Opening phase
【〜南北の戦い〜】
この王国の存亡の時が迫っていた。
宰相サラミス率いる主力部隊の敗北は、王国の軍勢の事実上の壊滅を意味していた。もはや王国には防衛できる騎士団も、それを率いる将軍も存在しない……
イヴァン:成長して聖痕の印をMAX鍛え上げた。これで前よりも長時間戦える。
GM:もう王国に主力はいないから、今回はそれが必要になるかわからないけどね。
イヴァン:いやいや、弱敵が多いほど役に立つスキルなんだ。
GM:ではまず作戦会議からというところだ。
サラミスの軍勢を破ったイヴァンは、サラミスが北部防衛の為に作った3つ砦と、さらに北部兵糧拠点を手に入れた。これにより、王国の北部の地方都市は芋蔓式に平定されていった。今や、北は手に入れたといってもいい状態だった。
GM:そんなイヴァンの元に、そろりそろりと歩いていくフラガッハ。何かおねだりがある時の様子だ。
イヴァン:なんなのフラガッハ?何が欲しいの?
GM:キラキラした瞳で彼女は言う。「なぁなぁイヴァン。私はあのでっかい宝箱開けてみたいんだ。」
イヴァン:宝箱?あったっけ?
GM:城。と都の方を指差す。
イヴァン:あ、あれか。これから攻めに行きたい、とそういうことの話か。
GM:「ちっちゃい宝箱でも色々なものが入っているというのに、あれだけ大きな宝箱なら何が入っているか、想像もできない(笑)」
イヴァン:「そうだな。まぁ、早日、兵を送らねばならんかもしれん。ゆっくり待て。」
GM:「燃やそ♪ね、燃やそ♪」
イヴァン:正気を疑うわ(爆笑)
爆笑!
イヴァン:「お前が心配しなくてもいい。だが、まだ事態は流動的だ。確実な事以外は約束できん。いいな。」
GM:「わかった」と彼女はウキウキしている。「準備をしておこう。」
イヴァン:さて、ここまではいい。まずここで状況を確認しておかないとならないな。王国の最後の将軍は南方遠征中のブランバン将軍だ。サラミスの死を聞き、ここに戻ってくるかもしれない。
GM:ブランバン将軍は南方のバストラール王国と激突中だ。このバストラールは武力傾倒の帝国主義の持ち主で、大陸制覇の野心を抱いている。ブランバン将軍はよく戦っているが、戦場を離脱できないのが現状だ。
イヴァン:ではゴロンゾに指示。「ゴロンゾは銀峰領に戻り、防衛に当たってくれ。」
GM:「わかった。何か背後を襲われると考えているのか?」
イヴァン:「いや、そこまではな。だが、追い詰められた相手は奇策の類で打開を狙うこともある。ここは生命線を守っておいたほうがいい。」
GM:「なるほど。確かにありえるな。」
イヴァン:「近いうちに別のものを配置してまた戦線に復帰してもらう予定だ。」イシュカとオレグを呼んでくれ。
GM:「呼んだか?」「お呼びで。」
イヴァン:「理解しやすいように、俺の方針を話しておく。我々は和平の話を提案する。サラミスもそれを望んでスクロールの遺書を用意した。」
GM:オレグは何故という顔。勝利は目前だからね。
イヴァン:「俺はソレイユ国王には借りがある。無罪の弁明の機会を与え、その言葉を聴いてくれた。俺もチャンスを与えたい。従ってくれ。」
GM:「勿論」とオレグ。イシュカも不満はない。
イヴァン:「だが、お前達を呼んだのは和平にならない場合を考えてだ。」
GM:「和平を断るっていうんですか。戦となれば王国の敗北は必至…それはないんじゃないかな。」とこれはオレグ。
イヴァン:「確かに現状は王国には不利だ。俺が国王なら、ここは一時の和平をして、軍備を蓄え、いつかの反撃の為に時間を稼ぐだろう。ブランバン将軍も帰還してくるかもしれないんだからな。だが、そうはならない……」
イヴァン:「そう考えているのか?」とイシュカは目つきを細める。
GM:「都の人々は戦に離れていて、今回もサラミスの私兵と化した騎士団の戦いだ。」
GM:「つまり……他人事?」
イヴァン:「ああ」
GM:「そして今でも戦えると王国の力を過大評価していると?」
