Opening phase
シーンPC 聖少女の剣・ジィク

【聖少女が行く〜バストラール〜】

GM:では次はジィクのオープニングシーンだ。

ジィク:よし!

GM:この国の姫の一人でもあり、王国でも随一の問題児であるヒルダガルデの片腕ともいえる騎士であるジィクであったが、あの一件以来、ヒルダとはギクシャクとした関係が続いている。

ジィク:は?なんで?

GM:いくらでも修正できたものだが、ウルス族という奴は元来喋らない。会話というものがトコトン苦手でどうにも関係の改善がはかどらない。

ジィク:そりゃそうだが。だが、一体なんで?

GM:最近は夜も眠れず不愉快な毎日を過ごしていた。自分の憩いの時間が荒らされることへの不快感はいかんともしがたく、

フィンチ:ぷっ(笑)

爆笑!

GM:その騒音はポルターガイストでも起こっているかのような不快感をジィクに与えた。

ジィク:なんだ〜!(笑)

GM:今日も城からは騒音が鳴り響く。血走った目。疲れて帰ってきた時は、その音色には殺意すら沸く。手に水桶を抱えながら元凶のいる部屋を蹴破ると――

フィンチ:のわぁあああ!!

爆笑!

GM:ジィクは根源に水を浴びせた。

ジィク:もっともな行動ではあるが!(笑)

GM:ヒルダは水浸しになり、唖然として口をあんぐりとあけていた。

フィンチ:酷い酷い(笑)

GM:室内楽器であるバイオリンは水浸しになり、あの音の根源が、この楽器であることがわかった。一切の弁解はできない状況だった。

フィンチ:あんまりだぁ!(笑)

ジィク:待て!これは自分の意思の介在しない行いなんだ!「俺は!俺は!」

GM:ヒルダは「ごめんなさい」と一言

爆笑!

ジィク:やばい……一人自己嫌悪に陥っていそうだな。

GM:ジィクの行いに城の騎士・兵士から使用人に至るまで喝采を送ったが――

ネフィリア:(城の人々)なるほど!さすが英雄だぜ!(笑)

GM:当のジィク本人の気持ちは落ち込むばかりであった。

ジィク:これが俺の生活か!

GM:生活なのだ。


GM:フィンチが今、気になっているのはヒルダであった。いつも奔放な彼女であったが、今も何か計画を立てているようで、何か慌しく、そして表面上は秘密に何かをやっているようなのだ。

フィンチ:うんうん。また何かやっていそうだからね。何をしているのかな。

GM:兵糧庫からごっそりと食料を盗み出し、馬車に積み込んでいるではないか。

ネフィリア:盗んだよ!(笑)

ジィク:ヒルダ!一国の姫でなければ即座に首が飛ぶぞ!

フィンチ:「何をしているんですか!」と後ろについていこう。

GM:指を立てて静かにをアピールした後、「ついてくるな!私はお前の面倒を見ている暇はない。」と怒られる。

フィンチ:「はい!」

GM:従者のフランクは君の傍らで賛同。「帰りましょう。面倒ごとです。間違いない。」

ジィク:日和見主義者だな。

フィンチ:「よしついていこう。フランク」トコトゴ。

GM:振り返るヒルダ。「もうついてくるな」

フィンチ:「はい」サッ(隠れる姿)

GM:「もう!」とヒルダは駆けて戻りフィンチの手を掴む。「邪魔するなよ。もう。お姉ちゃんになんて生まれてこなければよかった」


GM:かくして君はヒルダに連れられて国を出る。

フィンチ:「ええ!どこまで行くんですか?」

GM:「隣国だ。内緒だぞ。」とヒルダ。

フィンチ:「僕たちだけで?」

GM:ジィクを含めたヒルダ直属の騎士が隊を連ねている。勿論戦をするような数ではない。


GM:ここはバルチモアの辺境の貧しい山村だった。

ジィク:バルチモアの国境じゃないか。「ここまで入ってしまっていいのか?」これは面倒ごとになるんじゃないだろうか。

GM:君の呟きを耳にした隣の男性。浅黒い肌のローブの男・副官のハバリクは苦笑しながらもその顛末を説明した。

ジィク:「ハバリク知っているのか?」

GM:「今、バルチモアでは酷い飢饉が起こっているんですよ。辺境の村々は飢えて死ぬものが後を絶たないのです。」

ジィク:「なるほどな。」それで姫が援助を考えたのか。やりそうな事だ。「……しかし、隣国だぞ?」

GM:肩を竦めるハバリク。「常識が通じる方ではありませんから。一応私たちはバルチモアの支援部隊を名乗る予定です。」

レグルス:ええー(困り顔)

