Middle phase
シーンPC レグルス
【聖女が町にやってきた〜バルチモア〜】
GM:正式にバルチモアに向かう一同。国賓としてヒルダガルデ王女とフィンチ王子が向かい、それに加えて良好な関係を築いていたウイリアムも随伴する。ジィク達も、その警護として同行することになる。
ネフィリア:「あの、私は?」
GM:大きく名乗ってというものではないけれど一緒に向かっている。
ジィク:まぁ事情はあれ、亡命した手前なぁ。
GM:亡命の姫の帰還、国民はどうとらえるか。マリーアントワネットとルイ16世も亡命するまでは国内での人気は高かったからね。
ネフィリア:ああ……そうか。「なんて私……都合のいいことを考えていたんでしょう。」
フィンチ:「大丈夫だよ。国王を助けて国をよくすれば。」
ネフィリア:「そうですね。」
GM:国内に入ると驚くことに国民からの歓待が出迎える。でもこれはバストラールの人々への喝采だ。
ネフィリア:え!?
GM:街道には一目見ようと集まる人々。それは国の兵士の制止できるところではなく、バルチモアの兵士達が驚愕している。
フィンチ:え、なんで!?
GM:国民は今までヒルダやウイリアムの援助を受けていた人々だ。二人とも国内では救い主なのだ。
ジィク:(国民)「ヒルダ様〜!」(旗を振るしぐさ)
フィンチ:「そうか、今までやってきたことはちゃんと実っていたんですね。」
GM:そんな時一つの事件が起こる。通過しようとしていた街道、領地に入ろうとしたときなんと門が開かれない。
ジィク:「ん?なんだ。」
GM:「我々はロアン王子の式典に来たバストラールの使者です。お通しください。」ハバリクの説明。それに対しての返答はこうだ。「帰れ黒ちゃん。家畜風情が人間の言葉をしゃべっているんじゃない。家畜らしくブヒ―とでも名乗っていろ!」
ジィク:な、なんだとぉー!?
ネフィリア:こいつら何者ですか!?
GM:一般的なバルチモア兵士だ。
ジィク:「なんだと!国賓に対してその態度はなんだ!」
GM:「領主様から通すなというご命令だ。そんなに通りたければ別の道を通って都にいくんだな。ハハハ」途城兵は耳を貸さず、そればかりか弓を射掛けて追い払おうとする始末である。
ネフィリア:これはなんという領主です。どこの手のものですか!?「こんなことが許されると思っているのですか!?」
GM:ひとまず天幕で相談する中、事情を突き止めたウイリアムが帰還する。そして皆に告げる。「どうやら領主は怯えているようです。」
フィンチ:「怯える?」
GM:ウイリアムはあごに手を当てて腕を組み、思案しているような仕草。「仕方ありますまい。貴族というものは搾取するもの、人々の支持を集める指導者の存在など彼らには考えの及びつかぬものなのです。ヒルダ姫の人気を目の当たりにし、国民の熱気に恐怖しているのです。」
ネフィリア:つまり既得権益を持っている人には嫌われているのですね。
ジィク:「ハバリク。道を変えたとしても大丈夫か?間に合うか。」
GM:「ええ、でもこの調子じゃ、随分と遠回りすることになりそうです。」
ジィク:「警戒も必要だな。」
フィンチ:「でも別の国にまで名前が響いているというのは凄いですね。」とヒルダを見よう。
GM:白馬に跨ったヒルダは颯爽とした出で立ちとは裏腹に、緊張していた。「私の知らぬところで、まさかこんなことになっているとは。正直噂が先立ちすぎて荷が重い。」
ジィク:「いいじゃないか。民は正直だ。」
GM:ヒルダはどうにも合点がいかない。「何かまた怒られることをしているような気がするぞ」とクチを尖らせる。
ジィク:「そうだな。宰相の立場だと何かと大変だろうがな。」
GM:そしてウイリアムも横にいては付け足す。「今までヒルダ姫は人々の噂になれど、姿を見ることもできなかった人物。誰もが一度は見てみたいと思うはずです。」
レグルス:俺の立場だとそこまでなってるとかなり困る(苦笑)。まぁ俺でも貴族には石を投げたいけど。
爆笑!
