Middle phase 

          

【〜冤罪〜】

GM:そんな夢を見ていた時、突然ドアが叩かれる。時間はまだ夜分であるというにも関わらず、突然の騒ぎだ。

イヴァン:「なんだ一体。」

GM:「大変です。」そう言って召使が案内する部屋には、前の領地で鍛え上げていた若者オレグの姿かあった。酷い負傷をしており、その体には拷問を受けた様子すら見受けられる。

イヴァン:「オレグ。話しは後だ。手当てしよう。」

GM:「アタシに任せろ!!」とイシュカ。

イヴァン:「お前……かぁ。なんだお前。やっぱり館に入ってたのか……」

GM:「へへへ」

イヴァン:「有難うよ。」と金袋を握らせる。「丁度いい。医者が見つかった。手当てしてくれるらしい。」


GM:意外と腕前のほうは確かなようで、オレグの治療は進んでいく。

イヴァン:別にメイジとしての腕前を疑っているわけじゃない。俺と考えの違うヤツが俺の周りで暴走していると、後々の憂いになるんだ。距離はとっておかなくてはならない。


GM:容態が落ち着いたオレグは、次第にその状況を説明する。それは前の領地で起こった事件のことだった。「奴等軍備が整いすぎているとかイチャモンつけてきて。」

イヴァン:「魔物をを倒すための部隊だな。」

GM:「謀反を企んでいるとか言いがかりをつけてきたんです。そんなことはないというと…これです」と指を見せる。拷問によって何本か失われている。

イヴァン:「……うむ」

GM:「気をつけて、奴等の狙いは貴方です。」彼の話だと領地では指導者達が捕まえられているらしい。

イヴァン:「今は怪我治すことに専念しろ」


「反乱の証拠は集まらんか?」
サラミスはその報告をメイジより受けていた。元々
中央に対して反抗的な態度を取り続けるイヴァンであったが、後一歩の証拠や確信は抱けぬままであった。
いや、それはサラミス自身予想していたことである。
そもそも、イヴァンには反逆の意思など……

「捏造でも構わぬ。」いらだたしげに叱責。
オーブの背後のメイジが覆面から覗ける唯一の目を細める。
「辺境伯を失脚させるほどの罪の捏造というものは難しゅうございます。しかし、ご心配なく。隣でこうも慌しく騒げば、その煩わしさに兵を挙げましょう。そうなれば逆賊として扱えます。」
「ならば急げ!」
この個人的な粛清は、なるだけ小さく止めなくてはならない。



GM:ジィーとイヴァンの背中をイシュカが見ている。

イヴァン:「イシュカ…何が言いたい?」

GM:「アタシがその隣の領地、見てきてやろう。」

イヴァン:「駄目だ。話が大きくなる。最終的に狙っているのが俺なら、暗躍していると思われてはならない。戦の口実を与えるだけだ。」

GM:「へー。」

イヴァン:さてどうしたものか……疑いは早いうちに晴らさないとな。「行って来るか」

GM:「イヴァン自らが行く?話が大きくなる。私は安い復讐劇がしたいわけじゃない。」

イヴァン:「お前に言われる筋合いは無い!!それにこれはお前の復讐じゃない。」

GM:「じゃこれを受け取れ」

イヴァン:「なんだ。」

GM:「私の魔法だ。」

イヴァン:「何を貴様、偉そうだぞ。」

GM:「実際エライんだ。元々は。」

イヴァン:仰天だ。「偉いのか?マジで言ってるのか?頭がイカれてるから出た言葉じゃないのか?」

GM:「アタシを仕えさせるっていうのなら、偉そうにしてもいいぜ。」

イヴァン:「お前を仕えさせるって…お前、狂ってるじゃないか。ええおい。アタマは素面か、お前は病気だ。やることなすことな!」

GM:「ふーん。」


イヴァン:(腕組)だが、まぁ……少し考えないとならないな。戦をするつもりはないが……このままでは確実に厄介なことになる。やはり話をつけないとならないだろう。「わかった。一つ名案がある。」

GM:名案?思いつかないな。

イヴァン:「俺が都にいって直接話をしてくる。俺に考えがある。」

GM:「それ殺されるんじゃね?狙いはアンタだろ?」

イヴァン:「論議の機会も無ければ、どのみち殺されるだろう。どの道、戦をいま吹っかけられたら死ぬ。勝算のあるほうに賭ける。」

GM:「いいけど、アタシも行くよ。」

イヴァン:「イシュカ。お前が?」そうだなぁ、こいつ厄介な奴だからな。「まぁ別に来ても構わんが……お前を楽しませるような結果にはならんぞ。」

GM:「いいよ。で、具体的にどうするの」

イヴァン:「王の御前で弁明のチャンスを得て、その場で無実を証明してくる。」

GM:「サラミスから?白を黒って言う奴等から?」

イヴァン:「ああ、そうさ。」

GM:「ふーん。ま、いいよ。」


イヴァン:今回は護衛は連れて行かない。下手に人数を多くすればかえって荒事を招く。こういう時こそ単身でいかなくてはならない。さて弁明なんて言ったが、そもそも俺達が王の御前に立つのはそれ自体が難しい。謀反の嫌疑なんだからな。

GM:それこそ殺されるだろう。殺してさえしまえば、後は理由をつけられる。

イヴァン:俺はまずはコネを使わなくてはならない。「まずはイシュカお前に働いて貰う。」

GM:「おー。いーとも。」


イヴァン:「宰相サラミスの妻のエルフィーナに手紙を書く。弁解の機会を得られるようにという願いだ。無碍にはすまい。」

GM:「おい!アタシの恋敵だよ。アンタ何言ってんだ!」

イヴァン:「宰相サラミスは負い目がある、妻の後腐れを断ちたいという気持ちもあるだろう。断れない。そもそも宮廷は出来レース。それなら向こうは勝算のある宮廷で待ち構えるだろう。」

GM:「ハッハー!全賭けじゃないか!外したら男としても完全に負けじゃない。」

イヴァン:「別にどうもせん。下らん男が無駄に死ぬ。それだけだ。」

GM:「なるほど。」

イヴァン:「心配するな。勝算がある。」


久しぶりの王都に向かうイシュカの心は、恋敵の下を訪ねると会っては心弾まぬものであったが、単純な性格なのですぐに忘れた。
一方のイヴァンはエルフィーナのことを思いを馳せ、感慨深い道のりを歩いていた。

「本当はアンタの顔にキズを刻んでやりたいのサー!」
「あなたは」
「過去からの襲来者さー!ハハ、今のアタシカッコいい!」
イヴァンの窮地を知らせる手紙に、エルフィーナは小さく口元を震わせた。耳に入ってくるのは政治を知らぬものでもわかる冷遇と誹謗中傷ばかり、それがついにこのような事態となって……
「それで、さー」
イシュカの不信げな眼差しに、我を取り戻したエルフィーナは頷き、手紙を手に立ち上がる。「イヴァン様のご心配無くとお伝えください。必ずや弁明の機会を……」


GM:王城への召喚状が届いたのは、それから暫くのことであった。国王の御前にて弁明の場が与えられたと記してある。

イヴァン:そうか…

GM:「大丈夫なの?」と半信半疑のイシュカ。

イヴァン:「人生では時々伸るか反るかの事件がある。これもその一つだ。たいした賭けじゃない。」


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