◆◆◆ ミドルフェイズ 13  ◆◆◆ Ultima forsan

(Ultima forsan・・・・・・ことによると最後の時間)


GM:病院だ。



医師からの説明は淡々としたものだった。
あまりに認知症が進むと生命維持まで困難になる。
ペースメーカー、呼吸器、機械だらけの父だったが、それでも生きていることすら困難らしい。
後数日……しかし持ち直せば一年から数年持つ可能性もある。


GM:今度は弘が待合室。この病院にはよく来るな。

弘:世界中は不幸に満ちている。

GM:医師が弘の前で北斗に聞くわけだね。「生命維持装置を外しますか?」と提案する。

コギト:そんなこと……高校生に聞くものかな。

GM:っていうか家族がいないんだ。

コギト:他に親戚とかは?

GM:いないらしい。

コギト:ぬぅ……。

GM:しかも学生が払える金額ではない。
既に家を売り、アパート暮らし、貯金を切り崩している北斗がそれをやるには、人生を壊すことになるだろう。

弘:ふむ……。

GM:彼女、ポロポロ悩みの物質を落とし……「治療をお願いします」とキッパリは言うんだけど、何かを悩んでいる。

コギト:誰かに伝えるものでないなら〈調達〉しておこう。

GM:「悩む」という奴だね。「落とす」のは悩んでる情報なんだろうね。「飛ばす」のが誰かに伝えるもの。

コギト:……なるほど。(コロコロ)17。



北斗は悩んでいた。
借金をすることになる。学校も辞めないと、もうそんなことになればおしまいだ。
困った時は何が正しいか考えよう。
お父さんなら生きたいはずだ。まだ私達はお父さんを幸せにできる。

……この弱気は、わたしの弱い心だ。


コギト:ふぅむ……。お金か。なにか恩返しができないだろうか?

GM:北斗は……そうだな。お父さんの病室に行く。
もう、反応返さないんだね。生きてるのか死んでるのかわからないような状態だ。



手を握った。表情は固い。笑顔すら作れない。
やがて大地がやってくる。大地は父の手を掴み、泣き出しそうな顔で揺すった。
揺するのを北斗が制する。北斗がつらそうな顔をする。


GM:コギトから見ても、もう物質はほとんど出ていないな。
極めて物に近く、活発な部分ですら反応を返さなくなる。
枯れた植物のような反応である。情報物質が泡のように出たが、穴だらけで小さく意味はわからない。

コギト:なにか届いたらわかるんじゃないかなぁ……そんなことを考えてストンストンと。(情報物質を投げてるらしい)



GM:するとねぇ。ちょっとしたことがわかる。
大地の情報物質とお父さんの情報物質は結構近いものなのじゃないだろうか?
しかし、穴だらけのお父さんの物質ではほとんど反応がわからない。

コギト:う〜ん。どういうことだろう?



GM:父親には物質を受け取る能力はない。新たな物質を送ってもそれは認識できない。
穴が開いているからだ。しかし、そのパズルの穴のピースを埋めるならば、父親にも認識できるかもしれない。

コギト:ぇぃっ!?

GM:これは〈RC〉で情報物質を変化させてくれ。

コギト:大地の物質でお父さんを?

GM:うん。それがお父さんのパーツに入ればと。初めての試みだ。
〈RC〉判定でこれを成功したらもしかしたら……通じるかもしれない。

コギト:低いんだよねぇ。(←精神2)

GM:まあ、ロイスを切ってもいいよ。こういうのは。

コギト:どれぐらいなの?

GM:基本的な目標値は8なんだ。

コギト:行くぞっ!ここで私はマイナーアクションで《オリジン:レジェンド》を使用し……これで2上がるんだ。

GM:そうなんだ。いいよ。



コギト:死にスキルだと思ってたけど使うことになるとは。でも、2じゃ仕方ないか?はっ!(コロコロ)ん〜。(出目は3)
しょうがないな。ここは使うぜ?《妖精の手》を使用し、コイツを10にする。

GM:1個だけ。ああ、いいよ。もうこの時点で成功だね。《妖精の手》って回数あるんだっけ?何回なの?

コギト:3回!!

GM:うん、後2回だね。

コギト:3つの願いって奴だな。でも、これぐらいはいいんじゃないかな?



初めての試みだった。

大地の物質を使い、父親の発生物質を穴埋める。
奇跡のような可能性だったが、奇跡は自分の力だ。

完成した物質が父親に当たる。

父親は大地を見た


大地が気が付く。
驚く。
目に涙が浮かぶ。

「お父さん……お姉ちゃん!お父さんが見てる!僕を見てる!」


廊下に飛び出して叫ぶ
北斗が飛び込む。


しかし、父親の容態がおかしい。機械がアラームを上げて医師を呼ぶ。
父親の目はうつろ。取り乱す北斗。叫ぶ!

「お父さん!」



GM:医師たちがやってくる。入ってきた先生から物質がちょっと零れるのがわかるね。拾ってみる?

コギト:……拾っておこう。(コロコロ)8だから12だ。

GM:そうだね。少しわかることがある。「この子達のためにはいっそお父さんが死んでくれていたほうがいいのにな」って。

コギト:ここにも「なにか」いるんじゃないか、まさか?

GM:もう、認識できない。

コギト:ぐぅっ……そうか。ひょっとすると弘の家に入っても、もう「アレ」は見えなかったりするのか?

GM:し始めるかも。

コギト:ぎょぎょっ。

GM:どんどん物質的になっている。すでに目で見るということに馴染み始めている。

コギト:そうだった!むぅ。





◆◆◆葬儀◆◆◆



GM:そして、葬式。死んじゃうんですよ。

コギト:ぬぅ……。



葬式が終わった。

あれから容態を悪くした父が死に、慌ただしく葬儀をやった。

北斗は業者に任せて葬式を執り行ってもらったが、
親戚一人力を貸すものはいなかった。

北斗が母方の親戚を嫌っていたことと
再婚してまもなく認知症になった父の家族親戚が中々わからなかったこともある。


GM:……もし行くなら弘君が一緒にいるぐらい。

弘:うん……行こう。

GM:一応、弘と真白が来るぐらいかな。ああでも、真白はお父さんが手を放してくれないかもしれないけど。

コギト:シューってしてやれ!(←殺虫スプレーのことらしい)

GM:お父さんは来ない。

弘:うん。来ないほうがいい。



GM:ちょっと疲れてる北斗だね。



火葬場の表で、座って待つ二人。
「お父さん……見てたよ。」
「うん。凄いお父さんだ。最後まで粋な人だった。」
「うん」
「大地もお父さんに負けないカッコいい男になるんだぞ?」
「……」
「野球選手だっけ。イチローみたいになるんだよね?」
「……うん。でもお父さんみたいになるよ」


弘:「そういう憧れっていいよね」

GM:(笑)「うん、いいね」と真白も言うわけだね。

一同:(笑)

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