Middle phase
【〜10年前〜戦乱の大地〜】
GM:君が次に訪れた領地はこの王国でもっとも北、辺境の領地だ。領土は広いものの光景はあまり変わらない。蛮族の侵攻、領内の魔物・魔境の数々。
イヴァン:何処に行っても変わらんな。ゴロンゾはどんな男なんだ。俺と面識があるようだが。
GM:ゴロンゾは北方の戦士…というよりは蛮人だ。勇敢というよりは愚鈍。そういう男だ。彼の記憶を紐解こう。
かつて王国に蛮族が侵攻した際、最前線は先ほど後にした山間の領土だった。天然の要害、少数の兵でも十分に守れる土地ながら、ここを抜かれたら平原地帯。王国の危機は表面化する。まさに要所でもあった。
GM:10年前の話だ。ここを防衛に向かった時、イヴァンはゴロンゾと出会った。「急げ!ここを抜かれたら王国は異民族の侵攻を止められなくなるのだ」とコレを指示したのが当時の国王だった。
イヴァン:ほう。
GM:イヴァンより幾らか年上であるその男は、君から見る限り頼りない男であったが、不思議なことにこの男の双肩にこの王国の未来がかかっていた。
イヴァン:当時の俺は侠客・客将という気分で仕えていた。恩を返したら、この領地を後にする。そんな気分で、ずるずると…「では先陣は引き受けた。参るぞ。」
GM:「お待ちください国王陛下。」と制止の声をかけたのは金髪オールバックの側近。黒い眉が意思の強さを印象付ける。イヴァンとも年代の近い男だ。「異民族の攻撃の知らせから随分経過しております。あの少数ではとても領土を守れるはずもなく、既に領地を捨てて逃亡しているはずです。ここは慎重に慎重をきし・・・」
イヴァン:「おかしな意見ではないが、俺の見解とは違うな。」
GM:「ここは王都を硬め、国内の防衛体制を整えるべきかと」というその側近の進言に、国王はおおいに悩む。「そうだな。いや、しかし…」
イヴァン:国王も重々その意味は理解している、ということか。
GM:それでいて、王都に戻るという結論も出せないでいる。
イヴァン:「では、国王陛下。死んでもいい兵を連れて行くとしましょう」と部下に下知しよう。俺達は国が失っても惜しくない蛮族の兵士だ。とそうだな。その金髪をつかもう。「お前も来い。」
GM:「貴様、何をする!?無礼な」
イヴァン:「来い。お前に戦ってものを教えてやる。」
GM:「馬鹿にするな!!」
イヴァン:「戦は何回経験した。20回か30回か?俺は母の腹の中にいた時から経験している。」
GM:「ふん。蛮人はもっと頭を使うことを覚えるべきだ。」と彼は同行を了解し、部下に命令する。彼の名前はサラミスという。
イヴァン:サラミスか。
砦の近くでは既に死体の山が堆く詰まれ、各地で火の手が上がっていた。
配色は濃厚。各地では今も孤軍奮闘しているものがいるのか、戦の喧騒が響いている。
GM:サラミスは君の指示に従うようで、少なくともこの戦場で言い争いをするつもりはないようだ。「見ろ。配色濃厚だ。長くはもたんぞ。」
イヴァン:「ここが抜かれなくてよかったぞ。都にその惨禍を呼び込みたくはあるまい。」
GM:その一同は戦闘している部隊と遭遇する。ゴロンゾの部隊が隘路で先頭を継続している。手に持った柱を振り回し、敵兵をなぎ払っている巨漢。あれがゴロンゾ。彼との出会いだ。
イヴァン:凄いのがいるぞ?
