Middle phase

           

【〜弁明・あるいは再会〜】


王城の内部、国王の間までの景色は見慣れたものであったが、人事を随分と刷新されていた。新体制のもとではかつて親しんだ武官の姿は減り、今では問題の目は国外ではなく、国内へと向けられていた。

GM:そして君を出迎えたのは、柱の影に隠れるエルフィーナであった。

イヴァン:頷こう。今は言葉を交わすこともできぬ間柄だ。できれば彼女を巻き込みたくなかった……

GM:あの幼かった新国王は、王冠を被ることさえ困難な用事であったが、どうにか椅子に座るという大役はこなせるようになっていた。

イヴァン:完全な宰相による傀儡政権か?

GM:隣のサラミスは、怒りや憎しみを隠し、その隣に控えていた。今や二人の身分さは雲泥のものだった。

イヴァン:「弁明の機会が得られて感謝しております。」

GM:サラミスが国王のかわりに声をかける。「申し開きがあるのならば、申してみよ。」

イヴァン:「当方にはまったく身に覚えの無いことでございます。反心など抱くはずもございません。」

GM:サラミスの詰問。「渓谷砦に手勢を配置し、伺っていたことは反逆の意思からではないと申すか?」

イヴァン:「宰相は、ご存知のはずです。」


GM:サラミスは眉をしかめる。国王は「そうなのか?」と訪ねる。

イヴァン:「この度の嫌疑には無実のものが罪に問われ拷問を受けております。それでは私にも拷問が必要ですか。」

GM:「いや…それは」貴族への拷問は宮廷に住まうものほど嫌悪感を露わにする。

イヴァン:「しかし、私はそれでもかまわない。この指を落として無実が晴れるのであれば、存分にやっていただきたい。」と差し出した手には王より貰った指輪がはめられている。

GM:おお、忠誠の証!


イヴァン:この指を落とせば前王の名声も名誉も意味をなさぬという現れだろう。しかし、国王の権威を後ろ盾にするサラミスに、王権をないがしろにすることはできまい。お前も急速に権力を得た立場、これ以上波風を立てればいらぬ反感を買う。

GM:ぐぬぅ。彼は奥歯を噛み締める。

イヴァン:サラミス。国王など知らぬ。善悪は自分が決めるといえば、お前の勝ちだ。できるか?!


宮廷内部でも、その指輪の話は知れ渡っている。国王のいまわの際に差し出したその指輪こそ、彼と先王の逸話の花場である。


GM:「調べは…まだ具体的な部分は見つかっておりません。であるのですから、今の時点で罪人と決め付けることは…」と歯切れの悪いサラミス。

イヴァン:サラミス!


GM:国王が訪ねる。「どこからそんな話が出たのか」その質問に対して息を整えたサラミスは笑顔を取り繕う。「その指輪が指にあるのであれば、辺境伯にはそのまま領地を安堵していただければそれでいいのです。」

イヴァン:「宰相。どうも。」立ち上がり「嫌疑無罪として引上げさせて貰う。」イシュカに対して目を向ける。「引上げるぞ」

GM:「帰っていいのか?」

イヴァン:「ああ。」


GM:では王城の外で訪ねてくるイシュカ。「でも、これだけで…」

イヴァン:「血が流れなくて良かっただろう。」

GM:「まーねー。」

イヴァン:「イシュカ。俺は国家に挑みたいわけじゃない。国王への忠誠心をアピールすることは、サラミスの嫌疑を浮き上がらせて、アイツを孤立化させる。」

GM:で、王都でどうする?

イヴァン:帰る。さっさとな。気が変わることはいつでもある。帰れる時はいつでも帰る。それでも、多分今追跡はしてこないさ。

GM:まぁ、あの御前の一件の後じゃな。「じゃ、アタシが隣の領地を調べてくるよ。」

イヴァン:「言っておくが、今すぐ隣の領地を攻めたりはできんのだぞ?あれだけ忠誠心を語った後ではな。まぁ、行きたければ行ってくるといい…。」
GM:「OK。じゃ行ってくる。」

イヴァン:「じゃあな。」俺は帰る。隣の領地の取り調べも、これで多少は緩やかになるだろう。すぐに手が出せないのは残念だが、これで血も流れることはないだろう。


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