Opening phase
シーンPC 魔法使い・レグルス

【名ばかりの覇者〜バルチモア〜】

「国王ウラヌス。あなたは私の忠告を聞きませんでしたね。
私は言ったはずだ。3人の子供のうち、王になれるのは一人だけ、
嫡子ロアンに王位を継がせたくば、妾の子カインと妹ネフェリアを殺しなさい、と。」
国王はあの日を思い出す。仲の良い頃の3人。


フィンチ:国王視点では、仲よかったのかな?(笑)

ネフィリア:「父様!ロアン兄様が私の愛犬のダニーを!」

GM:「ネフィリア。たかが犬程度のことで兄弟の仲を壊すでない。」

爆笑!

ジィク:この時点でいい父親じゃないだろぉ!

GM:「それにしてもロアン。犬の使い方がわかっておらぬ」

ジィク:そういう問題じゃない(笑)

近年ウラヌス国王は諸国同盟の盟主という地位にこだわり、度々の援軍要請に出陣していた。そしてこの戦いもその一つだった。連合諸国ユニオンに異民族国家アスラハンが攻めてきていた。


レグルス:アスラハン?

GM:徹底的な能力制、力あるものは平民でも伸し上がり、才無き物は貴族でも没落する。統一を掲げた帝国がバルチモア傘下の連立諸国ユニオンに魔の手を伸ばしていた。ウラヌス率いるバルチモアの援軍は苦戦を強いられていた。

ネフィリア:遠征で援軍にいって苦戦か。いいことないな。


GM:さてレグルスは国王ウラヌスの隣で苦戦の報を耳にしていた。椅子に座り報告を聞くウラヌスも長年の戦でやつれはて、表情は硬い。「カインに河を死守せよと伝えよ。」この地方の唯一渡河できる橋を守ることは重要なことだったが、それを命じる国王の真意は……


最後の伝令は全身をハリネズミのように矢にいられて目の前で命を落とした。


フィンチ:……壮絶な

GM:「ふぅむ」ウラヌス国王は皺の刻まれた顔をゆがめて唸るばかりであった。先ほどから一向に指示を出す気配がない。

ネフィリア:(バルチモア騎士)何を悩むことがありますか!援軍を!

レグルス:まぁ決断力が欠如している王様なら、それも仕方ないことなんだけど。でもそれよりカイン王子っていうのは妾の子だったっけ?

GM:そうだね。妾の子だけど人望がある王子。

レグルス:カイン王子かぁ。そちらの方に何か問題があるんじゃないかな。

GM:そういえば国王は何度かつぶやいていた。「カインはロアン王子より人気があるからのぅ……」

フィンチ:意味深(笑)

レグルス:では二人きりの時「国王陛下。何故、援軍をご承諾なさらないのですか?」と訊ねてみる。

GM:では天幕の中二人きりの時にその問いかけをしてみる。「もしもここでカインが死ねば……バルチモア国内の分裂を防ぐことができるやもしれん」

レグルス:「なるほど、それは明暗です!」

フィンチ:なんて汚い!(笑)

GM:「そうか!お前もそう思うか!……しかし」

レグルス:「しかし……なんでしょう?」

GM:「カインは今まで何の野心も持たず、ロアンを立ててきた。カインには何の罪もない。それを命を奪ってしまうというのは、どうだろう」と深いため息をついて呆然とする。

レグルス:「なるほど、それならば私に良い案がございます。」

ジィク:今度は何を言い出すんだ!(笑)

レグルス:「王としての地位を譲らずに幸せに暮らして欲しいというお考えなのでしょう?」

GM:「うむ」

レグルス:「ではこの戦場で死んだことにして、内々に逃がしてしまえばよいのです。今は激戦。戦死したとしてもそれを疑う余地はありません。カイン王子の意思の確認が必要ではありますが。王子がこだわっていないのであれば、それが最良の選択かと。」

GM:ウラヌス国王はその提案にまたまた悩み始める。これが普通の国であれば名案と取り上げただろうが、この国には事情があった。

レグルス:うん?

