・ 彼は食糧輸送体をしている騎士であると名乗り、大飢饉で飢えてしまった人々に領主からの施しを届けるのが仕事であると告げる。

アランについて 

・ もしPC@の妹の旦那アランについて尋ねたのならば、グラーフは心当たりがあるらしい。
・ 「俺の地元の村にかくまわれているよ。族に襲われていたもので・・・」
※ 当然これは嘘。
本当は、アランはここの騎士達に襲われ、グラーフが助けて反乱軍の村にて世話をしているのである。

●クロムハーツ
白髪に青白い肌の騎士。物腰は穏やかで教養もあり、礼法も備えているが、どこか人間離れした違和感を感じる。たとえるなら気配がない。彼の名はクロムハーツと言う。
・ 彼はハイランダーという騎士で。死後に蘇り、復活してしまった不死の騎士達を言う。
・ かつては騎士をしていたが、その詳しいことは説明しない。

●クリムト
 赤毛の男は傭兵兄弟の兄である。彼は知性的で騎士というよりは魔法使いか何かのようだが、礼儀正しく知性的であり、騎士か宮廷魔術師のような気品がある。切れ長の瞳といいただものではない。名をクリムトという。
・ 彼が礼儀正しいのは、礼儀正しい方が仕事の上ででは重用されるからであるらしい。
・ 傭兵として諸国を回り、小規模な仕事は数人単位から大きな仕事は500人単位での仕事を引き受けている。
・ 現在は領主に食糧警護を依頼されている。

●バセロン
 粗暴でありながらも人懐こさを兼ね備えた若者は傭兵兄弟の弟であり名前をバセロンという。兄であるクリムトを尊敬し、考える仕事は兄に一任している。礼儀らしいものは有していない。
・彼はあまり話すネタはないので、とりあえず一同に色々な質問をしてすごす。

夜ともなるといちどうは眠りにつくのだが、クロムハーツだけは祈りの言葉に長く時間をついやす。
「神よ。この子の上には常に陽がさしますよう。月が暗闇より道を照らし出しますよう。その歩く道の茨に彼が耐えられますようお助けください。」

バルトゥーユの森 〜司祭の処刑〜

山賊にPCB神父が捕まった場合、ボスはここでPCを殺そうとする。PCが司祭ではなく一般の騎士や剣豪でも、ここで殺されそうになるという結果は変わらない。
・ ここでその物音をPC達は聞きつける。この判定に失敗しても傭兵兄弟・バセロンとクリムトは気がつき、報告する。
森の一角で、ひざまづかせ首を刎ねようとする山賊。
山賊はこちらが大きな物音を立てない限り気がつく様子は無い。ここで一同がうまく立ち回れば、相手を撃退することができるだろう。
ここでPC達が不意打ちしようとしても、同行するグラーフが乾いた木々を踏み下り音を立ててしまう。
グラーフは目をまん丸に開け、皆に「マジごめん」と謝るが瞬間、投げつけられた斧が直撃する。
幸運なことにグラーフはちょうど峰が当たったために気絶ですむ。

・山賊の数は10人余りである。
→ 戦闘し撃退すれば囚われのPCを助けることができる。
人数の半分が負け、戦況が悪いと判断するのなら、山賊は逃げ出す。
もし取り逃がすことがあっても、バセロンは山賊を追いかけ追い抜き、山賊を捕えていく。

もしバセロン・クリムトに活躍させたいのなら 〜カットしていいから〜 逃げ出す山賊を追いかけたバセロン。たちまち追いつくと、山賊の両足にいきなりのカニ鋏を実行。思わず転倒する相手の足を折る。どうやら森には別の後続部隊がいるらしく、それを見かけた奴ら山賊は、3人が斧を手に走ってくる。
バセロンは「ご苦労なこった」と笑い。転倒した状態から、地に手をついて、後ろからの新手の一人を蹴り上げる。
さらに一人の胴体に拳を叩き込むと、板金鎧は大きな穴があき、男は内臓を吐き出して、転倒。
その時、バセロンに対して新手の残る一人が矢をいる。
しかし中空で燃え上がった炎に矢は焼き尽くされて消えてしまう。クリムトの魔法である。
クリムトが吐息を吐くと炎が巻き起こり、それに手を伸ばし握りこむと、炎の鞭が現れる。クリムトは鞭を振るい、相手に構える。
→ 山賊は怖れをなして撤収していく。
ここでどちらにせよ一人はつかまえられる。

バルトゥーユ 〜都市オリアン〜 

都市まで訪れた一同。都市は大飢饉のためにすっかり衰退してしっている。
人々は活力無く通りにうずくまり、のきを連ねる商店もいまでは売る品も無い。各地から人々が集っているだろう市外には人々が住み込み、ちょっとしたスラムのようになりつつある。バルトゥーユ地方の都市・オリアンである。

