ガープスサイバーパンク ガーディアン・オブ・アグノシア











































《はじめに》

海上にそびえる巨大建造物があった。
この巨大建造物は近年開発された新技術・重力軽減装置によって自重に潰されない設計が可能となり建設された技術の結晶である。

国家間の法に束縛されない実験都市として企業が買収、
最終的には独立した企業国家として建国されたのが、この『アグノシア』である。
アグノシアは巨大企業国家として法に束縛されない企業国家として 、諸国で非合法ともいわれている研究に手を染めていった。
元々法治国家として脆弱なアグノシアは上層部の分裂によりカオスを迎える。
多数の非合法取引、犯罪産業、広がる暗黒街とスラム。
そして相反する企業街の摩天楼。二極化した都市がそこには存在していた。

《ポリスマン・スズ》

猛スピードでターンしたパトカーは押し込むように駐車場に車体を押し込む。
そして後ろのゴミ箱に激突。何度目かの激突を経たゴミ箱は再び中身を撒き散らす。
スズ「(クルマから降りる)」


助手席の相棒クリスが飛び出し、悪態をつく。「ハンドルを握らせるんじゃなかったわ!もう!」

スズ「そういうなよ。これでも大戦では一機何百万$って戦闘機を飛ばしていたんだぜ。俺のクローンがな」


ゴミ箱の中身を集めながらクリスはジト目で見上げる。「撃墜されたんじゃないでしょうね?」

スズ「(ピューピューと口笛を吹く)」


スズの職務は警官である。下町スラムの警官は大忙しだ。
本日の死亡件数はいつもリミットオーバーだし、安月給の警官はシークレットのアルバイトに大忙し。
今日も届けられる苦情届けには目を通されずシュレッダー。
スズ「わぉ!賑やかぁ」


騒がしい受付のやり取りを横目に所長室。今日も相棒クリスは俄然やる気。
スズはどこ吹く風。クリスは署長に詰め寄った。
「見てわからんのかね?私は今忙しい。」

署長、室内ゴルフのパットは好調。
スズ「ナイスイン!署長と拍手」


クリスは署長を椅子に追い詰める。そして意見。
「スラムのギャング達の抗争が激化しているんです。何かしらの対応をしないと死者は今とは桁違いになりますよ!?」

署長は腕を組んでは深く椅子に腰掛ける。「今でもメーターは振り切っとる。」

やる気の無いスズの隣でいつもの光景がコマ送りをする。そして決まっていつもの結末。
クリスは怒り浸透、カンカンになってパトカーに乗り込みスズが後を追う。
「最悪。何なのあの署長!警官が仕事をしないでどうするのよ。」

スズ「あのさぁ。現実を直視しろよ。警察官は死ぬのが仕事じゃないんだぜ。俺ヤダよ? 死んじゃうのも痛いのもさ。」



走る車。彼女の目線がそれる。アパートを飛び出す女のヘルプの声。飛び出す強盗達は女に発砲、路上を血で染める。
スズ「もっと上手くできねぇのかな?」


ふと視線を戻すとクリスはリボルバーの中の弾丸を確認している。
スズ「よせ!よせ!もう手遅れだから、死んでるから」


彼女はちょっとスネたように見える。ふて腐れた横顔。「あなたに助けてなんて言ってないわ。ちょっと行ってくる!」

―そして飛び出す。
スズ「おい!待て!
本当に行っちゃうの?ねぇ考え直そうよ」


彼女の発砲。たちまちおこる銃撃戦。
スズ「(シートを倒して横に)なんてこった…ふぅ」


銃撃戦はどんどんヒートアップ。パトカーを挟んで両者の撃ち合い。
窓ガラスが割れ、弾丸がスズの目前をすり抜ける。
スズ「ふぅ。わき見運転・減点。俺の運転も不味いけどお前の運転もダメでしょ。俺は助けてやんないからね」

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