GM:「お前の言うことは飛躍している。」

ネフィリア:ほう?

GM:「我々の身分は神がお与えになられた唯一絶対のものぞ?生まれもっての支配者の血筋、それが民と同じになっては、神の意思に反する。牛馬と同じく家畜と同じに堕とすことなどできぬ。」

ジィク:あちゃー身分制か。

GM:「承服しかねる」

レグルス:「このまま見捨ててしまうというのであれば、それは同じことなのではないでしょうか?」……息子を見捨てて戦死させるのと、地位を奪うことの何に違いがあるというんだろう。

GM:そう、ウラヌス国王とのやり取りはいつもこのような形で繰り返される。これが君と国王の関係だ。

レグルス:うーん。

GM:そして冒頭の場面だ。次々と入る伝令に国王は頭を抱えて「あ、あ、あ、あ」と呟くだけだった。

ジィク:おい!大丈夫か(笑)

爆笑!

GM:「このままでは、カインは死んでしまうかもしれん。そうだ。アスラハンと休戦しよう」

ネフィリア:(バルチモア騎士)「できるのですか?」

GM:「金ならいくらでも出す。」

レグルス:「相手の条件は全て飲むということで、休戦ということですか?」軍略(コロコロ)19.ちょっと相手の戦の目的なんかを分析してみたい。

フィンチ:おお!19

GM:それは!凄い目だね。うん。アスラハンの考えを話そう。アスラハンは優勢に戦っているがバルチモアを征服できるような勢力ではない。ただ、この同盟国の連立諸国ユニオンはバルチモアからはかなり遠い土地にある。バルチモアは遠征するだけでも疲弊してしまうんだ。

レグルス:ああ。なるほど。バルチモアがもし滅んだら、同盟国は?

GM:多分アスラハンにろくな抵抗もできずに併合されてしまう。

ジィク:アスラハンの目的はバルチモアを疲弊させて、弱体化し、最終的に切り捨てられたユニオンを吸収することじゃないかな。

GM:ここで賠償金を支払うだけでも、相当アスラハンの狙い通りの結果なのかもしれない。

レグルス:うーん。休戦。これはバルチモアとしては敗北だな。

ジィク:その場しのぎにしかならない。

GM:そして休戦協定が結ばれると、ウラヌス国王は歓喜した。「よし!休戦したぞ!」

ジィク:これはバルチモアの敗北だった。

享楽と退廃の都・バルチモア

GM:カインは敗残兵を引きつれ、後に国に生還した。そしてウラヌス国王。これが君の主人だ。

レグルス:うーん。これが俺の主人か……。

GM:そしてレグルスもまたバルチモアの都に帰還する。荒廃した村々に比べ都では、豪奢な宮殿で、享楽的な宴が繰り広げられる。

レグルス:そして国はこれか……

GM:アヘンをすった貴族が批評する。「ふーむ。これは良いな。遥かに良い」

爆笑!! フィンチ:これが貴族ですかぁ!(笑)僕の国と全然違う!

GM:そうウットリとした顔でほくそ笑む。舞踏会が開かれていた。否、これがこの国の会議である。

フィンチ:そんなー(笑)

GM:紳士淑女・貴婦人達が踊る。カーテンの裏では伯爵夫人が近衛騎士と浮気の最中であり、そんなことも興味なさ下に、新たな税金を如何に搾り取るかを煙の中の老人達が話し合う。この国の滅亡は誰の目にも確かなことだった。

レグルス:ですよね!(笑)

GM:救いはどこにも無いのか。彼らは救いを社交界と舞踏とアヘンの煙の中に求めていた。「聞いてください。私はラストポエムを思いついた。」

爆笑!

