◆◆◆ ミドルフェイズ 10  ◆◆◆ paradigm shift

(パラダイムシフト・・・・・・当然と考えられていたことが、劇的に変化すること。)


GM:というわけで、父親との生活関係が悪くなる弘。

弘:ん〜。これはちょっと傘を常備しようかな。

GM:父親との生活関係が悪くなるのは真白の方もだね。
学校の帰り道、歩いて帰ると、やはり真白トボトボとしながら表を歩いてるのが見える。
小分けされた買い物袋をいくつも持っているんだね。

弘:もしかして、冷蔵庫も別々とかそういう話?

GM:そこまでは……そういうんじゃなくてね。
真白はなるべく家に帰りたくなくて、買い物を長引かせて色んなとこでチョコチョコ買おうとしてるみたい。

弘:……。



GM:真白、君のほうを見ると、そうだね。ちょっと喜び……そして溜め息。

弘:「……こんな生活いつまで続くんだろうね」

GM:彼女はポツリと言うわけだ。「中学を出たらね。寮のある女子高かなにかに入りたいんだよね……」

弘:「……うん」

GM:「お父さん日増しにおかしくなる。私もう我慢できない」

弘:「……絶対そっちの方がいい」

GM:(微笑)彼女は「死にたい」とポツリと言うんだね。

弘:「……」



GM:そんな時の事である。信号が点滅する。

コギト:危ねぇ危ねぇ!

GM:奇跡がやはり起きるのである。

コギト:誰だよ!こんな願い叶えてるの!



信号が点滅。
真白が信号を渡る時に 突然車が飛び出し  彼女を跳ねる。
暫く引きずったのちに 車は逃走する。



GM:引きずられた真白はその場で路上に放置されて……
車は振り返ることも無く一気に走らせていくのが見えるわけだ。



弘:「え、うっそ……」



GM:そうだね。君も飛び出していくけど、真白やっぱり撥ねられてる。ヒドイ感じだね。

弘:とりあえず……喋れるか?

GM:すぐに救急車が呼ばれる。



真白は直ぐに病院に搬送。意識不明の重態である。
集中治療室に送られる。
真白の状況は極めて悪く頭部を強く打っている他、引き摺られて内臓も痛めている。


GM:突然の事で君も動転しているわけだ。
救急車に一緒に乗ってるけど、周りの人達もあまりにも動揺しているというか、
動きが早く、なんていうのかな、危険だということが傍目からもわかる感じ。

寄り添うことも出来ず、病院の病室で手術が始まる。
というところなのだが……まあ、表の廊下だね。
……連絡を受けた父親がやってくるわけだ。



弘:「……うん」

GM:彼は医師にしがみつき、号泣し続けて君のほうを見る。
彼は君に組み付き

「おまえが死ねばよかったんだぁ!!」

と言って引っぱたくわけだ。

弘:……あ〜。……きちい。
……多分こんな感じになるだろうと思ったんだけどさ。

コギト:ふぅ〜。

弘:「うるせぇ!じゃあてめえが死ねばいいだろ!?」

コギト:うわぁぁ!?



弘:と言いつつ背負い投げ。

GM:〈白兵〉だね。

弘:(コロコロ)23。

コギト:会心の……。

GM:(コロコロ)ああ……。(嘆息)投げようとした。
お父さんを転ばせるに至ったけど、お父さんは21で〈回避〉しようとしたんだね。

コギト:なにこの高レベルな勝負!?



GM:お父さんも今クリティカルしたんだよ。「ちょっと待合室でやめて下さい!」みたいな感じだね。

弘:「家族の問題に口を出さないで下さい!!」



大した手当ても出来なかった。
病院についた時は手の施しようが無く、死亡が確認されていた。


弘:「ええええぇ……?」



医師は蘇生を諦めると死亡証明書を書き、遺体は霊安室に送られた。
父は半狂乱で泣き叫び、やがて気絶した。


コギト:……あまりにも急だな。



弘:「なにそれ……」





GM:君のほうも帰宅を促されるんだね。
突然過ぎてなにがなんだかわからない
部屋に帰っているが……まったく今日の一日になにがあったかよくわからない。

車が飛び出してきて撥ねたなんてのは今でも実感が湧かない。
いつもの光景だからね。

眠れないかと思っていたが夜にウツラウツラとしていた時の事である。
小さくドアが叩かれるんだね。



弘:?ん〜そのままちょっと……待ってみる。



GM:やっぱりドアが叩かれる。

弘:(沈黙)待ってみる。



GM:泣き声が聞こえるね、ちょっと。

弘:じゃあちょっと開けようか。



GM:そこにはねぇ……足が土で汚れた真白の姿があるんだね。
手術用の白衣を着ている。
君の部屋の前に座り込んでべそをかいている。

弘:「……え?」



GM:よくわからない状態だ。〈意志〉判定をやったほうがいいね。

弘:(コロコロ)9……10。

コギト:ピコーン!おぅ!結構いいんじゃない?