GM:さて、そんな遠回りは人からの歓待を受け、この国内で存在感を高めていく。
ジィク:「伝説の人が目の前に現れたんだからな。」
GM:「ジィク!お前まで何をいうかぁ!」と拳骨を掲げたヒルダ。しかし、ふと耳に悪い噂が入ってくる。なんと追い返された領地で反乱が起こったらしい。
ジィク:「何!」
GM:領主が反乱で領地を追われたらしい。
ネフィリア:「バルチモア国民が反乱。そんなことがあるんですか?」
GM:古今未曾有の惨事だ。
ジィク:「あぁ……ヒルダがいるからだろうな。」
GM:「……そんな」と呟き驚愕と落胆のヒルダ。意図したことでは当然ない。
レグルス:だいたい国家の80%が反感を持っているんだから、火がついたらそりゃこうなるだろう。多分国王の跡継ぎロアンに民は絶望しているんだろう。こりゃ国王に何かあったらことだな。
ジィク:「因果応報だな。」ネフィリア姫の前で失礼だが、俺には当然の報いに思える。
ネフィリア:「……」
GM:ハバリクは提案する「ここは誰か先にロアン王子に我々が反乱に関係していないことを告げたほうがいいでしょう。」
ジィク:「なるほど。確かに反乱の首謀主に祭り上げられるとまずいな。さすがハバリクだ。よく気がついたな。じゃあ誰が行く?」
フィンチ:「僕が行くよ。国王に会えるかもしれないし。」
ジィク:「おいおい。大丈夫か。お前の腕で。」
フィンチ:「狙われているのがネフィリア姫やヒルダ姉さんなら、僕が行っても大丈夫よ。レグルスにも会えるかもしれないし。」
芸術の都・その裏側で
GM:では先にフィンチが向かうわけだ。これは準備前のバルチモアが見れるかもしれないね。
フィンチ:そうなんだ。
GM:早馬というものは、時に恐ろしいものを見せる。
一行を迎える準備をしている都では、害虫の駆除が行われていた。
城壁の外に乱立する貧民外スラムに騎士が火を放ち燃やしていたのだ。文字通り掃除である。
フィンチ:うわぁああ!!
ジィク:文字通りの掃除だ。俺はバストラールで奴隷の人々を見たが、これは国民だぞ。国民にここまでするか?
GM:既に処分が終わった死骸を、城壁の中に住む人々が、外の人々を埋める作業に従事していた。彼らの顔は蒼白。
フィンチ:「酷い……酷すぎる。」
GM:馬車に詰まれた花。それが駆除された跡地に埋められる。忽ち美しい町並みが作られていく。もし数日後に訪れていたら、この景色を見て綺麗としか感じられなかっただろう。
ネフィリア:綺麗な町を作ろうとしているのですか……
フィンチ:凄く汚らしいよ!!こんなのが綺麗なはずない。
ジィク:体裁ばかり取り繕って。
レグルス:『ここは芸術の都なんだよ♪』という感じじゃない。誰がやってるのかなぁ。国王かなぁ。
GM:国王ウラヌスは随分と老けてしまった白髪頭を染め直すのに手間をかけていた。長年の苦労は彼をやすやすと老いさせていく。それもこれもあの暗愚な息子のせいといってもいい。
レグルス:国王陛下……もしかしたら、もう長くないのではないだろうか……。
GM:フィンチ王子が来たという話しを聞き、謁見の座に向かう国王と付き添うレグルス。そこにはロアン王子の姿があった。
一同:おお、ついに出てきた。
GM:20を超えた若者で、体格はいいが、肉付きは鍛えられたそれではない。ふてくされたようなむすっとした顔、その傲慢な態度はありありと見て取れる。特に国王の隣にある椅子は、まったく同じ大きさ。
フィンチ:自分が跡継ぎであることを見せ付けているのか。
ジィク:なんて幼稚なプライドなんだ。
GM:国王は椅子に深く座りかかり、目も合わさぬ息子に何度か会話を切り口を探したが、フィンチか現れると威厳を取り繕った。「よくきたな。バストラール王子フィンチよ。歓迎するぞ。」