ジィク:なんだよ!ラスト・ポエムって(笑)

ネフィリア:ゲホッ!ゲホッ!思っていた以上だ(笑)

GM:退廃的なポエム。貴族達は絶賛。最近宮廷では、自分の理想的結末を詩にするラストポエム・絵に描くラストアートが持て囃されていた。その悲壮な結末に貴族達は感涙した。

ネフィリア:(バルチモア貴族)「素晴らしい!なんて素晴らしいんだぁ!」

レグルス:これが宮廷の様子か、わかった。もうわかった。父に会いに行こう。宰相だっけ。

ゴドー宰相

GM:そう君が宰相である父の部屋を開けた時父の絶叫が耳に入る。「私が何年国のために従事していると思っている。ウガアー!」

爆笑!

レグルス:ええーこれが父親!(泣笑)

GM:その日も父ゴドーは荒れていた。家具を叩き壊し、杖で絵画を引き裂く。日に日に憤懣がたまる一方なのである。理由は明確であった。長くウラヌス国王の重臣であり宰相をしていた父に取って代わり、ロアン王子の新参者派閥が台頭を始めたのだ。

ネフィリア:内憂外患。

レグルス:上が腐ったら組織も腐る。それは常識だ。(笑)

GM:国王の不在で国王派は弱体化。ロアンが国王となった際には、確実な没落が待ち構えていた。

レグルス:だよね。

GM:父はウラヌス国王への忠誠はまったく無かった。その父をあざ笑うかのような兄エンゲルスの姿があった。兄エンゲルスは全身から香水に匂いを漂わせたキザな男だ。下品さを感じるようなセンスだ。

レグルス:兄はどこの派閥なんだ。

GM:兄エンゲルスは宰相と同じ国王派だ。

レグルス:なるほど。日本式には段階ジュニア世代。なんでこいつらから俺が育ったんだろう・・・・・・

ジィク:師匠が優秀だったんじゃないだろうか。

レグルス:あ、そうか。

GM:幸運なことは、自分は大魔法使いのアナハイムの師事を受け、国王は先代の魔法使いの後を自分に任せたということだ。

レグルス:師匠・因縁の人だよね。


癖の無い長い銀の髪。色白の肌、端正な顔立ち。その容貌は人並みはずれて美しく見る人をひきつける魔性を持っていた。彼の年齢はわからない。彼が何者であるか、それもわからない。ただ、君の師・アナハイムは人からは悪魔と恐れられる魔法使いだった。色々な国に仕官していたアナハイムだったが、長くは続かなかった。彼は王のために力を発揮するが、その王国はどんな大国であれ、彼が来たのを皮切りに乱れていく。歯車が狂っていく。

レグルス:っていうか、もうこの国半ば滅びてるよね。(笑)

GM:「人間、つまらないね。」アナハイムの口癖だった。

レグルス:そんな師匠に似たんだろうな。俺には少なくとも父や兄よりは高尚なものな気がする。

フィンチ:なんか人間離れしているような気もする。


GM:家は既に傾きつつあった。国王派閥は国王の死後、都落ちは確実だった。そんな時父ゴドーは叫んだ。「そうだ!!名案だ!!」

レグルス:「ほう。なんです?父上」一応話を合わせておいてあげる。

GM:「修道院に送られていたネフィリア姫を自らが擁立し、新たな派閥を作るのだ。」

ジィク:カインじゃないのか?

レグルス:いや、多分カインは名声があるし、王様の反応からも多分もう派閥があるんじゃないかな。いまさらそちらの派閥に近づいても上にはなれない。

GM:だからこその第三の選択だね。

レグルス:悪い選択じゃない。姫と結婚すれば、地位も得て、しかも不動なるこの国のナンバー2になる。

ネフィリア:(兄エンゲルス)「なるほど!父上いい考えだ」スパーン(手を打つ)

レグルス:しかしこれは王様の意思に反するなぁ。「王様の存命中に行動に移せません。これでは、どっちみち、我々は後手に回ってしまいますよ。」

GM:父ゴドーは言う。「では魔法使いにやらせよう。魔法使いならどんな汚れ役でもやる。奴らは我々の犬。いざとなれば切り捨てて知らぬ存ぜぬを突き通すこともできる。」

レグルス:もしかして、俺にいってるのか?

