Opening phase

  

【〜ピクニックキル〜】

蛮勇を誇り、粗暴で知られるレルムの戦士に『略奪をするな』と言うほうが無理な話である。
しかし、その事件は、領主であるシリルにとってなんとも頭の痛い話であった。

「そんなに怒るなよ。ちょっとしたピクニックだぜ」
肩をすくめるゴロンゾは、思わず血まみれのハンマーを後ろに隠した。
周囲には数多くの兵士達が頭を潰され息絶えていた。
彼に従うレルムの戦士(馬鹿共)は誇らしげに腕を組んだ。
これが国際問題だというのに……

GM:さて事件の経緯を説明しよう。隣国の領土に略奪に行った彼らは、森で不意に騎士団と遭遇。不意な遭遇戦となってしまった。そして発見されたのは崖下で頭のつぶれたフレジェス国王オコーネルの死体である。

シリル:あ、これは過去、鷹狩りの時の事件なんだね。

ロバート:ということは。

GM:目の前には無傷で縛られている騎士が一人。

爆笑!

シリル:あ、既に私達は会っているんですね(笑)

ドラゴス:体の頑丈さは関係ない。

ロバート:「皆さん。私は何も見ていません。まったくの無害です。この縄を解いて下さい」

シリル:聖騎士!(笑)


その報告を聞いた時、ベヘレム王妃レトワールは昏倒し、アルカナは青ざめた。そしてこの顛末である。


GM:「まぁ待てよ。フレジェスはバルチモアでも、バストラールでもない小国で、俺達は別に大戦争を始めようとしていたわけじゃない。」

シリル:ふうーむ。(腕を組む)

GM:「だいたいこれは遭遇戦で、俺は…そう身を守ったんだよ。」罰の悪そうなゴロンゾ。

シリル:ゴロンゾ達が苦戦するような相手とは思えないんです。「あなた達が負傷しているようにはみえませんが?」

GM:「いや、ほら相手が襲ってきたんだ。手傷もある。」と擦りむいたような傷も見せる。「おい生き残り、なんとかいえよ。」

ロバート:「えーと、それはですねぇー。」

GM:では、ここまでの経緯をロバートには話をしておこう。


国王オコーネルが狩りに出たいといったのは、実に久しぶりのことであった。
かつては王子ダニエルとともによく狩りをしていたが、狩りの趣味は用いていないオコーネルにとって、それは息子と話をするよい口実であり、そして良い思いでであった。

事実、狩りの日の国王は、狩りに関心を示すというよりは、過去を懐かしむようであり、また体力の衰えから休息を取り続けていて狩りをする気配もなかった。

あの時、国王が息子に思いを馳せ、「少し一人にして欲しい」と言った時、事件が起きた。
悲鳴を聞き、駆けつけた時、国王の姿は無く、捜索を開始してほどなくレルムの野蛮人に遭遇。縛り上げられた。


GM:で、ここで重要な情報だけど、確かに、レルムの野蛮人は黒騎士達と戦っていた。黒騎士といえばバストラール騎士の代名詞のようなものなのだけどね。

ロバート:私と共に来た、王の護衛は?

GM:この時、ともに国王の警護をしていたのは弟のコブスンだ。彼はロバートの双子の弟だった。しかし、彼はこの時失踪。他国に走っている。

ロバート:裏切った奴?

GM:そういうことになるかな。

シリル:設定拾ったねー

GM:彼は国王警護でもあり、援軍を呼びにいくと姿を消したまま、隣国のバルチモアに逃げ込んだ。

ロバート:犯人?

GM:二人ともに行動していたからアリバイはある。で、本来彼に忠誠心というものがあれば、国王の死はしばらく秘匿しなくてはならないのに、彼はバルチモアにばらした。

ロバート:国王の死は、もう公式に知れ渡っていると。

GM:そう。

ロバート:コブスンが漏らしたのね。

GM:その証拠に、彼は国王が死んだ際、当時内密にされていた『跡継ぎが勘当されている』情報、国内の防衛体制の情報をもってアンドレアル領に寝返ったのである。

ロバート:裏切り者め!

GM:まぁ、昔から忠誠心の類はなかった。二人は指揮官として取り立てられ、この小さな王国で出世していたが、彼の目標値はここではない。フレジェスなど踏み台だと考えていたふしがある。


ロバート:それで私は…「王様はどこですか?」

GM:キュ!(捕まる)

ロバート:「うあああああ!!」

爆笑!

