Climax phase
シーンPC レグルス
【落日のバルチモア〜バルチモア〜】
GM:ロアン国王は王座にしがみつき、吠えていた。その姿は椅子を奪われたくないという哀れなまでの必死さを滲ませていた。そして魔法使いを含めて誰もが予想しない報告に驚愕する。「大変です。国民が反乱を起こして……」
ネフィリア:あぁあああ!
フィンチ:おーう!
ジィク:国民……反乱??
GM:「なーんでそーなる!!父ウラヌスは死に、ようやく私の時代が来たのだ!私の時代が来たのに!」
フィンチ:なぁんだこいつ!?
GM:次々と届く訃報「ナンデ……私は父親という尊い犠牲を差し出してまで、王座に上ったのに……」
フィンチ:どういう発想だよ!
ジィク:こいつはダメだな。
GM:一方、エリザベート皇后も恐慌していた。「アスラハンの援軍が来ないと言うのですか!?」「は、バストラール軍に敗北したアスラハン軍は戦線を引き下げ……」「聞きたくない!貴様は敗北主義者なの!?そんな報告は聞きたくない!」
ジィク:こっちもなぁー
GM:「ナンデ、連合・アスラハンの協力まで得て作り上げた私の完璧なるプランが……私は夫という尊い犠牲を差し出してまで、練り上げたのに……」
爆笑!
ジィク:血が繋がっていないはずなのに間違いなく親子だ!
GM:市民のよる蜂起が各地で起こっていた。抑圧された民の反乱により、各地で領主が土地を追われるという事態になる。
レグルス:市民の反乱?今まで一度も無かったのに、何故この時期に……タイミングが良すぎる。「反乱の首謀者は誰だ?」
GM:それが中々見つからない。そこには違和感。誰に言われるでもなく、抑圧された民が、カマや鍬をもって立ち上がった。それは開拓者の人々であったり、貧困から山賊に身をやつした人々だったり、色々な人々の集まりだった。
フィンチ:これは……
ジィク:戦に負けたばかりで兵士には収集できないだろうな。
それぞれの最後
GM:ゴドー宰相は部屋でゆったりとしていた。「アハーアハー」笑い声だけが響く。この数日、濃度の高い薬物につかりきり、脳のそこまで呆けていた。「アハハハ」乾いた笑い声を残すだけ。
ネフィリア:あっああ……。
フィンチ:……こんなになってしまったんだ。
GM:エンゲルスは落胆の色を隠さない。「ちっ、最後までつかえん男だったな。」
フィンチ:エンゲルスはまだ生きていたよ。
GM:そんなところに報告が来る。バストラールに亡命していた姫が向かっているというのだ。
レグルス:「(呆然)……え(驚愕)」
GM:一派は狼狽していた。「姫が向かってくるのなら、我々は勝ち組なのではないでしょうか?」
ジィク:こいつら!!
GM:「貴様たちは父よりも考え方が甘いようだな。あの姫は我々の思い通りには動かぬ!絶対にな。」エンゲルスは理解していた。あの姫は縛れない。
ネフィリア:そうですね。動かない(笑)
GM:だからこそ薬物を使ってまで屈服させようとしたのだ。自分が姫を手懐けられないことを、誰よりもこのエンゲルスが理解していた。
フィンチ:格好良く言ってるけど!!こいつダメだよね?
ネフィリア:ろくなことやってませんから!!
GM:とすれば、国王ロアンかカインに取り入らなくてはならない。エンゲルスはレグルスに尋ねる「お前の意見を聞こう」
レグルス:「うーん……これは、なんだって、え、そんな。」マズイでしょ。民は国王を掲げたりしない。国民の立場だとロアン王子はもとよりカインだって掲げるかどうか……。敗戦直後のバルチモアだろー。魔法使いの派閥ぐらいじゃないと、この反乱の鎮圧や国を守ることができない……じゃない。
GM:兄エンゲルスも不安を隠せない。
レグルス:「とりあえず兄上。こいつはもういいよね?」とゴドーを指差す。
一同:うわぁああ。
GM:「もう用なしだ。」冷淡にいい放つエンゲルス。
レグルス:誰かに担ぎ上げられてはいけないしな、どうせ処刑される身だ。誅殺しておこう。手から雷を放つ。バリバリ!
ジィク:やりやかった!
GM:麻薬に惚けた父ゴドーがその痛みを理解していたかわからないが、その死に顔には苦悶の色は見られなかった。エンゲルスは理解した。「どうやら、我々ロードの時代は終わったようだな。メイジの時代、見せてもらうぞ。」
レグルス:「交代したといっても役割がなくなるわけではありません。兄上」
GM:「傀儡でもなんでもするがいい。私はただ舞台の上を踊るまでよ」とエンゲルスの口元には諦めにも似た自嘲が浮かぶ。さてそんなところでビジュアルシーンだ。
「どうする!どうするつもりだ!貴様ら。責任を取れ!自決しろ。」
ロアン国王は最早離しにならない。ヘルファイアとサンダーフォージを罵倒し続けるだけだ。「父上!父上!」悲鳴を上げる。
ネフィリア:ああ、なんかもう、哀れで!
