Middle phase

           

【〜帰還・あるいは決起〜】


イヴァンはどうなったのか?
イヴァンの領地は、その知らせを今や遅しとまっていた。

このまま戦になるのか、それともイヴァンは帰ってこないのか、色々な憶測が飛び交う中、傷を抱えて寝ている気にもなれないオレグとゴロンゾは戦々恐々とした日々を過ごしていた。



イヴァン:大変な騒ぎだな。だがまぁいい。と槍を担いだ旅姿で帰還しよう。「待たせたな。」

GM:「イヴァン。なんて奴だ。生きていたのか」と両手を広げてゴロンゾが迎え入れる。まさに戦仕度をしていたところだ。

イヴァン:「物々しいな。領地奪還か?それとも俺の弔い合戦か?」

GM:「それよりどうなんだ?結果は。」

イヴァン:「嫌疑無罪だ。」

GM:「はっ!嫌疑?そんなものは元から無いぜ」とようやくゴロンゾは首をかしげる。「それならなんだってあの野郎ども……」

イヴァン:「今回はしのいだが、必ずいつか戦になる。そういう相手だ。だが、俺達には戦の仕度もできていない。わかるだろ」と傷ついたオレグを見る。

GM:皆の目線が集まったことを気がつくと、オレグは反論する。「俺は大丈夫ッスよ!剣さえ握れれば。」

イヴァン:「馬鹿言うな。いいか、次の戦が最後の戦じゃないんだぞ。」

GM:「……ああ、そうですね。」

イヴァン:「それといいな。物騒なことを口にするな。」

GM:「あ、はい」そうだね。ようやく一同もまだ安全ではないことを自覚する。


その日の夜のこと。月明かりが照らすこの辺境の大地。領主の館。
イヴァンは久しぶりのベッドだというのに、物々しい気配は消えておらず、寝つきの悪い夜を過ごしていた。

おそらく集められた兵士がまだ兵舎にいるからであろう。近日集められた兵士への解散が呼びかけられるだろうが、それらは隣の渓谷領土が解放された後になるだろう。



GM:脳裏に浮かび上がる夢に、どうにも夢らしくない雰囲気に覚醒したイヴァンはそれがイシュカからの魔法。テレパシーであることに気がつく。

イヴァン:なんだ、あいつ。俺に魔法をかけていったのか。くそ!

GM:(「現在辺境領地ナウ」)

イヴァン:なんだ。まったく、今しなくてはならない報告か?

GM:(ギャアアア)(ギィーヒヒヒ!)

イヴァン:お前、もしかして戦闘しているんじゃないのか!おい!もしかして俺がやったファインプレーをチャラにしているんじゃないだろうな?

GM:彼女の視線では村では人気がないことに気がつく。(「どこいっのかなぁ…」)どうやら人々は昼夜を問わず砦作りに駆り立てられているようである。

イヴァン:何が何でも俺を王国から締め出すために、ここに要塞を作ろうとでも考えているのか?

GM:(「なんだこれ」)そして一つの洞穴の中、視界に入るのはうず高く積み上げられた村人の死体である。彼らの過酷な重労働が伺える。

イヴァン:助けにはいけない。悪く思うな。俺は善人てわけじゃあない。「とにかく、ようが済んだら帰ってこい」

GM:(「OKOK!」)


イヴァン:劉封の時の蜀の左遷に似ているな。閉じ込められることは不利だが、力を養うのにはいい、という奴だ。

GM:一瞬イシュカが動揺する。彼女の前に立ちはだかる影が3つ、「ドーモ、アサイラント=デス」「ドーモ。ネックハンガー=デス。」「ドーモ。ナイトフック=デス。」

イヴァン:バルチモア・メイジかよ!





GM:このナイトフックたる男。この領地に使者として訪れた男であった。

イヴァン:オープニングのあいつか…

GM:この様子からサラミスの手駒であるのは間違いない。覆面してたしね。

イヴァン:そうだった。

GM:ナイトフックの面頬の奥の瞳がイシュカを見据える。「奇妙なところであったな。しかし、お前がここに来たということは、僥倖かもしれぬ。あいつは中々口を割らず手を焼いていたが」「ドーモ。イシュカ=デス」。挨拶からコンマ1秒、アサイラントは絶叫。「サヨナラ!」と叫び爆発四散していく。

イヴァン:……ば、ば、ばかな。


GM:逃走するイシュカの退路を断つように兵士が現れる。崖に誘導されるイシュカ。「観念しろ!」そう声がかけられた時、彼女は崖下に身を投げる。「オタッシャデ!」

イヴァン:おい!

GM:彼女はヒーラーであり、生死判定において有利で、そのため飛び降りても死なないという自信があった。しかし、その宙に身を投げた彼女の体をフックが捕らえる。

イヴァン:……うううぅぅむ。


GM:そして彼女の意識は途切れ途切れになる。場所は足跡に作られた拷問室だろうか。メイジが、ナイトフックが水晶を小脇に置く。「やはりオモチャは念入りに壊しておくべきだった。主人にライブ中継してやる。」

イヴァン:ライブ……サラミスにこの一件が即座に伝わるのか?!くそ……致し方ない。覚悟を決めなくてはならない。立ち上がるぞ。「兵を挙げるぞ!」

GM:「どうしたんだ?」とゴロンゾが武器を片手に首をかしげる。

イヴァン:「イシュカが捕まった。もう言い逃れはできん。」あいつがいけば事を荒げるとはわかっていたはずだ……俺の人選ミスだった…。どうやら無罪放免を勝ち取り、気が緩んでいたようだ。


GM:こういう理由で立ちたくない?

イヴァン:俺だって祖国に、エルフィーナの夫に刃を向けたくは無かった。しかしイシュカが囚われた段階で、もはや言い訳は通じまい。イシュカはゴロンゾを含めた各地の領主に決起を持ちかけるような女だ。

GM:ああ、そうね。

イヴァン:エルフィーナがとりなしてくれたというのに……。無実を証明してきたというのに……。

GM:ゴロンゾやオレグが集まってくる。「領地を解放するんですね!」

イヴァン:口にはできないが……そういうつもりじゃ、ないんだがな。

GM:???

イヴァン:戦をするのなら、隙をつかなくてはならない。俺が無実を証明し、逆心無きと思われているこのタイミングでなくてはならい、というだけだ。

GM:確かに相手はここで兵を挙げるとは考えていない。都に言って弁明したのをただの時間稼ぎとは考えていないだろう。

イヴァン:これをやれば、先王への信頼を踏みにじり、先ほど口にした忠誠も地に落ちる、エルフィーナも傷つける……が……座して死を待つわけにはいかん。俺は誓いを立てる『信義を失っても、砦を奪う』


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