シリル:まずは手がかりの甲冑を調べてみましょうか。

GM:とそこで副官のアルカナ少年が顔を覗かせる。彼はエルフの血が混じっているので容姿のわりに博識だ。

シリル:「どうです?」

GM:ではアルカナ。「もぅ、略奪を諌めようとしたら…とんだ藪蛇です。ふむふむ。彼らは紋章を外しています。正規兵ではありませんね。鎧からするとバストラールでしょうか?」

シリル:「いえ、手口からするとバストラールではありません。暗殺を好まぬバストラールの特徴もありますが、バストラールはここまで足がつくようなずさんな暗殺劇を講じません。」

GM:「では?」

シリル:「暗殺を目論んだ人々は、この犯人をバストラールに仕立て上げようと考えていたんでしょう。アドホックレルムの兵士がここに来てしまうのは予想外のことだったでしょう。」


シリル:「ゴロンゾさん。何か相手の情報はありませんか?」

GM:「おお、これが指揮官の兜だ」ゴロンゾは幾つか兜を探す。「これかな?」と言って見つけた兜はグシャグシャに潰れ、おそらく持ち主の顔は判別できないようになっていると思われた。

シリル:これ、もう死んでいるでしょう。顔も判別できないと思います。

GM:「俺達は国王を殺した覚えは無いぜ。やったら金品を奪っているはずだろ?」

シリル:やり方から、これがバルチモアなのではないか…とは推測できます。私はバルチモアの仕組んだ謀略には経験があって、今回も同様の雰囲気を感じます。


ロバート:「私は?」

GM:「もう帰っていいぞ。」

シリル:「待ってください。虐殺の犯人に仕立て上げられては困ります。」

ロバート:「いえ、皆さんは巻き込まれただけです。私がついた時には国王は死んでいました。そう証言します。神にかけて誓います。」

ドラゴス:聖騎士!

爆笑!

シリル:私はこのことをイヴァン王に報告しに参ります。


イヴァン王との再会
領国の統治を任されていたシリルにとってその帰国は数年ぶりのことであった。

アドホックレルム。酷寒の大地が鍛え上げた屈強な戦士の国。
魔物が蔓延る混沌の大地では、彼らは生まれながらにして戦うことを義務付けられている。
この国はイヴァン王の代で大きく発展し、国内は纏まりつつあった。

GM:元々、北部民族は略奪を生業とする蛮族、南方はバルチモアから追い立てられた都落ち貴族と言う二つの民族がおり、

シリル:北がゴロンゾさん。南が私ですね。

GM:両者は長く対立していたが、イヴァンが統一してからは表面上は上手く回っている。

シリル:ここに来るまでも多くの内戦がありました。私は国で大きな問題を起こした身ですから、何か手柄を立てないとならない時期なんです。


GM:ようやく国の発展が見込め、人段落したという矢先、不意に耳にしたのはイヴァン王が馬を買い換えるという話であった。

シリル:それを口実に帰ってきた…という感じですか。

GM:そう。彼の馬は老いており、まだ数年は乗れるとあっても大事をとって新しい馬に買い換えるのだという。

シリル:こんな報告をしたら、激怒してしまいますからね。

GM:というわけでシリルはその馬を購入すべく、国を訪れていた。


イヴァン王は馬にブラシをいれながら、やり方を説明する。馬の癖や特徴、そう言った話をする。馬の後ろでイシュカが馬の尻を藁でくすぐっている。


GM:「シリル。お前ならいい乗り手になるだろう。俺は騎乗もろくに上げていなかったからな、悪い騎手だった。無理をさせただろう。」

シリル:「…はい。」

GM:「無理をさせるな。この馬はお前より、自分の力を心得ている。まかせてやればそのほうが長持ちする。」

シリル:「アッハイ。」

GM:副官のアルカナがつつく。「シリル様。早く。」

シリル:「実はイヴァン王……その、報告しなくてはならないことがありまして。はい」


GM:「何!!?」イヴァンが叫び声を上げ、イシュカがおもわず馬の尻に藁を突き刺す。馬は吼え後ろ蹴りをイシュカにかます。転倒するイシュカ。

シリル:そうなるわな。

GM:「ゴロンゾ。あの馬鹿!!最近姿が見えないと思ったら、何をやっているんだ!!」

シリル:「いえ、これはベヘレムの問題。不祥事の責任は私の管理不行き届きにあります。」

GM:「ゴロンゾを呼び戻せ!」

そして

GM:呼び戻されたゴロンゾと集められた一同、というシーンだ。ゴロンゾは青ざめ涙目で弁解する。「いやぁ、その、悪いとは思ってんだ。でもフレジェスはゴミみてえに小さな国だし、国交もないし……」