ジィク:国家問題じゃないか。下手すれば両国の戦争の火種になる。「バルチモアは飢饉に何も手を打っていないのか?」

GM:「……はい。」ハバリクの表情が曇る。「大都市でも飢饉は深刻なのに、辺境の村にまで手が回りません。それでなくてもバルチモア貴族の政治というのは民はおいてけぼりなんですよ。おそらく鉢合わせる可能性は少ないかと。」

ジィク:でも用心に越したことはないな。


GM:ジィクが言葉足らずに民間人に武器の扱いを教えていた。彼らは普段なら、余り武器に携わらぬ人々であった。

ジィク:自警団か何かの組織をしようとしている、ってところか。

GM:そうだね。

ジィク:久しぶりに上手くいっている。

GM:人々が汗を流し、作業に従事する。土をかき出し、石を組む。そして歓声が上がる。あふれ出た水は、井戸を忽ちに満たし、それは水路に流れ込む。水車が回り、桶が水をくみ上げると、それは村の各地へと送られていった。

ジィク:これでひとまず水は確保できたな。

GM:「ジィク!ハバリクが井戸を掘ったぞ!!」ヒルダは両手を上下に振って狂ったように飛び跳ねた。子供のようだ。

ジィク:「やったな。ハバリク」とねぎらいの言葉をかけよう。

GM:ハバリクはからくりの図案を巻いては懐にしまった。井戸を見つけたのも、からくりを考案したのも彼だった。「これで耕作地が広がるでしょう。」ハバリクは笑顔を向ける。

ジィク:「この国の飢饉は酷いものだな。」どのくらいの規模の村なの?

GM:何百人単位の村なので大きなほうじゃない。でも飢饉の為にこの村は全滅しそうになっていた。

ジィク:うむ。

フィンチ:この援助活動のことを知りたいな。情報収集していい?知識の方がいい?

GM:知識かな。知識12でだいたいのことはわかるけど、14なら詳しい内情まで説明しよう。

フィンチ:(コロコロ)お、いい!15。

GM:姫は具体的な復興方針もないまま勢いで来ている。一方ハバリクはこの飢饉のピークで死者を出さないだけの兵糧分配をしつつ、そしてこの土地の改善も考えているんだ。一番の問題は内政干渉だ。両国の関係は元々かなり悪い。でも人道的にはありだ。

フィンチ:うんうん。僕は悪くないと思うよ。でもばれないようにしないとね。

ジィク:「ばれないようにしてくれ(笑)」


GM:そんな時、村人が詰め寄っていた。彼らの雰囲気は剣呑としたものだった。

ジィク:なんだ?荒事か?

GM:理由は隣村の人々だ。飢饉で村を捨て、この村にやってきたのだ。「食料を分けてくれ。」「こっちだって精一杯食いつないでいるんだ!!」隣村の男達は刃物を手に――。

ジィク:そうか。隣村の人々も噂を聞きつけたのか。しかし、ここで戦うのか……うーん。

GM:略奪が始まる、その刹那。横から巨大な手が、男の手の刃物を奪う。巨漢は戦友のゴダ。2mをゆうに越す長身の男で、筋骨隆々とした体には歴戦を物語るキズがある。

ジィク:「お前、ゴダ!」

GM:彼は短剣を奪い取ると、なんと口にくわえてバリバリと噛み砕く。

ジィク:おいいぃぃ!(笑)

GM:勿論口は血まみれ、ペッと金属片を吐き、ニヤリと笑う。村人は顔面蒼白。

フィンチ:駄目だ。勝てるはずがない(笑)。

ジィク:なるほど、これも一つの仲裁…なのか?(笑)。

GM:ハバリクは分けられる食料をすぐに計算しなおし、それを用意し始める。ゴダは村人に頭を下げる。「こいつらを責めないでやれよ。飢え死にするより奪うのが筋ってものだ。」

ジィク:ああ、そうだな。

GM:ハバリク「衣食足りて礼節を知るというのです。法や道理を説くのなら、最低限の余裕とゆとりが必要なのです。」ゴダは「そう、それよ」と手を叩く。

ジィク:とにかく、争いにならなくてよかったぞ。俺たちは援助に来たんだからな。


GM:さてフィンチだ。君は復興の為に従事しているヒルダとは違い君は宿屋に泊まっていた。野宿はしないだろ?

