Middle phase

           

【〜朽ちた戦士〜】


辺境でも最果ての番地とはいえ、その国土は辺境伯の所有するだけの土地であった。しかしこの領土も貧困は根強く、文化圏からは程遠いものだった。


GM:雑多な建物が並ぶ都市は、地方都市としては随一の大きさをもっていたが、その積み上げられた石と木の建物はまるで一昔前の国と言っても差し支えなかった。

イヴァン:領主がゴロンゾでは仕方無いだろう。

GM:領地の説明をしよう。


切り立った岩肌の寒冷な土地で、領地の大部分が針葉樹林の森に覆われている。魔物なども未だに多く発生する土地で、その生活は常に死と隣り合わせ。この領地に生まれたものは生まれながらにして戦うことを義務付けられる。そのため国民の多くが好戦的で勇武を重んじる傾向にある。


GM:次に住む国民についてだ。


王国の併合前は異民族の領地であり、現在も異民族が多く住んでいる。 僻地として中央を終われたものが送られる辺境の土地であり、王国の亡命者も数多くこの町に流れ込んでいる。


GM:領主の館は、歴代領主のいずれかが手を加えたものなのか、前時代的であったが大きさも大きく、風格もあった。

イヴァン:「よう、ゴロンゾ」と俺は荷物を肩から下ろし、室内に入って行こう。

GM:出迎えもこない。

イヴァン:礼儀なんて期待していないが。

GM:ガチャリと入っていくと、酷い酒の匂いが立ちこめる。

イヴァン:呑んでいるのか…あの野郎。

GM:酒に酔いつぶれた半裸の男が、幾人かの女を纏わりつかせ、酒瓶を煽っている。かつては鍛え上げられたその肉体は、今は体格も崩れ贅肉が纏わりついている。

イヴァン:何をやってるんだ。この野郎は!!?

GM:かつての槍の刺さったキズはぷっくり膨れ上がり、勇姿は見る影も無い。都での生活が彼に贅沢ということを教え込み、今はこれだけ堕落していた。「久しぶり――」

イヴァン:殴りつける!!

GM:「ぶはっ何するんだよー」



イヴァン:「何だこの腹は。何やってんだ、この馬鹿が」と引きずり出し

GM:「おい、やめろ!!?」

イヴァン:馬の水呑み桶に顔を突っ込ませる。

GM:「グワー」

イヴァン:「俺の名前を言ってみろ。覚えているか?おい、ゴロンゾ」

GM:「お前は、イヴァン。」

イヴァン:「そうだ。ゴロンゾ。何だそのザマは。鎧を着てみろ。ハムみたいになっちまうぞ?!」

GM:「鎧が縮んだんじゃねぇか――」

イヴァン:水に頭を突っ込ませる。「素面か、酔っ払っているのか?」

GM:「素面だ!!」

イヴァン:「いいか。これ以上、馬鹿なことを口にしたら、お前をハムのように焼いてやる。これは脅しじゃない。」

GM:「わかった…ハァハァ」


イヴァン:「この領地はどうなってるんだ。皆お前みたいなのか?ブクブクに太ってハムのようになって、家から出てこれない。そんなところか?」椅子に腰掛け尋ねる。「事情を聞こう。聞く価値があるのならな。」

GM:「俺だって最初はしっかりやっていた。だがな。」

イヴァン:「黙れ!!そんなことは聞きたくない。負け犬の常套句だ!!」

GM:「いや、……でもよ」

イヴァン:「馬車に縄をつけて何週も走り回れば、元に戻るか?」

GM:彼の素行についての説明だけど、彼の事情はわからないこともない。


ゴロンゾも初めは領地開拓に自分のやり方で頑張っていた。しかし、それもはじめのウチだけだ。上手くいっても直に国替え、その繰り返しに次第にやる気もうせていった。


GM:「どうせ、また変えられるんだろう。」そして彼はまた悲観的に呑んだくれて、「やっぱり、あの一言が良くなかったんだ。あれがなければ俺は今頃……ひっく」

イヴァン:「今頃は、負け犬にならなかった、……そうか?」

GM:「忘れてくれ。俺は満足してるんだ。お前も好きにしたらいい。」

イヴァン:「何、腐ってやがる」と酒瓶を奪い取る。

GM:「あの時は、夢、見ちまったんだよ……」

イヴァン:「立て!!」胸倉を掴んで立ち上がらせる。「立て!ゴロンゾ。起きてるか」

GM:「ああ」

イヴァン:「起きてるっていうのは、ただ目を開けていることじゃないぞ。」

GM:「うん……ああ……イヴァン。会えて嬉しいよ。あの頃は、よかった……よかったよな」

イヴァン:「あの頃?どの頃だ。俺と初めて会った時か?今、俺と会った時か?」

GM:「うっうっう」

イヴァン:「――あの頃は終わったのか?」

GM:「うっうっ……」


イヴァン:「いいか、ゴロンゾ。これ以上馬鹿なことを口に出してみろ。殴りつけるぞ。いいな。そのキズは名誉の負傷なんかにはなりはしない。」

GM:「……ああ。」

イヴァン:「落ち着いたな。じゃあ手始めにお前に仕事をやる。お前は国替えしてきたといったな。」

GM:「ああ」

イヴァン:「地図をかけ、いいな。要所がどこか、どこに問題があったのか、経験してきたことを俺に教えろ。それは役に立つ知識だ。」

GM:「おお」

イヴァン:「腐るな。いいな。領地はいつでも取り返せる。書いているうちにお前は気がつく。俺だったらこんな領地、簡単に奪い返せるってな。」

GM:「うんうん」

イヴァン:「まずは、自信を取り戻せ。次に…その腹をどうにかする。いや、こっちが先か?とりあえず、まずは目的を見つけろ。」

GM:「文字が書けなかったら」

イヴァン:「誰かを呼べ。」

GM:「わかった。」

イヴァン:「俺にも読める字でかけ、いいな。」

GM:ゴロンゾはのっそりと部屋を出て行く。

イヴァン:酒瓶を拾い上げる。「これは骨が折れそうだ。」


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