★ グラーフ達とは町の入り口で別れます。彼はまず教会に品を届けてから、領主の館へ向かうと告げるのですが・・・
→ まぁPCは一般的には領主の元を目指すものだろう。
だがグラーフと同行してしまっても構わない。

●領主の館。
領地の状態とは裏腹に大変な豪邸であるその館は、まるで良民からの反乱を恐れるかのように巨大な壁に囲まれている。
警備兵と思われる騎士達もかなりの数がおり、その矛先はまるで領民である。

オリアンの町の領主である。ここの領主は名門ではあるが、地位は低かった。建国時は皇帝ゼファーの敵方であり、建国後に加わったために爵位が低いのである。名門として貴族の生活が染み付いた彼の政治は、税金の無駄遣いと一言で言っていいだろう。毎日のように湯水のごとく金を使い、商人からの借金を踏み倒すという人物である。

★ ここで一同は神殿騎士レンブラントから事情を説明される。
 襲撃に遭ったことなどはここで詳細がわかるだろう。以後、レンブラントは一同と同行を考える。

領主からの話
・ この領地には民衆の反乱軍・・・そう山賊があらわれて困っている。この都市の治安も悪化するばかりだ。
・ これはいよいよ帝国に軍隊を派遣してもらわなくてはならなくなった。
・ 反乱軍は我々に収められるべき税を奪い、さらに教会からの援助物資を略奪する悪の組織・・・、ただの一人として生かしておくことはできない。

→ 領主は市民への施しの話を耳にすると大変驚く。
彼は「奴ら!またしても奴らか!!」と吼えると、直ちに騎士隊長を呼び寄せ、捕えることを命じる。

バルトゥーユ教会にて 〜援助物資到着〜

教会の前にはすでに人だかりができている。みな施しをもとめて来たのだが、ここではもう施す品も無いのだ。見れば教会にはもはや豪華なものは何一つ無く、教会の正印すら外され、今、教会の前では手製の正印を作っている最中である。
・ 一同が教会に現れると、司祭が出てきて大いに驚く。「こんなことは初めてだ!」

司祭より
・ 今まで何度領主に救いを求めても領主は施しなど出さなかった。特にロアン王と教会が中を悪くした後は、教会に対していままで続けていたお布施は全てやめてしまっている。
・ 今では飢饉で集る人々に渡すものは何も無く、教会の運営すら困難だ。もうダメだと諦めかけていた。
・ ベルサリウス王より送られた、教会からのお布施まで山賊に奪われてしまっている。もう私達に出来ることは、ただ死に逝くものに祈りを捧げることだけだ。

バルトゥーユ教会にて 〜偽騎士グラーフ〜

騎士グラーフは直ちに人々に施しを渡すべく、中の品を解放する。
ごった返す人々をクロムハーツ達が整理し、人々の中で救済を求める内容によって分けていく。
グラーフ自身も炊き出しの容易などをして、準備していく。
バセロンとクリムトは席を外し、騎士達に指示をしていく。10人ばかりがその場から姿を消す。
→ 訪ねるのなら 
クリムト「警備だよ。荒廃した都市には揉め事はつきものなのだ」

そんな中にこの領地バルトゥーユの騎士達が現れる。騎士達は手に武器を持ち、集る人々を踏み散らし炊き出しの場に訪れると、馬を下り怒鳴り声を上げる。「責任者は誰だ?!」
→ やっていく司祭に対してはいきなりに乱暴に殴りつけると、「お前ではない」と隊長は唾をはきかける。

バルトゥーユ騎士隊長はグラーフの前にやってくると、睨みつける。
隊長
・ 「ようやく会えたなコソドロが・・・」
・ 「こいつは騎士などではない。そんなのは真っ赤な嘘。こいつは、お前達と同じく浮浪者よ。いや、それ以下の害虫だ。」
→グラーフ「あんたが騎士なのは悪い冗談だな。」
・ 「領主から奪った財産はどこにある?」
→ グラーフ「みんな食糧に変えちまったよ。なぁ。どうせ財産は返ってこないんだ。ここは領主からのほどこしってことにしてみんなからの尊敬を集めたらどうなんだ?」

怒り狂い武器を振るう隊長。部下達も全員が抜刀すると、切りかかってくる。
・グラーフも武器をもって応戦するが、腕前はさほど立つわけではないらしい。あっさり武器を跳ね飛ばされると、スープを浴びせ掛けて相手を撃退する。
「喜べ。この飢饉じゃそうかんたんにはありつけないぞ!」

