サイドA 【渡る風〜海賊伯〜】


シーンPC 若き族長・アルテイ/女騎士シルヴァナ





GM:アルテイはガルデンとともにランカスター領へと向かう。

領土は少ないながらも海に面しているこの土地は、貴重な交易場でもあった。海洋貿易国家を目指し邁進するランカスター領は、ほとんど海賊の溜まり場、無法地帯と変わりないといっても可笑しくない私掠船や武装商船団に巣であったが、このランカスターはそこに一定のルールを作っていた。


アルテイ:「民の安寧を考えていないな」

GM:そしてその館も海上に浮かぶ船の上にある。「伯爵。近衛騎士シルヴァナがお見えになりました」

シルヴァナ:「ランカスター伯爵にお目通り願いたい」


GM:その人物は、見たことも無い赤い鳥を腕にのせ、エサを与えていた。女だ。黒髪のつややかな美しい女。

アルテイ:おおお! 女?! 女の人だったのかよ!

GM:服装はさながら海賊の船長を思わせる。帽子には羽飾り、まとったコートの黒のきらびやかであり、胸元は大きく開かれている。ヘルメス・ランカスター伯爵である。

アルテイ:フック船長みたいな人を想像していたよ! 女性だよ。


GM:「ようこそ遠路はるばるおいで頂きご苦労様」と両手を広げる。「しかし、無駄手間になってしまうかもしれないわよ。本来我々は取引に応じるつもりはないのだから」

シルヴァナ:そんなことを言っていたな。

アルテイ:従者だと思っていた褐色の男が前に進み出ていうわけだ。「そんなことはない。あんたはこの会談を幸運と思うはずだ」ちゃんとインダストリアの挨拶をする。「突然押しかけてしまって大変申し訳ありません。ランカスター伯爵。ウルス族の族長アルテイ・ウルスです」

シルヴァナ:「色々事情がありまして……(苦笑)」

アルテイ:「まずはご挨拶としてこちらをどうぞ」と5000金貨を差し出す。

シルヴァナ:「わぁあー!?(泣)」

GM:「ふむぅ、人質? 用意できたというのかしら、金貨100万」

シルヴァナ:話が違うぞ!

GM:「おかしいわね。そもそも交渉は成立してなどいないのに、あなたが見えること自体がおかしいじゃない」

シルヴァナ:「女狐めー!」

GM:「ことの仲裁を失敗した枢機卿が真相を伝えなかったのかしら」

アルテイ:ああ、読めた枢機卿は知っていて金を貸したんだ。 シルヴァナ:やられたーくそっ!

GM:「とにかく、そういうことだから諦めて頂戴」とランカスター伯爵てへぺろ。


アルテイ:「ランカスター伯爵。私は人質を取り返しにきたわけではありませんが、ここであなたから譲歩を引き出したいと思います」

GM:「へぇ♪」

アルテイ:「これから出す話を聞いてくだされば、その対価がどのようなものか分かるはずです。ウルス族・タタールを束ね、インダストリアを加えれば強大な軍事同盟ができます。勇猛果敢なウルス族。ランカスター伯には兵と海軍があり、そしてインダストリアには富と名声があります。これを合わせればバストラールの脅威を退けられるとは思いませんか?」

GM:「なるほどね。でもあなたとは分析が異なるわね。この兵力を全て集めても軍事国家バストラールは倒せないわ」

シルヴァナ:「あ、私もそう思うんだけど……(ポツリ)」


アルテイ:「ウルス族は戦える」

GM:「知っているわ。確かに善戦したわ。しかし減りすぎた。今では戦の体を作れないわ。交渉するのなら、最低でも勝算を持ってこないと話しにならないわ」手を払うようなNOのサインだ。


アルテイ:「なるほど、ランカスター伯はご明察だ!! しかし、あなたは一つ大きな勘違いをしている。確かに私達はあなたに話を持ちかけました。しかし、もしそれを断ればインダストリアもウルスもタタールもあなたの敵となるかもしれないんですよ?」

GM:「ふふ♪ 私を脅迫つもりなのかしら?」

アルテイ:「……よく……覚えておいてください」ギラ!

GM:「でも怖くないのよね。あなた達は最後の残り火なのだから」

アルテイ:「追い詰められた。部族は何をするかわかりませんよ」といって、そうだな、室内のグラスを手にとって。

シルヴァナ:「おおぃ!ここでやる気か。人質がいるんだぁ〜」

アルテイ:「あんたの目の前にいるのは勇猛果敢なウルス族だぞ。よく考えるんだな」そのグラスを握り……「何をするか……わかりませんよ?」 シルヴァナ:「わ・わ・わ…(焦)」





GM:ヘルメス。表情の上ではあまり変わっていないようだけど。ガルデンは近づいて彼女に何か耳打ちをする。とたんに表情が変わる。
「本当にできるの…?いや、出来たとして…あなたは破滅するわよ?」

シルヴァナ:あれ、何をしゃっべっているのだろう。

アルテイ:後で聞いてみようか。

GM:「それなら、同盟の話を受けてあげてもいいわ。王子を引き渡すという手柄をあげなくてはならないのでしょうから」

シルヴァナ:「なにぃ?!」

アルテイ:「ガルデン。何を喋ったんだ? 魔法でも使ったのか?」


GM:「ふ……さしずめそうだな。魔法を使ったんだよ」とガルデン。彼も表情は明るくない。決意にも似た重々しさがある。
ヘルメスは腕を組んで椅子に腰を下ろす。「少なくとも、バストラールに勝算はないうちは同盟は空手形。私ものらないわ。でも、勝算があるのなら、手を組んでもいい。そういう話よ」

