宰相コーネリア




GM:随分と遅くなってしまった。君が帰ってくるのは夕方過ぎになっていた。部屋に帰ると不意に入り口に立つ人影にぶつかる。もふ。
フインチ:うわ!

GM:歳はもうすぐ70にもなろうというところだろうか。長いヒゲには威厳があり、刻まれた皺もからも長年の苦労が察せられる。その眉間の縦の皺は、眉をしかめることが習慣となったその人生をよく表していた。宰相コーネリアその人である。

フィンチ:「すいません!(即答)」正座をして。

ジィク:弱っ!弱いよ!!

GM:「お勉強の時間ですよ」昔は宰相が父ではないかと思ったことがある。自分ために熱心な教育を行ってくれる姿は多分父親と変わらないのだろう。結局自分の父が誰なのか、わからない。

フィンチ:55歳のとき……15歳の女王から生まれる……僕。

GM:「家を継がないつもりで、勉強を疎かにされては困りますな」

フィンチ:「家はガレス兄さんが継ぐでしょう。僕は別に」と机に向き直る。

GM:「はぁ?」と覗き込む宰相。瞳に光がない。

フィンチ:「あ、はい」

GM:フランクはそそくさと部屋を出て行く。「お前も何やってるんじゃ!!」とドアを蹴って閉めて杖をつっかえ棒にする。

フィンチ:元気そう。「あの、その杖いらないよね」

爆笑!




GM:さてこの国の政治についてだ。専門知識で振ってもらおう。目標は12。

フィンチ: (コロコロ)11。

GM:「何を聞いておられました」と宰相はジロリ。





フィンチ:「あー」

GM:内容はバストラールの歴史だ。再び宰相から説明される。カルディアが即位するまで国はメチャメチャだった。王様は暴君で、国中の財産を使い捲くって、国民の不況を買い、恐怖政治+門閥政治を行っていた。その上近親すら信じられず周りの者ほど首を刎ねた。当然人材も流出していった。

フィンチ:それって……

GM:対外関係も最悪。弱小国家の一つに過ぎないバストラールの運命は風前の灯だった。

フィンチ:……暗君。

GM:そうだね。先代、君のお祖父さんはそんな人だった。それが突然ポックリ逝って、女王が即位したのが12歳の時。

フィンチ:おお! 同い年だ!

GM:当時は誰もカルディアには従わなかった。味方0という状態で周囲の近親から大臣・宰相に至るまで一斉に国を奪いにきたわけだ。

フィンチ:でそれを平定?

GM:そうだね。国内を建て直し、雲霞のように群がる侵略国を平定し、バストラールを盛り立てた。で、現在のバストラールがある。即位15年が経つわけだ。

シルヴァナ:(カルディア)「お前の時には既に国をとっていたぞ?」

フィンチ:それって暴君というわけじゃないよね?

GM:戦争ばかりしているけどね。でも君が見るからに、民を安んじているわけでもなさそうだし、磐石な国を作ろうとしているようには見えない。名君の定義からは外れるよね。

フィンチ:うんうんうんうん。才があれば拾われ、才が無ければ捨てられる?

GM:才が無くても捨てているようには見えない。失敗しても責任を取らせたりしているようには見えない。

フィンチ:ふーん。それ、人も集まってくるね。いい王様。宰相はどういう人なの?

GM:情報を振ってみて、目標は12だ。

フィンチ:情報を振る。(コロコロ)15。

GM:コーネリアは先王の代で大臣をしていた。折りが合わず、先王が亡くなった際には謀反を起こし時の宰相を討ち、カルディア女王からの王位簒奪を目論んだ。

ジィク:おお!! 反逆してる!

GM:それを女王が倒し、何を考えたか、宰相の地位を与えたという経緯がある。

ジィク:この国は12歳で何かするんだよ。

GM:宰相を破ったときのカルディア12歳の言葉がこれだ。「じじい。まだ枯れてはおらんようだな!」

爆笑!




