サイドB 【奴隷市場】

シーンPC 駕籠の鳥王子フィンチ
女騎士シルヴァナ  
部族の英雄ジィク  





GM:さてフィンチ王子のバストラール帰路となる。あれから出直してきたシルヴァナとここではアグニと名乗る商人のキャラバンで帰ることになる。

フィンチ:アグニもいるんだ。

GM:無口な男だった。君が話しかけてもあんまり話題にはならない。

シルヴァナ:ああ、そうなんだよ。ガルデンは……いやアグニはそういう男だ。ちっともわからない。私は何を考えているのか、ずっと悩みこんでいるよ。

GM:キャラバンは部族の村から訪れて合流という感じだ。何を商品にしているかわからないが大きな馬車が用意されている。

シルヴァナ:「お前は本当に色々なことをやっているんだな。部族の者なのに言葉もわかるし情報通だ。商人として交易までしているとはな」

GM:「ああ」アグニは天幕の一つに案内する。「ここを使ってくれ」室内には少ないながらも調度品がおかれていた。ランタンの上で熱に揺られてカザリが回っている。何もかも少し変わったものばかりだった。

フィンチ:爛々と見ている。商人て何をやるものなの。「ねぇ! あなたの仕事はなんなんですか!」

GM:「……商人だ」

フィンチ:「色々見せてもらってもいいですか!」と覗いちゃう。

GM:顔のついた木の棒のような道具もある。「それは雨を知る道具だ」

フィンチ:「へぇー」

GM:ついている糸が引っ張られると笑い、降りると泣くという作りだ。
アグニはフィンチの髪に触れ、「知ってるか、濡れると髪の毛は長くなる。湿気に反応するんだ」

フィンチ:「面白い!」振り返ってパァッて笑顔。

GM:「子供の頃、馬の尾の毛の長さが天気で変わることに気がついてな、これを作ったのだ。置く場所にもよるが雨を知ることができる」

フィンチ:「それをバストラールに売り込むんですか!」

GM:「……ああ、それも、悪くないのかもな」

シルヴァナ:「雨を知る? え、え?」


GM:都までの間、旅は続く。毎日たたんで組み立てるという宿舎はそれはそれで面白いものだった。アグニの宿舎は立派なもので、色々箱には地図や本が入っていた。アグニは本を書いていた。「興味があるなら見せてやろう……」

フィンチ:「これは!」

GM:タタールやウルス族の風習が書いてある。その他歴史や知識が書いてある。「……2年前から書いているのだ」

シルヴァナ:「え……2年前」あの戦争の……

フィンチ:この人は、アグニはウルス族の人なの?

GM:ウルス族とは随分違うように感じられる。間違いなく異国の人でどこかの辺境の民なんだろうけどね。

フィンチ:洗練されている。というか文化的。

GM:「見聞きしたことを書き残しておこうと思ってな」辺境の部族の生活習慣について書いてあった。変わった文面もある。

シルヴァナ:私は……








GM:キャラバンが何も無い荒野に止まる。どうやらここで何か市が開かれるらしく、彼らはあわただしく準備に入る。キャラバンには随分と人がいたが、彼らは皆檻に入ってしまった。アグニは彼らの伸ばした手にそれぞれ触れていき。無言でうなずく。覆いがかけられた。

シルヴァナ:「ん?」

GM:もしかして、奴隷商人なんじゃ。

シルヴァナ:「どういうつもりだ」

GM:次第に他にもキャラバンが集まる。市が開かれるのだ。

フィンチ:「あれは?」

GM:「王子、知ると辛いこともあるぞ」とアグニは――

フィンチ:「でも……」

GM:「あれは奴隷だ」と一緒に旅をしてきた人々を指差すアグニ。

フィンチ:「………」(何か言いたげ)「なんで同じ部族の人を奴隷に出すの。仲間だと思っていたのに!」

GM:「あいつらは、あいつらで戦っている」そういったアグニの表情は、彼自身もどこか悔恨と諦念を滲ませる。

フィンチ:「戦っている……か」また僕の知らない人達なんだな。


GM:ここに来る客は顔を隠す仮面をしている。勿論それは違法ではないので顔を隠す必要は無い。だが、こういう世間に知られたくない趣味を持つ権力者は、やはり顔を隠すのだ。

フィンチ:僕も何か被らないと、そうだ兄様に貰った羽飾りを被ろう!

GM:部族の人が「ポポロッカ〜」なんとかとか言って君をどなりつけている。

フィンチ:「ごめんなさい〜わかんないです〜」って走っていく。

爆笑!




シルヴァナ:「こんなところで行われていたとは……」町の市や、どこかの建物ではないのだな。

GM:そしてこの中にジィクとハバリクの姿もあった。

ジィク:「奴隷市かよ。ここには枢機卿はいるのか?」

GM:「いや、居ません。只の元締めです。この場を仕切っている人物で同時に大口の買い手です」とハバリクは説明する。では情報収集目標12。

ジィク:(コロコロ)10だった。ダメだろ! 俺は全然わからない。「ハバリク頼む」

GM:「ふふ……わかっていますよ。君もくれぐれもことを荒立てないでくださいね」

ジィク:「ああ」しかし、俺は驚きだな。タタールは略奪の部族だったはずだ。それが物を売り買いできるようになっているとはな。俺がタタールを知らなかっただけなのか……それともタタールも変化を求められているのか。俺はプライド的には不愉快なはずなんだ。


