ガープスサイバーパンク ガーディアン・オブ・アグノシア
《ショッピングセンター:シュウ&ニコ》
ニコ「街中武装サイボーグだらけですよ〜もしかして俺達を探して?」
シュウ「いや、ストリートキッズを探しているようだ。」
ショッピングセンターから出てきたニコは両手に荷物を持ちながら、話しかける。
残念ながらお好みの具材や商品は手に入れられなかった。
ニコ「ふぅショッピングセンターなのに、好きなものが買えないってのも変な感じですね。」
―そう言いながらも目線は周囲に向けられる。
シュウ「あまりキョロキョロするな」
今スラムでは何処に目をやっても武装サイボーグ、ギャングや殺し屋ばかりであった。
それも猟犬のように何かを探している。
シュウ達と視線が合うと、彼等は目を反らし、立ち去る。
ニコ「狙われるかと思いました」
シュウ「我々は“なるだけ相手にしたくない”と考えられているようだな。何より組織の抗争中に関わりたくは無いんだろう」
ニコ「なるほど」
シュウ「それより買ってきたか?」
ニコは両手にもった袋を掲げて見せる。日用品から保存食まで山と買い込んでいるのである。
シュウ「よし」
そう返事をしたシュウとニコが自前のバンに乗り込む。
二人を遠巻きに確認する男達。通りに止めてある車から、もしくは通りの角から覗き見る。
しかし、中々バンが動き出す様子は無い。怪訝な顔の男達。
“できれば事を荒立てたくない”
しかし―そんな考えが判断を鈍らせる。
男達が不審に気が付き、バンに踏み込んだのは数分後だったが、既に二人の姿はそこには無かった。
バンの足元にくり貫いた穴。
そしてその下にあるマンホールがその答えだった。
下水の中、暗がりを走る二人。
シュウ「奴等が素人で良かった。古典的な罠にかかってくれて助かるな。」
ニコ「ですよね〜」
《ストリートキッズ隠れ家》:シュウ・ニコ・コシロー
コシロー「シュウさんここですよ♪」
ニコ「お手柄っすね。コシロー。」
コシロー「俺はいつもお手柄!」
シュウ「シュプル。開けてくれ〜」
シュプルは頭を抱えていた。非常事態にはあの“とっておき”を使わなくてはならない、そう覚悟していたが。
しかし、あまりに早すぎる。唐突過ぎる…。
「…今がそうなのか?」
シュプルは情けない状況に泣きたい心境だった。
隠れ家の前に突如現れた3人組。忘れもしない先日の襲撃に現れた新手達だ。
ニコ「出てきませんね」
シュウ「仕方ないな。天の岩戸作戦だ。ここで楽しそうに騒いで誘い出すか。」
ニコ「シュウさん。何人?」
シュウ「妻が日本人だった」
コシロー「俺ビール買ってくる!」と挙手するなり走り出すコシロー。
3人はあろうことか、騒ぎを起こしたくないその場所で大声を張り上げていた。
居留守を使うべきなのか…
それとも逃げるべきか…
シュプルは混乱していた。
シュウ「あちゃあ。俺口がなかった。ビール飲めないな。」
コシロー「えー。早く言ってよ。シュウさんの分買ってきちゃったよ。」
シュウ「お前らで飲んでよ」
ニコ「いや、キツいっすよ。老酒とかあるじゃないですか」
シュプルはついに悲鳴を上げた。
「なぁ!お前らあっちいけよ!助けてくれなくていいからさ。」
「本当迷惑なんだよ。迷惑!わかる!?来ないで下さい!っていうか来るな」
シュウは宴会を打ちきると、腕を組みおそらく真顔。一方酒が回ったコシローはゲラゲラ笑って話にならない。
コシロー「岩戸作戦成功した〜」
吐瀉物を吐き戻し続けるニコ。
シュウ「なぁ、壁越しに話すのもなんだから、顔を会わせて―」
とシュウは積み上げられたバリケードに手をかける。シュプル絶叫!!
「やめろこのバカ!!今行くからそこにいろ!」
数分後。
仏頂面。完全に機嫌を壊したシュプルがいる。目も合わさない。口も聞かない。
シュウ「シュプル。いきなり押し掛けて迷惑かとおもうが―」
シュプル「本当に迷惑だと思ってる!?」噛み付くシュプル。
シュウ「思ってるさ!!」即答するシュウ。
シュプル「…信用できねぇ」
ニコは思い出したように袋を渡す。食料品がつまった袋である。
しかし、…臭い。
ニコ「みんなでカレーとかどう?」
コシロー「コレ臭くね?」
ニコ「下水で転んでさ…」
コシロー「キター(笑)!『うんこ味の…』」
シュプルは鬼のような形相で睨む。
「…帰ってくれ」
シュウもその形相に押されて黙りこくる。シュプルの立場からは当然の反応だろう。
深いため息。
シュウ「わかった。今日のところは引き上げる。」
シュプル「もう来んな!」
シュウ「…また来る。」
シュプル「話聞けってば!!」
ニコ「これ置いとくから食ってくれ」と買い物袋を置くニコ。
コシロー「臭いけどな」と付け足す。
シュプルは「来んな!」「来んな!」と一同が小さくなるまで言っていた。
シュウ「いい子だな。」
ニコ「ですね」
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