シルヴァナ:すげぇ!!

ジィク:12歳!

GM:「やりたいことがあるならやってみろ。仔細は問わん」と宰相の杖が彼に放られ、以来コーネリアは政治の中枢を握っている。
一同:おおおー!

フィンチ:反乱を起こした首謀者を宰相にしたのか。

ジィク:女王は器大きすぎ(笑)


GM:宰相はカルディアが大嫌いだったが、最近は随分丸まったとは騎士達の評判だ。現在国は一応は宰相の方針が政治方針となっている。

フィンチ:この人は自分で国を作りたかったんだ。「宰相はどんな国をつくりたかったの?」

GM:宰相は近くの椅子に腰をおろす。昔話でもするかのようにゆっくり語りだす。「私の時代は国は弱く、民の心は離れ、周囲は強国ばかり。四面楚歌の内憂外患でした。私は国を大きな一枚岩にし、周辺諸国の弱体化をしたかったのです。私の理想とした国とは『永代に渡る磐石な礎』なのです」

フィンチ:「そんな理想があるのに、どうして母様に今でも従っているの?」ええーと。「答えるのは嫌かもしれないけど……」

GM:宰相は笑ってしまう。「いえいえ。構いません。しかし王子にはわからないでしょうな」

フィンチ:「そうなの?」

GM:「一言で言うなら老いたからです。私が10年若かったら、反旗を翻していたかもしれませんな。そしたら自分が君主になっていたでしょう。今でも私の作る国が理想郷だと思っています」

フィンチ:「だったら」

GM:「でも、次第に体力や記憶力が落ち、次第に自分自身が夢から遠のいてしまったことが分かるのですよ」

フィンチ:「そっか……」わからないな。わからないけどそういうものなのかな。

GM:「自分がもう夢を見るには歳を取りすぎたような気がするのですよ」と宰相は老人の顔をした。

フィンチ:今の政治は宰相の意向なの?

GM:君の知る限り、国の運営から戦まで、みんなの意見や方針を取り上げているわけだしね。

フィンチ:そうだね。政治は宰相に任せていたし、戦はガレス兄さんだしね。

GM:そして実はそれによって抑圧された人々の反乱も起こっている。

フィンチ:そうか、広場で処刑が行われていたものね。こういうのは諜報部隊とか警察とかが取り締まっているの。

GM:多分そういう、専門の密偵組織があるんだろう。そういう国の闇の部分をヒルダは批判している。特に奴隷制と従属国の階級制度は彼女には我慢ならないことみたいだ。

フィンチ:うーん。「適材適所とか、そういう未来は叶えられないものなの?」

GM:「今日は随分面白いことを聞かれますな」と嬉しそうな宰相。

フィンチ:「あ、うん」

GM:「私は適材適所で人事を行っているつもりです。その中で有害と考えるものを取り除いているのですよ。ただ、それが必ずしも良いことばかりではないのでしょうな」

フィンチ:そうか。僕はまだそういうところはよくわからないんだよな。ところで宰相に聞きたいんだけど……母上のことは民はどう思っているの? 城の中の評価と民の中の評価と随分違うのかな。

GM:君の知る街の人々は女王を絶賛・名君として敬愛している。一方城では超問題児。でもみんな好意をもっている。敬愛というべきかな。で、君の目から見たショッキングなシーンを―――


テラスに顔を出した女王。
その姿を一目見ようと人々が押し寄せた。
その美しさに感嘆の声をあげ、その冷酷非情な行いの噂の真偽を囁きあい、そしてそれは大きな渦と合唱となって軍楽隊が奏でた。
「また増えたな。戦争でもするか」



フィンチ:命が軽んじられている!!

爆笑!



その時、喉元を抑えたカルディアは口から何かを吐き出す。黄金である。人々は落ちた黄金に群がる。
「枢機卿に言え、賄賂のつもりかも知れぬが、酒に黄金を入れるのはやめろ」


シルヴァナ:意図が通じていません!(笑)





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