GM:「辺境では、さしたる産業もない、搾取する側もそこにある価値を見出せなければ、巻き上げられるのは命ぐらいだろう。彼らは歴史から消える部族だ」

フィンチ:「価値を……見出す?」

GM:「王子。この者たちは可哀想な人々などではない。気を抜くと殺されるぞ?」アグニはそういって歩き去る。

フィンチ:「え」

シルヴァナ:私も情報収集しよう。(コロコロ)12成功だ。

GM:アグニ。ガルデンはどうやら枢機卿の御贔屓の商人らしく既に信頼を勝ち得ている。多くのタタールの人々を枢機卿に売り渡している。

シルヴァナ:「私がお前に捕まったのは枢機卿の意図があったのか?」とガルデンの背中を追いかける。

GM:「それは関係が無い。俺がお前を見つけたのは偶然だ」さてジィクだ。一人の男が目に入る。覆面をしていてもその男の目には見覚えがある。タタール族とのバストラール戦で顔を合わせたことのある男。あれはガルデンではないか。枢機卿の使いのトンガリ髭の執事と取引をしている。

ジィク:あいつ、タタールの族長じゃないか!?

GM:男はこちらと目が会うと逃げるように、背を向ける。

ジィク:知ってる顔が居るのはマズイということなのか。あいつ枢機卿の使いと取引しているのか。

シルヴァナ:「見損なったぞ! 自分の一族を売るとは!?」

フィンチ:お、シルヴァナ。

ジィク:出ようかと思ったが、話が済むまで待っているか。俺は今はお役目がある。ことを荒立てるつもりはない。

GM:ガルデンはシルヴァナの口を押さえる。

シルヴァナ:「むぐ!」

GM:「どうしました?」と客が尋ねるのを「何でもありません」と受け流すやり取りが行われる。そして取引が終わっていく。

フィンチ:ここの奴隷の人達はアグニと同じように、部族の人が売りにきたの?

GM:違うかも。そしてアグニの奴隷だけがはじめから従順なんだ。価格が違う。

フィンチ:ん?

GM:普通は落胆したり、反発したりするものなんだが。

ジィク:ガルデンは多分考えがあってやっているんだ。だからみんな納得できるんだ。俺もガルデンと一緒に戦ってそれがわかった。こいつらは必ず何かする。だから今は争う時じゃないんだ。タタールは死ぬまで戦い続けられる部族だ。決して勝負を捨てない。







GM:市から商人の引き上げが始まっていく。ジィクとハバリクだ。「枢機卿は私兵となる部族の戦士を随分と買い込んで行きました。あれだけ奴隷を運用しているとは思いませんでした、後を――」

ジィク:「俺は……」

GM:「わかりました。あまり熱くならないでね」と微笑んでここでハバリクとは一時別行動。

ジィク:俺はガルデンに会いにいこう「久方ぶりだな」

GM:「貴様。生きていたのか。ふ、よくもまぁ、どのつら下げて……」

ジィク:「無様にも生き残った……だがお前も部族の誇りを売ったようだな!」俺は事情は知らないからな。

GM:「ふん、俺の生き方をとやかく言えるのか? 部族の英雄がどうした。名が泣くぞ」

ジィク:言えないなぁ……。

シルヴァナ:「あーお前はウルスの戦士!」

ジィク:「誰だっけ?」

爆笑!




ジィク:親父の方はわかっている。相手の指揮官で、俺の中ではいい勝負だった。でも一緒にいた奴までは覚えていない。

フィンチ:僕はジィクを知っているの?

ジィク:俺は奴隷だからな。知らないだろうな。

シルヴァナ:私が説明するよ。「彼はウルスの英雄といわれた男です」

フィンチ:「あっ歴史の本で読んだ!」

ジィク:2年前だぞ。もう本になったのか?

GM:あの戦いは勝敗こそ見えていたものの、稀に見る激戦だった。読み物としても人気があるし、騎士たちもその話題に花を咲かせている。

フィンチ:「お目にかかれて光栄です!」

ジィク:「今は只の負け犬――」

フィンチ:「腕太―い! 腕太―い!」とぶら下がる。

ジィク:邪気の無い王子だなぁ(笑)

GM:そうしてついに王子は家に帰ってくる。久しぶりの町並みは何も変わらずそれでいて新鮮だった。宰相の出迎えは「バカモノー!」という怒鳴り声だったけどね。

フィンチ:うわぁー!? ゴメンなさい。

GM:騎士達は、ようやく安堵、胸をなでおろし、どうやら皆心配したようだ。兄ガレスも心配してくれていた。

フィンチ:「ゴメンなさい」

GM:母カルディアは「おかえり」と一言だけ。

フィンチ:うーん。


シルヴァナ:そして一方。私は鬱々としている。枢機卿のもとにいかなくてはいけない。この先どうなってしまうんだろう。

GM:ガルデンが木箱を差し出す。「ほら」

シルヴァナ:「え」

GM:「金貨だ。返してこい」

シルヴァナ:「いいのか」

GM:「お前が死んだら、誰が俺を女王に紹介する」

シルヴァナ:ああ、そうか……あれ……この金………。


ジィク:俺もハバリクに合流しよう。

GM:そうだね。枢機卿のことを調べにいったハバリクと合流する。

ジィク:「何かわかったか?」

GM:「どうやら枢機卿は奴隷売買だけでは飽き足らず、より行動的に戦争の発端となる兵力を集め始めたみたいです」

ジィク:奴隷を兵士にするつもりなのか。そして戦争を起こして奴隷を集める。まさに死の商人だな。

GM:国を利用するという考えから次第に宗教を用いた侵略者になっていくでしょう。

ジィク:何かしでかす前に、止めなきゃならないんだが……。ガルデンは何か企んでいるのか。俺はガルデンを見張るべきか、枢機卿を見張るべきか……。






次へ

リプレイへ

トップページ

Copyright(C)ゴスペラードTRPG研究班 (c) 2017.