そして3年の月日が経った――



アルテイ:風と大地とともに、狩猟の日々を生きてきた俺は里を離れ、戦のない平和で豊かな都会で数年を過ごす。そして俺は、都会に染まっていた。「マジだって、俺んち、金持ちなんだよぉ♪」

一同:えええぇぇ!!(笑)



爆笑!



アルテイ:「ホントだって! 冗談じゃないの♪ 俺は部族じゃ若様なのよ♪」と酒場でドンチャン騒ぎの日々だ。

GM:故郷からも仕送りは来ているからね。

アルテイ:「ホントだってさぁ」「まったくアルテイは(笑)アンタみたいなフニャフニャがウルス族の族長の子供のはずないでしょ。もう声かけないでね。じゃ〜ね」「おいちょっ……もう〜ったく」

シルヴァナ:(飲み友達)「おい、アルテイ。また振られたな」

GM:「アルテイ」振り返る君。顔をまん丸に膨らませプリメラお嬢様が酒場に入ってくる。

シルヴァナ:「おおっと」

アルテイ:「お嬢様♪」

GM:コニーが後ろからついてくる。「またっスかぁ?」プリメラは無言でアルテイの横を抜け、酒場の主人に君のツケを支払う。

シルヴァナ:(酒場の主人)「やぁ……毎度」

GM:震えているお嬢様。「もぅ……これで最後にしてください」

一同:おおお!


アルテイ:これが俺の『悪徳』か! ヒドイ。予想以上にヒドイ(笑)

GM:当然だけど、君の酒場の飲み代のツケをあのウイリアムが支払うはずがない。仕送りを使い果たした君をいつも助けているのは、プリメラで、彼女は自分のお小遣いで支払っている。

シルヴァナ:つらい!

アルテイ:「スイマセン!」

GM:彼女のポジティブ感情は憧れだったんだろうけど、今は間違いなくネガテイブ感情・嫌気……いや、もうじき憤懣か?

爆笑!



アルテイ:「聞いてくださいよ〜お嬢様」

シルヴァナ:と酒で出来上がった赤い顔で。

アルテイ:「誰も俺をウルスの若様だって信じてくれないんですよ〜」

GM:「実は、嘘なんでしょ?」とコニーが呆れ顔で口を挟む。

アルテイ:「嘘じゃねぇって!」

GM:「嘘っスよ!」

アルテイ:「仕方ねぇんだよ。俺のせいじゃない。風ってのは柵で囲まれると淀んじまうもんなんだ」

GM:プリメラはしゅんとする。「……じゃあプリメラのせいですか」

爆笑!



アルテイ:「いやいや。プリメラお嬢様のせいじゃありませんて。ホンット! マジで!!(笑)」

GM:コニーも相槌を打つ。「そうっスよ。本当の悪人は放っておいても悪に染まるんス」

シルヴァナ:ダメじゃん

アルテイ:「コニーてめぇ!」



GM:「アルテイには失望したっスよ」

アルテイ:「てめぇ。俺も親父達みてぇに、相変わらず狩りの生活を続けていろっていうのかよ。ここには獲物もいなけりゃ自然もない。森だってない!」

GM:「誰だって上手くいかないことの一つぐらいあるんスよ!! 自分が腐ってるのを誰かのせいにして生きていくんスか?!」

アルテイ:「てめ! 上から目線で言いやがって!」

GM:プリメラは話でも聞きたくないのか、その場を駈けて後にする。

アルテイ:追いかけていくのがヒーローなんだけど、ここでの俺はまだヒーローじゃないぜ。俺も店を後にして……「親父ぃ〜つけといてくれよぅ〜」

爆笑!



シルヴァナ:ダメダメじゃん!

アルテイ:そうか支払いは済んでいるんだったっけ。俺は風習が違いすぎて街の人々と上手くいかない。「畜生!」と店のドアを蹴り上げ、キィキィキィとドアが揺れる。

GM:酒場の主人は「……困った人だな」と呟く。

アルテイ:俺はこの街に来て嫌というほどわかった。風とともに生きる。結構なことだ。でも俺にできるのは暴れ馬に跨ったお嬢様を助けるぐらいだ。今のウルスの生き方じゃ。この時代に取り残されちまう。