シリル:「ゴロンゾさん。ちょっと黙っていて下さい。」

GM:「アッハイ。」そして一同に不意に声をかけたのはソレイユだった。ソレイユはシリルの妻レトワールの弟。シリルの義理の弟に当たる。

シリル:弟になってる!?


GM:ソレイユはイヴァンの先代の国王。そういう意味では地位ははるかに上だ。「イヴァン王…これは少しおかしい。公明正大な白騎士シリルが、どうして暗殺などしようものか。人々はそう囁き会っている。」

シリル:世論は私は無関係と考えているんですね。

GM:はっとして気がつくイヴァン。「そうだな…言われてみれば…」

シリル:確かに、今回はゴロンゾさんが動いたから、信憑性が増してしまいましたが、そもそもゴロンゾさんのこの動きは、予測できるものではない…。初めから、私に罪を着せる予定はなかったでしょうね。


GM:「誰かの陰謀と言う可能性がある。」

シリル:「フレジェスはいまや経済・軍事の要所。バルチモア王国もバストラール王国も欲しています。」

GM:「両者のどちらかが黒幕である可能性があるわけか」

シリル:「イヴァン王。今回の一件は問題がありますが、私の予想ではこれは偶然、いずれかのものが仕組んだ暗殺劇に巻き込まれたと感じられます。」

GM:イヴァンが眉をしかめる。

シリル:「国王暗殺で誰が利するか、誰が仕組んだ暗殺劇か調べることは、我々の無罪を勝ち取るばかりではなく、彼らの陰謀を打ち破り、フレジェスの信頼を勝ち得ることができるのではないかと」


小難しい話に我関せずを決め込んでいた娘フラガッハは、褐色の肌に金髪を携えた美貌を持ち、金獅子と謳われる蛮族の族長だったが、彼女はあっけらかんと持論を言った。


GM:「いいじゃん。別に。最近栄えていたみたいだから、ゴロンゾはちょっと頂いてきただけだ。問題ないと思う。これから侵略するフレジェスの信頼を勝ち取ることに意味があるとは思えん。」

シリル:「ダメです。信義はもっとも重いものです。」


GM:イヴァンも自分の意見を配下に聞かせる。「我々アドホックレルムにもフレジェスは要衝に当たる。いずれ手に入れなくてはならぬ拠点だ。」

シリル:「はい。」

GM:「フレジェスは交通の要所に辺り、少数でも守りに長け、財産も多い。しかし、それゆえ隣国の全てがあの土地を狙っている。いわば火中の栗だ。中途半端に兵を挙げ、戦を起こしても周囲の挙兵を促すばかり、それでは意味がない。」

シリル:「王暗殺の嫌疑がかかれば大戦争に発展する恐れがあります。」


GM:「でもなぁ…」とフラガッハ。「フラガッハ!!反論は聞かん。ゴロンゾ、収集できもしないのにピクニックで大火を起こし、ふんぞり返るとはどういうことだ!!」

シリル:うむうむ。

GM:びえええ!!とゴロンゾは泣き出し、フラガッハは半べそになりながら意固地に反論する。「先に奪ってしまえばいいじゃん。少数でも守ることができる要所なんだろ!!」「そんなに簡単に奪うことができるものか!!バカが!!」「できるさ!!」

シリル:「イヴァン王。これはベヘレムでおこってしまった事件。私の管轄にあります。どうか私にこの事件の解決をお任せ下さい。」


GM:「フレジェス国王殺しの事件の調査はお前に任せる。いずれ戦わねばならぬフレジェスではあるが、統治を考えればここで無用に不信感を感じられていては、いらぬ障害になる。」

シリル:「はい、もし犯人がバルチモアならば、この事件の犯人を見つけることでバルチモアとフレジェスの関係の切り崩しも図れます。」

GM:「そうだ。」


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