ガープスサイバーパンク ガーディアン・オブ・アグノシア
銃撃戦の最中に飛び込む警官二人組。一人は悪態を付き制止の言葉を投げ掛け、
一人は愛用のリボルバーを片手に危険に身を投げ出す。
一方中では―
天井に隠れているコシロー。銃弾の嵐にさらされる。
行動力に勝るコシローだが、一瞬の思考に先手を取られる。
思案すること1秒。
「このままここにいたって、流れ弾の1発2発は被弾するだろうな。」
相手の殺気、火を吹く銃口。瞬間コシローの跳躍する。+同時に投擲。
後ろに上がるグレネードの火の手を尻目に冷や汗。投げ放たれる手裏剣。
…
……
………
命中!
狙いたがわず駆動部分を破壊。
工場跡地から立ち上る噴煙。赤く焦がす炎を見上げる影は2つ。
振り替える白いサイボーグ。『行こう』
後ろのカルロスはこの先の荒事を予想して、閉口。慣れない対戦車ライフルを背負ってはヨロヨロと後を追う。
★警官達―
警官クリスの安物リボルバーが火を吹く。遮蔽物を盾に身を隠す。こうしていれば流れ弾で命を落とすことはまず無い。
しかし、あまりにも多すぎる。
顔面蒼白、リボルバーと予備の弾丸を確認する。
クリス「シット!」
―弾丸総数より相手が多い。
頼りにならない相方のスズ。何を思ったのか、表から飛び込み、クリスの横に滑り込む。手には似合っていないハンドガン。
クリス「…スズ」
思わず感謝の言葉が漏れそうになる、が―
スズは青い顔で頭を振る。そして一言。
スズ「表にもっとヤヴァイ戦闘サイボーグがいる。俺、アイツ苦手なんだよ」
…
……
―なんだぁコイツ!?逃げてきたんだ!―
クリス。思わずソッポを向く。今の自分の表情を見られたくない。
★白いサイボーグ
鉄火場に飛び込む白いサイボーグ。刀を抜き放ち駆け出す。
シュウ「私に続け!ニコ」
ニコ「はいっス」
飛び出すニコの足先を弾丸が舐める。仕込み鉄板ブーツに出来立ての傷痕発見。
ニコ「…え、無理」
―と見上げるニコの目前で殺陣が行われていた。
★殺陣:PSY
武装サイボーグが銃を構え発砲するよりも早く、白い影はその脇をすり抜ける。
抜かれた白刃は一閃、虚を付いた相手の背を撫ぜる。割られる巨体。
そのシュウの背後から向けられる銃口。
四方八方からの予測不能の敵意を前に、反応できる者がいるのだろうか。
人は視認し、意識し、それを反応する。しかし予測不能の敵意は意識の外から襲いかかるのだ。
偶然とまさかに人は反応できない。ただそれに備え、その起こりうる「不幸」の確率を減らすだけである。
しかし、シュウには出来る。
シュウの脳裏をよぎるのはその光景。流れる弾丸の奇跡が自分の四方から注がれるのがわかる。
シュウには特殊な力があった。彼には見えるのだ。これから起こる数瞬先の光景が。
―PSY―
未来予知やテレパスなどの特殊な能力が彼には備わっていた。
彼には予測不能の事態などない。彼は全てを予期し反応する。
それが彼を達人足らしめた力である。
ほどなくして武装サイボーグの戦意が無くなるほどに、場の戦闘員が解体される。
仲間の安否を確かめるために振りかえるシュウ。
ニコは対戦車ライフルを手にひっくり返っていた。
あまりに強い反動にニコは耐えられない。
シュウは頭を抱えて首を振り―
シュウ「ま、そんなこともある」
―と慰めの言葉を吐いた。
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