戦闘

→ 一同が助力するのなら、グラーフは感謝する。「悪いな!恩に着るぜ。」
敵の数は10人ばかり。騎士としてはそこそこ優秀である。

● ・・・もっともルーシャスは体が勝手に動いたのか、手に棍棒を握ると、騎士達を横薙ぎにふっ飛ばす。
「やべ!また俺は考え無しに」 → ということでルーシャスは3人と戦う。
● クロムハーツは剣を抜いて応戦。相手の騎士達を巧みに翻弄し、武器を弾き飛ばすと次々と降伏させていく。
→ ということでクロムハーツが3人と戦う。

● グラーフは逃げ惑って一人と戦う。

激情のグラーフ

隊長は事態が振りになると急に武器を捨て、命乞いをする。
グラーフはそれを許さない。「お前は今まで命乞いをする人々を助けてきたのか!」
グラーフは剣を握りしめ、振り下ろす。
その振り下ろす刃をつかむクロムハーツ。
→ グラーフは大変驚き「邪魔するなクロムハーツ!」と怒鳴るが、手から流れる血を見て我に返る。
クロムハーツは増えた墓をちらりと見てから首を振る。「もう十分、人の死を見てきました。」

レンブラントとグラーフ

レンブラントが同行している場合がある。その場合はレンブラントはグラーフと顔見知りなので会話がある。
レンブラント「グラーフ。こんなところで何をしているんだ」
グラーフ  「あ!レンブラント様こそこんなところで」
レンブラント「レンブラントで構わん。それより、お前の故郷は辺境オードリュークのはずだが・・・」
グラーフ  「そうなんだが・・・聞いてくれレンブラント!
俺達の国も飢饉で大変なんで、援助を求めて来て見れば、こっちの国はより大変な情況なんだ。俺は見ていられないぜ。」
レンブラント「馬鹿者。ここはお前の国ではないんだぞ?お前のやり方は通じん。」
グラーフ  「お前が協力しないってんなら・・・、まぁそういうことなんだろう。お前はいつだって正しいからな。
でも俺はやるぜ。そう決めたんだからな」
レンブラント「協力しないとは言っていない。私は出来る限りで協力しよう。」

グラーフの説明

戦闘が終わるとグラーフは一同に説明する。
・ 「反乱軍? そんな立派なもんじゃない。ただ、税がちょっと重すぎるんで、取り返してるんだよ。」
グラーフの言い分
・ 「この大飢饉に増税するほうが間違いだ。土地によってはくっていけなくて、首をくくるしかないんだからな」
・ 「ここの領主は皇帝に対して多額の裏金を送ってる。それで地位を買ったんだよ。まともな国の政治か?」
教会の司祭に対して
・ 「司祭様。私達は神に誓って教会の物資など盗んではいません。誤解です。」
・ 「教会の物資を襲っていたのは彼らです。私達があいつらから奪った物資の中に教会の品がありました。」
→ 司祭は納得してくれる。

バセロンとクリムトがやって来て一同に知らせる。
「どうやら騎士団の増援が来るらしい。500人はいる。ここはもう引き上げよう。」
引き上げるグラーフに同行するのなら、反乱軍にたどり着ける。

反乱軍の拠点 〜グラーフに同行する〜

山岳の一角に人々のすむ集落が出来上がっている。
人々を見るからにおおよそ軍隊とは思えない雰囲気であった。どうやら村を捨てた人々が集ってきてこのような集落ができたのであろう。500人ぐらいが生活している姿がある。
質素で貧しいながらも権力に縛られず自由に生活する彼らは生き生きとしていた。

グラーフはその中でも人気者で指導者であったが、この情況に困り果てている様子である。
「みんな帰った帰った! 国が良くなればこんなところにいる必要は無いだろう!」
「俺が、かならず王様に訴えてやる。そうすれば皆ももとの生活に戻れるはずだ」というグラーフ。
しかし人々は、そんな言葉は信じない。信じられるのはグラーフなのである。
 → 人々の人気のあるグラーフであるが、クロムハーツはそんなグラーフを見て考え込む。
「皆を思う気持ちがあるのは立派だが・・・、それは時に重圧にもなろう。」

PC@アランとの再会 

PC@の義理の弟にあたるアラン。妹の旦那であるが、彼と再会できる。
アランの話
・ 「教会の支援物資の輸送部隊と一緒に旅をさせて貰ったんだが、その時山賊に襲われて。」
・ 「実は以前からこの領地には出入りしていたせいで、襲撃者の顔に見覚えがあってそれが騎士だとわかってしまったんだ。ところがそれを騒いだのが良くなかった。追いまわされて命を狙われちゃって・・・」
・ 「そこをグラーフさんに助けてもらったんですよ。随分とケガをしていたのも、ようやく最近になって傷もいえ、歩けるようになりました。世話になりっぱなしです。」