GM:彼は片目を矢で射抜かれ、腹部にはいくつも槍をぶら下げているという有様だというのに、痛みをまるで意に解していないかのような奮闘を続けている。「落ちていないのか……」とサラミスは蒼白の顔で呟く。
イヴァン:「このまま見ていれば砦陥落という願いも叶うぞ?」と皮肉をいいつつ武器を構える。「行くぞ!!」
GM:「ふん。馬鹿を言え。続け!」と君達は突撃する。
イヴァン:騎士団を側面から突撃させ、相手を混乱させるとしよう。その後に合流だ。「おい!ゴロンゾ!!」
GM:「おう!!」と深手らしからぬ威勢のいい返事を返す。腹の槍は完全に貫いているというのに。
イヴァン:「まだいけるな?」
GM:サラミスはその深手を見て「何故…逃げなかった?」と半信半疑で尋ねる。「考えもしなかった」とゴロンゾが疑問を一蹴する笑みを浮かべる。
イヴァン:「こいつらに頭を使えっていうのは無理だ。」
GM:「雑魚共をプチプチ潰していたんだが、きりがなくてなぁガハハハ!!」とゴロンゾは笑ってのける。「しかし、どうするつもりだ?」サラミスは戦況を確認しつつ尋ねる。
イヴァン:「よし、よく聞け馬鹿共。ガキでもできる単純な作戦だ。」
GM:「ああ」とゴロンゾは顔を突き出す。
イヴァン:「まず息を整える。」
GM:スーハー
イヴァン:「かかれといったら攻撃だ。いいな。」
GM:サラミスは唖然として口をあんぐりあける。「待て。どういうつもりだ。」
イヴァン:サラミスと足並みを揃えて説明しよう。「まず相手を押し戻す。力づくでだ。ここは少数でも戦える隘路だ。俺の部隊で十分押し戻せる。」
GM:「それでも貴様の5・6倍はいるぞ」
イヴァン:「この砦は堅守防衛できる土地だ。相手もここを攻めるには頭を使ったんだろう。そういう奴の頼りは頭脳。作戦だ。潮の変わり目になんらかの作戦を行う。」
GM:「確かに……」
イヴァン:「俺達は増援で勢いづいた蛮勇を装い突撃する。相手は伏兵をするだろう。」
GM:「狭い隘路での伏兵か。ありえるな。」
イヴァン:「蛮兵相手には効果的だろう?」(ニヤリ)「お前は相手の動きの変わり目に突撃しろ。伏兵を打ち、混乱していたら畳み掛けろ。」
GM:「わかった。だがお前の攻撃でも相手が引かなければ?」
イヴァン:「国王が援軍に来ていることは、俺達の到着で既に相手にも伝わっている。急いで砦を確保しに来るだろう。しかし、俺がいる限り突破はできない。」
GM:「確かだな?」
イヴァン:「ああ。相手も砦も落とせず国王の援軍を相手になどしたくない。砦陥落を優先させれば動きは単純化する。」
GM:「なるほどな」と多少驚いた。「君が軍略ができたとは驚きだな。」
イヴァン:俺だって軍略ぐらいもってる。
GM:ここで一度戦闘してみようか。では歩兵部隊6部隊だ。後衛に2部隊の指揮官がいる。イヴァン1部隊に敵8部隊???大丈夫なのか。
イヴァン:やってみろ。雑魚に勝てなければそれで終わりだ。ただそれだけだ。
GM:でもダメージを少しづづでも食らえば指揮が0になり、ダメージも防御も弱くなる。倒せなければ作戦は失敗だ。
イヴァン:その程度の男は、元々主役にはなれんさ。だろ?
行動値8 異民族・歩兵部隊。
行動値8 イヴァン・騎士団
イヴァン:まずセットアップフェイズ。指揮3を消費し、このシーンで行う全ての判定に+1Dのボーナスを得る。これで命中と回避を上げる。
GM:相手の指揮官はこちにの増援に気がつくが、少数だということで高をくくっている。「ひと揉みに揉み潰せ!!」と首を掻っ切る仕草をする。部下は指示。「いくぞ!」
イヴァン:300人ほど引き連れて、槍と盾の集団がぞろぞろと前進。
GM:歩兵隊の命中(コロコロ)クリティカルした…38.
イヴァン:回避は(コロコロ)22。ダメ。ガードを宣言。ダメージをどうぞ。
GM:ダメージは(コロコロ)84点。
イヴァン:チーン。防いだ。
GM:あっちょっと待って、指揮官で<増幅の印>を使う。いいよね。
イヴァン:勿論、構わない。やってくれ。
GM:ダメージは(コロコロ)+20。104点。どうだ!!
イヴァン:チーン。防いだ。
GM:あ、ダメだ。手を変えないと。次からはマイナーアクションでアイテム火矢を選択。炎熱ダメージの攻撃に切り替える。「火矢を放て!」
イヴァン:俺は固い系だからな。相手のこの攻撃は想定内だ。
GM:命中(コロコロ)24.
