Middle phase
シーンPC ネフィリア・フィンチ・ジィク

【ニールセン大臣〜バルチモア〜】

GM:それじゃ姫たち一行はどうしようか。

フィンチ:「そうだ。このまま、ここにいるわけにもいかないからね。」

ネフィリア:「一応ニールセンの領地に向かいましょうか。」


その領地は古いもので寺院や何かが中心となって作られた教会地区のようだった。 都から離れたその土地には貴族特有の浪費という美学とは程遠い、清貧という美学を包まれていた。 領主は大臣のニールセン。中央からほされた古臭い貴族である。 ネフィリア:「修道院とかの文化はここの文化なんじゃないかしら?」

フィンチ:「ちゃんと対応してくれるのかな?」

GM:ここは見張りの番兵もいなければ門も開かれたままという有様だ。

フィンチ:「ちゃんとここにいるの?」

GM:フランチェスカが口を挟む。「辺境の僻地の古城だからね。ニールセンは左遷組みだから財産も無いし兵力も無いわよ。なんか期待した。」

フィンチ:「うーん。じゃこの人がかくまってくれたりは元々できないわけね。」

GM:元々国王が姫を守れないぐらいなんだから、辺境に送られた大臣には無理な話だ。「国のことはわかるんじゃないか?」

ネフィリア:「そうですね。」

GM:一応場内は掃除されている。出迎えには碌な使用人は現れずニールセン自身が音を聞きつけて現れる。ニールセン。頭部は大きく、3頭身の小柄の老人。広いオデコは禿げ上がった頭とあいまって頭部の巨大さを強調していた。「ドーモ。ニールセン=デス。」

ネフィリア:「あ、メイジ!」

フィンチ:メイジの独特の名乗り方だよね。

GM:うん。ニールセンはかつての王様付きのメイジで、今はカイン王子の後見人のメイジ。

ネフィリア:それがこの待遇なんですね。

GM:「はっ!あなたはもしやネフィリア姫!」と老人は瞳を大きく開けて驚く。

ネフィリア:「私を知っているのですか!?」

GM:「それは勿論です。大きくなられまして、かつての面影が残っております」と孫と再会した老人のように喜ぶ。

ネフィリア:まだ私が父上に愛されていた頃に……「でも長居はできないの。お一人なのですか?」

GM:「僅かな使用人はおりますが、家族はここにはおりません。……都に残してあります。」

フィンチ:人質なんじゃないの。

ネフィリア:この頃痛感しました。この国は腐ってる。

GM:「修道院で火災があったと耳にしました。もしやと思いましたが、ご無事で。焼け出されてしまったのですね。他の者は?」

ジィク:ああ、そう思っていたのか。

ネフィリア:「………それは」

GM:ハンナは憮然としつつもやるせない怒りに肩を震わせる。衣服のすそを握り続ける。

ネフィリア:「もう……みんな」

GM:ただ事ではない。ニールセンも察する。「なんと、姫に刃を向けるものがいるというのですか」

ネフィリア:「はい。私にも事情はわかりませんが兄上ロアンの指示ではないかと。」

GM:ニールセンは苦虫を噛んだような顔をして梅干めいてしわくちゃになる。「もしこれを国王陛下に話しても、国王陛下ははたして犯人を罰することができるでしょうか。むしろそれを黙認するやもしれません。国王陛下は呪われているのです。」

ネフィリア:「呪い?」

GM:「国王陛下はあの魔法使い・アナハイムに呪いをかけられて、変わってしまわれた。昔は誰よりも我が子を愛していたのに……」

ネフィリア:「アナハイムとは?」

GM:「そうか姫はご存知なかったのか。まだ幼かったからのぅ。国王陛下のお抱え魔法使いがアナハイムです。10年ほど前まで仕えていました。」

ネフィリア:ちょうど私が修道院に預けられた時期ですね。

GM:「アナハイム。彼は王国に多大な寄与をしましたが、同時に王を呪った魔法使いです。軍隊の編成から布陣、商業の推奨。アナハイムの提案は見事でした。一度傾きかけた王国を立て直し、諸侯の連立を組み直すなど、彼の功績は大きかった。」

ジィク:優秀な魔法使いじゃないか。

GM:「あの男は先見の明がありました。王はアナハイムの提案をすべては受け取りませんでした。連立諸国の盟主の地位が安定すると貢物で国政を賄い、商業路線を改めてしまいました。またアナハイムが鍛え上げた軍隊を乱用し、度々遠征に出る等、国力はみるみる疲弊していきました。」

フィンチ:ううーん。国王のせいだよね。それは。

GM:「しかし、アナハイムは邪悪な魔法使いでもありました。国を生かすには2人の子供を殺さなくてはならないと呪いをかけたのです。」

ネフィリア:心を変える魔法とかじゃないよね。

ジィク:それが呪いとして伝わっている。

GM:「アナハイムが国を出たのは、おそらくその有能さを疎んだ宰相や、見捨てられたエリザベート夫人の画策でしょう。アナハイムも国を出る時は関心なく出ていきました。王は出るなら殺してしまおうと刺客を向けましたが、結局それもしくじり、現在に至るわけです。」 そうなんだ。今は居場所すらわからないのか。

ネフィリア:「何か手がかりはないのですか?」

GM:「そういえばアナハイムは一度だけこういいました。バストラールのカルディアに呪いを解かれた。と。それがどういうことなのか私は知りません。」

ネフィリア:隣の国の女王様ですね。女の人なのに女王様なんて。

ジィク:「あの国は何もかも想像を絶する。」

フィンチ:「あの人は只者じゃない。」

ジィク:母親だろ?!

GM:「とりあえずひとまず今夜は御泊まりください」

ネフィリア:ここには泊まるだけがいいだろう。行く先々で迷惑をかけている。

GM:「何かお力になれないでしょうか?」と老人は慈愛の瞳を向けた。

ネフィリア:この人は今も地位があるの?

GM:今や閑職と言ってもいい立場にあったが、多年王に仕えたことにより今でも地位だけはあった。

フィンチ:……無理そう。

ジィク:まだ追手は追いついていないだろう。急げるうちは急ごう。

GM:じゃ連立諸国貿易都市ユニオンに向かうということになるんだ。ついにバルチモアからは出て同盟国まで、歩を進める。


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