消えた子供達 〜グラーフごっこ〜

村の中で走り回っている親の姿がある。
話を聞くに親は子供の姿が見当たらないといって走り回っているのである。
ククロムハーツには心当たりがある。
・ 子供はグラーフごっこといって、悪の騎士をやっつけたり、悪の騎士から馬車を奪うという遊びをやっていたという。
・ 子供が迎えそうな場所としては、山岳の傍を流れる川を下れば、小さな森に出るという。
森の中には時折物資輸送の小隊が通ることがあるという。
  しかも子供たちはその付近の滅んだ村の出身であり、森は庭のように遊びなれていたらしい。
→ 急いで向かうことにするグラーフ達。

バルトゥーユの森 〜暗黒騎士レオン〜

ここの森には現在一つのキャラバンが入っている。彼らが山賊ではないことは確かだった。隠れるのは相手であるといわんばかりに、輸送車両を隠すことなく、周囲へは騎士を配置している。
騎士はディノギノス帝国の紋章をつけている。
・ 一同が訪れてみると既に手遅れだったらしく、子供たちが捕まっているのが見える。
・ 騎士の一人が体を縛った子供を引きずり出し、指揮官の下へと案内していく。

レオン 〜レオン様うまくいきませんね〜

指揮官と思われるのは
癖のある金髪をユビでいじっては、赤い唇をユビでなでる美形の男性である。鎧は黒い鎧を着込んでいる。
指揮官は「ほぅ、小僧か。とんだ山賊もいたものだな」と不用意に手を伸ばす。
どうやら彼は子供のロープを解いてやろうとしたようなのだが、子供は貴族嫌いのために、その手に噛み付く。
男は「痛!」と叫び声を上げ、子供の頭を何度も引っぱたく、やがてどうにか周囲の力を借りてユビを引き抜く。
彼は手袋をすぐに外し、見ると爪が割れている。
「つ、爪が!?」と何度もさすりながら、男は、子供を振り返りもせず平手打ちし、少年は転がる。
・ グラーフはやる気マンマンでレオンに襲い掛かるが、他の一同はそれを止めようとする。結局グラーフも静かにさせておくために仲間達によってグルグルに縛られてしまう。
・ レオンと顔見知りであれば、再会は簡単である。レオンも警戒はしない。

部下によって指先に包帯を巻かれているレオン。
 彼は涙目になり、ハンカチで鼻を噛んでから、一同と話を始める。
●レオンの話。
・ 君達が領主の言っていた反乱軍か? 
・ 何、安心した前、このレオン=ガートランド。物事の真偽もわからぬ愚か者では無い。大体の情況は推測だけでも理解できる。「クックック…この、レオン・ガートランド。わかってしまうのだよ」
・ ここの領主は最近爵位が上がってね。なんの手柄も上げていないというのにロアン王の覚えがいい。これは何か・・・よからぬことをやっているなと思っていたのだ。

「クックック…この、レオン・ガートランド。わかってしまうのだよ」

・ ロアン王のもとに貢がれる多額の献金を我々は調べ上げた。だが、本来そのようなことは罪とされるべきことではない。領主は領民を自由に扱い・財産を得る権利を有しているからだ。しかし、その贈り物の品が、援助物資を含めた帝国と諸国の援助を流したものであるとするのならば・・・ロアン王のためにもそのような害虫は取り除いてやらなくてはならない。
・ 一同の話を聞くに)
くっくっく。
このレオン=ガートランド。道筋を立てずに貴族一つを取り潰せるなどと考えているわけではない。
教会からの援助物資は、実は私が集めて送って貰ったものだ。あそこには私がリストした特別で高価な商品がいくつもある。これが献金・貢物の中に存在していれば、彼は黒だ。
どうやら、教会神殿騎士という餌に奴らはうまいこと食いついてきたようだ。私は後は奴の館で、それを解明するだけよ。
・ どうだね?
諸君。この帝国の秩序とこの領地の平和を守るために、このレオン=ガートランドにお力添えをしていただけないか?
→ グラーフ「断る!!お前が、なんか嫌いだ」
レオン 「な、なんだと?今のは私の聞き違いか?!」

シナリオ後半

レオンが加わったことにより、帝国中央に対して物を言える騎士が加わる。
神殿騎士レンブラントが後見人になることで一同が証人となる正当性も生まれるだろう。

アランは先に帰還 

ここでPC@の義理の弟・妹の旦那アランは先に帰るということになる。なんせこれからこの領地ではドンパチが始まるのである。そういうこととなっては危ないということもあり、危なくなる前に領地に帰ることになる・・・のだが・・・