GM:さてそんな夜。執事からの知らせ。ウイリアムからの呼び出しがある。今しがた迄やっていた執務室での仕事を区切られ振り返る。「酒臭いな。またか?」

アルテイ:「へへへ。いや……その……面目ない」

GM:ウイリアムの表情はいつになく重苦しい。机に置かれた手紙からは何か重大事が書いてあるらしかった。「気になる手紙が届いた」

アルテイ:「もしかして親父からの説教ですかぁ? だったら侯爵様の手を煩わせることもないです」

GM:まぁ手紙をいつもくれているのは姉なんだけどね。仕送りも送ってくれている。

アルテイ:貧しい部族なのに、そうまでして仕送りを送ってくる親父。仕送り一つに苦労する親父のやり方、部族の生き方が嫌いで。「俺の意見なんて聞きやしない。少しはインダストリアを見習って……」

GM:その手紙は、君の土地が滅ぼされたという手紙だった。

アルテイ:親父からの手紙じゃなかったのか。「なんだこれは……」

GM:「君の故国は2年前にバストラールが侵攻・滅亡したというのだ。君の話とは随分と違うな……」

アルテイ:「そんなバカな。親父からはいまでも仕送りが届いているんだ! どういうことですか。ウイリアム侯爵!?」

GM:「ここからは君の領土については遠く、この戦の情報はすぐにはこちらに入ってこなかった」

アルテイ:「じゃ! 俺は一体誰と手紙をやり取りしていたんだ!?」姉だと思っていたのに。手紙を机にバンと置いて、すぐに部屋を出る。

GM:「待ちたまえ」

アルテイ:「止めないでください」



GM:「私も詳しい情報を確認したい。君を送り出すことには変わりないが、一人では心もとない」

アルテイ:「そうでしょうね。侯爵様から見れば俺は……」

GM:「――猪突猛進・考えなしの若者だ」

アルテイ:「ですよね(苦笑)」

GM:「コニーが行ってくれるそうだ」コニーは入り口で腕を組んでいる。

アルテイ:「お断りだ。お前はプリメラお嬢様についていてやれよ」

GM:「彼には君の土地の開拓をしてもらうつもりだ」

アルテイ:「開拓?」

GM:「バストラールが支配したとして、その土地は未だ少ない。その未開拓の土地には未だ領有権定まらない空白地がある。ウルス族がまだ生きていたとして、彼らが行き場所に困っていたとしても、土地を切り開き新たな土地を得れば、波風の立たぬ救いになるかもしれない」

一同:おおお!



アルテイ:「俺はこんなこと考えてもみなかった。侯爵様…あなたは……!」

GM:「怒りに駆られて早計を打てば……争いになるだけだ。あらかじめ他の選択肢があることを伝えておく。お前は何をしでかすかわからんからな。コニーはお前に仕えることを決めてくれた」

アルテイ:「コニーお前……」

GM:コニーはそ知らぬ顔。侯爵は少し微笑んだ後、表情を引き締め「しかし、この考えが部族の民の望むところになるものかわからない。最後は部族の問題だ」

アルテイ:ここまで聞いて俺はうつむき加減に「侯爵様。俺はこのインダストリアに来てから、正直故郷が嫌いになりました。いつまでも同じ事を繰り返すちっぽけな国です。二言目には風の声が。あんな故郷なくなっちまってもいいって思っていたんです。そんな俺にコニーを預けてもいいんですか」

GM:「私の意志ではない。コニーの意志だ。自分から言い出したことは、止められないだろう?」ようやく口を開くコニー。
「俺たちみたいな平民が、何かをするためには何処かで危ない橋を渡らなきゃならないスすよ。それに命をかけないと友達にはなれないっていうのがウチ等一家の家訓でね。第一アルテイは誰かが叱ってやらなきゃいけないっスからね」


アルテイ:「わーかったよ! 俺の負けだ。お前の気の済むまでついてこい。でもお前は一言多いんだよ!(笑)」とそしてここで俺は伯爵に一礼して背を向ける。出て行くまでにプリメラにも会いたいなぁ……。

GM:「お嬢様泣くっスよ」と見透かしたように後ろでポツリ。

アルテイ:「ああ、だよな。……じゃしょうがないか。こっそりいくか。お前の知り合いの従者仲間に、これを渡しておいてくれ」とウルス族の普段身に着けているお守りの首飾りを外して手渡す。「少なくとも、酔っ払いよりお守りのほうがマシなはずさ」


GM:そして君は故郷に戻るべくインダストリアを後にした。

シルヴァナ:当然のように馬は酒場の方に足を進める。

爆笑!



アルテイ:「おい。お前、そっちじゃない」(爆笑)



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