サイドB 【我らが姫君〜新たな仲間〜】


シーンPC 部族の英雄ジィク




GM:ヒルダガルデの顔に容赦なく拳がぶち当たる。腹を蹴り上げ、その体が宙に舞う。周りの大人たちは狼狽する。

ジィク:はい?

GM:投降した当時、ジィクは荒れていた。

ジィク:荒れているどこじゃねぇ!?

爆笑!




ジィク:えぇこれが俺かぁ!? 誰かと思ったぞ! リアルに! あれだけの負け方をしてこれかぁ!

GM:姫は立ち上がるまっすぐ走ってきて頭をぶつけ、後ろ手にもった棍棒で殴りつける。これが決着となった。

ジィク:「がは!」

GM:「はぁはぁ……悪く思うなよ。私はまだ12才。丸腰では大の大人に勝てないんだから」そういって尻餅をつく。

ジィク:俺は……一体何やってんだよ!! 12の子供に(苦笑)。

GM:毎日のように荒れていた。毎日のように喧嘩した。

シルヴァナ:喧嘩って言うか(笑)


GM:ジィクにしてみれば生きていることすら苦痛だった。

ジィク:ああ……元々俺には奴隷生活とか、ここで生きていくというような発想は無かったからな。

GM:そして、ヒルダはいけしゃあしゃあと持論を述べるようなことはしなかった。頭も下げない。だから喧嘩になった。

ジィク:普通俺は死刑でしょう(笑)

シルヴァナ:そりゃ周りはそう言う。

GM:怪我をしたジィクに傷薬の軟膏が手渡される。手渡すのは彼女のお供の一人だ。見れば異国の容貌をしている。

ジィク:俺は……素直に受け取っていいんだろうか。

GM:「私もだよ」

ジィク:「?」

GM:「私も敗戦国の奴隷だ」男は横に腰掛ける。

ジィク:ああそうなのか。俺とも言葉が通じるんだ。俺と同じ部族の奴なのか。

GM:見たところ違うようだ。褐色だがどこか白人系の感じの端正な顔だ。「私はアナタみたいにカッコよく捕まったわけじゃないですけどね。捕まって降伏したクチです」

ジィク:「降伏か……」あれを降伏って言うのか?

GM:「私は10歳の女の子を殴った男だよ」と鼻の頭をかく。

ジィク:「姫はさらに若い頃から戦にでていたのかぁ!?」いや、おかしいだろ!?

爆笑!





GM:「世界は不条理だ。食事に困る人々がいる隣で、食べ残しが捨てられる。理由がなくても搾取され殺される。強くても力を発揮できず、能力が無くても支配する。ここの兵士となった今でもバストラールは好きになれない」

ジィク:「そりゃ、そうだ」俺も憎々しげに唇を噛む。誰も満足しないさ。こんな境遇。


GM:「でも、彼女のとなりにいる時は、身分の違いも、人種も地位も、全部許せる。私達は同じように苦しんで同じように悲しんで、同じように喜ぶ……それが平等ってもんじゃないですか?」

ジィク:「あんた……」

GM:「私は彼女にそんな平等を見たんだよ。よろしく。君の副官をするハバリクです」

ジィク:「え、俺は取り立てられるのか? 俺は……」目を丸くする。「奴隷の俺が部隊を持つのか?」


GM:そして2年が経過する。ヒルダの周りの男達のことがある日わかった。自分と同じ、敗戦した国々の戦士だ。

ジィク:みんなそうなんだ。光栄なんだが……でも何でこんなことになったんだろうな……本当なら死んでるはずだったのに。

GM:彼女は同じ宿舎で生活していた。同じ麻の衣服を着て、井戸の水で体を荒い、そうすることで同じ気持ちを感じたいと思っていたようだが。大人には分かっていた。そんなものは子供の幻想で、そう望んだ生き方ができるというだけで贅沢だと言う事が。

ジィク:ああ…でも……

GM:彼らはそんな彼女を許していた。それは彼らが大人だったからだろう。



GM:ある日の晩、宿舎では気になる話を耳にした。「枢機卿が?」ヒルダの瞳に真剣さがともる。といっても彼女は始終真面目なのだが。

ジィク:枢機卿? 俺には聞き慣れない言葉だが。

GM:ハバリクは続ける。「ええ、信じがたいことですが、奴隷の売買……買取客として買い込んでいるようです」

ジィク:バストラールでは禁止じゃないよな?

GM:それでも聖職者がそのようなことに手を染めていたというのは、驚嘆の出来事であり、同時におぞましいことでもあった。

ジィク:まぁ、自分の部族が売り買いされているんだからいい気はしないが。

GM:「どうやらウルスの戦の引き金を引いているのはこの男だったようです」

ジィク:「どういうことだ?」

GM:「奴隷の循環のために定期的な戦争を起こしているんですよ」つまり宗教の名を語たった奴隷商人ということだ。

ジィク:「つまりここに今俺がいるのは枢機卿のせいなのか」

GM:筋骨隆々としたヒゲ面の白人男性ゴダが口を挟む。「でもどうしろって言うンだぁ? 法律違反にもならねぇ。まっとうなビジネスじゃねぇか。んー?」

ジィク:ビジネスって……そりゃあな。


GM:ハバリク「ここからは私の意見ですが、枢機卿が奴隷を国外にも流していれば、国外からは糾弾されると思うんだよ。つまり、ルートがわかれば、枢機卿の地位は脅かせると思う」

ジィク:なるほどね。国外では禁止だろうからな。

GM:ヒルダから振られる。「その手でいこう。この件はジィクとハバリクに任せよう」

ジィク:「わかった……」俺は立ち上がる。

GM:その背を追うハバリク「調査には資金が必要ですよ」。ヒルダは答える「なんとかする。明細もいらない。好きにやってちょうだい」一瞬ウンザリとした表情を浮かべる。彼女がおねだりする時、お姫様に戻らなくてはならないからだ。





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