●証拠品を館から発見する
@ レオンは領主の館に向かい、領主の接待を受ける。領主には爵位格上げの報せを報告するのだから、領主は気を許し歓待する。レオンはその後領主の案内で、この領地の財力の確認をする。
財産があるから、付き合うのだという姿勢を見せつけることで領主の財産を確認しようというのである。
・ この時間はわずかな間なので、その確認は出来る暇はない。
※ この場合、領主がPCのことを不審に感じるような展開があれば不可能となる。

A レオンはその日の夜、調査に入ってもらわなくてはならない。
 金庫までの警備は、館の外周の警備が厳重な分、あまりない。見張りは一人で交替制をしている。警備は騎士が5人一組となっている。警備は夜は巡回警備が見回っている。巡回警備は20分ごとに扉の前まで来る。これは3グループあり、1時間でこの付近を1回づつ通るという計算である。
・ 見張りを抵抗させずに無力化することができれば、金庫の扉には近づくことができる。
・ 金庫の扉を上げるためには鍵あけが必要である。
・ 鍵開けが出来ない場合・物音を立ててあけた場合・鍵明けに20分以上時間をかけた場合は巡回警備に見つかってしまう。警備は物音がした場合、直ちに通報し、その後に戦闘(目的は犯人を逃がさない)を行う。
・ 時間内に扉に入った後は見張りに誰か変装していれば大丈夫だが、見張りにだれもいないと、不審がって調べに来るので注意が必要。
→ これらの難関を無事に突破すれば、内部に潜入。後は時間をかけてじっくりと照合すれば見つかるだろう。
 判定は1時間に1回ぐらい触れるとし、基準成功度は並程度の目標値換算にするように。

●輸送隊を襲撃する。
レオンの案を使用できない場合は「別の案」を実行しなくてはならない。
この案はレンブラントが提案する。
@ 館のレオンから情報を教えてもらい、皇帝への物資輸送の日にちを待って、襲撃をしかける。
その時、教会からの物資が中に入っているという嫌疑があると難癖をつける。
・ この方法では、長時間輸送隊を止めることはできないので、短時間で証拠をつかまなくてはならない。

→ レンブラントは頭脳プレーを提案。
 レオンに宝物の確認をしてもらい、その中に即席で作った証拠を忍ばせておく。これは目立つようにもっとも大きな品の中に忍ばせる。これを嫌疑をかけてすぐに発見し、照合すれば相手はぐうの音もでない。
・ その後に全ての物資を確認すれば、埃も出るだろう。

●その他いろいろ考えよう。
これは一つの考えなので、これ以外に別の方法があった場合はPC提案の方法を試してあげるといいだろう。
マスターが把握していなければならない情報は、
1・教会からの支援物資及び、他の品は領主が山賊を装い奪ったものである。
2・財産は館の金庫に保管されている。
3・証拠品の割り出しには最低1時間はかかる。
4・財産の輸送はレオンと領地の騎士が行う。
5・レオンには中央からやってきた騎士としてのコネがある。ただし、中央の偉い騎士ほどではない。


3・粛清の帝国軍 〜近衛騎士ゼロ〜

ある程度証拠を集め、領主を追い落とせる情報が集った場合、もしくはそれを失敗して、もうどうにもこうにも困ってしまった時のことである。
ついに後続部隊としてルイ・フェローと帝国軍率いる3000の兵がやってくる。
ルイ・フェローの乗る白馬、そしてそれに続く白銀の騎士団こそがルイ・フェローの騎士団であり、彼らは軽装で戦というよりは治安維持を中心とした衛士団という感じである。威圧的ではなく、むしろ相手を牽制する程度のいでたちである。 それに対して帝国の旗印は近衛騎士である。近衛は皆武装し、旗印を掲げる様はまるで戦を仕掛けるような威風堂々とした井出達である。これが二つの指揮官の考え方を如実に表している。
→彼ら遠征軍は道中を急がず、森の手前で野営する。

●グラーフは・・・
グラーフは帝国軍をまったく信じていないので、ルイ・フェローに会おうとはしない。
むしろ、反乱軍が攻められることを危惧しており、村に戻って人々を非難させたいと告げる。

●レンブラントは・・・
一同の無実を証明し、色々とPCの後見人に立つために同行を考える。グラーフのことは心配だが、重要なのは帝国軍の動向と考えてくれる。

●レオンは・・・
当然この悪事を証明し、遠征軍に報告。自分の手柄として主張するつもりである。近衛騎士団が嫌いなために、鼻を明かしてやると自身マンマンだが・・・

ルイ・フェローとの再会と報告

ここでルイ・フェローの知人や配下の騎士はルイ・フェローに報告できる。
ロングコートと、指揮官としての軍服を纏ったルイ・フェローと再会できる。
・ ルイ・フェローはその報告を受けると大変驚く。彼は地方のモラルがこれほど低いとは知らないのである。
・ ルイ・フェローはただちに帝国軍指揮官であるゼロと話し合って、この事態を収拾するには領主を正すべきと提言する。そのためにゼロのところに向かうこととなる。

