Ending phase 

          

【王位継承】

レルムの軍勢は、外壁を切り崩し、都の中に雪崩れ込む直前となっていた。もはや降服以前に勝敗は目前。
その滅亡直前の王国に、再びレルムの使者としてスターシャは訪れた。彼女とソレイユ王との降服条件への協議をとめるものはもはや誰も居なかった。レトワールですら。

そして数日後、固く閉ざされた城門が開き、レルムの戦士達が入城した。



GM:謁見の間。ソレイユとスターシャが選んだのは王国の滅亡ではなく、家臣に王位を譲る譲禅の儀であった。それが王国の存続の唯一の方法だった。
イヴァン:俺はソレイユ王の前に膝をつき、平伏していよう。

GM:国王ソレイユはここに至るまで様々な思いがあったであろう。しかし彼はそれを意思の力で飲み込み、宣言した。「僕は今日この日をもって国王を退位する。新たな国王であるイヴァンは我姉を妻として娶り王国を存続させて貰いたい。」


イヴァン:何ぃ?


GM:「あの時、父である先代国王がエルフィーナを与えられなかったが、今私は姉を差し出します。あなたが望まぬことかもしれませんが……お受け取りください。」

イヴァン:「……」

GM:妻を娶って国に残り、王国を守ることを望んでいた君に対して、ソレイユ王の願い出もある。

イヴァン:「…謹んでお受けいたします。」

GM:そして彼は王冠と、『王威の剣』を差し出す。

イヴァン:『王威の剣』は俺には相応しくない。だが保管しよう。いつか相応しいものが現れる日まで。

GM:「イヴァン王。いいんだ。私の不徳、故だ。」と手を取り立ち上がらせる。

イヴァン:「ソレイユ王。貴方を生かしておくことは俺にとって後顧の憂いとなるだろう。」

GM:両者の視線が交わる。


イヴァン:「しかし、もしかしたら、これが正しかったと意味を持つ日が来るのかもしれないとも考えている。俺にもわからん。」

GM:「イヴァン王。王国のことを頼む。」

イヴァン:「王国は守る。神に誓う。」

GM:そして笑顔。「では……さらばだ。」

イヴァン:「さらばです。」


ソレイユ王は人知れずこの日から幽閉される。彼がどうなったかは、また別の話である。


イヴァン:今回の戦は見落としもあった…ブランバン将軍への救援申請が初めの和平会談の時期に行われていれば、間違いなく苦戦していただろう。ここはイシュカに伝令を討たせるなどの対策を命じるべきだった。

GM:実際は、スターシャの脱出を優先したからね。でもスターシャは必要だったでしょう。

イヴァン:あれは俺の力で脱出させるべきだった。

GM:あれ以上の苦戦だったろう。難しかったと思う。


イヴァン:今回は幾つかの偶然もあった。ソレイユ王の奇襲を防ぐ『要人救助』は何かの見落としのための対策だ。

GM:看破していたのかと。

イヴァン:裏をかかれたよ…完全に。まさか、サラミスの弟子と戦うことになるとは思わなかった。にしても……


イヴァン:「スターシャ。どういうつもりだ。」と不機嫌そうに腕を組む。

GM:「何がでしょう?」

イヴァン:「レトワールとの婚姻だ。」

GM:「当然必要なことです。ここで王家を存続させるのはレトワール姫との婚姻が必要なのです。国王のお言葉にもあったはずです。これは義務だとお考え下さい。」

イヴァン:「しかし、くそ、幼い子供と婚姻を結べという……俺は子供が苦手なんだ。婚姻などありえん。」

GM:「まだご説明が必要ですか?」


GM:回廊で顔をあわせたレトワールは顔を紅潮させて睨みつけていた。激怒である。

イヴァン:俺だってこの女には不満がある。国民のこうむった災禍はコイツの責任だ。なのにコイツの頭にあるのはソレイユの事ばかりだ。責任のなんたるかも分かっていない。


GM:レトワールはすれ違う君に声をかける。「勝ったと思わないで下さい。」


イヴァン:「勝った?誰が?誰にだ?」俺は振り返る。


髪がざわめくほどの怒りをレトワールは見せた。
(私など眼中に無いというのかっ!)


表情を変えず、イヴァンは彼女を冷たく見下ろしていた。
(この女…もしや自分やソレイユの戦いだと、戦争を誤解してるか?
あれだけの血を流しておきながら…!)



GM:「女ってのは怖いねぇ」イシュカは壁に背を預け、呟いた。


イヴァン:「イシュカ。さてお前もついにここまでやってしまったな。お前恋人への憎しみでついに王国が滅んでしまったぞ。」

GM:「私は災厄の魔女とか名乗ろうかなぁ?」

イヴァン:「大活躍だな。疫病神。見たら縁起が悪い災厄女。それがお前だ。」

GM:「またまたぁ」

イヴァン:「歴史書を見てみろ。復讐の末、国が滅び、お前が簒奪王のイヴァンを作ったと書かれているぞ。」

GM:「……嘘じゃない。ヤな感じ。」

イヴァン:「俺がその負債を被ったんだ。わかるな。お前のお陰で王国を手に入れたが、何故だか……感謝する気にはなれん。」

爆笑!

GM:「終わったなぁ。なぁ、結局、誰の思うとおりになったんだ?」

イヴァン:「誰の思う通りにもならなかった。それが真実だ。サラミスの仕事は俺が引き継ぐことになるだろう。」

GM:「だなぁ。なぁイヴァン。災厄の魔女に何か望むことはあるかい?」

イヴァン:「今はまだない。だが、俺達には因縁がある。またいつか声をかけるだろう。」

GM:「いつでも呼んでくれ。」

イヴァン:「まずはほとぼりを冷ませ。トニーはこちらで何か仕事を探してやろう。」

GM:「ああ、何か探してくれ。またな」

イヴァン:「また会おう」



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