GM:いや、彼らにもそれぞれ子飼いの魔法使いがいる。

ネフィリア:ははぁ。この国はそうなっているのか。

GM:「妙案だ!」宰相ゴドーは誰の目からももはや裏切り者であった。もっとも何をやってもこの国では貴族を咎めることができる人物はいない。それこそ王だけだが現状は王の権力の危うさを物語っている。

ネフィリア:(エンゲルス)「国王の時代はもう長くない」

フィンチ:(ゴドー)「もうすぐ我々の時代が来るのだ」

ネフィリア:(エンゲルス)「はっはっは!」

フィンチ:(ゴドー)「はーはっは!」

爆笑!

ジィク:なんだ。この悪代官達は!(笑)

レグルス:ちなみにGMに質問。兄貴って何をやっている人なの?具体的な対策は?

GM:ちなみにエンゲルスは父ゴドーを使い国内に麻薬を流通している張本人だ。

ネフィリア:それ対策なの!!(笑)

GM:父は自身も麻薬をファッションとしてやっていて、貴族にも流行らせている。ちなみに兄貴のエンゲルスはやっていない。体に悪いからね。

レグルス:わかってるじゃないか(笑)

GM:この家の考えは、貴族に大量に麻薬を流し、その流通経路を握ることで貴族の手綱を握るという者なんだ。

レグルス:一国の宰相が取るような手ではない。そうか。ふふ。父も所詮兄の手駒……かぁ。

GM:ちなみに宰相が麻薬畑をもっているわけではなく、彼もまた他国から輸入している。


GM:では再びシーンは王城に戻る。自分達一族の背信を知りつつもウラヌス国王に仕えるために登城するレグルス。

レグルス:この国はもう駄目なんじゃないかな。だから師匠も出て行ったんじゃないか?

GM:いや、師匠アナハイムのいた時代で一時期持ち返していた。国内の生産能力も高まり、豊富な人材・メイジがアルケミストなどで商業的に解放されると国内経済も回復した。

フィンチ:実は凄い優秀な魔法使いだよね。

GM:それを遠征や対面で食いつぶしたのが国王だ。

レグルス:やっぱりダメ人だよね。その国王。

GM:アナハイムの忠告が癇に障り、国王がアナハイムを煩わしがると、彼は身の危険を感じて国から出た。そして衰退は加速する。

レグルス:ふー。聞けば聞くほど師匠は間違っていない、と思う。


凡人頑張る

GM:なんて憂いを抱きながら王を見つける。王城の広間で怒鳴り声を上げるウラヌス国王。

レグルス:ほーう?

GM:帰ってきたウラヌス王は激昂した。「その下らない絵を直ちに燃やせ!!」

フィンチ:おお、意外とまともな反応だよ!

GM:侍従は困り果て言い訳をした。「へへ、ロアン様に伺わないと……」「私は王だぞ!!」怒鳴りつけ杖を振り上げたと同時によろめく、胸を押さえてヒューヒューと息をする。

レグルス:これは激昂させて心労を煽っているんだな。命数が削られている。

GM:君を見つけると、弱弱しく立ち上がった王は、それでも強い意志の瞳を向ける。「レグルス!国が乱れておる。直ちに政務を正さんと!行くぞ!」

レグルス:「御意。」と付き従うけど、この乱れた政治は誰の手によるものなの。やはり父?

GM:いや、跡継ぎとなる嫡子ロアン王子だ。

レグルス:また新しい奴が出てきたよ。跡継ぎだよね。


GM:国王の部屋にて、報告者に目を通すウラヌス国王。老眼で見えない。彼は虫眼鏡を手に、なんとか文面を見る。「ニールセン大臣が罷免?!」

レグルス:ニールセン?まともな人?

