ガープスサイバーパンク ガーディアン・オブ・アグノシア

《ポリスマン・スズA》

第三次世界大戦において、VIPはモニターの前でその戦果に大いに賑わった。
新型兵器・大量破壊兵器等・生物兵器・etc.etc…
それを見ては拍手喝采を上げるスーツの男の傍ら、スズの姿があった。
ワインを片手に戦果に拍手を上げる男。
スズ「ブラボー!とワインを飲む。ふむ、上物じゃないか―フフフ」


スズはエリート兵士の3世クローンである。大戦当時はその画面を観戦する側のいわばVIPだった。しかし今は…

スズ「ブラボー!!」



―そして目が覚める。
気が付くと散らかった廃屋のような我が家。いつものようにソファーで目を覚ます。

スズ「夢…か?」

戦争には負けた。
同型エリートクローン人間は次々と戦線に投入。そして彼のタイプも戦に命を散らせた。
自分がどうなのかわからない。これはDNAの記憶なのか、それとも実体験か…あやふやながら、いつもその夢で目を覚ます。

スズ「ワインは…?」


あのワインの味わいが、本物であることをスズは祈った。





モーニングコールにしては騒がしい。サイレンと点滅灯/旧式の警報はねぐらに侵入者が訪れたことを知らせる。
不用心な奴なのか、ただの来客か。
スズ「(刀を抜いてドアの前に立つ。近づいてくる足音は聞く)」


スズ「そして→知覚成功。入ってきたところを股間に突きを食らわす…予定」


侵入者は警戒すること無く歩んでいる。足音は一人。ドアのノブに手をかける。 ガチャリ。
スズ「ジャストミート!」


侵入者は思わぬ対応に驚愕の声を上げる。『あ…いて!』
ギィーン
響く金属音。スズの刀に固い手応え。
その目前に立つのは白いボディの全身サイボーグである。『あ、痛くない』とサイボーグは洩らしてはスズを見下ろす。
スズ「(見上げて呆然。口を開ける。そして逃げる。脱兎の如く。)」


白いサイボーグは走り出すスズを呆然と見送った後、我に帰って静止の声をかける。
「待て、君がスズだろう。話があって来たんだ」

スズ「人違いです!人違いです!(―と窓からダイブ!)」



窓を開ける暇無くスズは窓に体を叩きつける。ガラスを砕いて体は表の路上に投げ出される。
スズ(そのまま車に乗り込みエンジンをかける)

シートに体を滑り込ませる。頭は混乱手元は怪しい。
選んだキーのいくつか目でエンジンがかかると、安堵とともに急発進。
その時である。
車に跳ねるような強い衝撃。ボンネットの上に落ちる白い体躯、サイボーグはフロントガラスを叩き割り、手でガラスを掻き出してから首を突っ込む。
サイボーグ「話がしたいだけだ!何で逃げる!?」

スズ「UAAAAA!!(とアクセル)」

突然の急発進。ボンネットの上のサイボーグは慌て後ろを振り替える目前に迫るコンクリートの壁。
そして衝撃―





燃え上がる車を見て、呆然とするスズ。
スズ「はぁ…あの車廃車だな」


啜るコーヒー。唇の痛みに口の中の血の味。
目前にはサイボーグ。正座してすまなそうな顔(正確には仕草)をしている。彼は無傷。
少なくともスズの愛車よりは丈夫にできているらしい。
向き直るサイボーグ。
「すまなかった!スズ。
私はシュウタイホウ、実は君に相談があってきた。」

スズ「ねぇ、本当にスマナイって思って?」

シュウ「思ってるさ」


とここで車が爆発。ホイールが二人の合間をくぐり抜ける。目で追う二人。
そして向き直る。

シュウ「どうだろう?君に取って置きの仕事がある」

スズ「ねぇ本当にスマナイって思ってる?」

シュウ「思ってるさ!」




スズ「No!だ。
何を言われてもNO。説明いらないから」

シュウ「待て、我々はこの都市の危機を救うために結集した極秘機関で―」

スズ「信用できないな。言ってるそばから極秘じゃないし」


コーヒーを投げ捨て早足に歩くスズ。追いかけるシュウ。
シュウ「待て、感情的になるな」


再び車が爆発。部品が散らばる。炎がやけに眩しい。炎を眺めていた二人の視線は再び向き直る。




スズ「(笑顔で答える)。うーん。いい話なんだけどね。やっぱりNOかな?」






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