ゼロ「私が黒と言ったら黒なのだ!」

ゼロは今回の遠征に大変意気込んでいる。反面ルイ・フェローは大嫌いで、その騎士道精神にはうんざりしている。
白い甲冑と、豪華なマント、羽飾りのついたきらびやかな兜を被っている。
→ ここに乗り込む場合、レオンやレンブラントも同行する。

●ゼロの対応
ルイ・フェローが報告し詳しく説明すると、ゼロはうんざりした様子で話を聞き流し、「あなたの妄想にはウンザリだ」と蝿を追い散らすかのように手を振って追い返そうとする。
「私は命令を実行する。私は皇帝の命令書を持っているのだぞ。それともあなたは自分が皇帝だとでも言うのか?」

つづいて意気込んだレオンはニヤリと笑いながらゼロの前に立つ。
レオンは「先日は戴冠式の宴でお目にかかりましたな」と向かい合う。ゼロは「誰だ。貴様?」と見下す対応を取る。
レオンは口惜しそうな顔を一瞬すると「レオン=ガートランドともうします。以後お見知りおきを」
ゼロ「ガートランドだか、ガートルードだか知らん。用なら早く言うのだな。暗黒騎士。」
→近衛と暗黒騎士は仲が悪いのである。

・ 一同が証拠を突きつけた場合、彼は「何?」と驚き、それを手にとって確認する。
その後ニヤリと笑うと、それを投げ捨ててしまう。「下らんな。まさに茶番だ」
→ ゼロ「民衆が蜂起したのが事実ならば、誰の責任でも構わん。我々はここに血を流すために来たのだ。
既に皇帝陛下の命令はくだされたのだ。ただ物事は実行するだけだ。」

レオンは「馬鹿な!やめろ。陛下はご存知ないだけだ!
貴様のような臣下がいるから陛下の恩名が穢れるのだ!」とつかみかかり本気で止めようとする。
→ ゼロはレオンの腕を払うと思い出したように手を打つ。
ゼロ「思い出したぞ。レオン=ガートランド。
確か、暗黒騎士団に、民衆での騎士がいたようだな。確か、名をガートランド。」
ゼロはレオンの周りを回りながら続ける。
「確か・・・お前の父親は漁師だったな。くくく・・・。」
彼はレオンの衣服の紋章をつかむと一息に破り、放り捨てる。
「家畜の分際で騎士の真似事だと? 図に乗るのも大概にしろ!!」
・レオンは青ざめ唇をかみ締める。

ゼロは「レオン君。彼らを捕えたまえ・・・反乱軍の拠点に案内させるのだ」と命じる。
・レオンはそのゼロの言葉に従い、一同にそのようにすることを指示する。
レオン「ここは2000の兵の真っ只中だ。勝ち目は無い。皆・・・わかってくれ。従うのだ・・・。」
→ ルイ・フェローはこれに大いに怒り「承服できん!」と怒鳴る。
 ルイ・フェローはこのことを帝国に報告し、皇帝に正確な情報を伝えると意気込むが、ゼロは「ご自由に」と返す。 ルイ・フェローも自分が帰った後起こる虐殺が予想できるために、そのまま引き返すことができず、ゼロを抑止するために同行することを最終的に決める。
・ ここで武力に頼り戦って活路を見出すことも可能。
・ ただし、ここで血なまぐさい戦いをしては反乱軍粛清は止められない。
・ 一同がここから逃げることを選択するのならば、ルイ・フェローはそのように協力する。
ゼロもそれに関しては気にかけない。何もできないと考えているし、出来てもルイ・フェローの責任にするためである。

アラン拷問される

もしレオンが反乱軍の拠点について何も知らず、メンバーが案内しなかった場合でもゼロは反乱軍の拠点をつかむ。
丁度ゼロは帰り道のアランを捕まえていたのである。
・ アランは旗印からルイ・フェローと帝国軍と安心したが、それがゼロの軍だとわかり逃げ出してしまった。当然不審に思われ拷問される。しかし、アランはそれをしゃべらない。
・ このことはルイ・フェローはまるで知らない様子。知るとびっくりする。

