ガープスサイバーパンク ガーディアン・オブ・アグノシア
★再会〜スズ&シュウ〜
武装サイボーグの引き上げを尻目に再会と出会い。
警官達に取っては新手のサイボーグも危険な存在には違いないのだが―
(クリス「…今は仲間であると信じたい」)
クリス。トリガーに指をかけたままの質問。
「あなたたちは?」
シュウ。ニコにアイサイン。説明役をパスする。
ニコは狼狽。
ニコ「えと近所の自治会みたいなもので…」
―対戦車ライフルを後ろ手に隠す。
シュウ「やぁ!スズじゃない。来たの?いいねぇ〜」
スズ「ちょっ!?待てよ」
―スズにしてみれば嫌な奴に因縁をつけられたもんである。
シュウ「子供を助けに来たの?警官はそうじゃないとね。」
スズ「違う!俺は…ただな…」
シュウ「『ただ、…黙っていられなかった!』。そう、それが正義感だ。」
スズ「おまっ、話聞けよ!
誰かコイツになんとか言ってくれよ〜。」
シュウ「大丈夫!俺だけはわかってるから。」
スズ「…俺、いつまでコイツのお守りをしなきゃならねぇの?
ちょっとさぁ、シーン飛ばしてよ!」
★コシロー
コシローはがっちり少年達をマーク。逃がすつもりはない。しかし…バッカーナといったか?
少年達を使っていた男の姿は無い。
コシロー「アレ。いつ逃げたんだろ?ま、いっか…」
一同は少年の一人に近づく。汚れたコート。目深の帽子の下からは上目遣い。
シュウ「大丈夫か?」
コシロー「あ…そいつもギャング。」
「え?」
と間抜けな反応をするシュウ/少年の手の内に隠した銃が火を吹く。
火花!金属音!その白い仮面に傷が走る。
クリス:少年の手の銃を素早く奪い取る。少年に向けられた視線は苛立ち。
ニコ:「シュウさん!?」とキズを確認。「心配ない」との静止の言葉に安堵。
★シュプル
クリス「ねぇボク。
人殺しはいけないことよ?
そういう大人と一緒にいるのもいけないことよ?」
クリスのお説教。
今さっきの銃撃戦などどこへやらの『あまりに場に不釣り合いな台詞』を聞いて、周囲にたちまち苦笑が浮かぶ。
コシロー「うわぁ現実味ねぇ」
スズ「こういう適当なこと言う大人は最悪だよな。」
(何もかも―ムカつく。
茅の外からやって来て正論振りかざす大人。
同情とか、哀れみとか、誰が欲しいって言った?
正論なら・子供は学校行って・家族と仲良く暮らすはずだろ・そういう社会を作れなかった罪悪感はアンタラには無いのか?)
少年は無口だった。返事も返さず無口無言。目線も合わさない。
“拒絶”である。
それには理由もあるだろう。スズはこの下らないお説教に飽き飽きすると背を向けた。
スズ「クリス。…お前は結構嫌な奴だよな」
クリス「え?」
少年の名前は『シュプル』。ストリートキッズのリーダーで情報屋。下町の浮浪児のボスである。
この廃工場の一角をアジトに彼等は生活をしていた。どういう経緯で彼がこのような境遇になったのかはわからなかったが、この世界ではありがちな話だ。
同じような境遇の者が集まり、生活を共にし今のチームが出来上がるのも当然の流れだ。
互いへの共感か、同じ世界に生きる連帯感がつないでいるのか。
しかし、それでも結局は個だ。
生きるためにつるむ。
社会に頼らず。
大人に頼らず。
シュプルとの話は平行線だった。更正させようというクリスの押し付けがましい善意も、チームに勧誘しようというシュウ達の目論見も、取り合う様子は無い。
スズ「お前等そんな言い分で本当にソイツが来ると思ってる♪
ソイツにしてみたら、お前等は横からしゃしゃり出てきたお邪魔虫だよ?」
―スズの言い分はもっともだ。シュプルはか細い道とはいえ今は自分の足で歩いている。彼等なりにも自信や誇りになっているのだろう。それを奪ってどう生きろと指し示すのか…
シュウ「あぁ…まったくだな。」
コシロー「今日のところは引き上げますか?(マークをつけて)」
ニコ「……」
解き放たれたシュプルは、駆け出して出口まで一目に走る。最後に一度振り返り敵意のこもった視線を投げ掛ける。そして視界からいなくなった。
ニコ「ねぇ、シュウさん。あの子をチームに加えなくてもいいんじゃないんですか?」
シュウ「…帰ったらバルシュタインに報告してみよう。倒したサイボーグは持っていこう。中に我々が知らない情報が記録されているかもしれない」
コシロー「了解」
クリスは落胆した様子で溜め息をつく。
―警官としては失格だろうな。
スズの言い分はわかる。自分で言いながら、どんどん自分の言葉が無力で、無理を押し付けているとわかる。いっそ自分が面倒を見れたら―
スズ「帰ろうぜ。さっきの奴等(武装サイボーグ)がリベンジに来る前にさ」
クリス「…そうね」
ニコ「シュウさん。スズ誘わないんですか」
シュウ「ああ。今はいいだろう。アイツ等は帰って一杯やる。それでいい。」
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