Pledge scene
シーンPC フィンチ・ネフィリア

【雨の中の誓い】

GM:そしてバストラール王国。フィンチ王子・ヒルダ姫はひと悶着こそあったものの無事にバストラールに帰還していた。ネフィリア姫も結局バストラールに戻ってきているという状況だ。

フィンチ:僕はバルチモアの状況や麻薬がはびこっていることも知ってしまったんだ。

GM:そうだね。そんな中、バルチモアが使者を送ってくる。国王ウラヌス自らバストラールのカルディア女王に謁見を求めていた。

ネフィリア:お父様が?

ジィク:軍隊は?

GM:はるか後方に控え、軍事的な意図は無いとアピールしている。

ジィク:……国王自らやってきたのか。


GM:重臣達はさっそく話し合いを始める。宰相「国王の用件はわかっております。国王はバストラールとの侵略を止めるために楔を打ちに来たのでしょう。」

ジィク:ヒルダの横で俺も話を聞いている。「ロアン王子が跡継ぎになれば国は滅びるからな。」

ネフィリア:「やっぱり滅びますか……」

ジィク:「まぁ、滅びるだろうな。」ロアンが国王になっても誰も従わないだろう。国は分裂、国内で内乱状態になるんじゃないか。そこへバストラールが乗り出していく。と俺は踏んでいるけどな。


GM:「バルチモアはもはや滅亡の一途をたどっている。ここでの和議にはなんの意味も無い。我々が攻め取らなくてもアスラハン等の他の強国が滅ぼすことになる。」と宰相は説明している。国王自らが使者に来たという事実に多少心動かされていた重臣達も反論が出なくなる。しかし、その場に女王の姿は無い。

ネフィリア:いないんですか?

GM:カルディア女王も知らせは聞いている。宰相は重臣の意見を纏めつつ女王に伝えるつもりだが、結局女王が決めたことが全てだ。

ジィク:カリスマが違う(苦笑)

ネフィリア:うちの国とは全然違う。重臣が現状把握のために会議してあらかじめ意見を取りまとめておくなんて。

GM:そしてそんな一同に女王の裁可が伝えられた。

ウラヌス国王は閉ざされた王城の城門の前で待った。
女王の会わぬ。
意思の表れか、城門は固く閉ざされていた。やがて雨が降り始めた。
しかし、ウラヌス国王は動くこともなく雨の中、門が開くのを待ち続けていた。


フィンチ:僕は、僕だけでもウラヌス国王に会おう。僕も雨の中飛び出していく。「国王陛下!」


雨がフィンチの頬を打ち、髪を濡らす――


GM:宰相は「王子!」と静止の声を張り上げたがすでにフィンチは走り去った後。「会うのはいい、しかし仏心を出してよからぬことにならねばよいが……」宰相は嘆息した。

ネフィリア:「私も行ってきてもよろしいですか?」

GM:宰相は暫し沈黙。そして「どうぞ」と促す。

ジィク:ネフィリア姫には権威は無い。いかせても構わないだろうしな。

GM:城門の表では降りしきる雨の中、跪いたウラヌス国王の姿があった。居丈高のバルチモアの国王がここまでするというのは通例考えられぬことであった。

フィンチ:「国王陛下!」

GM:「フィンチ王子。先日は失礼した。」と頭を下げる。

フィンチ:「そんなお顔を上げてください。」

GM:「フィンチ王子。ネフィリア姫を守ってくれてありがとう。あの時はそういえなかったが、今なら言える。」

フィンチ:「……陛下」

GM:「どうかネフィリアに与えた温情でバルチモアに接して欲しい。後生だ。」


ネフィリア:「……お父様。」私も雨の中お父様に歩み寄ります。

GM:「ネフィリア。」ウラヌス国王はネフィリアに対して慈愛のまなざしを送る。「ワシは連合の要請で遠征に行く。お前には何も父親らしいことをしてやることができなかった。すまない。」

ネフィリア:「そのようなこと……私も娘らしいことは何もできていません……」……うわぁ。

GM:「お前を守ってくれる者はバルチモア国内におるまい。バストラールに行ったとて、お前は政治に利用されるだけかもしれんされど、少なくともお前の命を守ることができよう。」

ネフィリア:私は……そんな……。

GM:「お前はもう政治のことは忘れなさい。この国に来たのだから、この国で生きて、この国の民になりなさい。」

ネフィリア:「そんな……私は」

GM:「約束してくれ、お前を政治の舞台に立てたいと思ったことは一度もたりとも。わしはいつもただただお前がバルチモアのどこかで生きていてくれればいいと思っていた。ただそれだけなのだ。」

ネフィリア:「私は……何かしたい……お父様の子供として何かしたい。」

GM:「お前の気持ちはちゃんとわしに届いている。だから……」

フィンチ:国王陛下……

GM:「フィンチ王子。言うことを聞かぬ娘だが、……頼む。ネフィリアを守ってくれ。わしの遺言だと思って。」

フィンチ:「約束します。誓って!」僕は誓いを立てよう。ネフィリアを守ると。

ネフィリア:「私も誓います。何があっても……生き延びる。」

GM:「ネフィリア……」

ネフィリア:「お父様……」

GM:硬く閉ざされあかない門。国王はついに諦めた様子。そしてウラヌス国王は立ち上がる。「……カルディア女王にお会いしたかったが、どうやら望みは叶わぬようだ。」


フィンチ:「母上……どうして会って下さらないのですか。」


知っていただろうか。
カルディア女王もまた、城門の裏でその会話に耳を傾け、雨に打たれていたことを。


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