フィンチ:うん。僕は虫が嫌いだからね。野宿はしたくない。ヒルダ姉は。

GM:朝早くから仕事に出て行った。ここにいるのは君と従者のフランクぐらいなものだ。

フィンチ:「フランク今日は何しようか?」

GM:「ひぎぃ」少女が一人店に飛び込んでくる。彼女はこともあろうにフィンチの椅子の下に、隠れると表をうかがう。

フィンチ:んん?

GM:ドアを蹴破り、屈強な男達が入ってくる。手に斧を持った、見るからに野蛮そうな男達が二人である。

フィンチ:あれ、凄く危険な匂い。がする

GM:「ここにガキが入ってきただろう。」

フィンチ:ちらっとみるけど、多分この子だよね。

GM:「身長130cm。キラキラした瞳で一見無害そうだが、毒舌で話をすると一発で印象を悪くするような害虫みたいな娘だ。」

爆笑!

ジィク:詳しい!詳しい!(笑)

フィンチ:詳しすぎるよ。僕はフランクと目を合わせる。「え、どうしよう?」

GM:フランクは指で机の下を指そうとする。その股間をむんずと少女が掴む、すさまじい握力だ。

爆笑!

GM:「ほあああ!」(笑)フランクは聞いたこともない声を出して悶絶する。

ネフィリア:(男達)「なんだこの小僧。変な声だしやがって!」

フィンチ:「こ、ここには僕たちしかいません。」フランクは人質に取られているんだ。僕が守らないと。

GM:フランクは必死になって下をアピール。男達は少女に気がついたのか――

フィンチ:気づかれたよ!

ジィク:そりゃ気がつくよ!

GM:斧を振り上げてご挨拶・サヨナラしに走ってくる。「死ねぇーー!!」

フィンチ:「いきなり死ねぇーって一体なんなの!」

GM:少女は何を思ったかストッキングを脱ぎ始め、そこにたくさんのスプーンやフォーク、その他のものを詰めいれる。

フィンチ:「あの……ねぇ。君も何してるの?」

GM:少女を引きずり出す男。ストッキングヌンチャクが男の頭部に命中。「いいでしょう?このまま天国までいっちゃっていいのよ?」

爆笑!

フィンチ:「何これ!何この女の子」いちおう加勢するかな。女の子の方に。フランクが人質だからね(笑)

GM:じゃあフィンチも戦闘に巻き込まれる。

フィンチ:一応男達に聞いておくかな。「交渉とかする余地はもう無いの?」

ネフィリア:(男達)「まったく完全にな!」

フィンチ:僕には話が見えない。止めよう。レイピアを抜く。「いいのかい。僕はできるよ!!」行動値は7.

GM:そっちからだ。

フィンチ:「よし。お前たち!痛い目にあわないうちに……」(コロコロ)ファンブル。失敗!

爆笑!

ジィク:ファンブったよー!!(笑)

フィンチ:剣が!剣が抜けない。ひっぱってるのに抜けないよー!「待って!待って!ごめん!!やりなおし」

GM:(フランク)「王子ぃぃい!」

ネフィリア:(男達)「おい見ろよ!こいつ剣に手をかけやがったぞ!」

爆笑!

レグルス:早いな。さっそく一人逝ったか?(笑)

フィンチ:「いやぁあああ!フランク!!」

GM:では男達が襲い掛かってくる。目標値は(コロコロ)16だ。

フィンチ:これ!厳しいな!(コロコロ)17.避けた!もう剣を抜くのは諦めた。ヒラリヒラリといなそう。

GM:君の番だ。

フィンチ:「もうやめましょう!僕は初めから当てるつもりないんですよ。」よし「話し合おう!」と手をかざして――

GM:男はそれに対して、納得したのか拳を下ろしようやく話し合いができるかと思った矢先、ストッキングが男の頭部を殴打。

爆笑!

GM:男は昏倒する。

ネフィリア:(男達)「こいつ……はかりやがったな」

フィンチ:「違う!そうじゃない!」

GM:少女は倒れている男の首をストッキングで締め上げている。酒場の主人が後ろから羽交い絞めする。「離して、コイツ殺せない!」

爆笑!

GM:というわけで、男達は縛り上げられている。君の席の向かいには先ほどの少女が座っている。

フィンチ:「何か悪い夢を見ていた。」呆然としていよう。

ジィク:顔は可愛いのかな。

GM:可愛い……というか。

ジィク:……

フィンチ:……

GM:いや、可愛いよ。

ジィク:その間は何よ(笑)

GM:可愛いといってもいい。年齢はフィンチより2つばかり幼いぐらいだ。「私はフランチェスカ。魔法工房の魔法使いよ!」ニコ!