イヴァン:「そうだ。次の戦は貴族や民衆、戦の経験のない連中との戦となる。こういう負けたことのない手合いは、どこまで被害を受ければ敗北するか知らない。こういう連中と王国の危機を前提として話をしても、ことの大事を理解できない。」
GM:「そりゃそうだ。」
イヴァン:「それにサラミスの専横は国王の力を削ぎ、有能な臣下は少ない。椅子取りゲームに話は長くもつれる。事態は流動的だ。そして今、国王が指導力を発揮するのは難しい。」
GM:「でも和平になる可能性もあるだろ」
イヴァン:「そう考えているからスターシャを使者に送る。イシュカに依頼したいのは、スターシャが交渉に失敗した場合、危機が訪れる。あらかじめ、その際に脱出するための算段をつけておいてもらいたい。」
GM:「脱出経路とか、自分達を匿ってくれるもの、逃がしてくれる者を見つけるということか。」
イヴァン:「そうだ。今、王国は一枚岩ではない。」
GM:「わかった」
イヴァン:「では次にオレグだ。仮に交渉が破綻し、戦になるのならば、次の相手は市民になるだろう。お前は市民に紛れ込んでいて欲しい。」
GM:「おお!!市民なるほど。それは考えなかった。」
イヴァン:「徴兵される民衆だ。見慣れない人々が混じっていても気にならないだろう。」
GM:「確かに次は大規模な徴兵が行われるでしょうね。」
イヴァン:「お前は顔立ちが王国の人々と大差ない。紛れ込めるだろう。外見が近く慣習が馴染めるものを連れていけ。」
GM:「わかりました。」
イヴァン:「次の相手の戦はまず俺が自力で打ち破る。その戦にはオレグは参戦しなくていい。オレグはその次の戦、相手が油断をしなくなった時の内部撹乱を頼む。そのタイミングにはまたイシュカを向かわせることになるだろう。」
GM:「一回目じゃないんですね。」
イヴァン:「ああ、一回目の初めての戦は、新しい指揮官の下に急増された部隊だ。自分の欠点もわからん連中は恐ろしくもない。だが、自分の短所を理解できた連中ともなれば次は手ごわい。」
GM:「そこでさらに一敗食わせると。」
イヴァン:「戦になる前から、次の二つの戦を考えているとは思わないだろう。」
GM:「そりゃそうだ。」
爆笑!
GM:「アタシャ、敵に同情するよ。相手は考えてないんだ。自分が誘導されているって気がついていないのさ。選択していると、ついにはチェックメイトしているってわかってないんだろな。」
イヴァン:「サラミスなら備えたさ。より大胆にな。」
イヴァンは篭城するサラミスを得意な野戦にあぶりだしたが、サラミスはその野戦に王国の軍勢を集結させた。いくらイヴァンでもその戦いは薄氷の戦いだった。
イヴァン:「アイツは…完璧だった。」
GM:「じゃさっそく向かうぜ。」「よし。ではさっそく行ってまいります。お前とお前はこい。お前はだめだ」「はい」「はい」「うっす」
爆笑!
イヴァン:スターシャにはこの内容は伝えないでおこう。王国和平は願い出もあり、スターシャにはその和平に専念してもらいたい。
GM:ではスターシャは使者として王国に旅立つ。「必ずや和平もしくは休戦を締結します。してみせます。」彼女は託されたスクロールを握り締めた。
イヴァン:「うむ」えー……っと。GM。俺も御者か警備の格好をしてついていこうと考えているんだ。いいだろうか。
GM:え、国はいいの。
イヴァン:勿論ここで俺が死んだら、全てご破算だ。挙句イシュカやオレグも無駄死にするだろう。だが、この交渉はあらゆる意味で危険だ。スターシャも気負いすぎているだろう。俺が守っていてやった方がいい。
GM:警備隊じゃろくな力を発揮できないよ。
イヴァン:鎧は兵士の装備、武器と盾だけ愛用を持たせてもらおう。部隊としては一般兵士か個人で扱ってくれていい。試してみよう。失敗したら死ぬだけだ。俺はそれだけの男というだけだ。
GM:了解。これはスターシャには知られないように。
イヴァン:勿論。じゃなかったら俺の身の安全ばかり気になるヤツだ。
GM:それもそうだ。
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