山岳・反乱軍 対 近衛騎士団

山岳地帯での反乱軍ではあるが、残念なことに村人は逃げ出す様子が無い。逆にバリケードを作って立てこもるつもりなのである。グラーフは困りきった様子で一同に説得を呼びかけているが効果は無い。
グラーフ「皆に逃げるように言っているんだが、逃げてくれないんだ」
村人の意見
・ 「俺達は土地から逃げてここに着たんだ。ここから逃げても、もういく当てなんかない。」
・ 「グラーフみたいな子供を縦にしてワシらが逃げ延びるなんて出来ない。あの子はワシ等のためにやってくれただけなんだからな」
・ 「ボク、わからないけど。みんな一緒がいい。」
→ グラーフは感涙するが、女子供も老人も巻き込んだ戦いなどしたくないのが本音。もし自分が戦死しても納得はできるが、彼らにだけはそれを強いたくないと願っている。
ところがその優しさがなまじ伝わるだけに、皆グラーフとともに残りたいと考えている。

アランとの再会 

一同が立てこもる反乱軍拠点に血だらけのアランか帰ってくる。
ゼロに捕まり拷問されたまでの敬意を話すアラン。解放された後はこのことを皆に知らせるためにここにやってくるが、それこそ後を尾ってここを発見するゼロの考えであった。
・ アランの命には別状はないが、PCの怒りを誘いたければここで死んでしまってもいい。

帝国軍現る 

幸いか、近衛騎士団はここに500人しか兵を派遣しない。
この山岳には500人以上の兵は送り込めないのである。彼は残り1000人の兵で山岳の周囲を固めることとする。
山岳の周囲に配置される兵は全てゼロの手勢である。
・山岳での戦いとなる。
近衛は降伏を勧告し、相手がバリケードから出てきたところを一斉に射殺すという作戦で来る。
その勧告の後、突撃し、皆殺しにするつもりなのである。
相手は一般人・一方的な虐殺となる予定であった。

PCはその中で戦わなくてはならない。
レンブラント・グラーフ達も指揮を取り戦うことになる。
@ 戦はまずバリケードこしの射撃合戦になる。射撃武器を携帯していなかったり、攻撃できないものはのっけから外れることとなる。
ここで、クロムハーツは指揮を取りかなり善戦する。煮え湯を用意し、バリケードを登るのを防ぎ、引き上げ時に射撃という攻撃はセオリーながら効果を上げる。
・ グラーフは「よし、クロムハーツどんどんいこう!」と乗り気だが、クロムハーツは首を振る。
「残念ですが、矢が続きません。どれだけ有効に戦っても矢には限りがある。いざ白兵となれば、自警団の手には負えません」と告げる。ようやく情況が理解できたグラーフは口惜しがる。
グラーフ「ちくしょう・・・せっかくみんなの村ができたってのに。
確かに俺は略奪をしたさ。でも悪いのは俺だろ。俺だけが罪を被れば」
→ クロムハーツはそんなグラーフを叱咤する。
「バカなことを!この後に及んで自分だけがなどと私達をのけ者にしないで頂きたい!
その言葉を聞けば、誰もが悲しみます。時に非業な運命も皆とならば受け入れられるものなのです。」

・ クロムハーツはすぐに門の前に落とし穴を掘るように命じる。門が壊された場合、なだれ込んで来るだろうと予想してのことである。→ PCはその背後で騎馬隊の攻撃に備えることとなる。

A 弓矢の攻撃が出来なくなると騎馬対による破城槌による攻撃が始まる。
この攻撃の結果、バリケードなどは簡単に破壊されてしまう。続いて騎馬兵の突入が始まる。
騎馬隊は当然落とし穴に落ちる。そこへPCが襲いかかるという寸法である。
・ PCは騎士10人と戦闘する。その時騎士のHPは半分とし、転倒している状態から開始する。

これが終わると小休止となる。
グラーフは「善戦しているな」と安堵の顔を見せている。
クロムハーツ「いいえ。相手は今ごろ即席の土嚢を作っているでしょう。それを落とし穴に放りこむつもりです。数百も放られてはたちまち埋まってしまいます。そうなると数が優勢です。」
グラーフは「どうしたら・・・」とクロムハーツに意見を求める。クロムハーツも無言になるしかない。

B いよいよ土嚢をもった騎馬たちが迫ってくる。騎馬兵は多少のダメージを受けてもそれを次々と放り込んでは引き上げていき、それを繰り返すことで穴を埋めてしまう。こうなるともう対抗する手段がなくなってしまう。
騎士団は徒歩でついに進軍、蹂躙に入る。
騎士団との戦闘。数は20人。

しばらく戦闘を行うとその背後で何か問題が起きる。騎士団たちも狼狽を示す。
騎馬隊の指揮官も制圧に乗り出し、付近まできていたのだが、ここでは狼狽する。
→ その一同のもとにやってきたのは暗黒騎士レオンである。
「大変です。反乱が起きました!」 指揮官は「なんだと・・・」と狼狽し、レオンに対し「お前が指揮しろ」と命じ自分は引き上げる。その瞬間、レオンは剣の柄に手をかける。
唾鳴りの音だけが響くと、指揮官は馬上で血を吹き崩れ落ちる。
「反乱だよ。私のな」