GM:取り乱さず反応できるぞ。
真白は死んだ。
でも、真白は動いているように見える。ただシクシク泣いてる。
これはなにかおかしなことが起きているかも知れない。



弘:「……真白?」

GM:真白の方は泣きじゃくってたけど、ポツポツと喋るね。



「気が付いたら狭くて暗いステンレスの箱の中で……。
声を上げても誰も来てくれなくて……。
暴れてたら箱に隙間が出来て、なんとか出てこれて……」



弘:「……」



GM:「そこが病院で、私怖くなって家に帰ろうって」
真白の怪我はどこにも見当たらない。擦り傷一つないのである。
ただ、ひどく怯えているね。

弘:とりあえず、部屋の中に入れるけど……「親父には?」

GM:親父は下で気絶している。親父には絶対会いたくないみたいだね。あったら……アレだからね。



弘:まあ、とりあえず……服を持って来よう。

GM:妹の服。まあ、大体適当なものを彼女に渡し、彼女は上でようやく安心した後眠る。
……翌日になってもやっぱり彼女はいる!



弘:「う〜〜〜ん」

GM:やっぱり父は感涙するね。

弘:あ、起きたの?

GM:「もうどこにも行かないでくれ!」と抱きつくわけだ。真白も会わないわけにはいかないからね。



父はもう何処にもいかないでくれと真白に抱きつき、暫くは離さない程だった。
真白は1時間あまりは我慢したが、その後数時間は手足を振り回して抵抗し、その後は諦めた。
父がトイレに行った隙に離れると買い物を口実に表に出た。


一同:(笑)

弘:「……ってか。一応なんか病院行ったほうがいいんじゃね?」

GM:そうだね。……彼女行きたがらないんだよね。
やっぱりすごく怖い経験をしてるみたい、怯えてはいる。
なんか、事故のことを覚えてはいないみたいなんだけど、それに対して断片的な恐怖があるみたい。

弘:あ〜。

GM:とりあえず、救急車の中で怖かったということを覚えてる。

弘:救急車の中で?

GM:ん〜。なんだろ。周りが言ってることが怖かったというべきかな。
「死んじゃう、このままじゃ」とか。
ただ、彼女はそれをあんまり覚えていないんだ。
手を引くと、足を止めていたけど、引き摺られるように付いてくる。



弘:「とりあえず今日は学校休め」って言って……家にいさせて。

GM:そうだね。まあ、診せなきゃいけないけどね。



弘:ちょっと病院……行こうかな。運び込まれた。

GM:そうだね。医師の方は真白がいなくなったことも驚いてるわけだ。

弘:「ど……どういうことすか?」

GM:霊安室にいた筈の彼女の姿がない。

弘:「はあ……。なんか……こう、死んだと思ってたけど実は生きててとかそういうことですか?」



GM:やっぱり真白の検査はもう一回したいということになるんだね。



医師は驚いた。
再度精密検査が行われたが、異常は無く、誰もがキツネにつままれた状態だった。
死亡診断書の当人が歩き回るようでは、説明しようもない。


GM:頭がグシャグシャでもうダメだろうと思った。救急車の中で死は確実だった。
でも、今はまるで怪我がない。事故なんて無かったかのようになってる。
先生はレントゲンやらカルテやら見ながら、とにかく首をひねり続ける。

弘:「あ、まあ、とりあえず、元気ってことすか?」



GM:「自宅療養ということにしておいて下さい。事故に遭ったんですから。
う〜ん。どうなるのかなこれは」真白の方は家に寄る。
まあ……家もそんなに幸せな環境じゃないんだけどね。

弘:う〜ん。逆に入院させたほうがいいんじゃね?

GM:そういうのもありかも知れない。

君がそのようにして先生の話を聞いて帰ろうとすると、前から歩いてくる何人かの男。
刑事風の男だね。君のほうに目をつけた後に、まず先生と話をし「今の人だよ」と言われて君に声をかける。
「もしもし」

弘:「なにもしません」

GM:「ああ、いや、そうじゃなくて。君、相川さんですよね?」

弘:「……はい」

GM:「実はひき逃げの調査をしていて」

弘:「……ああ、そう」

GM:やっぱりひき逃げの目撃者とかもいるみたいなんだ。

弘:「で、なんかわかったんですか?」

GM:「いや、そうじゃなくてその、犯人のことはそりゃあ目星がついたわけだ。
だがその……なんというのかな。被害者が無傷で歩き回っていると聞いて」

弘:「はあ。でも……無傷だろうが、ちょっと擦り傷あろうが、轢かれた事には間違いないんで……」



GM:「ああ、それはわかっている。私達もこれは事件として立件するつもりなんだ」まあ、ちょっと話を聞けるね。
犯人っていうのは高校生らしい。

コギト:ほう?

GM:「現在保護観察処分中で、名前が新城キヨシくん。

過失傷害、轢き逃げ、無免許運転。元々なにか良くない素行はあったと。でも、その後に轢き逃げをやってしまったと。
で、今、姿をくらませてる」

弘:「……」

GM:「まあ、我々も見つけたらなんとかするよ」って話を彼はするんだね。

弘:「う〜ん」

GM:「ただ、事件の状況や、要するにどれくらい被害者が怪我を負ったのかというのがね、把握できなくて」

弘:「はあ」

GM:「驚いてしまった」

弘:「正直、あの……それに関しては僕に聞くよりお医者さんに聞いてもらったほうが……」

GM:「そのとおりだね」警察の方は「時間を取らせてすまなかったね」と言って、また医師の方に向かっていくね。

弘:「……う〜ん。あ、ちなみになんですけど」

GM:「ん?」

弘:「ウチの親父の仕事は関係ないっすよね?」

GM:「ああ、関係ないよ、それは。君のお父さんはそりゃあ有名人だからね」

弘:「……どうも」

GM:「お父さんが有名人だと子供も大変だね」という風に刑事さんは知らないので笑っているんだね。

弘:「子供は親を選べませんから」

GM:苦笑するわけだ。

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