フィンチ:「フランチェスカ。魔法使いをやってるの?」僕は初めて魔法使いにあったよ。

ジィク:メイジか?

フィンチ:自己紹介しないとな。でもここはよその国だから名前だけ名乗っておくよ。「僕はフィンチ。君はなんで追われていたの。」

GM:「こいつらは顧客だった奴ら。何か手違いがあったみたいね。」

フィンチ:「こんなゴッツイ男にどうしておいかけられていたの?」

GM:男達はベソをかき始める。「何が手違いだよぉ。お前の売った武器を使って一騎打ちしたら、途中で折れて兄貴は士官できなかったんだぞ。お前にいくら支払ったと思ってるんだよぉ。借金までしたのに。」

フィンチ:もしかしてアルケミストなのか?

GM:「返品は請けつけないわ。」そういって男の股間を踏みつける。

ジィク:おい!路線が危ないぞ!

GM:「サービス!サービス!」といいながらストンピングするフランチェスカ。男はギャアアアと悲鳴を上げる。

ネフィリア:彼女の名前はボールブレイカーとしよう(笑)。

フィンチ:やーめーてー!(笑)

ジィク:もし重要人物ならどうするんだよ!

フィンチ:「この町の人なの?」

GM:「違うわ。家は都だけど、私たちは材料探しに町を回るの」

ジィク:どこぞのアトリエシリーズのような仕事振りだな。

フィンチ:「そういえばさっき言っていたよね。剣を作ったの?」

GM:「私はまだ見習いだけどね。私たちバルチモア王立魔法工房はそういう武器をつくっているのよね。」

フィンチ:「へぇ!そういうものを売ってくれるの?ナイフとかも大丈夫」

GM:「大丈夫」

フィンチ:「じゃあ作ってくれない。こういうまぁるくて周りに刃物がついてるの、ぐるぐる回ると一杯切れるの。それで」

GM:「それ、なんて武器?」

フィンチ:「わかんない。」

ジィク:僕の考えた『さいきょうのぶき』じゃないか(笑)中二の発想だろ!

GM:「後は私の仕官相手を探しているの。」

フィンチ:「仕官相手?」

GM:「ロードってこの国にはほとんどいないの。ロードに仕えてメイジは初めて一人前よ。」

フィンチ:「へぇ。探して歩くほどなの?」

GM:「ロードなんてほとんどいないもの。他にメイジを雇っていたりすることもあるし」

フィンチ:「なるほど。倍率が高くて大変なんだな。」目の前にいるけどね。しかも二人も。

GM:そうフランクも実は近衛騎士・パラディンとしての資格をもっている。「僕もロードだ!」とフランクが行った瞬間。フランチェスカは股間をにぎりしめる!

ネフィリア:おおおぉぉ!

GM:「荒事で縮み上がっているヘナちん野郎はおよびじゃないのよ!」

爆笑!

GM:「とれちゃうよー!」

フィンチ:「ちょ!」

GM:「無様な姿を幻滅してあげるわ!さぁ精一杯幻滅してあげるわ!お泣きなさい!」

爆笑!

ジィク:ゲスどころじゃない!(笑)

フィンチ:「さすがにやめてよ」とめよう。「それは不味い!そこまでにしてあげて」

GM:転倒するフランチェスカ。「突き飛ばしたわね?女の子を。ふふ……最低♪」

爆笑!

ジィク:どういう奴だよ。この変態は!(笑)

ネフィリア:(フランク)「キモ!(笑)」

GM:フォークが投げられてフランクの股間に刺さる。

ジィク:狙いが良すぎだろう!(笑)

ネフィリア:やっぱりそいつボールブレイカーだろ!(笑)


GM:というわけでフィンチは女の子に出会いました。

ジィク:未来の配下だろう。

フィンチ:えぇー。なんかやだー。


GM:続いてジィクのシーンだ。開拓は順調に進んでいる。これなら自分達が帰った後も安定した生活を維持できる。秋までつなげば、そういう時に視界に騎士団風の人々が入る。

ジィク:なんだ。マズイ。これはマズイぞ!バルチモアの騎士団か。

GM:見張りに出ていた兵士アスラン。彼はウルス語で何かをまくし立てた。ちなみに彼は前回ジィクを引き抜きに訪れたウルスの若い戦士だ。今は君の仲間だが。

ジィク:お前も仲間になったんだな。だが、何を言っているか俺にしかわからんじゃないか。横にわけいって「なんだ」と声をかける。

GM:「馬車の一団が来る。兵士の数は多くないが、行列を率いている。」

ジィク:うーん。これは撤収は難しいな。姫には隠れていてもらおう。俺とハバリクで対応する。アスランは隠れていてくれ。お前のクラスは?

