Ending phase
【〜騎士ドラゴスの叙任〜】
影武者の時間は長いようで短い間だった。
王子になるという魔法は解け、王子を語った不忠者は悪の代名詞になった。
バルチモア王国は関与を否定。
フレジェス国王を暗殺したダニエル王子も誅されるべき悪ならば、その王子の替え玉を作り王国を牛耳った人々も悪であると、宣言した。
それが正しいことだったのかはわからない。彼らが国を出た後、その王国は急激に衰退していくのだから。
ドラゴス:よし…行こう…。
ロバート:「はい。王子。」
ドラゴス:「なぁロバート。もういいんだよ。王子じゃないんだから。俺はアドホックレルムに行く。でもロバートは別の場所にいってもいいんだよ。」
ロバート:「私は一緒にいきます。でも、王子。ロンサンを頼ってユニオンに行くという手もあるんですよ。」
ドラゴス:「いや……でも、ロンサンはどうするのかな。」
GM:ロンサンはこの事件で色々と考えることがあったようだ。ただ世界から見え隠れする陰湿な策謀に翻弄される身である彼は、義憤に燃えているようだ。いずれ共に力を合わせていくだろう。
ドラゴス:シグナスさんたちは。
GM:シグナスは一同と一緒に行動するようだ。シグナスやラン、彼らとルイーズとメイジを加えた人々は、移動していく。
シリル:「皆さん。後悔はさせませんよ。ルイーズさん。私が必ずアンドレアル領に帰還させて上げましょう。」
GM:馬上のルイーズは作り笑いを浮かべた。「ええ、ベヘレム王ご協力に感謝します。」
そのルイーズにつき従うメイジ・エンカウントアナザーワールドはその会話に眉を潜めていた。
(ウラヌス王に上告し、アンドレアル領を滅ぼす原因を作ったのはこのシリルに相違ない……
アンドレアル領を滅ぼした口で、その領地奪還を約束するか…
おのれ……)
GM:「今回の一件は胸に秘めておきましょう。領地奪還のおりは、返礼いたします」とルイーズは笑みをかえした。
シリル:「いえいえ。」
峠の上でイヴァン王はその戦の顛末を見ていた。
彼らがどのように戦い、どのように決着を迎えるか。
丘の上から一部始終見た、イヴァン王は、今も引き上げる様子はない。日が昇り、日がくれるというのに、腰を下ろしたままである。
腕を組み目をつぶるイヴァン。
(あの王国にもはや、いれぬのであれば、国を出るタイミングは今しかるまい……)
GM:ドラゴスが人々共に街道を登ったのはその頃であった。そして峠の中腹に腰掛ける影を見つける。イヴァン王である。
ドラゴス:「イヴァン王。」平伏する。
シリル:平伏します。
GM:立ち上がったイヴァン王はドラゴスに向き直る。「お前が何を成し、何を成したいかを見てきたつもりだ。」
シリル:そうか、国王陛下は着てくださっていたんだ。
GM:「一つ質問がある。ここがお前が選択し、辿り着いた場所なのか?それとも、行き掛かりの都合で辿り着いただけなのか?」
ドラゴス:「私は、偶然フレジェスにやってきました。それは行き掛かりでした。でもこれが僕の運命でした。そしてこれは私が選び選択して歩んできた道なんです。」
GM:「運命が…いつか、使命に変るときが来る。そういうことだな。」
ドラゴス:「はい。」
GM:「名前を聞いておこうか。」
ドラゴス:「僕はドラゴス。」
GM:イヴァンは剣を抜き、跪く君の両肩に剣を置いた。そして刃を地に突きたてる。
ドラゴス:あぁ…これで二刀流になる。って、これでキャラクターがデータ通りになったのか。
ロバート:これが始まり。
ドラゴス:あ、これは始まりの物語だ。長い長い始まりの物語だった。
イヴァンは馬に跨る。
「いくぞ。お前はこれからアドホックルムのドラゴスと名乗るのだ。」
ドラゴス:「おおせのままに。」
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