シルヴァナ:「何?」

アルテイ:「勝算を話したのか? 想像もつかない。何を言ったのだろう」まったくわからない。ろくでもないことだけは確かだろう(笑)。

シルヴァナ:「勝算がある……?」


GM:ヘルメスは「王子と一緒にいた男の子。これもお返しするわ。これをして友情が買えるのなら、妥当な額だと思うのだけど」

アルテイ:「まぁいいや。上手く行き過ぎて気持ち悪いけど、それで手を打つよ」ランカスターの軍勢は必要だからな。

GM:そして連れて来られる男の子。フランクだ。

シルヴァナ:「フランク!」

GM:「お姉ちゃん〜」と泣きつき、抱き合う二人。「王子はシルヴァナ一行と国に帰るように準備をさせておくわ」



GM:ヘルメスはグラスにワインをすすめ、ようやく人心地がつく。「王子が死んでくれたほうが溜飲が下がるのかと思っていたわ?」

アルテイ:「俺は別に王子には恨みは……」ああ、でも、そういえばそうだな……ガルデンは何を思って……? うーん。わからないな。


GM:もしかしたら、ウルス族には無い発想なのかもしれないね。今までの会話や雰囲気から察するに。

アルテイ:「???」ま、いっや。


GM:「そろそろ、時が来たようだな……」

アルテイ:「決闘?」

GM:「ああ」

アルテイ:おおぉぉぉ!?「お前一体……」

GM:「部族に戻ったら。そこで部族の長を決める」

シルヴァナ:その場にいる私。「わからない男だな。お前は……そういう男なのか?」





アルテイ:シルヴァナと話をしておこう。「シルヴァナ。少し話があるんだが」と表に案内しよう。バルコニー…っじゃないな。船の上だから甲板か。

GM:甲板だね。

シルヴァナ:(両手を広げる。)タイタニックのアレがやりたい。

アルテイ:「何やってるんだ。お前?」

爆笑!




アルテイ:「このまま兄貴の元にお前が帰れば戦になっちまう。どうなんだ。そこは」

シルヴァナ:「そうだな。枢機卿のところに行かなくてはならないし、それだと無事にはすまないだろうな……」

アルテイ:「バストラールの御偉いさんだろ? ろくな奴じゃないだろうな」

シルヴァナ:「彼は君の想像を超える(笑)」

爆笑!




シルヴァナ:「ふふ。そう……ろくな奴じゃない。しかし、私も特権を貪ってきた身の上だ……責務を果たさなきゃならない」

アルテイ:「その責務の果たし方が大切だって言っているんだ」

シルヴァナ:「……そうかもな」


アルテイ:「余計なことかもしれないが、腹を割って言うぞ。フォレスティ家を俺達にくれないか?」

シルヴァナ:「ふぅ……」

アルテイ:「あんた達が加わってくれればカルディアの喉元に刃物をつきつけたのも同じことなんだ」

シルヴァナ:「……無茶を言う」

アルテイ:「無茶は承知の上だ。相手の迷惑を考えず、搾取するためだけに戦をする。だが俺は違う、みんなを生かすために、生き残らせるために戦をするんだ! カルディアやガレスとは違う」

シルヴァナ:「違う。ガレス王子は確かにそういうところがあるのかもしれない。しかし女王は違う」私もワトキンス達と同様、女王には忠誠を誓っているんだ。


アルテイ:「俺は今回の戦は終わらせ方が大切だと思うんだ」

シルヴァナ:「ああ……そうだな。こののままでは大戦になってしまう」

アルテイ:「ウルス・タタール・インダストリア・ランカスター。この連合とバストラールの力を均衡させたいんだ」

シルヴァナ:「均衡」

アルテイ:「例えばウルスとタタールは均衡していたから、こんな悲惨な戦にならなかった。小競り合いを繰り返すだけで済んでいたんだよ」


シルヴァナ:「お前の目にはわからないかもしれないが……女王の目には、このウルスの蜂起も小競り合いなのだろう……」

アルテイ:「なんだそれ? 全然違う」


シルヴァナ:「私は……言葉の通じる私達が、そんな手段で争いあうなんて……世の中には言葉も通じない、そんな者たちも……」どうしよう。

アルテイ:「混沌のことを言っているのか。それなら尚更、俺たちが力を合わせて魔物と戦うべきなんだ。ウルスとタタールに足りなかったのは、バストラールの先進技術だ」

シルヴァナ:「属国という立場で、憤りはわかるが、近代化を今行っているのはバストラールだ。近代化では……」

アルテイ:「バストラールには大切なものが無い。人の心の豊かさだ」


シルヴァナ:「お前は女王を知らない」会話を切ってしまおう。
「私の立場……私に近い立場の人々の見方では、これはただの内乱だ。内乱の果てには血が流れ……国力が疲弊するんだ」


アルテイ:「俺は、ただ足りないものを流通させたいんだ。それさえわかってくれれば、今はいいよ」そう言い残して甲板を去る。


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