◆◆◆ オープニングフェイズ 2  ◆◆◆ 相川弘

(年年歳歳花みな同じ・・・・・・この光景はどこかで見慣れた景色です。)


「あの……もし、嫌じゃ無かったら……付き合って下さい」
青嶋北斗は顔を真っ赤にしながら頭を下げた。火を吹いているという奴だ。
北斗は長い黒髪に高めの身長。ルックスは良かったがあまり印象に残る奴じゃあ無かった。




弘:(沈黙)ふぅ〜ん?(注視)

GM:しげしげと(笑)。彼女も頭を下げたまま微動だにできず……ダラダラと汗を流す始末だ。

弘:「え、でも急になんで?」

GM:「え?急にじゃなくて……ずっと前から……」

弘:え、ずっと前から学校一緒だったの?

GM:中学校の頃から一緒だったけどね。記憶にはあまりないなぁという。
そういえば北斗とは中学からの付き合いだ。クラスの集合写真に一緒に載るだけの付き合いだった。



弘:「うぅ〜ん……。いいよ?」

コギト:おほほほほぉ。

GM:「ええええぇ本当!?」彼女は努めて冷静を装ってるけど、一目でソワソワとしているんだね。
それ以来彼女と……一緒に生活を送ることになる。彼女もあんまり付き合いうまいほうじゃないんでね。
学校の帰りなどになると、彼女は校門で待っている。そして、弘君が来る。

弘:隣でこう自転車を飛ばしていって、北斗が必死に走って追いかけてくる。

「飛ばすぜ!!」



コギト:ひどい登校風景だよ!?

GM:そうだね。彼女もビックリして訳もわからず転ぶ。そんな感じだね。
北斗ちゃんは……転んで足を擦り剥きながらも極めて冷静さを装い……。

コギト:すごい血ぃ出てるから!?

GM:「全然痛くありませんから!」「大丈夫だよ弘君。全然痛くないから。でも自転車は降りてくれると嬉しいな」

弘:降りて歩こう。



GM:そうだね。

え〜そんな生活が続くうち、君もこう俄かに周囲が騒がしくなりながら、心は家の事に向かうわけだ。
「あぁ〜家に帰ると、父親と会わねばならないなぁ」みたいな。

弘:う〜ん。確かに。今のところ父親についていい情報が無い。

コギト:カシャカシャ。「相川君、相川君この事件についてどう思いますか?」(←張り込みの記者?)



GM:早いよ!迷惑な奴が早いわ。
え〜帰り道を歩いていると、正面から制服姿で歩いている妹の姿が見える。
彼女が妹の真白だ。真白は中学生、なんだが明らかに家事のためと思われる買い物の荷物を持ちながら歩いている。
家に足を一歩進めるたびに重苦しい顔をしてため息なんかをついたりするわけだ。

弘:そりゃそうだろうね。わかるよ。今のボクがまさにそれだ。



GM:「あ、兄ちゃん」と言ってそちらの方を見るわけだ。

で、君の方に目線を送り、となんかソワソワして……北斗ちゃんにチラリと目線を送り
一方口下手な北斗ちゃんも黙り込み、二人はしばらく見詰め合うと言うか、にらみ合うというか、こう……。

コギト:(笑)



GM:「誰・・・?」と言って北斗を見る。
北斗は……目をまん丸に開けて、しどろもどろ。
ハァハァ…ハァハァ…ハァハァ…ハァハァ…と息を荒げて……。
「き、今日は帰るね」と緊張に絶えられなくなったわけだ。



弘:「ああ。じゃあ、また明日」と軽く手を振る。

GM:「また明日!」手を振って帰っていくわけだ。
真白は立ち去る北斗の後姿を、言葉無く見送り。その後に弘と目線が会うと深い溜め息。
「お父さん最近またおかしくなったのよ?」

コギト:また最近とか。

弘:すでに相当おかしいと思うけど(笑)「今度はどうなったの?」



GM:二人は家に帰っていく。
家は一般的な一軒家で、やや裕福。庭があって、二階建ての建物だ。さて二人はドアを開けて入っていく。
深い溜め息と共に真白が「ただいま」。奥から忠司が出てくるんだね。手には暖かい湯気を立てているコーヒーカップ。
お父さんは「お帰り」と言って笑顔を見せるんだね。途端に真白、顔色を悪くして俯く。

ええーと、ちなみに足元にはビニールテープが貼られていて廊下が二つに分けられてる。
反対側が君弘の領域である。君はそこから出ずに生活しなければならない。



弘:ん?

コギト:(笑)?

弘:もう反対側は?

GM:基本的にね、お父さん達が暮らしているのがもう反対側で、君がその反対側から出ることを父は激しく憎しんだ。

弘:なぜにホワイ?

GM:君の出生にも関わる話だ。
なんでも、先妻の人っていうのは、その大手政治家の方のお見合いで結婚することになったわけで、
お父さんは全然好きじゃなかったらしいの。

弘:うん。

GM:それどころか押し付けられた女と結婚して君は生まれたわけだ。
ところが彼には好きな人がいた。それが真白のお母さんの真澄さん。
幸運というべきか、偶然というべきか、君のお母さんが死んでしまい、そして真澄さんと再婚することになったお父さん。
その時からすでに君の事をちょっと疎んでいたのだが、ここまで酷くはなかった。

弘:へぇ〜じゃあ、真白とは異母兄妹なの?

GM:異母兄妹だね。そして真澄さんが亡くなると、ハッキリ真白と君が生活を別に隔するように、床には線を引いていた。

弘:は〜。(驚)え、じゃあ、トイレとか風呂とかそこら辺どうなってるの?

GM:あのね。君の部屋にはトイレが用意されている。風呂はさすがに仕方がない。
でも、風呂に君が入ると必ず全部お湯を抜いてしまう。

コギト:う〜ん。



GM:そうだね。父は今、表一般ではすごく爽やかなお父さんとも言われてる。家ではこんな感じだ。

弘:うん。ダメだ(ぱぁっと笑顔)。愛せる要素が見つからないわ。

GM:真白が「ただいまお父さん」と言うと、お父さんは言うんだね。

「家では忠司さんと言うんだ。いいね?」

コギト:うわぁ〜!

弘:なぜ?

一同:(苦笑)

弘:なぜ!?

GM:これもわかってる。

真澄さんがお父さんのことを忠司さんって呼んでたらしいのね。それを真白に強要しているみたいなんだ。

コギト:なんか……そろそろいい病院を紹介したほうがいいんじゃないかな?

GM:君のほうにはまったく目も合わさない。

弘:う〜ん、別に…父親には目を合わそうとしないで自分の部屋行くわ。

GM:真白はなにか縋るような目で君を見た後に、ぐいっと父に手を引かれてそのままリビングの方に向かっていく。
ご飯とか作るのも全部真白の仕事になっている。

弘:う〜ん。真白大変だよな……。



GM:もちろん真白が作りたいなどと言ったわけではない。今は完全に真澄さんの代わりの仕事をしてるんだね。
父親の症状が酷くなってるってのもわかる。今はもう目張りがしてあるからね。

コギト:ほう。

弘:……。忠司さんを可哀想とは言いがたい。

次へ

リプレイへ

トップページ

Copyright(C)ゴスペラードTRPG研究班 (c) 2012.