Ending phase

           

【アドホックレルムのサーガ】


王宮のバルコニーからの景色は、広く草原を見渡し、そしてまるで王国を一望しているかのような錯覚を与えた。ここに住まうものだけが見える景色がある。
その景色を今、国王となったイヴァンが見ていた。
その表情に安堵はなかった。どこか張り詰めたような、表情で景色を見渡す。



GM:「なんだ物憂げな表情をしているじゃないか」声をかけたのはフラガッハだった。

イヴァン:「どうした。」

GM:「戦勝の祝いだ。飲もうじゃないか!」そう手に杯と火酒を持ち、笑顔を浮かべた。





テーブルの上には空けられた多くの瓶が転がり、酒の肴も随分が並べられていた。しかし、この王国を手に入れたということ以上に、美酒があるだろうか。


イヴァン:俺はさすがに魔法も切れて今日は酔いが回る。「ううう…」

GM:「おやぁ今日は弱いじゃないか!ははは♪」

イヴァン:「お前のは不意打ちだ。そして俺もたまには備えを怠る。今日は弱いんだ。今日は。」

GM:「なんだ。ナーバスになっているのか。」

イヴァン:「ううー…む。ここが故郷だからか…いや、故郷じゃなかった。でも20年ぐらいいたからな。」

GM:「呂律が回ってないぞ(笑)」そして夜景を見渡す。「確かにここは凄いところだ。以前言っていたが案外ここは魔境なのかもしれんな。」

イヴァン:「魔境かどうかわからんが、ここは凄い場所だ。何故ならここにかつて俺やサラミスやブランバン…その他の戦士達も居た。」

GM:「それは凄いな!そうそうたるメンバーだ!」


国王との出会い、
ライバルであるサラミスと競い合った青春。
そしてエルフィーナとの愛。
全てがもう過去のことだった。



イヴァン:時の流れとは恐ろしい……俺が拘り、怒り・悲しみ・愛したものも時間の流れは押し流してしまう。どんな悔しい思いも、後悔する結末ですら、今はただのいい思い出だ。


GM:彼女はその笑みの意味を知りたくて、見つめている。


イヴァン:「俺が仕えていた国王は軟弱者で、武勇も知恵も足りなかった。正直尊敬したことはほとんどなかったが、印象が替わった。」

GM:「ほう、なんでまた?」

イヴァン:「王が居るときは、みんな揃っていたのに、彼がいなくなって全てがバラバラになってしまった……軟弱な男だとずっと思っていたが、誤解していた……」

GM:「ん」

イヴァン:「俺は…あの国王のようになれるだろうか……」

GM:「ああ……」


GM:膝の上に乗るフラガッハ。

イヴァン:いいさ。抱きとめよう。「どうした。酔ったのか。」

GM:「酔ってこんな風になれるのならもっと飲ませよう。」と唇に酒を含み、口づけをする。

イヴァン:「あの日の続きをしようというのか?」

GM:「……ああ、大分…長かった。」


GM:「我等の遍歴の旅はいまだ途中だ。」と星を見上げる。「私の旅にもまた一つ歌がついたぞ。」


イヴァン:「北方の民は10人の兵士に勝り、北方の戦士は」

GM:「…100人の兵士に勝る。」

イヴァン:「この戦、数の上では勝敗は明らかだった。」


イヴァン:「で、どんな詩だ?町を焼いた?」

爆笑!

GM:「焼いてないぞ(笑)都は!」


イヴァン:「では一国を落とした?」

GM:「それはまぁそうだ。だがもっと価値あるものを手に入れた。」


イヴァン:「それは?」

GM:「お前は一国よりも価値のある男だ。」


この王国はイヴァンの代にアドホック・レルムと呼ばれるようになった。『暫定王国』
それがどういう意味なのか。
それは人々が考えることだろう。



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