Middle phase 

          

【〜分岐点・王の死〜】


国王陛下の崩御の時の思い出だ。


GM:国王が病に倒れ、もう長くないとわかった時のことだ。

イヴァン:当時国王と一緒に戦い抜いてきた俺にとって国王の死は一つの時代の終わりだった。

GM:最後の別れを言うべく、その多くの重臣騎士達が国王のもとを訪れた。最後の遺言を聞くべく。サラミス公爵ともここで再会する。

イヴァン:前回は無礼を働いてしまった。

GM:そうだね。彼の認識も君に関しては相当な無礼者というものであったが、それでも君の実力は誰よりも評価していた。軍事才があり、将兵の心を掴んでいたのを理解している。サラミスは宰相となるようだ。

イヴァン:いよいよ天上人だ。


GM:後ここでは屈強な武将であるブランバン将軍と出会う。君とは部署が違っていたということもあり、あまり面識は無いが、王国軍の片翼を担う将軍であり、戦士である君と通じ合う部分もあるのだろう。

イヴァン:正規軍とは毛色の違いはあるがな。


GM:その病床に招かれた君に、病の床にあった国王は声をかける「長い戦いの日々であった。思えば酷い戦ばかりであったが、あの戦いの日々ばかりを思い出す。」

イヴァン:平伏し病床の隣立つ。「楽しい日々でした」

GM:「何か、望みがあるか?」

イヴァン:「エルフイーナを妻に迎えたいと思っております。お許しください。」

GM:国王は暫くそれに沈黙する。

イヴァン:「国王陛下。私にこの国に骨を埋める理由をください。」

GM:彼は身の回りから指輪を取り出し、それを手渡す。「これを見れば、そなたは王に感謝されたものだと周囲も知るだろう。」

イヴァン:「ありがたき…しあわせ……」と受け取りはするが……

GM:「余は少し疲れた。そなたのことは宰相に頼んでおく。ゴホ。」

イヴァン:国王とは今生の別れになるだろう。元気付けてやらないとな。「国王陛下、一足先に夢の先でお待ちください。」と笑み。

GM:国王も老いた体で笑みを浮かべる。

イヴァン:「あの後、どうなったか、後ほどご報告に参ります。」

GM:そして二人は別れる。君と入れ違いに入ってくるのはサラミス。次は彼が別れの挨拶をしていくこととなる。


「国王陛下お話が……」


イヴァン:俺は指輪をしげしげと眺めている。騎士道を重んじた連中ならば、飛び上がって喜びそうな品だが、俺が欲しかったのはこれじゃない。俺には、どう考えていいのか……わからない品だ。「感謝している、ということだろうが」


GM:それから程なくして国王は崩御する。国王の死の後、幼い王子が即位し、そして宰相の座にはサラミスがつく。そしてイヴァンのもたらされた配置換えの知らせは今までの功績から見ればありえないほどの冷遇であった。

イヴァン:狩り終わりて、走狗煮られる、の言葉通りだな。

GM:イヴァンに与えられた領地は広大であったが、それは都市の少ない辺境の土地、都も遠く僻地であろう。そして君と同じような立場の兵や戦士も同じように僻地に送られていた。

イヴァン:辺境伯といえ、名ばかりといったところか。

GM:しかし、君をもっとも傷つけた知らせは別の話しだ。サラミスとエルフィーナの結婚である。国王陛下にサラミスが嘆願し、彼女を妻に娶ったのである。

イヴァン:国王の判断はそういうものだったのか。権力争いに破れたわけだ。

GM:婚約破棄の話題は瞬く間に知れ渡り、イヴァンも任官を解かれ、自分の部隊と共に辺境の土地へと向かうこととなった。


GM:王都を後にする前、最後の挨拶に訪れたイヴァン。新国王の傍らにある宰相サラミスと顔を合わせる。

イヴァン:「新王陛下。辺境の守備・統治へと向かわせていただきます。」俺は形だけの礼儀を取り繕い、さっさと別れを済ませてしまおう。現在の国王に対して、俺は別に関心もないからな。


GM:そのイヴァンの別れ際、柱の影から見送る女性の姿は、君もかつてよりよく知る人物エルフィーナだった。今ではその手にには赤子が抱かれている。

イヴァン:そうか。

GM:彼女はかける言葉に躊躇い、ただ見つめるばかり。

イヴァン:悔しいな。このまま彼女をつれて辺境に落ち延びる…ってことも考えはするが…子供がいるのか。

GM:時期的には、自分の子供でもおかしくない。

イヴァン:馬鹿な、邪推だ。

GM:………


イヴァン:俺は……一礼しよう。「……お幸せに。」

GM:その姿に、息を詰まらせ目を閉じたエルフィーナはかけようとした言葉を飲み込む。

イヴァン:「エルフィーナ。」

GM:「イヴァン様も、お体に気をつけて」そう挨拶する彼女の姿は、普段見慣れていたか弱い姿ではなく、凛とした女性の姿であった。

イヴァン:……男ってのは駄目だな。引き摺りすぎる。

GM:サラミスは口ごもり、何か言いたい様子で声をかける。「イヴァン。私は……」

イヴァン:「サラミス。忠告する。家臣の心が離れぬようによく配慮しろ。これで終わりにしろ。いいな。」

GM:サラミスの鋭い視線が交差する。




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