フィンチ:ちゃんと礼儀を尽くして挨拶するよ。「お初にお目にかかります。ウラヌス国王陛下。バストラール王国カルディアが息子フィンチです。」ぺこ。
ジィク:やはり、こういうほうが慣れているんだろうな。
フィンチ:「国王陛下。反乱は我々が起こしたものではありません。それは調べていただければわかることです。」と事情を説明しよう。
GM:「おお、そうかそうか。あの貴族の領地なら接収した。領地治め不行き届きだ。こちらの不手際、迷惑をかけてすまなかったな。」
フィンチ:「いえ……。」
レグルス:そうか、接収したのか。
GM:「国民の反乱は罪が多いことだが、此度は慶事だ。血を見るに忍びない。一先ず捕らえるが、後々恩赦を出すことにしよう。レグルスよ。今反乱の首謀者を捕らえよ。しかし刑は出さず、恩赦を出すことをいい含めさせよ。息子の誕生日に恨みを持つものを作りたくないのでな。」
レグルス:「御意」(ボソ)やっぱり、この国王がバルチモアの最後の支えなんだな。
GM:「フィンチ王子。これでよいか。」
フィンチ:「はい。」んーんー。「一つ伺ってもよろしいですか?」
ジィク:あ、言った!?まずいんじゃないのか?
GM:「ん?なんだ」寛大な国王を演出しているウラヌスは髭を撫でては笑顔を向けた。
フィンチ:「城壁の外で行われていたことについてお伺いしたいのですが。」
GM:ウラヌス国王は動揺する。狼狽。しどろもどろである。「そうだ。伝染病だ。」
フィンチ:「伝染病?この国では今伝染病が?」
GM:「あ、いや、もう大丈夫。事態は解決した」と取り繕うウラヌス王。
レグルス:陛下ぁ(頭を抱える。)
ネフィリア:お父様は半分正しいのに、いつも確実に半分間違えている。
フィンチ:嘘だって知ってる。僕は見たんだ。
GM:「館を用意するそちらを使ってくれ。」と案内させる。
フィンチ:「はい」退出します。なんか僕の目指す国王とはかなり違う。理想の国王からかけ離れた雰囲気の人だ。悪い人じゃないのかもしれないけど、なんか見ているものが違うような……。
GM:そしてフィンチが帰った瞬間このウラヌス国王は寛大な仮面を捨て、もとの国王に戻っていた。「読めたぞ!レグルス!」
レグルス:「はい?」
GM:「国内で反乱を先導していたのはヒルダガルデよ!」
レグルス:「マージーでー言ってるのー!!?陛下!」
爆笑!
フィンチ:この人はマジだ!
GM:「おそらく、ヒルダガルデは国内にバルチモア反乱分子を潜伏させていたのだろう。そして予定が変わったことで、反乱分子は暴発したのだ。我々には行幸であった。」
レグルス:「っ……はぁー。それで……国王はどのようなお考えで?」(頭を抱える。)
GM:「くくく。名案がある。ヒルダガルデをロアンの花嫁に迎え入れるのだ。そうすれば両国は血という固い絆で結ばれる。わしの後のロアンの代はこれで安泰だ!」
レグルス:「あの、うまくいかなかったら?」
GM:「ヒルダガルデは害にしかならぬ。始末しろ!」
ジィク:がぁあああ!!
レグルス:始末するというところまで含めて、ダメだと思うよぅ(消え入りそうな声で。)「しかし、私の見る限りヒルダにはそのような」
GM:「わしは確信しておる。この世には聖女などおらん!」
爆笑!
GM:ロアンは満面の笑顔。「父上、はじめて意見が合いました!」
ジィク:くそじゃねぇか!!
GM:「それではその処刑は私にやらせてください。私の子飼いの魔法使いにやらせましょう。その残忍さたるや」とロアンは興奮を隠さない。
レグルス:あの二人かぁ……腕は立つからなぁ。
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