賓客のアグニ




GM:奪還不可能と言われた王子を無事救出したことで、フォレスティ家は窮地を脱する。枢機卿も交渉失敗した上とあってはこれはお手柄。相手はあのランカスター伯爵だからね。大手柄だ。

フィンチ:本当に帰ってきて良かった♪

ジィク:でも騎士としての面目は失ったかもな。

GM:戦では勝っているけどね。


ジィク:少なくとも枢機卿に対しては大きく出られるのかもな。

GM:アグニは客の待遇で招待される。なんせ、君に対しては多大な協力をしている。「お客様かい?」と父も上機嫌だ。

シルヴァナ:「うーん。そうなんだが……」


GM:ガルデンはアグニと名乗り、今ではこの館の別邸に客人として間借りしている。勿論恩人にエドガーも好意的だ。

ジィク:まぁ、だろうね。

GM:「女王陛下にお目通りがしたい」彼の希望を聞いたとき、エドガーは「やっぱりな」と笑顔を見せる。「仕官の口なんじゃないかと思っていた」と笑うエドガー。

シルヴァナ:「ううう……」

GM:「女王は名君だ。癖のある方だが、我々の心のひだまで感じ取ってくださる」

シルヴァナ:嘘ではない……(ガルデンの事を悩みこんでいる。)


GM:食事時の光景だ。牛肉のビール煮なんかが出される。伝統的な料理が並ぶ晩餐。エドガーが昔話をする。「昔、私は女王が宰相と話をしているのを聞いたが、その話題は王道とは何かだった」

シルヴァナ:「え(笑)女王陛下は何とお答えに?」面白そうな話題だ。

GM:乗り気のエドガー。「宰相は国を富ませ、磐石にし、民を安んじる道こそ王道と説いていた」

シルヴァナ:ふむふむ。宰相らしい明晰な答えだ。

GM:「しかし女王は、それは私の道ではない。と仰られた」

シルヴァナ:さすが我等が女王、飛ばしてるな。

GM:「女王は、『私はただそこにいたにすぎない。人が集まり国をなし、勝手に繁栄した。私は国を豊かにしたわけでもないし、法を敷いたわけでもない。人々が勝手に働き、宰相が国に法を引いた。誰に手柄があるかといえば各々の手柄だろう。
しいて言えば私は木のようなもので、ただ其処にいたにすぎない。それでいいと思っている』そう仰られた」
一同:おお!

ジィク:こりゃ……心酔するわ。

GM:エドガーは感心したように何度も頷く。「女王は何もかも下々にお任せくださる。過ちもある。我々は天才ではないのだから。だが、女王はそれら全てを背負ってくださる。その上で任せてくださる。私は、そんな女王にご恩返しがしたくて騎士をしているのだ」

シルヴァナ:ああ、その気持ちはわかる。私達騎士全てに通じる気持ちだよ。


GM:「君は戦の経験があるのかな」とエドガーが客人ガルデン…ここではアグニと名乗っているが、彼に尋ねる。「はい。何度か戦は経験しています」

ジィク:そうか直接面識ないんだ。切り込んだのは俺だから。

GM:「そうだろう。そうだと思ったよ」アグニも答える「そんなところです」そして本題だ。エドガーはニヤリ。「やはり騎士になりたいのかな」

シルヴァナ:ん?

GM:「いや、戦争はもう懲り懲りです」

シルヴァナ:え……

GM:アグニは目線を落として話す。「戦争で家族を失いました。友人も戦友もです。できれば少しゆっくり腰を下ろしたい」

ジィク:あの時から変わっているのかもな……

GM:エドガー「ではこの国で何をやるつもりかね」アグニは暫く黙る。「許されるなら本を書きたいと考えています。自分が見聞きしたことを後世残しておきたいと思いまして」

シルヴァナ:意外だな。

GM:エドガー「そうか、それは残念だ。……」と落ち込む。一方母親は機嫌を良くしていた。「いい人じゃないの。戦争屋には絶対娘をやれないと思っていたのよ」

ジィク:なんか縁談みたいになってる。


GM:エドガーの話は盛り上がり、近年のウルスの話になる。

シルヴァナ:「わわわ。父上よしましょう」私はハラハラしてしまう。ガルデンはどうなんだろう怒っていないのかな?

GM:ガルデンは表面上は和やかだ。

シルヴァナ:よく黙って聞いているものだな。私は青い顔をしてしまうよ。止めた方がいいんだろうけど、割と本気で聞いているし。

GM:何も知らないエドガーは、調子に乗って色々当時の話をする。

シルヴァナ:「実際あの時は大変だった」これは本当のことだよ。

GM:相手の将軍が名将だと褒め称え、「私に斬りかかってきた男は真の勇者だ」

ジィク:……あ、俺か。覚えていてくれているんだ。

GM:フランクが笑う。「父さんが帰ってきた時は、相手を散々に言っていたよ。野蛮人だとか、卑怯だとか」

爆笑!




GM:アグニ「時の流れは嫌な思い出を忘れさせてくれるからな。ではいい思い出の部分を伺いましょう」どっと笑う家族。そんな晩餐を終え、別邸に彼を案内するシルヴァナだ。

シルヴァナ:「お前が何を考えているか、いつも計りかねる」とランタンを手に案内する。「黙って聞いているとは思わなかった。不愉快な思いにさせたかな……ゴメン」

GM:「いや、そんなことはない。言っただろう?」

シルヴァナ:「ん?」

GM:「時の流れは嫌なことを忘れさせてくれる」別邸までは表に出て渡り廊下を進んで渡る。「賑やかな両親だな。だが振り回されるのが目に浮かぶな」

シルヴァナ:「私もあの時の体験を色々語るべきなのだろうが……それはいい話にはならないよな」部屋まで案内し「なぁ……本を書きたいといったのは本当か? それともあの場でついた、その場しのぎ嘘なのか?」

GM:彼は……やはり何も答えない。ランタンを受け取り、背を向けて室内に入っていく。どこか寂しそうな背中だった。


シルヴァナ:「………ガルデン……」お前のキズも、時が解決してくれるのか、どれぐらいの時が必要なんだ。




次へ

リプレイへ

トップページ

Copyright(C)ゴスペラードTRPG研究班 (c) 2017.