GM:国王が信頼していた財務大臣だ。良識ある人物だったと思う。報告書には財務大臣の使い込みが問いただされていた。「なんだこれは、やるはずが無い。」「遠征に出た直後に罷免されておる。」

フィンチ:もう、既に国には人はいないんだ……

GM:国王は直ちにそしてニールセンを呼ぶ。入ってきたのは3頭身の小柄な老人が来た。精根尽き果てたような憔悴した顔をしている。「大臣。わしの留守中にすまなかった。財務大臣はこれまで通り」「そのお話ですが……辞退させて下さい。」

フィンチ:なんかおかしいね。

GM:国王はショックを受けた。「大臣気にするな。お前のやり方に口答えさせぬ!!」大臣は頭を下げ続けた。「私にも家族がおりますので……」

フィンチ:おーう。

ジィク:ひどくねー?


GM:愕然とした国王。「あぁ……そうか、そうか、わしがまずなんとかしよう。」

ネフィリア:ふーむ。そうか優秀でも後ろ盾が居ないと失脚する。

レグルス:これは建て直しは大変そうだ。


GM:憔悴した国王は傾いた国の建て直しのためのいろいろな法案を考えていた。

レグルス:対策を練りたい。GMこの国では何割ぐらいの人が貴族階なの?

ジィク:この国の政治を見てると1割満たないんじゃないか。

GM:メイジは多いかもしれないが。80%が搾取されるだけの市民。15%がメイジ。5%が貴族かなぁ。

レグルス:メイジは貴族とはみなされていないんだな。

フィンチ:この国はその5%の為に存在している。世の中ってそんなもんだよ……。(瞳が曇っていく)

ジィク:フィンチ王子!

フィンチ:遠征ばかりっていうけど、平民も戦にいくの。

GM:戦に行くね。歩兵として。

ジィク:そりゃ国民感情も最悪だな。いつ反乱が起きても仕方ない。


GM:「のう、レグルス。これはもう少し貴族を取り潰して、財産を巻き上げなくてはならんな」

レグルス:特権階級を弱めるという案かぁ。悪くないけど国王の力の無い時にやるべき政策じゃないな。貴族の大反対が起きる。「しかし、それができる力が誰にありますか?」

GM:「では貴族取り潰しに協力した貴族に、半分の財を与えるというのは?」

ネフィリア:恐ろしい!なんたる悪法!

レグルス:内部の貴族対立を生むな。「内紛を起こしてしまいますぞ。」

GM:「そうか、そうだな。では税を上げる代わりに、貴族には別の権利を与えるというのはどうだろう。初夜権はどうだろう。古の法律で貴族も喜ぶであろう。」国王は名案にほくそえんだ。


まさしく天下の悪法である。
結婚した花嫁を領主恩自ら祝福するという法律は、その歴史によれば人々の反乱を誘発していた。
しかし、国王は国民の力など軽んじている。


GM:「どう思う?」

レグルス:「……」

GM:「聞いておるんだぞ?」

レグルス:「あのー……国王陛下。この国をどうしようとお考えですか?」

爆笑!

ネフィリア:あまりにも常識的な突っ込み(笑)

ジィク:そりゃそうだ(笑)

GM:ままま!(笑)名君ではないけど、ぶっとんでる暴君ではない。

フィンチ:凡!(笑)

GM:うん。事実、国王は基本搾取する側の人だ。国民の反乱や自主性などというものは中世国家においては希薄であり、独立心は非常に低いものであった。この国王はよくいるタイプだ。

レグルス:まぁ、確かに。

GM:「何か間違ったことを言ったかのぅ」という国王の言葉。

レグルス:ふーむ。まぁ話を聞いて取りやめてくれるんだし、そこだけはいいか。「よくお考えになって決めればよろしいかと。」


エリザベート女王

GM:その時ドアが乱暴に開けられる。そこに立っていたのは、ハートの女王のような女が入ってくる。

フィンチ:凄いねこれ(笑)

レグルス:不思議の国のアリスみたいな感じのでしょう?

