保健室の怪人物
雨は小降りながら少し強くなってきたようだ。
煙草の匂いが染み付いた自分の職場、保健室。吉亜はそのベッドに少年を横たえる。
小さな裸足の足は擦り切れていて、血が滲んでいる。
煙草を取り出しかけて、それをしまう。
ヨシア:保健室に〜おいでなさ〜い。(手招きチョイチョイ)
GM :新たな妖怪!?
ヨシア:失礼な。せっかく人がフレンドリーに対応しているというのに。さて…まともな事件かそうじゃないかだけ確認しておかないといけないなぁ。
GM :君は保健室にその子を寝かせる。
ヨシア:まずはこの…ジャーン!最近は便利になりましたね。携帯電話にカメラがついているんです。これでこの子を撮影です。…妖怪なら写らない。
GM :なるほど。その時、隣のベッドからムクリと男が起き上がる。
ヨシア:何者!?
GM :十蔵である。(笑)
十蔵 :校長室のソファーで寝てる。
ヨシア:もしもし?ここソファーとか違いますから。授業いいんですか?
GM :休み時間である。
ヨシア:そうなんだ。十蔵、この子を拾ってきてしまいました。
十蔵 :ゴミを拾ってきたのか。
ちょっと待てぃ。
ヨシア:(笑)本人の前で言わない!
GM :ついでに足元には吉亜が隠していたお菓子が食い荒らされてたりする。
ヨシア:なんで。なんでこんなことしてんの?
十蔵 :学校にこんなものを持ってきてはいかんな。
ヨシア:あんたこそ、特大のフィギュア注文してたくせに!
十蔵 :それより保健室で煙草はいいのか?
ヨシア:この男…。まあ…まずこの子が人間か妖怪かその判別をしましょう。妖怪には調べる方法がいくつかあります。まずはこのカメラ。ちょっと十蔵を撮ってみましょう。
十蔵 :俺は写るよ。
GM :気合入れてると写るんだ。携帯には男の子の緊張した顔が写る。
十蔵 :俺は無意識でも写るけどね。
ヨシア:血液検査でもしておくか。それもどうか。
GM :まあ注射器ぐらいはあるかな。
ヨシア:ま、ここでいきなり採血するのもどうかと思いますけど。(笑)
GM :保健室の設備では検査はできないな。
ヨシア:調べられることだけでも調べておきましょうか。
GM :しばらくすると彼は意識を取り戻すよ。
ヨシア:あなたなんでゴミ箱にいたの?
GM :相手はちょっと困ったけど…。
十蔵 :大丈夫だ。このおばさんは怖くない。
ヨシア:おばさん…。怖く…。超怖くなりそうです。…こわくなぁいですよ?
GM :「友達…と一緒に…お家に行ったんだけれど…いなくなっちゃんたんだ。」
ヨシア:ゴミ箱に捨てたと。
GM :その子は家の場所を教えてくれるんだけれど…十蔵にはその場所に心当たりがある。
ヨシア:十蔵知っているんですか?
十蔵 :誰んち?(驚)
GM :君のクラスに弥生っていう子がいるんだけれどその子の家。
十蔵 :ちなみにその子は人間でいいの?
GM :まあ、このクラスでは珍しい普通の子だ。
珍しいってほどではないですけどね。
日向学園にはちょっと普通ではない生徒もわりといます。
主にPCたちなんですが。
ヨシア:生徒だって。ふふ。十蔵これはあなたにも関係ありますね。
十蔵 :では。授業があるので。
ヨシア:待って。(笑)大切な話ですよ。聞き逃したらやばいことになるかもよ。
GM :まあ、どっちかというと大人しいタイプの子ではあるけれど…弟がいたとかそういう話を聞いたことがあるかも知れんな。確か…弟の名前は睦月。
ヨシア:君が睦月クン?
GM :彼は少し困ったような顔をしたけど、自分は睦月だと名乗る。そういえば、その弥生さんという子は昨日ぐらいから休んでるね。連絡取れないんで今日ぐらい行ってみようかなとか思ってたトコではある。
十蔵 :最近流行の登校拒否ですか。
ヨシア:モンスターに襲われたんですよ!モンスターに!
GM :正直、ラストオブエデンが流行りだしてからわりとあることではあるんだか。
ラストオブエデンはこの世界で爆発的に流行っているネットゲーム。
某有名ゲーム会社、ナマコのヒット作です。
ヨシア:そういうの困ります。テレビゲームは絶対禁止ですよ。自分で学べって感じです。
GM :先日十蔵もサボりかけた。
ヨシア:そういうの困りますから。(笑)
十蔵 :俺のプライバシーに何をしても文句ないだろう。
ヨシア:それを言うならプライベートでしょう。そんなの…言い訳ですから。さぁてどうしましょうかね先生。この子のクラスのその家にいってみるしかないですね。
十蔵 :だな〜。で、この子はどうすんの?
ヨシア:さっさと家に帰しましょう。帰った帰った。遊び場じゃねぇんだここは!(笑)
GM :そういいながら君はベッドの下のたこ焼き焼き機をひっくり返す。
ヨシア:私はそんなに子供に優しくなぁ〜い!で、いなくなった友達の名前は?
GM :「むつ…ゴニョゴニョ皐月…」
十蔵 :わかりにくくなってきたな。弥生に睦月に皐月。てかなんでゴミ箱にいたの?
ヨシア:そうですね。なんでです?
GM :彼はさらに困ったような様子で「よくわからないんだけど…」
ヨシア:お母さんに殴られて…。
十蔵 :あんたなんかいらないわよと言われてゴミ捨て場に。(笑)
ヨシア:まあ…案外そういうこともあるかも知れませんけどね。
GM :なんか悲しげな表情になってしまうよ。
ヨシア:まあそんな時もありますよ。
GM :どういう時だよ。
ヨシア:そうやってみんな牙を研いでいくんですよ。
GM :はあ…復讐という名の牙を。
ヨシア:復讐じゃありません。
十蔵 :そうしてみんな大人になっていくんだよ。
ヨシア:さてと…じゃあとにかく…家帰れるんでしょ?帰りなさい。帰り道問題があるといけないから送ってあげなさい十蔵さん。
十蔵 :じゃあこれから私は授業へ。
ヨシア:見舞いもあるでしょ見舞いも。問題があってまた失踪したらあんたの責任ですからね。
十蔵 :しょうがないなぁ。…授業休めるじゃないか。
ヨシア:…考えてみれば帰すのは授業の後でもいいですよね。
GM :まあそりゃそうだ。
ヨシア:授業中は保健室で寝てなさい。
十蔵 :わかった。
ヨシア:あんたじゃありません!さてと…ではその子を眠らせるための方法でも考えますか。
十蔵 :ショックで?
ヨシア:普通に眠らせる方法。催眠術を使ってみよう。(コロコロ)
GM :ひょっひょっひょっ。あぶねえなぁ。
ヨシア:あと1でファンブルだから。危ない危ない。今なんか見えた。だめでしょう。
GM :ここはベタベタに5円玉を見ながら自分がカクンと…。
ヨシア:はっ。危ない危ない。誰ですかこんな危険なこと考えたの。もういやだと言って…フリーズしてる。
GM :むう。OK。では時間を飛ばしてよかろうか。
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