●レオンより
・ 「諸君。他の騎士団は私の手勢が引き受けた。ここは山を下りるとよかろう。」
・ 「山を下りる方法かね。ならば彼らの鎧を使うとよかろう。増援が派遣されないようにこの村は焼き払っておいた方がいい。炎が真実を隠してくれる。」
レオンはそういうと、降伏していく近衛騎士の虐殺を部下に命じる。

レオン「私は一時本陣に戻る。そして近衛騎士団が村の掌握に成功するも村人が村に火を放ったと報告しよう。
お前達は近衛の振りをして、なんとか囲いを突破するのだ。」
「すでにフェロー侯にはこのことは伝えてある。すぐに馬を飛ばして援軍に来よう」
「それと大切なところだ。私は何もしていない。ここには来ていないし、まして反乱など起こしていない。
私は近衛に命じられて背後で支援をし、ガチガチ震えていた。いいね」
「これがいいのだ。ディノギノス帝国ために、これが最もいい判断なのだ。」

包囲網の脱出

近衛騎士の周囲の囲みは厳重だが、レオンが色々と手を回しているために、相手もさほど疑わず通してくれる。
とはいえ完全に素通しにはならない。舞台の中には兵士とは思えない容姿のものも少なくないために、一同を通した後、騎士は不審に思って追撃してくる。
もし捕まれば、間違いなく助からないだろう。
・ ここで一同はなんとか時間を稼がなくてはならない。戦闘や弁舌など色々な手段を用いて時間を稼ごう。

そうするとルイ・フェローの軍が訪れる。
ルイ・フェローは彼らを引き受けると、自分の領地まで兵士を警護につけて移動させることとなる。
・近衛騎士は怒りを露にルイ・フェローに対して「陛下に報告させていただく」と脅しをかける。
・ ルイ・フェローはというと、一同に対してここで、別れを告げる。
・ 彼は今回の事態は皇帝が国の様子をご存知ないからだと考え、このことを皇帝に伝え、村村の書状を皇帝に届けることを伝える。
→ 当然ルーシャスなどはこれに反対する。
「ご主人様!それだけはやっちゃあなんねぇ。アイツは人を無碍にも思わない残酷な男です。ただじゃすみません!」

ルイ「いや。これは貴族としての私の使命でもあるのだ。
私にも罪はあるのだ。他国の惨状を知らず、人々の怨嗟の声がこれほど帝国を焼いているとは知らず、いままで何もしてこなかったのだから・・・。
私に貴族としての務めをさせてほしい。
ただ搾取するだけが貴族ではないのだ。正しいことのために生き、人が生きるための見本になる行いをしたいのだ。」
・ この時ルーシャスはルイ・フェローとの同行を決める。
・ 一同は人々をつれてルイ・フェローの領地に向かわなくてはならない。

ひとまずはエンディング

ルイ・フェローの領地までは彼の力によって無事に到着することができる。
しかし、それはルイ・フェローという一人の貴族を窮地に追い込むという結果となってしまった。
●レンブラントは
・ この時神殿騎士レンブラントはただちに人々に仮設住宅を作ったりテントを貸し出ししたりすると同時に、自分の主人であるベルサリウスに書状を書く。
・ これはルイ・フェローの助力と罪状を問われた時の弁護のための準備である。

●グラーフは
領地にたどり着いた後、グラーフとその仲間達はただちに自分達も都に向かい、ルイ・フェローの救出に向かいたいと告げる。
クロムハーツ「ルイ・フェローは間違いなく処刑されてしまうでしょう。
皇帝にとってルイ・フェローは目の上のたんこぶ。厄介物です。理由さえあれば処刑もおかしくありません。」

●レオンは
レオンは今回の一件は中央では問いただされる。
レオンの背後にいる暗黒騎士団と近衛騎士団は対立しているために、後見人についた団長バストールと近衛騎士団長ゼロはお互い一歩も譲らず互いの言い分を主張する。
・ 皇帝はゼロを支援しているために、レオンに対しては罪として謹慎を命じるが暗黒騎士という強大な力のまえではその程度の罪状しか問えない。
・ 皇帝はゼロに権力がなるべく集まるように体制整備を急ぐようである。

一同の顛末

さて、この後の流れですが、一同には始め約束していた報酬があるのならばここで支払われます。
ですが領地には危機が迫っていますし、貴族ルイ・フェローの力は絶対に必要です。
一同も都に渡りルイ・フェローを救出しなくてはならないでしょう。
というのがこの前半部分です。

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