ジィク:どうやったのこの頭。

GM:そう。奇妙な髪型をした女だった。長身痩せ型の婦人。第二皇后のエリザベートである。ダルマ顔の部下が絨毯を転がしながら道を作る。

フィンチ:コロコロ!

ネフィリア:(従者)パッパラパッパッパー「皇后エリザベート様のおなーりー」

爆笑!

GM:「戦場でカインを見殺しにしたそうね。あなたは息子が可愛くないの?」と言って上から見下ろす。カインの母親なのだ。

レグルス:上からなのか、身長が高いね。

GM:「あれは事故だ。行き違いだ。お前は誤解している。」「嘘よ。あなたはロアン可愛さにカインを見殺しにしたのよ!!」

ジィク:あれ、見た目は凄いけど、この人中身はまともじゃないか?母親として当然のことを言っている。

GM:そういって震えて俯く国王対し、皇后はステッキを使い顔を上げさせる。満面の笑みに彩られている皇后。

ジィク:なんだこの迫力は。

GM:「でも吉報よ。カインは生きている!この国の全ての人々はあの子が国王になることを望むでしょう。それが国のためなのよ。」

レグルス:うーん。それは……。

GM:ウラヌスは押し黙る。「怖い?怖いの?でも大丈夫よね。貴方とカインには親子の絆があるのだから、精精言い訳しなさい。」「そして忘れないことね。この国には只の一人も貴方を弁護するものなどいないことを!!」そしてレグルスを見る。「あら一人いたかしら。ホーホッホッホ!!」

レグルス:いや、目を合わせず平伏しています。「そんな滅相もない」

ネフィリア:(レグルス)「その一人すらおりませんなぁ!」

爆笑!

GM:そしてレグルスは気が付く。エリザベートの目に宿った憎しみの光は自分にも向けられているのではないかと。師匠の言葉を思い出す。

レグルス:師匠。アナハイムか。


GM:「エリザベートは権力と結婚したのですよ」暖炉の明かりを前に本を読む男。

レグルス:回想だね。

GM:うん。


「下級貴族の娘エリザベートは大公の愛人として国王と顔を合わせ、国王の愛人に納まった女。
彼女ははじめから備わった美貌を武器に、女王の座を狙っていた。」机の上に小瓶を置く。香水である。
「初めてかぐ香り……さぞ国王には美しく見えたのだろう。」


レグルス:ああ、師匠はエリザベートを香水で飾ったのか。でもなんで?

GM:アナハイムが国王に取り立てられる前、彼はエリザベートの家に仕えていた。

レグルス:昔の主人だったのね。

GM:一時期二人は協力関係にあったといってもいい。エリザベートがアナハイムを恐れて放逐すると、彼はそのまま国王のおつきの魔法使いに納まった。それがエリザベートの失墜につながった。

レグルス:なるほど。


GM:「花はいつか枯れ、人は永遠に若くない。」アナハイムは呟き、小瓶を暖炉に捨てた。エリザベートの後、国王は妻を娶りロアン王子が生まれた。一説によるとその女も同じ香りを纏っていたという。

レグルス:これは師匠何かやったな。エリザベートを失墜させて正妻を据えたんだ。

GM:エリザベートの生んだ王子は、完全に日陰者になることが決まった。彼女は王子を産んだときに勝利を確信したが、アナハイムとそこで手を切ったのが間違いだった。

フィンチ:また……滅んだ。

GM:再び本に目線をおろす。「国王とエリザベートの運命を操ったのは、この香水だったんですよ。そんなものが愛だというのなら、人ってつまらないと思わないかい?」

フィンチ:巨悪じゃないか!(笑)

ジィク:こいつ只者じゃない(笑)

レグルス:これはエリザベートは恨んでいるね。俺を敵だと思っているだろう。

GM:しわがれた老人が椅子に寄りかかっていた。老人は絶望したまなざしで報告書を暖炉にくべた。「全部アナハイムのせいだ。そうだ、私は呪われているのだ……」


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