イヴァン:回避は(コロコロ)22。高いほうだけどな。食らった。ガードを宣言。
GM:ダメージは増幅の印を足して……(コロコロ)98点。
イヴァン:<光盾の印>を使い、炎に対してもガード。というわけでチーン。ダメージは通らない。
GM:ええ!!でもMPを使っているぞ!どんどん攻撃しろ!!命中(コロコロ)20.
イヴァン:回避(コロコロ)24。を回避できた。ごく稀に避ける。
GM:回避できないわけでもないんだね。
歩兵部隊の攻撃は、残り半数が命中するもダメージが通らず、残り半数が回避されてしまう。イヴァンのMP消費を狙った攻撃はさほど戦果を上げられずにいた。
GM:硬いとは思っていたが、これだけ安定して防ぎきるとは。
イヴァン:では、こちらの攻撃だ。ここで『デストロイヤー』のフラッグ効果で、範囲攻撃を宣言。相手は攻撃範囲におさめているということでいいか?
GM:いいとも。一応今回はそのマローダーの使用回数は消費しなくていい。これは回想。実力確認の為の戦闘だから。
イヴァン:では命中(コロコロ)いい目だ。33.
GM:回避こちらも低くないんだけど。(コロコロ)19。22.。21。26。20。22.。回避失敗。ダメージを教えて。
イヴァン:ダメージは(コロコロ)166点。
GM:うぉおおい。それ部隊全滅じゃないか。これはどうやっても防げない。
イヴァン:そう聞こえなかったか?全滅させるつもりで攻撃した。
GM:「押されているぞ!!」相手は正攻法が通じなくなると一度兵を引き上げる。ゴロンゾ達は勝利と考えているが。
イヴァン:陽動のための退却だ。
GM:指揮が完全に崩れ脱走兵が続出。こうなると戦闘の継続ができない、みたいな。
GM:とそこへ奇襲部隊が攻撃を開始する。相手がさすがに「撤退!!撤退だ」と戦場離脱を決定する。
イヴァン:追撃は苦手なんだよ。俺たちの部隊は基本的には重装備だしな。
GM:各地で歓声が上がる。「敵将討ち取ったり」なんて声が上がってはこの戦を盛り上げていく。
イヴァン:さて、後は相手が引き上げを決定すれば防衛成功だな。
砦の陥落を目的としていた異民族にとって、奪取を頓挫した今、この戦は負け戦以外の何物ではない。
GM:背後に迫る王国軍に歯噛みしながら相手の軍勢は引き上げをしていく。自軍は大歓声をあげ勝利を祝う。
イヴァン:「ゴロンゾ、酷い面だな。」
GM:「男前だろ。」
イヴァン:「箔がついたな」と武器を打ち合わせる。
GM:サラミスは少し離れたところから二人を見ていたが呟く。「呆れるよ。君達こそ真の戦士だ。」
この戦に参加した多くの異民族の戦士たちが囚われの捕虜となった。
事実イヴァンの部隊の攻撃で、6部隊も壊滅しているのだ。孤軍奮闘した戦士は少なくなかったが、多くの兵が捕らえられた。
そして王国は、話の通じない異民族にまで寛容ではないのだ……
イヴァン:敗北すれば死だ。だが、ここからは国王陛下の名代としての使命を果たさなくてはならない。
GM:ほう?
イヴァン:俺は捕らえた敵兵に説く。「我、騎士イヴァンは国王陛下の名代にとして、降伏するものの命と権利を保護することを確約する。」
GM:サラミスは「名代?」と眉をしかめる。「蛮族など皆殺しにしてしまえばよいのだ。」と忌々しいといわんばかりに舌打ちする。
イヴァン:「サラミス。国王の正義と慈悲を、広く国内に流布するのは、騎士足るものの務めだ。んー?国王陛下の名に傷をつけたいのか?」
GM:「バカを言え」多少悔しそうなものの。「貴公に従う。この勝ち戦は貴公のものだ。」そして呟く。「一緒に戦えてよかった。」
イヴァン:思ったほど悪い奴じゃないのかもしれんな。
GM:君はその後も随分と手柄を立て、伯爵、辺境伯へと出世していくこととなる。
イヴァン:そういえば、この砦が先ほどの領地だとすると、これから向かう僻地の領土も獲得しているってことは、王国はさらに領土を拡大しているわけか。
GM:その後聞いたことだったが、このサラミスという騎士は、ただの貴族ではない。王位継承権のある公爵という地位にある御曹司であり、国王の懐刀の一人であったという。
イヴァン:「先日は失礼しました!!」
爆笑!
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