「黙れ!」ヘルファイアが業を煮やし怒鳴る。
「兵士よ。コイツの首を跳ねろ」ロアンが二人の魔法使いを指差す。
フィンチ:もう駄目だ。ロアンはもう駄目だ。
「黙れ!」ヘルファイアが丸太のような拳をロアンの顔面にぶつける。
あまりの衝撃に首は180度逆の方向をむく。即死である。
一同:あー!!
「黙れ!」物言わぬロアンに履き捨てるヘルファイア。サンダーフォージは動じない。
「さてどうする?ロアン殺しちゃあマズイんじゃないか?」
「どうせ国民の怒りの矛先に 生贄に差し出すつもりだった。それに王族ならまだいる。」
「カインか……妥当だな。国民の支持もまぁまぁあるだろう。姫はどうする?」
「カインがいれば姫はいらん。バストラールと結びつきも強すぎる。今さら付け入る隙が無い。」
「だな。冴えてるな。」
レグルス:そこへやってくる俺。「俺がやろうと思ったことをやってもらって申し訳ない。」とロアンの亡骸を確認する。
GM:「手間を省いたぞ」とヘルファイアが冷静さを取り戻し答える。
レグルス:「これで話が分かりやすくなった。でも問題はカインよりもエリザベートのほうだ。彼女に上に居座られたんじゃ、何をするにもそう、その、あれだ、邪魔。」
爆笑!
GM:「それはダンカンが手はずを整えている。」
レグルス:「やるね♪あいつ」俺はちょっと行ってくるか……。
GM:「レグルス=サン。兵を集めねばならんぞ?」と急がしそうなヘルファイアだが。
レグルス:「ちょっと俺も野暮用って奴かな。行ってくる。」と俺はその場を後にしようか。牢にいるブラックスミスに合いに行こう。これは……やらないわけにはいかないんだよ。
ジィク:ブラックスミスか。
うまくいかんな。俺達は――
GM:地下牢は囚人で満たされていた。
レグルス:そこに降りていく。
GM:それは拷問部屋でもあり、その場所に鎖でつながれた男の姿があった。大男。全身傷だらけである。うなだれて動く様子も無い。横には死体が吊るされている。長い髪。女か?
レグルス:これは……俺が言えた義理じゃないけど……な。「なぁ……ブラックスミス=サン。……」
GM:ブラックスミスは僅かに顔を上げる。
レグルス:「……生きたい?」
ジィク:は???
レグルス:……この国は鉄火場だ。お終いだ。でも俺達メイジはバルチモアを守らなきゃならない。「なぁ、俺は話をしたいんだ」
GM:「……何を?」
レグルス:「俺はあんたに恩を売るつもりも無い。でもさぁ、あんたどうしたい?」
GM:「……」
レグルス:「俺が聞きたいのはあんたが生き残りたいかどうかなんだ!?あんたは危険な男なんだ。俺達には野放しにできない。でも娘がいるんだろ?娘にどうしても会いたいっていうのなら……」
GM:ブラックスミスはレグルスの言葉に、その正直さに口元を緩ませる。
レグルス:「そりゃそうだろ……」俺は何言ってんだろ。ふぅ、こいつを生かしておくのはさ、あんまりメリット無いんだ。こいつの奥さんをここまでしちまってさ。それをやったのは俺の兄だ。だから俺も同罪だし……。生かしておいたら憂いにしかならない。「あんたを影響力が強すぎる。だから聞いているんだ!!」
GM:「……」
レグルス:「ふぅ……どっちを取るか選ばせてやるよ。」
GM:「……」
レグルス:「……」
GM:「選ばせてくれるってのに悪いが……やっぱりNOだろう。俺は生きてりゃ奴等に仇成す男だ。」
レグルス:「やっぱな……そう言うと思ったよ。」
GM:「俺も……仕方ねぇ男だな。」と苦笑する。
レグルス:「正直だな。」
GM:「奴等に伝えておいてくれ。おとといきやがれクソ野郎、ってな。」
レグルス:俺は……雷を――
GM:「レグルス=サン。うまくいかんな、俺達は……サヨナラ」
ネフィリア:俳句を……詠んだの?
レグルス:バリバリと手から雷を放つ。
GM:―――ブラックスミスはもう動くことは無かった。その光景を見る視線を感じる。それは入り口に立つガラティアの姿だ。
レグルス:俺は……牢から出る。
GM:「レグルス」とのガラティアの呟き。
レグルス:「なんだ……当然だろ……アイツを助けることに……なんのメリットも無いからな。」
すれ違う。
その後姿に呟くガラティア。
「ならなんで、そんなに必死に説得しとったん?」
そしてレグルスの後を追う。
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