GM:アーティストでシューターだ。

ジィク:なら万が一の時は狙撃だな。ゴダは姫のところへ。兵を出したくはないが。

GM:訪れたのはどうやらバルチモアの兵士ではない。旗印はインダストリアである。

ジィク:お?因縁の?


インダストリアはバストラール傘下の国であり、城塞都市として安定した近代国家を作っている。
政治は議会制政治をしていることでも有名で、民主化の先駆けのような国だ。軍事力は弱く、外交によって国を守っている。


ネフィリア:うちの国はスカスカじゃないか。これじゃ本当に先が思いやられる。

ジィク:インダストリアはバルチモアから近いのか?

GM:いや。距離がある。

ジィク:これは本当に奇妙な光景だな。

GM:馬上から身を降ろし、その人物は町の光景を一望する。「これはどうしたことだ。」壮年の男性であった。知性をもった鷹という印象を受ける。貴族としての華奢なラインでありながら、まるで歴戦の戦士のような面構えをもっている。

ジィク:特に剣呑な雰囲気ではないようだな。どうするべきか。

GM:「この開拓団の責任者はいずこか?」とその男が声をかける。

ジィク:姫は下げたからな。俺が出て行くか。バルチモアの貴族と名乗るのも俺では難しいだろうからな。ええい、取り敢えず頭を下げよう。

GM:「ほう。君が責任者か」とその男。

ジィク:ばれるかな。ウルス族は肌が褐色だからな。

GM:なんとなく納得がいったような顔をしている。そしてようやく彼が名乗る。「インダストリアのウィリアムです。バルチモアの許可を受け民に支援の物資を運んでいます。」

ネフィリア:な、なんだと!


今は併合されてしまった大都市・インダストリアを率いて、一度はカルディアの抗った男である。


ジィク:「俺は……」

GM:涼しげな笑顔。「本来ならば名乗らなくてはならないが、そうすると互いに不都合。ここは名乗らずにおきましょう。」

ジィク:お、察してもらえたんだな。慧眼だ。しかし何故このバルチモア王国に……

GM:「この国の困窮はインダストリアまで響いています。インダストリアの支援が決定し、各地に物資を運んでいるのです。」

ネフィリア:うちの国は既につばをつけられているのではないのだろうか……

GM:「ふふ、インダストリアの込み入った事情をお話しましょう。我々はもともとバストラール側の派閥でしたが、バルチモアにも上納金を納め元々中立的な、いや友好的な関係を結んでいました。諸国の盟主として覇者の地位にあるバルチモアは領土まで望んでいるわけではありません。私たちはその両者と付き合っていたのです。」

ジィク:「それでわざわざここまで?」

GM:「勿論、バストラール・バルチモア両国に対して話は通してあります。そうでなければ内政干渉と戦争の火種にされてしまいますからな」

ジィク:姫がやっているのはまさに内政干渉だからなぁ。これには困ったものだ。

GM:姫が物陰で萎縮しているのを感じる。

ジィク:出てこないでいいです。

GM:「しかし、人の善意に屁理屈を言う奴は馬に蹴られて死ねばいい、というのが私の持論です」

ネフィリア:おお!

GM:「私はこの地方に拠点を設けて、そこから医療・教育・技術的な支援を行っているんですよ。」

ジィク:「随分とバルチモアの待遇がいいな。バストラール側の派閥なのに」

GM:「バルチモアはこう考えているのです。インダストリアはバストラールにしたがっているだけ、バストラールを落としさえすれば自ずとバルチモアに従う国だと。」

ジィク:ふーん。なるほど。あながち嘘でもないな。インダストリアは軍事的には無力だ。バルチモアが容認するのはわかる。バストラールが容認する理由はなんだ。

GM:情報とかかなぁ。

ジィク:確かに情報が入ってくるのは有利だ。まぁ何も聞かずにいてくれたことには感謝する。俺も礼を述べなくてはならないだろうな。個人として名前だけ名乗らせてもらおう。「俺はジィク」

GM:「私はしばらくは町に滞在する予定です。縁があればまた」

ジィク:「ああ」姫に目線を送ろう。

GM:用意周到なウイリアムに対して、ヒルダは自分のやってきたことが幼稚的に見えて、赤面をした。


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